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糖尿病性神経障害の疼痛とは?しびれや不快感に慣れる前に知っておきたいこと

生活習慣病
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糖尿病を患っている方のなかには糖尿病の合併症のひとつである「糖尿病性神経障害」について聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

血液が神経細胞に届かなくなるため、全ての神経に障害が起こるのが糖尿病性神経障害です。

この糖尿病性神経障害における疼痛(とうつう)はどのような痛みを伴うのでしょうか。

また糖尿病性神経障害はどのように進行して、痛みのほかにどのような症状が現れるのでしょうか。

糖尿病性神経障害のしびれや不快感に慣れて「仕方がない」とあきらめてしまう前に、疼痛の原因についてしっかり理解しきちんと対処すればリスクを減らすことができます。

ここでは、糖尿病性神経障害について知っておきたいことをご紹介しましょう。

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糖尿病性神経障害の疼痛とは

ここでは、糖尿病性神経障害の疼痛(とうつう)について解説します。

<糖尿病性神経障害でなぜ疼痛が起こるの?>

糖尿病性神経障害は高血糖の状態が長く続くことで生じる糖尿病の三大合併症のひとつです。

糖尿病を患い血糖コントロールがうまくいかないと数年で神経障害が現れはじめ、糖尿病になって25年も経過すると約半数の人に糖尿病性神経障害の症状が出るといわれています。

高血糖により細動脈血管が詰まりやすくなるため、神経細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなることに加え神経細胞まで何とか届いた血液も高血糖であるため神経細胞を損傷してしまうのです。

神経は「視覚」「聴覚」「味覚」「臭覚」「触覚」などの刺激を受け取る役割を果たしています。

しかし神経が損傷されれば神経自体も痛みを感じるため、これが疼痛となるのです。

<急性疼痛と慢性疼痛の違いは?>

疼痛はケガやヤケド、突然の病気などによる「急性疼痛」と、痛みの原因である疾患などを治療しても痛みが継続・再発する「慢性疼痛」とに分けられます。

急性疼痛は脳に「痛い」と認識させることで身体の具合が悪い所を教えるサインの役割をしています。

サインを出すことで身体の安静を促し、病気やケガで傷ついた部分を回復させる効果があります。

また、同時に痛みのある場所に免疫反応を呼び起こす役割も果たしています。

急性疼痛は治療の進行とともに痛みが軽減していきますが、慢性疼痛は原因が治療済みにもかかわらず痛むことがあります。

他にも、痛みを感じる神経自体に原因があるなど痛みの原因を治療するのが難しい場合にも起こります。

慢性疼痛は数ケ月~数年続くこともあるため日常生活に支障を与える恐れがあります。

<慢性疼痛にはどんな種類がある?>

慢性疼痛は「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「心因性疼痛」という3つに分けることができます。

関節リウマチのように炎症や関節の変形、軟骨の変性によって生じる痛みが「侵害受容性疼痛」です。

また、糖尿病性神経障害のように中枢神経や末梢神経そのものが損傷することによって起こる痛みがあります。

この痛みが「神経障害性疼痛」です。

そして、感情やストレスなどによって起こる心因性の疼痛を「心因性疼痛」と言います。

「いつ痛みが起こるか分からない」「いつまで痛みが続くのか分からない」という痛みに対するストレスや悲嘆が、心因性の疼痛を重複して起こすこともあるのです。

 

