リンパ癌(悪性リンパ腫)の原因と再発について
血液のがんには白血病や多発性骨髄腫といった疾患がありますが、日本人の血液がんで最も多いのはリンパがん(悪性リンパ腫)といわれています。
リンパがんの罹患率、死亡率ともに増加傾向にあり、60歳代から増加し70代が最多というデータもあります。
高齢者に多い疾患といえるでしょう。
発熱や体重減少、寝汗、リンパ節の腫れなどといった症状が代表的ですが、意外と疾患の原因や治療法について知らないという方も多いのではないでしょうか。
ここではリンパがんの原因や治療法、再発などについての情報を詳しく解説します。
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Contents
リンパ癌(悪性リンパ腫)の原因と種類
<リンパ癌(悪性リンパ腫)の原因>
リンパがんは悪性リンパ腫とも呼ばれ、その名の通り血液中の白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気です。
今のところ考えられている原因を整理していきます。
・遺伝子の変異
何らかの原因によって遺伝子に変異が生じ、リンパ球にがん細胞が発生します。
免疫力が正常な人であればがん化することを防ぐことができますが、免疫力が弱いとがん細胞に打ち勝つことができません。
がん細胞は遺伝子の秩序を無視して次第に増殖していきます。
・ウイルス感染
もうひとつの原因はウイルス感染です。
原因となるウイルスはHIVウイルスやピロリ菌、EBウイルスなどが考えられています。
このほか除草剤や害虫駆除剤、肥料を職業的に取り扱うような農作業を主に行っている人と悪性リンパ腫の関連性が疫学的に明らかになっているというデータも存在しています。
<リンパ癌(悪性リンパ腫)の種類>
リンパ癌は主に「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に分類されます。
「ホジキン」というのは病気を発見した医師の名前に由来しています。
それぞれの特徴について押さえておきましょう。
・ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫とは、ホジキン細胞やB細胞と呼ばれる細胞から広がるリンパ腫のことで、主に20~30代の若い世代に好発する病気です。
遺伝の関与が大きく、腫瘍の中に大きな腫瘍細胞を確認することができます。
頸部や縦隔リンパ節と呼ばれる部位に好発し、リンパ節以外の臓器への転移はまれです。
周囲に連続的に広がっていくのが特徴だといえます。
日本での発症頻度は約10%とそこまで高くはありません。
・非ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫に対して「非ホジキンリンパ腫」は、B、T、NK/Tリンパ球のいずれかに起因するがんであり、主に60歳以上の高齢者で好発するのが特徴です。
こちらはウイルス感染による関与が大きいとされ、リンパ節以外の臓器にもしばしば広がり全身のどこにでも出現する可能性があります。
日本での発症頻度は90%と非常に高いのが特徴です。
ちなみに非ホジキンリンパ腫は病気の進行スピードを悪性度で表し、さらに三段階に分類されます。
・低悪性度
進行のスピードは年単位と間隔に開きがあり、ゆっくりと進行するのが特徴です。
病型にはろ胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、慢性リンパ性白血病などがあります。
・中悪性度
月単位で進行し、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T、NK/T細胞性リンパ腫といった病型に分類されます。
・高悪性度
週単位と早いスピードで進行することが特徴です。
バーキットリンパ腫やリンパ芽急性リンパ腫、成人T細胞性白血病などが該当します。
リンパ癌(悪性リンパ腫)の検査の種類
<リンパ節・腫瘍の生検>
感染が起こっているときや脂質代謝異常症など別の疾患においても、リンパ節は腫れることが多いです。
そのためリンパ癌かどうかを確認するために、腫れているリンパ節やリンパ節以外に疑われる病変部分を生検して病理検査を実施します。
<病期を調べる検査>
リンパ癌だと分かったら次に病期について調べます。
病気はAnn Arbor分類を用いてⅠ~Ⅳ期に分類します。
病変部位がどれほど広がっているのかを調べると治療方針決定や予後の判断にも役立つでしょう。
検査方法にはいくつか種類があります。
・CT検査
CT検査では、腹膜や横隔膜などのリンパ節に腫大がみられるかどうか、消化管への浸潤があるかどうかについて調べます。
造影CTを行う場合は事前に造影剤アレルギーがないかどうか確認し、安全の元で実施します。
・超音波検査(エコー検査)
必要に応じて腫瘍の位置や大きさ、分布状態を確認することができます。
腹部にゼリーを塗って調べるだけなので侵襲の必要がなく容易に実施可能な検査です。
・骨髄検査
局所麻酔を行い腸骨に針を刺し骨髄液を採取する骨髄穿刺、骨組織を少量採取して調べる骨髄生検によってがんの広がりを調査します。
・内視鏡検査
リンパ球ががん化し胃の組織内で増えるリンパ腫では、内視鏡検査で胃の粘膜を直接確認し診断に役立てます。
