癌検診はどれくらいのペースで受けるべきなのか|メリットとデメリットは?
癌による死亡を防ぐためには癌を治療することだけでなく早い段階で癌を見つけることも意識しておく必要があります。
癌を早い段階で見つけるための基本的な手段として挙げられるのが「癌検診」です。
癌検診では体中にあるそれぞれの部位に応じた検査を受けることによって、発症したばかりの癌を発見することが可能となります。
ここでは、癌検診の種類やメリット・デメリット、検診を受けるペース、費用について解説します。
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癌検診のメリット・デメリット
癌検診を受けることには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
癌検診を受けるメリット
・早期発見が可能になる
癌検診では既にある程度の大きさになるまで進行してしまっている癌だけでなく、自覚症状のない初期段階の癌まで発見することが可能です。
この段階で癌を発見できると主だった症状が現れる前に癌細胞を取り除くといった治療が可能となるため死亡率は大幅に低くなります。
また癌を早期発見することには他の部位への転移を防げるという点においてもメリットがあるのです。
・癌以外の病気が見つかることもある
癌検診では癌以外の病気が見つかることもあります。
たとえば大腸癌の場合、いきなり癌ができるのではなくポリープや潰瘍などの病変が時間を経るにしたがって癌へと変異することが多いです。
癌検診では後に癌に変異する可能性を秘めた病変も発見することができるため癌の発症を未然に防げるというメリットがあります。
また、これらの病変があることを確認しその後経過観察ができるという点も癌検診のメリットといえるでしょう。
・健康面で安心できる
体調面での悩みは年齢を重ねるごとに大きな不安を伴うようになります。
癌検診を受けることでひとまず異常なしという検査結果を得られれば体調面での悩みを一時的に解消できるでしょう。
その結果、安心して生活ができるようになることからこのこともまた癌検診のメリットとしてあげられます。
ただし癌検診の結果はあくまでもその時点での結果であるため定期的に受け続けることが不可欠です。
癌検診を受けるデメリット
・精度は100%ではない
癌検診をおこなう際に癌細胞が発症している箇所などによっては発見すること自体が困難であったり、発見が遅れることで治療法の選択肢が少なくなってしまったりすることがあります。
癌検診の精度は100%ではないということも忘れないようにしましょう。
また、癌検診では検査を行う医師の技術的な問題などにより本来は見つけられる癌を見落としてしまうことがあります。
このようなことを防ぐためには信頼できる病院で検査を受けるようにするとよいでしょう。
・不必要な治療や検査を受けることになる可能性がある
癌はすべてのものが死に直結するとは限らず、放っておいても転移などせず命にも危険がおよばないという類いのものが存在します。
しかし、このような癌とすぐに治療が必要な癌の選別は難しいのです。
癌検診を受けた結果、癌が見つかり治療を開始したけれどその治療自体がそもそも不要なものであったというケースも存在します。
このことから、癌検診では治療や別の検査が必要かどうかの判断がしにくく、結果的に不必要な治療や検査を受けることになってしまう可能性があるというデメリットがあることを知っておきましょう。
・体に負担がかかるケースもある
癌検診には微量ではあるものの放射線を浴びるものがあり、それが被験者の体に悪影響を与えることがあります。
そのほかにも、癌検診では便秘を引き起こしやすいバリウムを用いた検査や乳房を強く圧迫するマンモグラフィ検査などを受けなければならないことがあるでしょう。
このように、体に多少の負担がかかる点もデメリットといえます。
国が推奨する5つの癌検診
日本では厚生労働省が以下の5つの癌検診を受けることを推奨しています。
それぞれの対象年齢に達したら検診を受けられる近隣の医療機関を探してみるとよいでしょう。
・胃癌検診
胃癌検診は50歳以上の人を対象として行われています。
ただし胃部エックス線検査に関しては40歳以上で実施可能となっており、不安な方は50歳に達する前に検査を受けに行くのもよいでしょう。
胃癌検診では問診と胃部エックス線検査、もしくは問診と内視鏡検査のどちらかがおこなわれます。
・子宮頸癌検診
子宮頸癌検診は20歳以上のすべての女性を対象としておこなわれている検診です。
