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「しびれ・冷え」もしかしたら閉塞性動脈硬化症?

 2017/06/01 生活習慣病
この記事は約 11 分で読めます。 2,775 Views

動脈硬化」というと、脳梗塞や心筋梗塞といった病気とともに脳や心臓を思い浮かべるかもしれません。

ですが実は、「脚が冷たい」「脚が急にしびれるようになった」といった脚の症状が出た場合も、動脈硬化の可能性があります。

あまり知られていない「閉塞性動脈硬化症(PAD)」について詳しく解説します。

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脚が冷たい、しびれるなどの症状

脚が冷たい、脚が急にしびれるようになった・・・そんな症状が出た場合は注意が必要です。

それは「閉塞性動脈硬化症(PAD)」の前触れかもしれません。

閉塞性動脈硬化症とは、脚の血管が狭くなって血液の流れが悪化したり、詰まったりしてしまう病気です。

この血液の流れの悪化が「心臓」で起これば心筋梗塞や狭心症となり、「脳」で起これば脳卒中などの重大な病をひき起こします。

閉塞性動脈硬化症は体の様々な部分で起こりうる病気ですが、片方の脚だけでも起こる場合があり、なかなか気づきにくいことも多いです。

いわゆる脳卒中や心筋梗塞などの心臓や脳の動脈硬化については一般的に多くの人が知っていますが、脚でも動脈硬化が起こるということを知っている人はあまりいないようです。

そのため脚に違和感が生じても「たいしたことない」と考えて放置してしまう人も多いのが現状です。

もし急に「脚が冷える」「しびれる」といった症状が出た場合は、閉塞性動脈硬化症の可能性があるということを理解しておきましょう。

閉塞性動脈硬化症の初期症状としては、「無症状(無自覚)」「脚が急に冷たくなる」「脚にしびれを感じる」「脚が痛む」といったことが起こります。

閉塞性動脈硬化症が起こりつつあるのに「自覚症状がない場合もある」のが怖いところです。

症状が第二段階に進むと「少し歩くだけでも脚が痛む」「歩けなくなる」といった症状が起こります。

さらに症状が進行すると「何もしていなくても足が痛い」「睡眠中も足が痛い」という状態になり、最終段階にまで至ると「潰瘍・壊疽」、つまり脚の筋肉(細胞)が腐って壊死してしまうという状態になってしまいます。

そうなると最悪、脚を切断しなければならないケースに発展する場合もあります。

初期症状を含めなぜ足の痛みやしびれ、歩行困難といったことが起こるのかというと、それは脚の血液の流れが悪化してしまって酸素の供給量が減ってしまうからです。

脚を正常に動かすためにはそれに応じた酸素が必要になりますが、血液の流れが悪いと酸素が十分に供給されない状態になってしまいます。

その酸素不足から足が痛んだり、歩行が困難となったりします。

一休みするとまた歩行できるようになったりしますが、それは休息をすることで脚に必要な酸素がまた供給されるからです。

しかし歩行を始めるとまた酸素不足になって痛みが生じ、また一休み・・・という繰り返しになってしまいます(間歇性跛行)

足が冷えたり、痛んだりしたときに「ただの筋肉痛だ」「関節痛だ」「年のせいだ」と思い込んで放置してしまう人もいます。

しかし、このような初期症状の裏には閉塞性動脈硬化症が隠れている場合もあるということを知っておく必要があります。

 

閉塞性動脈硬化症の可能性!

閉塞性動脈硬化症で注意すべきは、脚の動脈硬化が起こった場合、他の体の部分や臓器においても動脈硬化が起こっているケースが多いという点です。

つまり脚の痛みだけでなく「胸が痛む」「体の半分が麻痺している」「貧血(虚血)」といった症状も一緒に出ている場合は、閉塞性動脈硬化症の可能性が高いです。

そのため脚だけの病気と考えず、体全体の検査も行ってください。

脚の動脈硬化と一緒に発症しやすいのは冠動脈疾患や脳血管疾患です。

一度、脚の閉塞性動脈硬化症にかかったのち、心臓や脳の血管疾患の合併症を起こしてそれが死因になってしまうというケースが多いです。

脚の閉塞性動脈硬化症を発症したら、その裏側に心臓や脳の疾患が隠れている可能性があるということを知っておいてください。

脚の閉塞性動脈硬化症を発症した場合は、それ以外の血管疾患の可能性も視野に入れながらの総合的な治療やケアが求められます。

閉塞性動脈硬化症のリスクを高める要因としては「高齢」「喫煙」「高血圧」「高脂肪」「糖尿病」「運動不足」「生活習慣が悪い」といったものが挙げられます。

このうち「糖尿病」と「喫煙」と「運動不足」には特に注意が必要です。

閉塞性動脈硬化症になってしまった喫煙者と非喫煙者を比較した場合、喫煙者のほうが「間歇性跛行」を発症する確率が3倍以上になります。

またメタボリック症候群の症状が出始めている人も要注意で、高血糖(糖尿病)を患っている人は糖尿病を患っていない人に比べて閉塞性動脈硬化症による脚の切断率が6~7倍と高くなります。