・MRI検査
リンパ癌におけるMRI検査では、CTよりもさらに局所的な病変を探します。
放射線を使わずに磁気を利用して調べることが可能です。
・PET検査
リンパ癌の広がりや実質臓器への浸潤など全身について一度に調べることができる検査になります。
FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に類似した薬剤を注射後、体内でどのように取り込まれるか、分布を撮影することによって病変の広がりを確認することができ、CT検査よりもより詳細に病期を判断することが可能です。
・ガリウムシンチ検査
ガリウムは腫瘍や炎症が起こっている部分に集まる性質です。
この性質を利用し、体内に注射することによって専用カメラで集まり具合を検査します。
<身体の状態と原因を調べる検査>
リンパ癌の治療を開始する前に尿検査や血液検査、新機能検査、呼吸機能の検査を行い、治療に耐えうることができるかどうか全身状態を調べる検査を行います。
また治療後に起こり得る合併症の予測にも役立ちます。
リンパ癌の原因となるウイルスに感染しているかどうかの検査も重要です。
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リンパ癌(悪性リンパ腫)の治療
放射線
リンパ癌は放射線による効果が出やすい疾患です。
放射線治療が適応となるのは主に3つのケースになっています。
・初期段階で低悪性度のリンパがんで放射線単独治療
・病期がⅠ期、2期で短期抗がん剤の治療に続けて行う
・化学療法を6~8コース実施後に腫瘍が残存している場合
がんが初期で1カ所または同じ部分に限局しているという場合には、放射線治療単独で寛解できる場合もあります。
また日本人にもみられる「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」では、初発の場合にメインは化学療法となりますが場合によって放射線治療を組み合わせて実施していきます。
実際に放射線を体外から照射してがん細胞を死滅していきますが、治療のデメリットとして正常な細胞にも放射線が当たってしまう可能性があるということです。
このような正常細胞へのダメージを最小限に抑えるために、一般的に治療は長いスパンでゆっくり行っていくことになるでしょう。
放射線治療の単位を「グレイ」といいますが、1回2グレイの治療を計20回実施します。
1回の治療は30分前後で平日4週間毎日通院する必要があります。
現在、入院しなくても外来通院で放射線治療が可能となっているので、治療を受ける人の負担が軽いというのがメリットです。
ちなみに治療中は熱かったり痛みが生じるということはないですが、放射線を体に当てるため皮膚が日焼けしたようになったり、炎症を起こすことがあります。
中には吐き気や疲労感を訴える人もいます。
放射線治療をしても再発のリスクが消えるわけではありません。
万が一再発してしまった場合には同じ部位に放射線を当てることはできないため、別の方法を考える必要があります。
化学療法(抗がん剤)
抗がん剤が中心となる化学療法はリンパ癌のメインとなる治療法です。
病変が小さく限局的な場合には放射線治療が検討されますが、病変がすでに進行し広がりをみせている場合には化学療法の導入が行われます。
ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫によってそれぞれ使用する抗がん剤は異なります。
<ホジキンリンパ腫>
ABVD療法といって、ドキソルビシン・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジンを併用する治療法です。
<非ホジキンリンパ腫>
非ホジキンリンパ腫は、B細胞系とT細胞系に分類され、B細胞系のがんに化学療法が適応されます。
このうちB細胞性非ホジキンリンパ腫を例に挙げると、CHOP療法といってシクロフォスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチン・プレドニゾロンを併用する治療法が広く用いられてきました。
しかし2001年、「リツキシマブ」という薬剤が日本で承認されたことでリンパ癌の治療は劇的に変化しました。
これはリンパ癌の化学療法に用いられる代表的な抗がん剤で、日本人に多い「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」に効きやすく、他の種類のリンパ癌にも積極的に用いられています。
この病気では「CHOP療法」が古くから行われていましたが、近年はこの「リツキシマブ」の導入によってリツキシマブと従来のCHOP療法を組み合わせたRCHOP療法が積極的に取り入れられるようになりました。
このリツキシマブですが、リンパ球B細胞・B細胞性リンパ腫細胞に発現しているCD20抗原というタンパク質に結合し、がん細胞を攻撃します。
一方でリツキシマブには、発熱や発疹、ほてりなどといった副作用があり、投薬の際にはこれらの症状にも注意しながら実施していきます。
化学療法を行っても病変部位が縮小しない、一度良くなったにもかかわらず再発してしまった場合には、使用する抗がん剤を変更して再び治療が行われます。
