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健康維持のため!年齢に応じたカロリー摂取を心がけましょう

生活習慣病
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人が活動する上で欠かすことのできない「カロリー」。

おそらくダイエットをしている方などは日ごろの食事でも摂取カロリー量に気を付けていることでしょう。

しかし、カロリーは過剰摂取だけでなく、不足してしまってもさまざまな体調の異変を引き起こします。

このことから、カロリーは常に適正量を摂取することが重要であり、そのためには自分の年齢や体重、生活スタイルに応じた適性摂取量を知っておくことも不可欠です。

今回は、そんなカロリーの適性摂取について解説します。

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1日に摂るべきカロリーの計算方法

人が1日に摂るべきカロリーは、体重や年齢に応じた計算によって導き出すことができます。

まずはその方法を見ていきましょう。

・日本人の食事摂取基準

摂取カロリーを気にかける際に知っておかなければならないのが「食事摂取基準」です。

これは食事から摂取すべきカロリーを見極めるための目安となり、日本人の食事摂取基準は「健康増進法」という法律にもとづいて国によって定められています。

また、この基準は5年ごとに更新されることとなっており、現在のものは2019年いっぱいまで適用される予定のようです。

食事摂取基準はその時代の日本人の健康状態や食事の傾向に応じて具体的な数値が決められており、更新されるたびに微妙に数値が変化します。

そのため、食事摂取基準を参考に日々の食生活を改める場合は、必ず最新の数値を参考にしなければなりません。

・エネルギーに関する指標

国によって定められた食事摂取基準には、摂取エネルギーに関する指標も定められています。

この指標を定めることには国民のエネルギー過不足を防ぐという大きな目的があり、健康的な生活を送る上では参考にすべき目安といえるでしょう。

また、このエネルギーに関する指標は肥満や生活習慣病の予防においても役立てられています。

よって、肥満により体調へ悪影響が及ぶリスクや生活習慣病リスクが高くなりやすい高齢者ほど、この指標を常に意識する必要があるのです。

・1日に必要なカロリーは?

それでは1日に必要なカロリーはどのような計算で導き出されるのでしょうか?

1日の必要エネルギー量(=カロリー)は、「基礎代謝量×身体活動レベル」で計算します。

ここでいう基礎代謝量とは「体重1kgあたりの基礎代謝量の代表値」と定義されており、詳細な数値は性別・年齢・体重などの条件で変化する「基礎代謝基準値」に「参照体重(その年代の平均体重)」をかけることで算出できるのです。

基礎代謝基準値と参照体重に関しては個々人の条件に応じて細かく数値が決められるため、この計算ではこれらの正しい数値を知ることが重要といえます。

・高齢者が1日に必要とするカロリーの計算例

以上の方法をもとにして、実際に1日の必要カロリーを計算してみましょう。

例えば70歳以上男性の場合、基礎代謝基準値は21.5、参照体重は60kg、基礎代謝量は1,290kcal/日となります。

身体活動レベルをこの世代の平均値である「1.70」として1日に必要なカロリーを計算すると「1,290×1.70=2,193kcal」となり、この男性は1日に2,193kcalを目安として食事をする必要があることが分かるでしょう。

 

身体活動レベルとは

1日に必要なエネルギー量を計算する際、多くの人が分かりにくいと感じるのが「身体活動レベル」です。

確かに適性体重や年齢などの数値から算出できる基礎代謝量に比べると、身体活動レベルはその名称を見るだけではそもそも何を表す数値なのかが分かりづらいといえます。

続いては、この身体活動レベルの詳細を見ていきましょう。

・身体活動レベルの計算方法

身体活動レベルとは、1日の総エネルギー消費量を1日の基礎代謝量で割った指標です。

この数値は日常生活で体を動かすことが多い、あるいは頻繁に運動をしている人ほど高くなるようになっており、レベルが高い人ほど1日に必要とするエネルギー量も多くなる仕組みとなっています。

身体活動レベルは3段階に分かれており、その詳細は以下のとおりです。

・レベルI(低い)

日常生活で立っていることが少なく、ほとんどの時間を座る・寝転んでいるなどして過ごしている方は「レベルI」に分類されます。

高齢者の場合、仕事をしておらず買い物などで外を出歩くことも少ないという方はこのレベルに該当することが多く、1日の消費カロリーも少ないことから必要カロリーも少ないのです。

レベルIに該当する70歳以上の高齢者の場合、身体活動レベルを表す数値は「1.45」となり、これをもとに上述の計算式から具体的な必要カロリーを算出することができます。

・レベルII(ふつう)

職場や自宅では座って過ごすことが多いが買い物や自宅と職場への移動時などで立ったり歩いたりすることが多いという方や、自宅では家事をするときのみ立つことが多いという方、時々ウォーキングなどの軽い運動をするという方などは「レベルII」に分類されます。

高齢者の場合、働いてはいないが買い物などで外出をすることが多い方や、毎日の家事は自分で行っているという方はこのレベルに分類され、消費カロリーも比較的多いことから必要カロリーも若干多くなるようです。

また、このレベルに該当する70歳以上の高齢者の身体活動レベルを表す数値は「1.7」となります。

・レベルIII(高い)

自宅・職場関係なく立ったり動いたりすることが多く、就寝時以外は座ったり横になることが少ないという方や、定期的に運動するという方は「レベルIII」に分類されます。

このレベルになると平均以上のカロリーを消費していることから、その分多くのカロリーを摂取する必要があるでしょう。

高齢者の場合、仕事をしていなかったり激しい運動をすることが困難であることから、レベルⅢに分類される方は少ないものの普段から立ったり動いたりすることが多いという方はこのレベルに該当するといえるでしょう。

