舌の形が変わるとどうなる…?舌がん治療後の影響
舌がんは女性よりも男性に多くみられます。
飲酒や喫煙が原因とされており、口の中にできるがんの5割~6割を占めています。
舌がんは他のがんと同様に重症化すると命にかかわることもありますが、初期の段階でしこりができるなど舌の見た目に変化が生じることも多く、早期発見・早期治療がしやすいがんとしても知られています。
しかし、舌がんの治療では舌の切除手術を行うこともあるため、術後は後遺症が残ることも少なくありません。
そこで今回は舌がんの治療方法とそれによる後遺症、およびその対策について解説します。
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舌の働き
舌がんとその後遺症について知るためには、舌の働きについて知っておく必要があります。
ここでは、最初に舌の主な働きについて見ていきましょう。
・食べ物を喉の奥に運ぶ
口の中に入れた食べ物は咀嚼によって消化をしやすい状態にされた後、喉の奥へ運ばれ、喉の筋肉を使って飲み込まれます。
この一連の動作のうち、舌は消化をしやすい状態になった食べ物を喉の奥へ運ぶ部分を担っており、この働きによって人は食べ物を飲み込むという動作を正常に行えるようになっています。
そのため、舌を切除することなどによってその本来の機能に支障が出てしまうと、食べたものを喉の奥へ運ぶのが困難になってしまい、場合によっては流動食などの飲み込みやすいものしか食べられなくなってしまうこともあります。
また、食べたものが気管に入ってしまうことが多くなり、肺炎などの疾患を誘発してしまうことも懸念事項のひとつといえます。
・食べ物を噛む動作を補助する
特に前歯で食べ物を噛み切る際には上下の歯の力だけだとその間にある食べ物が安定せず、うまく噛み切れなくなってしまいます。
舌はこの際に食べ物を内側から支え、上下の前歯で噛み切りやすくする補助の役割も担っています。
舌がんになってしまうと舌の前方部分を切除することもあるため、このような咀嚼を補助することも難しくなってしまうことがあります。
以上のことから、舌には食べ物を喉の奥へ運ぶという働きと同様に、食べ物を噛み切りやすくするという点でも重要な役割を担っているといえます。
・味を感じる
舌の機能というと食べ物の味を感じる働きを思い浮かべるという方も多いことでしょう。
実際、このような味覚を担う機能は舌の最も重要な働きのひとつとなっています。
舌にはその表面に味蕾(みらい)という食べ物の味を感じるセンサーが無数にあり、これが機能することによって人は「甘い」「辛い」「苦い」といった食べ物の味を感じることができるようになっています。
また、味蕾は舌以外にも上あごや頬の内側、喉の奥などにもありますが、その数は舌にある味蕾の比ではなく、舌を切除してしまうと味覚にも大きな障害が生じてしまします。
また、かつては舌ではその箇所によって感じる味が異なるという見解がされていましたが、現在ではこれが誤りであることが分かっており、舌の一部を切除することによって特定の味だけが感じられなくなるということはありません。
・声のコントロール
声をコントロールする発声機能は喉の奥にある声帯が担っているため、舌は関係ないのではと考える方も多いかもしれません。
しかし、声帯から発せられた空気の振動は喉の奥や口の中で共鳴することで声になるため、舌が失われてしまうとこの振動のメカニズムにも変化が生じてしまいます。
舌の筋肉の発達が不十分だと活舌が悪くなるケースも見られており、発声機能においても舌の存在が重要な役割を担っていることは明白です。
舌癌の治療方法
舌がんは大腸や肺にできるがんのように知名度が高くないため、治療方法も特殊なのではと思われがちです。
しかし、実際に医療機関で行われている治療法は他のがんと同様に「外科手術(切除)」「薬物療法」「放射線治療」の3つが多くなっており、治療方法だけに関してみれば他の種類のがんと大きな違いはないといえます。
これらの治療方法の詳細を見ていきましょう。
外科手術(切除)
舌がんでは進行度や症状に応じて舌を切除する外科手術によって完治を目指します。