糖尿病性神経障害の疼痛の痛み


<糖尿病性神経障害の疼痛の痛みの種類>

糖尿病性神経障害における自覚症状が全くないという方もいますが、手脚ともに痛みがあるという方もいます。

このように人により糖尿病性神経障害の症状は様々です。

糖尿病性神経障害の症状は足の先や裏の「痛み」や「しびれ」「冷え」などの感覚異常から始まります。

糖尿病性神経障害によって感じるのは「やけるような痛み」や「うずくような痛み」「刺すような痛み」「ピリピリした痛み」「電気が走ってしびれるような痛み」です。

ほかにも「ジンジンした痛み」や「チクチクした痛み」「ヒリヒリした痛み」「ズキズキした痛み」などとも表現されます。

痛みの強さは軽い違和感からじっとしていられないような強い痛みまで人によって様々です。

糖尿病性神経障害の初期は脚のみに感覚異常による疼痛が出ることが多く、手は無症状というケースが多いです。

しかし神経障害の進行と共に手にも感覚の異常が現れてきます。

糖尿病性神経障害による疼痛の持続時間は数時間から数か月、頻度は1か月に1回から毎日までと人によって異なります。

なかには3か月以上も糖尿病性神経障害の疼痛が続くケースもあるのです。

疼痛自体の治療に困難をきたすことも少なくありません。

<疼痛の痛みが続くとどうなる?>

外見の傷がなくても糖尿病性神経障害の疼痛はつらいものです。

しかし痛みを感じているうちはまだ良い方ともいえます。

糖尿病性神経障害が進行すると感覚が鈍り、ちょっとした違和感はもちろん痛みや熱さなども感じにくくなってしまうのです。

たとえば素足で固いものを踏んでも違和感を感じず、ひどいときには足の裏に画びょうが刺さっても気が付かなくなってしまいます。

足の裏を観察することは少ないため傷があっても気が付かずに放置してしまうことがほとんどです。

そのまま細菌感染を起こし、それでも気が付かずに放置することで壊疽となり、最終的に脚を切断せざるを得なくなる場合もあります。

また糖尿病性神経障害が進行すると傷だけではなく身体の中の変化にも気が付きにくくなります。

痛みを感じにくいため、低血糖状態で起きる冷や汗や動悸の反応が生じないまま意識を失ってしまうことがあります。

さらには心筋梗塞など通常であれば我慢できないほどの痛みがある疾患を発症していても気が付かず、突然亡くなってしまうことさえあるのです。

このことから軽い痛みだからと放置することなく、気が付いたらすぐに糖尿病の主治医に相談することが必要といえます。

糖尿病性神経障害初期の段階から症状を緩和させ経過観察をすることが大切なのです。

 

糖尿病性神経障害の初期症状

初期に気付きやすい症状

糖尿病の合併症はいずれも早期に発見し対処していくことが重要になります。

糖尿病性神経障害の初期にはどのような症状が起きるのでしょうか。

神経は末端へ向かうほど栄養や血液が行き渡りにくくなるので、足の先や手などに神経障害が起こりやすいと考えられるでしょう。

糖尿病性神経障害のごく初期には手よりも足先の症状が多く、しびれや痛みなどの感覚神経の障害がまず現れます。

<糖尿病性神経障害で手足に感じる初期症状>

・足の先がしびれて気持ち悪い
・これまでになく足が冷えたり熱くなったりする
・手や足先の感覚が鈍り、裸足や素手でも靴下や手袋をしているように感じる
・足の裏に何かが貼りついていたり、砂利の上を歩いたりしているように感じる
・皮膚に虫が這っているような感覚異常がある
・こむら返りを起こしやすくなる

糖尿病性神経障害はこのような初期症状段階での適切な治療が大切です。

症状が軽いからと放置したり糖尿病を患っていることを告げずに他科を受診することは避けましょう。

また、市販薬に頼って自己療法を続けていると神経はさらに損傷を受け後戻りできなくなってしまいます。

「糖尿病性神経障害かな?」と感じたら、すぐに主治医に相談しましょう。

その他の初期症状

糖尿病による高血糖は末端神経だけでなく全身の神経にも影響を与えるので注意が必要です。

障害を受けた神経の部位によって「外眼筋麻痺」「顔面神経麻痺」「坐骨神経痛」「腕や手の神経痛」「肋間神経痛」などが現れます。

知覚神経だけでなく運動神経にも障害が起き、筋肉の力が弱くなり進行すると筋肉が萎縮してしまいます。

さらに脳や脊髄に中枢がある自律神経にも影響があります。

自律神経は自律神経節を経由して末梢神経に自律神経線維を送っています。

自律神経は交感神経と副交感神経を司る神経であり、血圧や心拍、体温を調節したり、食後に胃腸の働きを活発にするなど環境や状況に合わせて身体を調整する働きをしています。

糖尿病性神経障害はほかの神経同様にこの自律神経をも侵してしまいます。

初期に気付きやすい症状は便秘や排尿障害ですが、次第に全身で神経障害が起こります。

<糖尿病性神経障害の自律神経への影響>

・発汗異常:酸っぱいものを食べると顔や首に汗が出る「味覚発汗」
・消化器系の不調:便秘や下痢、食道運動障害、胃排出機能低下、胆のう収縮低下
・生殖泌尿系異常:排尿障害、膀胱尿管逆流、勃起不全
・血管心臓系の異常:起立性低血圧、無痛性心筋梗塞、安静時頻脈、心拍変動の減少・消失
・血糖コントロールの異常:無自覚性低血糖

 