また、70歳以上の方の身体活動レベルを表す数値は「1.95」となります。

 

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高齢者のカロリー過多によるリスク

平成28年に行われた「国民健康・栄養調査」では、70歳以上の肥満率として男性が28.6%、女性が23.7%という結果が公表されています。

人は年を取ると食が細くなり体重は徐々に減っていくというイメージがありますが、近年では高齢者にも肥満ぎみの方が多くそれがさまざまな疾患を引き起こす要因にもなっているのです。

・カロリー過多は肥満を招く

肥満になってしまう原因として、運動不足や糖質の過剰摂取、カロリーの過剰摂取が挙げられます。

とりわけカロリーの過剰摂取には近代において高カロリーな料理を気軽に食べられるようになったことも大きく関係しており、それが高齢者の肥満率の上昇の引き金になっているとも考えられるのです。

・特に気を付けたい高齢者の肥満

肥満は世代を問わず気を付けるべきだという考え方が一般的ですが、高齢者の肥満に関してはなおさら注意が必要です。

なぜなら高齢者の肥満は命に関わる病気を引き起こす要因になる可能性が高く、肥満であることを放置してしまうと寿命を縮める原因にもなりかねないからです。

そのため、健やかに長生きしたいと考える高齢者はなおさら日々の生活習慣に気を付け肥満になってしまうのを防がなければなりません。

・高齢者の肥満が招く体の不調の具体例

高齢者の肥満が招く体の不調の具体例としては以下のようなものがあります。

a.糖尿病

肥満が招く疾患として特に懸念されるのが糖尿病です。

糖尿病は肥満気味の人ほど罹患リスクが高くなることも分かっており、免疫力の低くなる高齢者はなおさら注意が必要といえます。

糖尿病の怖い点はさまざまな合併症を生じさせるところにあり、重症化すると四肢の切断や失明などの症状が現れ、やがて死に至ることもあります。

b.内臓機能の低下

高齢者が肥満になるとさまざまな内臓の機能が低下してしまいます。

例えば肥満になると酸素の消費量と二酸化炭素の生成量が増加し、これにより肺への負担が重くなると肺の機能の低下、さらには呼吸困難といった症状が現れるケースもあるのです。

また、脂肪肝は肥満の高齢者の発症率が高く、消化機能に影響が出てしまう危険性もあります。

c.運動機能の低下

肥満になると足腰への負担が増加し、運動機能が低下してしまう危険性も高くなります。

これにより、日常生活での歩行や横になった状態から立ち上がる動作などが困難になることも多く、骨や筋肉への負担が長期間にわたってかかると転倒事故などによる骨折といったけがのリスクも必然的に高くなってしまうのです。

 

高齢者のカロリー過少によるリスク

カロリーはダイエットをしている人が気にするものというイメージが強いですが、逆に痩せすぎな人もカロリーの摂取量には注意しなければなりません。

続いては、カロリー過少が人体に及ぼす悪影響について見ていきましょう。

・カロリー過少にも注意が必要

カロリー過少の状態が続いてしまうと、人の体は摂取する食べ物からだけではエネルギーを確保できなくなり不足分を筋肉から補います。

これにより筋肉量は徐々に減少していき、重症化すると日常生活にも影響が及ぶ危険性もあるのです。

カロリー過少が常態化する例としては、過度なダイエットを長期的に行うケースなどが挙げられ、拒食症の人もカロリー過少の状態にあるといえます。

・高齢者はカロリー過少になりやすい

以上のようなカロリー過少が招く体の異変は世代を問わずすべての人に生じる可能性があります。

しかし、特に高齢者はカロリー過少の状態に陥りやすく、ダイエットなどをしていなくても知らないうちに体重が落ちてしまうということが少なくありません。

現代では70歳以上の高齢者の食事量は50代の食事量と比較して約15%少なくなることが分かっています。

これには加齢と共に生じる消化機能の低下や食の好みの変化が関係していると考えられ、高齢者ほどカロリー過少になりやすいため日ごろから注意しなければなりません。

・高齢者のカロリー過少が招く体の異変の具体例

高齢者がカロリー過少の状態になってしまうと、以下のような疾患や体の異変を引き起こしてしまう危険性があります。

a.抵抗力の低下

高齢者でカロリー過少の状態が長く続いてしまうと抵抗力が低下し、さまざまな不調が現れやすくなります。

具体的な例としては、全身の倦怠感・疲労感、不眠、めまい、皮膚や毛髪の異常、体温の低下、むくみなどが挙げられます。

b.筋力の低下

上述のとおり、カロリー過少の状態が長く続くと人の体は筋肉をエネルギーに変えようとするため徐々に筋肉量は減っていきます。

高齢者の場合はそもそも加齢による筋力の低下が著しくなっていることから、カロリー過少が伴うと日常生活に支障が出るほど筋力が低下してしまうこともあるのです。

また、筋力は運動を通して強化する必要があることから、筋力が低下することで運動ができなくなり、さらに筋力が低下してしまうという悪循環も生じやすくなります。

 

まとめ

高齢者のカロリー過多・過少は、それ自体が肥満や痩せすぎといった体の異変を生じさせるだけでなく、それによって現れる運動機能の低下や骨の弱化といった症状がさらに太りやすい/痩せやすい体質を作り出してしまうという悪循環を生じさせる可能性もあるのです。

これらのリスクを軽減するという目的においても、自身の年齢や体重に合った必要カロリーを計算し、日ごろから意識することは若いころからでも行っておく必要があるといえます。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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