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珍しい癌の種類|例が少なすぎて治療法が定まっていない癌もある

生活習慣病
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2019年の癌統計予測によると、男女合わせて多い癌は1位が「大腸癌」、2位が「胃癌」、3位が「肺癌」となっています。

いずれも罹患数は10万人を超えており、全癌の罹患数約100万人のうちこれら3つの割合が大きな割合を占めています。

しかし、癌の中にはまだ症例の少ない珍しい癌もあることをご存知でしょうか。

そのような珍しい癌は「希少癌」と呼ばれます。

希少癌には症例が少ないために治療法がまだ確立していないものもあります。

癌患者のうち15~22%は希少癌と言われており、次第に希少癌診療病院リストが作られ始めています。

今回はそんな希少癌について解説しましょう。

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日本人の罹患数が多い癌はある程度決まっている

国立がん研究センターがん情報サービスが集計した2019年の癌統計予測から現在の日本人に多い癌についてご説明します。

なおこの統計データは、2~3年前の罹患データを元に現時点での罹患数を予測して出されたものです。

癌の男女合わせた罹患数予測によると、2019年の全癌の罹患数は約102万です。

その中で、どの癌が多い傾向にあるのかを見てみましょう。

■男女計(全癌罹患数:約102万)

・大腸:約15万5千人
・胃:約12万4千人
・肺:約12万2千人
・乳房(女性):約9万2千人
・前立腺:約7万8千人

なお、2018年の癌統計予測では全癌の罹患者数は約101万3千人でした。

2019年の罹患予測値は2018年より増加していますが、罹患数の多い疾患の順位についての変更はありません。

上記に挙げた5つの癌は男女ともに現在の日本では罹患者数が多い癌といえるでしょう。

次に男女別に2019年の癌罹患数予測を見ていきましょう。

■男性(全癌罹患数:約57万2千人)

・大腸:約8万9千人
・胃:約8万4千人
・肺:約8万2千人
・前立腺:約7万8千人
・肝臓:約2万4千人

男性では40歳以上になると胃・大腸・肝臓などの消化器系の癌の死亡率が高くなり、70歳以上では肺癌と前立腺癌で死亡する確率が高まります。

■女性(全癌罹患数:約44万4千人)

・乳房:約9万2千人
・大腸:約6万6千人
・胃:約3万9千人
・肺:約3万9千人
・子宮:約2万6千人

女性では40歳代においては乳癌・子宮癌・卵巣癌の死亡割合が多く、高齢になると胃・大腸・肝臓などの消化器系と肺癌での死亡割合が高くなる傾向があります。

このように2019年の男女別癌罹患数の予測を見てみると、日本人がかかることが多い癌の種類はある程度決まっていることが分かります。

 

希少癌にはどのようなものがある?

一方で罹患数が少ない癌もあります。

このような癌を「希少癌」といいます。

希少癌とは、人口10万人に対して新規患者数が1年間で6例未満の癌とされています。

体の部位ごとに代表的な希少癌の種類についてご説明します。

 

まずは、胸より上の部位で発症する希少癌を見てみましょう。

1)涙腺癌

涙腺は眉毛の奥にあり涙を作る組織です。

涙腺に生じる癌として腺癌と腺様嚢胞癌があります。

涙腺に癌ができても目の視力が落ちることが少ないため癌の発見が遅れてしまうケースも見られます。

腺癌と腺様嚢胞癌のどちらにしても、良性の腫瘍か悪性リンパ腫かを見極めることが必要です。

検査によって腫瘍の存在を確認することができますが、周囲の骨が破壊されている場合は悪性腫瘍の可能性が高まります。

手術で腫瘍をすべて取り除くことは可能ですが、再発することも少なくありません。

2)聴器癌

聴器癌は非常に珍しい癌であり100万人に1人の割合で起こると言われています。

耳は外耳・中耳・内耳の聴器に分けられますが、聴器癌は外耳に生じることが最も多く次に中耳が挙げられます。

なお、内耳の癌はほとんどないとされています。

癌が耳の奥にあればあるほど診断もしにくく、良性疾患と診断されて治療を始めた後に実際には癌であったと診断されることもあります。

3)胸腺腫・胸腺癌

胸腺は体の胸部中央の前側にあります。

この胸腺にできる癌のことを胸腺腫・胸腺癌といいます。

胸腺腫と胸腺癌は厳密には性質が異なりますがともに癌として扱われます。

良性と悪性がありますが、悪性の場合だと周りの臓器に浸潤しやすく咳や呼吸困難などの症状が出やすくなります。

胸腺癌の方がより稀な癌で、腫瘍細胞の増殖速度が早いのが特徴です。

胸腺腫・胸腺癌はとくに40歳~70歳の男女に発症し、人口10万人のうち罹患するのは0.44~0.68人と言われています。

半数の患者は症状がないまま胸腺腫・胸腺癌が見つかることが多いです。

 