この手術方法には主に4種類があります。
a.舌部分切除術
舌がん治療における外科手術のうち「舌部分切除術」は舌の一部を切除する方法で、早期発見ができた場合はこの方法が適用されることが多くなっています。
切除手術の中でも切除範囲が最も少なく、見た目も大きく変わることはないという特徴があります。
b.舌半切除術
「舌半切除術」は、その名のとおり舌の半分程度を切除する方法で、がんが若干広がってしまっている状態で適用されます。
c.舌亜全摘出術
「舌亜全摘出術」はがんが舌の半分以上の範囲に広がってしまっている場合に適用されます。
舌の大部分を切除するため、見た目が大きく損なわれてしまうこともあります。
d.舌全摘出術
切除手術の中でも最も切除範囲が広いのが「舌全摘出術」です。
この方法では、その名称からも分かるとおり舌全体を摘出するため、機能面での後遺症が残ることもあります。
また、以上の舌を切除する治療法以外に頸部のリンパ節を切除する治療方法も、舌がん治療において有効な外科手術のひとつとして挙げられます。
薬物療法
初期の舌がんでは上述した外科手術によって完治を図りますが、初期の段階を過ぎてしまうと外科手術では症状の大きな改善は見込めないことも少なくありません。
そして、このような状態になってしまった場合、抗がん剤を用いた薬物療法を行うこともあります。
舌がん治療における薬物療法では、舌がんに栄養を送っている動脈に抗がん剤を流し込む「動脈内化学療法」という治療方法が多く取られるのですが、ある程度進行してしまっている舌がんでは、この治療方法だけでは完治は見込めないこともあり、後述する放射線治療とこの薬物療法を平行して行うこともあります。
放射線治療
舌がん治療においては2種類の放射線治療を行うことがあります。
「外部照射」と呼ばれる放射線治療は体の外側から放射線を照射する方法で、切除手術を行った後になって、がんが残っていることが判明した場合などに用いられます。
また、場合によっては初期の舌がんに対してもこの方法を適用することがあります。
一方で「組織内照射」と呼ばれる方法では、放射線が出る線源をがんに刺し、直接放射線を当てることによって治療を図ります。
この方法は舌がん以外のがんに対しても行われますが、臓器などのがんに対して行う場合は内視鏡などを使用しなければならないのに対し、舌がんの場合は照射がしやすく、より有効な治療方法といえます。
・免疫療法の効果は未知数
オプジーボの登場によって注目度の増した免疫療法は、理論上舌がんに対しても効果が望めるとされています。
しかし、現時点で免疫療法の効果は立証されておらず、今後も注視していく価値はあるものの上述した3つの治療方法以上の効果を期待するには時期尚早といえるでしょう。
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舌の切除具合と後遺症
特に初期の舌がんで主要な治療方法となる舌の切除手術ですが、この治療を行うと本来舌が担っている機能に何らかの後遺症が残る可能性があります。
切除する舌の範囲ごとに生じる可能性のある後遺症について見ていきましょう。
・部分切除
ごく初期の舌がんで、がんがあまり広がっていない状態で行われる部分切除では舌が若干変形してしまうことがあります。
しかし、この状態だと機能面で障害が生じる可能性は非常に少なく、術後はそのままでも発声や食事が問題なく行えることが多くあります。
ただし、一部が欠けた状態の舌の見た目が気になる場合は「再建手術」を行うことで改善が図れるため、医師に相談してみるとよいでしょう。
・半切除
舌がんではごく初期の段階でもがんが舌の半分近くにまで広がってしまっていることもあります。
この状態でも切除手術を行うことは可能ですが、舌の半分以上を欠損することとなってしまうため見た目は大きく損なわれてしまいます。
このような半切除を行った場合でも再建を行うことは可能であるため、見た目だけでなく発声や食事における機能面での障害も日常生活に支障をきたさないレベルにまで改善することができます。
・半分以上切除