まだ糖尿病になっていない方でも、日ごろの食生活や習慣から血糖値が高めであるなど、肥満体型になっている場合は要注意です。

「運動不足」も閉塞性動脈硬化症を起こす可能性を高める要因となります。

特に高齢者の場合、運動不足になりがちで、知らず知らずに間歇性跛行になってしまっている場合があります。

間歇性跛行の発症率は60歳以上の男性で約5~6%、女性で3~4%となっています。

たとえ間歇性跛行の自覚症状がなくても、精密検査をしたら閉塞性動脈硬化症が見つかったというケースも多くあります。

そのため間歇性跛行が起こっていなくとも、または自覚症状がなくとも、高齢者の場合は「脚の片方がしびれる」「脚が冷たい」といった異常を感じたら放置せずに検査をすることをオススメします。

そのような早めの検査が動脈硬化症の早期発見につながります。

 

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喫煙者は禁煙することが第一!

閉塞性動脈硬化症を発症する要因は様々ですが、日ごろからタバコを吸っている方は要注意です。

タバコに含まれる成分に「ニコチン」がありますが、この成分は毒性が強く体に害があるばかりでなく、体内の血管を縮小させるなどの「血液の流れを悪化させる」働きをします。

同様に血液の中に流れる中性脂肪を増大させる働きもあるので、高血圧や動脈硬化の温床となってしまいます。

タバコを吸っても体に良いことなど一つもありません。

タバコは百害あって一利もないのに、日々の喫煙をやめられない人が多いです。

特に高齢になってからもタバコを吸い続けている人は、自分の体のなかに様々な病気の種を撒いてしまっている可能性があるということを自覚してください。

タバコの悪影響で発症リスクのある病を見てみると本当に様々なものが挙げられます。

「血行障害」「高血圧」「呼吸器障害」「食道炎」「免疫力の低下」「狭心症」「脳萎縮」「脳血栓」「肝硬変」「糖尿病」「大動脈瘤」「心筋梗塞」「脳梗塞」「肺がん」「食道がん」「喉頭がん」などなど。

これでもまだ喫煙を続けますか?と問いたくなるほど数多くの命を脅かす病のリスクがあります。

そしてタバコによって生じる病の中に「閉塞性動脈硬化症」もあるわけです。

とある調査によると、閉塞性動脈硬化症を発症する原因の約80%が喫煙によるものというデータも出ています。

また、タバコを吸っている人は、タバコを吸わない人よりも閉塞性動脈硬化症を発症する可能性が3~4倍も高くなるというデータもあります。

いかにタバコのリスクが大きいかということを認識してください。

一番注意したいのが「高齢者の喫煙」です。

もともと閉塞性動脈硬化症は高齢になるほど発症しやすいですが、その中でも高齢の喫煙者になるとそのリスクはさらに上昇します。

ある病院でのデータによると、閉塞性動脈硬化症を発症した男性患者の喫煙率は90%以上となっています。

特に何十年もの間、しかも毎日何十本も吸っているヘビースモーカーの高齢者ほど圧倒的な数値で閉塞性動脈硬化症になりやすいのです。

「高齢」「喫煙」という二つのワードが自分自身に当てはまる方は要注意です。

「タバコをやめたいけどやめられない」という方は禁煙のための別の治療も必要になってくるでしょう。

また、まだ年代的に若いのに日常的にタバコを吸っている方は、手遅れになってしまう前に早い段階で禁煙(もう二度とタバコを吸わない)生活を作れるよう心がけてください。

 