次に、胸から腹までの部位に起こる希少癌をご紹介します。

1)腹膜癌

腹膜癌は腹膜から生じた癌だと考えられています。

腹腔の中に腫瘍が見つかっても卵巣癌や卵管癌ではない場合に腹膜癌と診断されますが、卵巣癌と一緒に病気が進行した状態で見つかることが多い癌ともいわれています。

卵巣癌など同じように癌検診が確立されていない上に早い時期での症状が出ないのが特徴です。

2)小腸癌(十二指腸・空腸・回腸)

小腸癌には肉腫や悪性リンパ腫などさまざまなタイプの腫瘍が原因で起こるとされており、中でも神経内分泌腫瘍や腺癌が多いと見られています。

小腸から起こる腺癌は全癌のうちで0.5%以下の罹患率とかなり稀です。

小腸癌が起こる原因は今のところ明確になっていませんが、遺伝性疾患がリスクのひとつになっていることが知られています。

 

その他の部位に発症する希少癌についてもご紹介します。

1) 肛門癌

肛門の組織内にできる癌で、そのほとんどが扁平上皮癌となっています。

罹患すると肛門や直腸から出血や肛門の周りのシコリ、便が出にくいなどの症状が出ることがあります。

50歳以上の人、喫煙の習慣がある人、痔瘻の人、ヒトパピローマウイルスの感染のある人に起こりやすいといわれています。

2)悪性リンパ腫

よく耳にする悪性リンパ腫は血液中のリンパ球が癌化した疾患です。

日本人の成人人口10万人に対して年間10人の発症と言われています。

発生頻度の高い悪性リンパ腫の種類から、とても頻度の低い種類まで色々なタイプの悪性リンパ腫があるというのが特徴です。

リンパ節やリンパ組織だけでなく、ほかの臓器にも発生しうる疾患でもあります。

3)原発不明癌

精密検査を行っても癌の発生元である臓器が明らかにならないまま転移した病巣が大きくなってしまった癌で、部位や癌の種類、病態などが多岐に渡るためそれぞれの患者数がとても稀な癌です。

成人における固形癌(臓器や組織で塊をつくる癌)では、約3~5%を占めていると言われています。

特定の治療方法があるものとないものがあり、後者は癌の根治は難しいとされています。

 

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実は癌患者の15~22%は希少癌を患っている

希少癌が発生する率は人口10万人に対して年間で6人未満であるため、非常に稀な癌というイメージを強く持った人も多いでしょう。

しかし実は、希少癌の種類は190種類にも及んでおり、希少癌全体を見ればほかのすべての癌患者のうち15~22%と決して少ないわけではないのです。

さらに、これらの希少癌は根治治療が難しいものも多く治療成績もまだ良いとはいえません。

小児や15歳~30歳の若者層に希少癌が多いのも特徴といえるでしょう。

治療成績がよくないのなら治療方法の確立や治療薬の開発を進めればいいのではと思うかもしれません。

しかし、どうしても癌患者数の多い癌へ優先的に研究費や予算が分配されてしまうため、希少癌の研究や治療薬の開発が進まないという背景があるのです。

さらに希少癌は患者数が少なく症例が十分に集まらないことから、安全性などを図る治験が進めにくいことも研究や治療薬の開発に時間がかかってしまいます。

そのような背景のある希少癌ですが、実際の診療の場面でもまれな癌であるからこそ診断や治療にも難しい面があると言わざるを得ません。

癌の専門医であっても希少癌は経験する例が非常に少ない例なので、希少癌に対して標準治療(効果や安全性が認められている治療)を行うことは簡単ではないのです。

これらの背景から、希少癌の患者さんを特定の病院に集めて治療を行うことが検討されています。

しかし、自宅近くの病院に通いたい患者さんもいますし、病院側も希少癌の治療を完全に止めてしまうのは難しいでしょう。

希少癌の患者さんを特定の病院に集約して治療を行うこと自体にも、治療の成績を良くするかどうかの根拠はまだないとも言われています。

希少癌の患者さんが特定の病院に集まって治療が行われたとしても、希少癌の治療に対する診療報酬は低いことが多いため、患者さんが多くなるほど経営的に赤字になってしまうという病院側の問題もあります。