このようにリンパ癌のタイプや病期によって治療法はさまざまです。
個人の全身状態や年齢も加味し、ベストな方法が選ばれています。
造血幹細胞移植
非ホジキンリンパ腫のうちB細胞系のがんは、これまでご紹介したように抗がん剤での治療が可能ですが、「成人T細胞性白血病」に代表されるT細胞系のがんの場合、残念ながら抗がん剤のみで寛解を目指すことが難しいです。
この場合、全身状態に問題のない人には「造血幹細胞移植」という方法が選択されます。
放射線治療や化学療法での治癒が難しい場合に選択される治療法のひとつです。
造血幹細胞移植には2つのタイプがあります。
・自家移植
患者さん自身の造血幹細胞を使用する方法を自家移植と呼んでいます。
・同種移植
患者さん自身ではなく、健康な人が提供してくれる造血幹細胞を使用する方法を同種移植と呼んでいます。
移植された造血幹細胞が異物とみなされ自身の免疫機能で攻撃されるのを防ぐために、移植前処置として強力な抗がん剤治療や全身への放射線治療が行われます。
その後造血幹細胞を移植し、時間をかけて健康な血液を取り戻していきます。
このような侵襲の強い治療に耐えうることのできる体であるかどうか、感染症やその他の疾患の有無など全身状態の検査を行い、問題ないと判断された場合に実施されます。
生物学的製剤
生物学的製剤とは化学化合物ではなく、培養細胞などで作られた高分子化合物をいいます。
特徴として細胞内には侵入せずに細胞表面や血液中などに作用します。
先ほどご紹介したリツキシマブがこの生物学的製剤としてリンパ癌の治療に用いられています。
投与においては感染症の発生に留意することが重要です。
経過観察
リンパ癌の中には年単位でじっくりと進行するがんもあり、早急に化学療法や放射線療法などの治療が必要というがんがすべてではありません。
そのため「経過観察」といって、無症状の場合には特に治療を施さず経過を観察し、何か症状が出たときに治療を開始するという方法がとられることもあります。
リンパ癌(悪性リンパ腫)の再発治療について
<悪性リンパ腫とリンパ転移>
「悪性リンパ腫」と「リンパ転移」。
一見すると混同しがちな2つの言葉ですが、悪性リンパ腫はリンパ球自体ががん化してしまっている病気であるのに対し、リンパ転移とはもともと胃や腸といった臓器にできたがんがリンパによって流れついてきた状態をいいます。
リンパ転移の場合、がんの特徴はもともとの固形がんに由来します。
<リンパ癌(悪性リンパ腫)の再発>
悪性リンパ腫は放射線治療や化学療法による効果が期待できますが、100%完治できず再発するケースもあります。
再発は治療後2年以内に起こる場合が多いです。
もしも再発が起こった場合には、造血幹細胞移植や「救援化学療法」といって複数の抗がん剤を組み合わせた方法が選択されます。
ここでは代表的な再発における治療の選択肢の例についてみていきましょう。
・ホジキンリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の再発
自家末梢血幹細胞移植と大量薬物療法を併用した治療が行われます。
ただし、年齢の対象は65歳未満の人のみです。
・低悪性度B細胞リンパ腫の再発
抗がん剤による治療が中心です。
再度リツキシマブの投与やR-CHOP療法を試してみるなどの方法が選択されます。
R-CHOP療法で再発が起こった場合には、別の抗がん剤の投与を行います。
「再発はどのような症状で分かるのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。
通常は治療後に1~2ヶ月ごとの頻度で血液検査、必要な場合に画像検査を追加して調べます。
そのため、自覚症状出現前に再発がデータで判断されることが多いです。
症状が出る場合にはリンパ節に腫脹が見られ、髄液内での再発の場合、頭痛や嘔気といった症状が出る可能性があります。
<リンパ癌(悪性リンパ腫)の治療>
リンパ癌では定期的な通院で客観的データをもとに経過を見ていくことが重要です。
再発は初発と異なる病型になっている可能性があり、別の治療法を選択する必要性が出てきます。
また薬剤の種類によっては二度目の使用ができないものも存在します。
各個人の全身状態や年齢、進行状況、病期などを加味し、慎重に治療法を選択するということがとても重要です。
またリンパ癌は寛解を目指せる病気ではありますが、中には治療をしてもがんが縮小せず治療効果が得られないといったことも起こり得るでしょう。
その際は、緩和ケアを中心に生活の質を重視した治療方針へと進むことになります。
まとめ
日本人においても罹患率、死亡率ともに増加傾向をたどるリンパ癌。
高齢者の方にとっても決して他人ごとではありません。
リンパ節の腫脹で気が付く人もいれば、たまたま検診で見つかったという人もいます。
これまで触れたように医療技術の進歩によって寛解をも期待できるような効果の高い抗がん剤も登場し、リンパがんの治療に大きな貢献をもたらしています。
個人の全身状態や病期、年齢などあらゆることを加味し、最適な方法によって治療が行われるということがとても大事です。
また治療後も再発のリスクを見据えて、定期的な検診を受けることが重要になります。
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