がんが舌の半分以上に広がってしまっている場合、舌亜全摘出術によって舌の半分以上を切除することもあります。
切除した後の欠損部分は再建をすることによって見た目を改善することが可能ですが、物を飲み込む機能や発声機能には障害が残る可能性があります。
また、物を飲み込む機能が損なわれてしまうと気管に食べ物が入りやすくなってしまうため、術後は十分な時間をかけてゆっくりと食事をする必要があります。
その一方で味蕾は舌の残った部分や口の中のその他の部分にもあることから、再建手術を行わなかったとしても味覚が完全に損なわれてしまうことはありません。
・全切除
がんが舌の全体に広がってしまっている状態では、舌全摘出術によって舌全体を切除することとなります。
この場合も舌を再建することは可能ですが、物を飲み込む機能や発声機能には高い確率で後遺症が残ってしまいます。
また、再建を行った後も食事を行うためのリハビリは不可欠となり、しばらくの間は口からの食事を避け鼻からチューブで点滴を行うこととなります。
全切除をした場合でも味覚は残るので、再び食事を楽しめるようになることを目標としてリハビリに励むのがよいでしょう。
舌がん治療後の後遺症への対策
舌がん治療に伴って生じる後遺症の度合いには個人差があります。
しかし、舌そのものの切除を行った場合、何らかの形で後遺症が残る可能性は高いため、後遺症への対策として何が有効なのかということは手術前から把握しておく必要があります。
・発声障害のリハビリでは言語聴覚士のサポート受けるのが有効
上述のとおり舌を半分以上切除する舌がんの治療では、舌の再建手術を行ったとしても発声に大きな障害が残ることがあります。
発声機能に関するリハビリの専門家である「言語聴覚士」は、このような舌の切除手術後に行うリハビリ方法の指導を行ってくれるため、そのサポートを受けることで発声障害の改善を図ることができます。
このことから、日常生活に支障が出るほどの発声障害が残ってしまった場合は、主治医と相談して言語聴覚士を紹介してもらうのがよいでしょう。
・食事に関する機能のリハビリも言語聴覚士がサポートしてくれる
舌がんの後遺症としては物を飲み込むといった食事に関する機能に生じる障害も多いという特徴があります。
舌の切除手術後は流動食や半固形物などを食べながら徐々にこの機能を回復させることが可能ですが、後遺症が重い場合これら以外にもリハビリが必要になるケースがあります。
言語聴覚士は発声機能に関するものだけでなく、このような食事に関する機能のリハビリもサポートしてくれるため、リハビリ時には同様に主治医に相談し、紹介をしてもらうとよいでしょう。
・痛みが強い場合は鎮痛剤を使用するのも有効
舌がん治療の中でも頸部のリンパ節を切除する手術では術後に強い痛みが残ることがあります。
中でも術後のリハビリを行えないほどの強い痛みが長期間残る場合は、主治医と相談の上、鎮痛剤を使用するのも有効です。
また、強い痛みを伴う後遺症に関しては「ペインクリニック」を受診することでも改善が見込める場合があります。
・整骨院や整体院の利用は注意が必要
舌がん手術を行うと首や肩に痛みやこりが残り、整骨院や整体院でほぐしてもらおうとする方も少なくありません。
しかし、舌がん手術後は患部周辺を中心に触ってはいけない箇所があり、特に大きな血管を指圧してしまうと別の障害が生じてしまうことがあるため注意が必要です。
このことから、首や肩の痛みやこりが気になるという場合は、リハビリ科を受診し適切な治療を受けるのがよいでしょう。
まとめ
舌がんは初期の段階で違和感が生じることが多いため、他の部位に生じるがんに比べると早期発見・早期治療がしやすく、命にかかわるほどにまで進行してしまうことは決して多くはありません。
しかし、切除治療を行うと舌の形が変わってしまう、あるいは発声や物を飲み込む機能に後遺症が残ってしまうことは多いため、治療に臨む際にはこれらの後遺症を最小限に止める方法も考えるべきだといえます。
そのためには治療方法の決定時と同様に主治医とよく相談をすることが重要となります。
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