希少癌のそれぞれについては発生頻度の非常にまれな癌であるものの、希少癌全体を見ると全癌患者に対しては少なくないとはいえません。

しかし、治療ができる病院は限られていて、そこでも症例数が少ない希少癌だからこそ標準治療が行われにくい現状があることがわかります。

 

希少癌診療病院リストが作られ始めている

ここまでご紹介してきたように希少癌はまれな癌であるため、症例数も少なく実際に診察をした実績のある病院は限られています。

また患者としても希少癌の治療実績のある病院を探すことも難しいといえるでしょう。

そのような状況に対し、国立癌研究センターは希少癌の診察実績がある病院のリストを作成し始めています。

約190種類あると言われる希少癌すべてに対応できるわけではありませんが、2019年時点で以下の希少癌に対応しています。

国立がん研究センターのサイト「がん情報サービス」に希少癌診療の実績が掲載されています。

いずれも各都道府県の施設名や治療の実績、他にも病理診断の体制や担当医氏名などが載っています。

掲載されている希少癌についてご紹介します。

・四肢軟部肉腫

四肢(腕や足)に発生する軟部肉腫で、脂肪肉腫や粘液繊維肉腫などが含まれています。

軟部肉腫は全身に発生する可能性がありますが、そのうちの60%が腕や足に発生すると言われています。

腫瘍の種類によって治療方針や予後は違ってくるものの、病気が進行すると血行性で遠隔に転移することがあります。

・眼内腫瘍

目の内部の腫瘍で網膜芽細胞腫・ぶどう膜悪性黒色腫・眼内リンパ腫などがあります。

網膜芽細胞腫は眼球の中に発生する癌で、乳幼児に多く見られます。

罹患者は年間で80名ほどです。

ぶどう膜(脈絡膜、毛様体、虹彩)悪性黒色腫のうち、脈絡膜悪性黒色腫は罹患者は年間50名ほどの希少癌です。

眼内リンパ腫は脳のリンパ腫である中枢神経系悪性リンパ腫の一つと考えられており、両目に生じている場合は脳のリンパ腫を併発している場合もあります。

・角結膜腫瘍

眼球やまぶたの裏側の膜にできる悪性腫瘍です。

結膜悪性リンパ腫・角結膜扁平上皮癌・結膜悪性黒色腫などがあります。

・眼窩腫瘍

眼球の周囲に発生する悪性の腫瘍です。

眼窩悪性リンパ腫や涙腺癌などがあります。

眼窩腫瘍は良性のものもあれば悪性のものもあり、他の部位からの転移した可能性も考えられます。

・眼瞼腫瘍

眼瞼というまぶたに発生する悪性腫瘍で、眼部に発生する腫瘍の中でも多く発生します。

基底細胞癌・脂腺癌・扁平上皮癌が3大腫瘍と言われ、それぞれが同じ頻度で発症すると言われています。

 

なお、国立がん研究センターによるがん情報サービスに掲載されている病院だけが専門というわけではありません。

掲載されていなくても専門的な治療を受けられる場合がありますので病院や医師に相談しましょう。

癌情報サービスでは、他にも「都道府県癌診療連携拠点病院」や「小児癌拠点病院」・「緩和ケア病棟のある病院」などの病院検索がしやすくなっているのも特徴です。

 

まとめ

希少癌は人口10万人あたりの罹患者の数が6例未満と非常にまれな癌です。

しかし、ここの希少癌の症例数は少ないとしても全ての癌のなかで見ると希少癌に罹患している割合は全体の20%と少なくありません。

そのように考えると希少癌で悩む患者さんは多いともいえます。

しかし症例数が少ないがゆえに希少癌と診断された患者さんはどこで診療を受ければいいのか、適切な治療を受けられる施設を探すにはどうすればいいのか、治療を受けるにしても標準治療が受けられるのかなど懸念が多いことでしょう。

さらに希少癌にかかる年代としては小児や思春期・青年期が多いという特徴があるため、小児がんの専門医などを探さなくてはならないかもしれません。

現在は国立がんセンターが希少癌の治療が受けられる全国の施設リストを作成していますので、希少癌の治療実績や専門医から病院を探す際に活用してみてはいかがでしょうか。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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