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糖尿病性神経障害が悪化したときの症状

<悪化したときの重い症状>

糖尿病性神経障害が進行して症状が悪化すると、感覚が失われ痛みや熱さなどを感じなくなります。

そのためケガやヤケドに気が付かずに悪化させてしまい、潰瘍や壊疽へ進行してしまうのです。

とくに脚は日常的にじっくり見る機会が少ないため壊疽になりやすく、場合によっては壊疽を起こした部位を切断せざるを得なくなります。

糖尿病性神経障害が進行するとケガやヤケドだけではなく、身体の中の変化に対する反応も鈍くなってしまうので注意が必要です。

通常、低血糖を起こすと冷や汗や動悸、意識障害、けいれん、手足の震えなどの症状がありますが、糖尿病性神経障害が進行すると低血糖の状態に身体が反応できないため症状が現れにくくなります。

また血糖値を上げるホルモン分泌の反応も起きないため突然意識障害を起こして倒れてしまうことがあります。

低血糖は死に至る状態ですので大変危険です。

また心筋梗塞や狭心症になっても痛みを感じないことがあり、そのために治療が遅れて死に至ることも。

糖尿病性神経障害により自律神経がうまく働かなくなり、胃や腸の働きが乱れ、摂取した食物から栄養を吸収することにムラが生じてしまう弊害もあります。

インスリン注射のタイミングが合わせにくくなり、低血糖と高血糖を繰り返してしまうこともあります。

自律神経は心拍や呼吸も整えているので、糖尿病性神経障害で自律神経がうまく働かないと不整脈や呼吸停止をも起こしやすくなります。

こうした症状に陥ったとき痛みや苦しさを感じにくいということは致命的です。

<足の痛みや温度の変化に鈍くなるので注意>

糖尿病性神経障害では足の痛みや温度を感じにくいため、いつの間にかケガやヤケドをしていることがあります。

靴下を脱いでみたら血の跡がついていたり、靴下と一緒にかさぶたがむけてしまったりすることもあるのです。

いかにも痛そうですが本人は痛みを感じていないので気付かなければそのままになってしまいます。

ストーブやこたつでのヤケドだけでなく、就寝中にあんかや電気シーツ、カーペットで体重のかかるかかとやくるぶしが低温やけどになることもあるでしょう。

また湯船に入る際に熱すぎるのがわからず足をいれてしまったり、高温になった真夏の砂浜やサンルームを平気で歩き足の裏にやけどを負ってしまうこともあります。

この場合も本人は熱さを感じていないので、火ぶくれに気づかなければそのままになってしまうのです。

痛みや温度を感じにくいということは身体に起こった変化や、ケガ、ヤケドを負う危険を察知できないということでもあるので十分注意する必要があります。

 

糖尿病性神経障害から足を守るための心配り

足先から始まり、徐々に脚の付け根に向かって進行していくのが糖尿病性神経障害です。

特に初期には足に神経障害が起きて感覚が鈍くなっているという自覚さえないので、「気が付かないうちにケガやヤケドをしていた」とは思いもよりません。

そのため発見が遅くなり、炎症や潰瘍を起こしてからひどい場合は壊疽になってから気付くこともあるのです。

糖尿病を患っている方は末梢神経障害などの合併症が現れる前から足への衝撃や負担を軽減し、痛みや熱さを感じない可能性があることを十分理解して安全を確認しながら行動することが大切です。

常日頃から足を守るための習慣を身につけておきましょう。

<足を守るための習慣>

▼素足で歩かない

・いつも靴下を履くようにして、家の中でも素足にならない
・靴下は毎日取り換える

▼足を守る靴を選ぶ

・歩きやすく足全体を覆うことのできるサイズの合った靴を選ぶ
・買ったばかりの靴は、少しずつ履き慣らす

▼ヤケドのリスクを意識する

・熱さを感じにくいため暖房器具に足を近付けすぎない
・夏のサンルームや砂浜も高温注意
・湯船に入る前に必ず湯温をチェック

▼足のチェックを忘れずに

・入浴時や寝る前などに足の裏や指、爪などを観察して異常がないかチェック

 

まとめ

糖尿病性神経障害では最初に足先のしびれや痛みなどの疼痛が現れることが多いです。

そのうちに痛みや熱さを感じなくなり、ケガやヤケドに気が付かずに悪化させてしまい、潰瘍や壊疽へ進行させてしまうこともあります。

とくに足は日常的にじっくり見る機会も少ないため壊疽になりやすく、場合によっては壊疽を起こした部位を切断せざるを得なくなります。

糖尿病を患っている方は神経障害と思われる症状があったら速やかに主治医に相談するようにしましょう。

糖尿病性神経障害の症状がない時期から身体の変化をしっかり観察するようにし、とくに足を守るための習慣を身につけておくと安心です。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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