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こまめな運動と水分補給

閉塞性動脈硬化症の「予防」または発症後の「リハビリ」として効果的なのが「運動療法」です。

閉塞性動脈硬化症は血行の悪化、血管の行路の悪化が原因となりますから、それらを適度にほぐして発達させることで予防とリハビリに効果があります。

運動不足が続くと血液がドロドロになったり、血管が硬化したりというリスクがあります。

また、運動不足が高まると体内に不要な毒素や老廃物が溜まりやすくなります。

適度な運動は血行を改善し、毒素や老廃物を外に排出し、動脈硬化を和らげる効果が期待できます。

また、肥満体型の人にとっても運動は脂肪燃焼の効果があり、閉塞性動脈硬化症のリスクを軽減させることもできます。

脚の冷えがある場合は、脚が冷えないことを意識しながら運動を取り入れてみましょう。

また、高齢者の場合は簡単な運動でも転倒してしまうなど、外傷が生じる場合があるので注意が必要です。

血管にあまり負担をかけないように心を配りながら、自分に合った運動を取り入れてみて下さい。

もし外傷によって血が出たり、血管に痛みを与えてしまったらすぐに運動をやめ、医師の診察および治療を受けることをオススメします。

自己判断で放置するのは決してしない、これが大切です。

高齢者にとっては軽い歩行や散歩も良い運動になりますが、もし歩行が難しいという場合は手足を揉みほぐすマッサージなどを取り入れてみましょう。

冷たくなりがちな手や足を揉んで温めてみてください。

運動といってもあまりに短時間だと効果がありません。

1回に20~30分、一日の2~3回の頻度で行うのがオススメです。

冬場は手足が冷えるので室内で運動することが必須です。

日々の運動は無理に行う必要はありませんが、適度な運動は閉塞性動脈硬化症を緩和させる効果がありますから、担当医と詳しく相談しながら必要な運動量を継続して行っていきましょう。

閉塞性動脈硬化症の予防、改善という点では「水分補給」も重要になります。

なぜかと言いますと、水分が不足している人は血液の濃度が高くなりやすく、それによって血流が悪くなり、血管も詰まりやすいというリスクが生じるからです。

高齢者の場合は水分不足になりがちで、夏場は軽い運動でも脱水症状になることも少なくありません。

夏場や日々の運動のあとはしっかりと水分補給を行いましょう。

目安としては1日に800ml~1000mlが良いでしょう。

ただし水分といっても糖分やナトリウムが多量に含まれる清涼飲料水には注意が必要です。

できれば余計な成分を含まない真水を摂取するようにしましょう。

 

閉塞性動脈硬化症のサインを見逃さない!

閉塞性動脈硬化症のサイン(初期症状)として「脚がしびれる」「脚が冷える」「間歇性跛行」などを最初に挙げましたが、それ以外にも意外なサインが隠れています。

脚がしびれるというよりも「脚がつる」という症状が出ることがあります。

別の名では「こむら返り」と言われますが、日常の中で単に「脚がつってしまった」と勘違いして放置している方も多いです。

脚がつる症状が頻繁に起こるようならそれもサインの一つになります。

脚にタコができて、そこから膿が出る、悪臭がする場合も閉塞性動脈硬化症のサインの可能性があります。

脚にタコができることはよくありますが、通常ならば何日かすれば治るものです。

しかし何日経っても治らない場合もあります。

もし脚の指先や裏側に変なタコができて何日経っても治らず、そこから膿が出始めるなど、悪臭がするようなら皮膚潰瘍を疑ってください。

もしその皮膚潰瘍が脚の閉塞性動脈硬化症によるものであるなら、そのまま放置しておくと悪化し続けます。

手遅れになると脚の切断ということになりますから、単に足のタコといっても軽く見ないようにしてください。

タコ、水虫、脚の腫れ、むくみといった症状が長く続く場合は重大な病気を疑ってください。

脚の冷たさと同時に「脚の色が青白い」または「なんか変な色になっている」と思った場合も注意してください。

閉塞性動脈硬化症では脚の色が異常になるケースも多いです。

また、脚の冷たさがひどくて「夜中に目が覚める」というほどになれば、それが閉塞性動脈硬化症のサインになっている可能性もあります。

閉塞性動脈硬化症の場合、どんな小さな症状がそのサインとなっているか分かりません。

「たいしたことない」「いつものこと」などと言っていると、いつの間にか重大な病魔が進行してしまっていることがあります。

脚の違和感や痛みが収まらずに継続して起こり続けるようならば、閉塞性動脈硬化症の可能性を常に疑ってみてください。

 

まとめ

「脚がしびれる」「脚が冷える」「脚がつる」「脚にタコができる」「脚の水虫」「脚のむくみ・腫れ」「脚の色が青白い」といった症状や違和感があった場合、動脈硬化の可能性を疑う人は少ないかもしれません。

ですが、お伝えしたようにそれらの症状は閉塞性動脈硬化症(PAD)の前兆かもしれません。

まずはこのような病気があることを理解し見過さないようにできることが大切です。

そして、閉塞性動脈硬化症にならないように生活習慣や食習慣に気を配ることをお勧めします。

 

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ライター紹介 ライター一覧

木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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