この検診では問診と視診を実施した後、子宮頸部の細胞診(細胞組織を採取し、顕微鏡で観察する検査)と内診をおこない子宮頸癌の有無を調べます。
子宮頸癌検診は対象年齢がほかの癌検診と比べて低く、成人になるのをきっかけとして受診を習慣づけることがおすすめです。
・肺癌検診
肺癌検診は40歳以上の人が対象となっています。
問診と胸部のエックス線検査、および喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)がおこなわれる検診です。
喀痰細胞診とは簡単にいうと患者さんの痰を顕微鏡で観察する検査のことで、これにより癌細胞の有無を調べることができます。
肺癌の原因としてはたばこが圧倒的に多く、日常的に喫煙をしている方は40歳になるのをきっかけに定期的に検診を受ける習慣をつけるとよいでしょう。
・乳癌検診
乳癌検診は40歳以上の女性を対象としておこなわれています。
検査内容は問診と乳房エックス線検査(マンモグラフィ検査)の2種類です。
視診や触診に関しては厚生労働省による推奨検査内容に含まれていません。
・大腸癌検診
大腸癌検診は40歳以上の方が対象となりこの検査では問診と便潜血検査が実施されます。
便潜血検査とは便に血が混じっていないかを調べる検査のことで、血が混じっていると大腸癌の可能性ありと診断され大腸の精密検査をおこなうことになるのです。
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検診を受けるペース
癌は進行すると命にかかわることがあります。
しかしながら早い段階で癌を発見することができればすぐに治療を開始することができ完治させることが十分に可能です。
このことから、癌検診を定期的に受け発症した癌を早い段階で発見できるようにしておけば、癌によって命が危険にさらされることを未然に防ぐことができるようになります。
癌検診によって発症した癌を早い段階で発見するためには検診を受けるペースを守ることが大切です。
癌検診を受けるペースとしては厚生労働省が推奨するペースが分かりやすいでしょう。
基本的には「40歳以上の人の場合で、年1回のペース」で受診することが推奨されています。
ただし単に癌といってもその発症頻度や進行の速さは体の部位によって異なるので、この推奨ペースを守っていればすべての部位において癌の早期発見がしやすくなると考えるのは危険でしょう。
たとえば子宮頸癌は若年層でも増加傾向にあるため40歳に達する前から検診を受ける必要があります。
推奨される子宮頸癌検診を受けるペースは「20歳以上の人で2年に1回」となっており、この推奨ペースはすべての女性が覚えておかなければなりません。
また、そのほかの癌で推奨されている検査を受けるペースは以下の通りです。
・胃癌
胃癌はエックス線や内視鏡を使用した検査をおこなうことで発見することができます。
この検査は基本的に2年に1回のペースで受けるのがよいとされていますが、胃部エックス線検査に関しては年1回の実施が可能です。
このことから、たとえば身内で胃癌になった人がいるなどといった理由から不安に感じている方は年1回の頻度で胃部エックス線検査を受けに行くことをおすすめします。
・肺癌
肺癌は胸部エックス線検査や喀痰細胞診によって発見することが可能です。
これらの検査は年1回のペースで受けることが推奨されています。
長年の喫煙などにより肺癌に対する不安を強く感じている方などは特にこのペースを順守する必要があるでしょう。
・乳癌
乳癌検診では問診とマンモグラフィ検査と呼ばれることがある乳房エックス線検査が実施されます。
2年に1回のペースで受けることが推奨されている検査です。
・大腸癌
問診と便潜血検査が行われる大腸癌検診は年1回のペースで受けることが推奨されています。
便潜血検査は他の癌検診と比較して被験者の負担が少ないことから対象年齢に達した方は忘れずに受診するようにしましょう。
以上のように、癌検診において推奨される受診ペースは検査対象となる部位によって異なります。
そのためそれぞれの推奨ペースを把握しておくことが大切です。
お得に癌検診を受けるには
癌検診は一度受ければ体全体を対象とした癌細胞の有無が分かるわけではなく部位ごとに異なる内容の検査を受けなければなりません。
また癌検診は上述したとおり1~2年に1回の頻度で受けなければならないため、すべての検診を推奨されるペースを守りながら受けていると膨大な費用が発生するのではと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、一般的に癌検診の費用は数百~数千円程度となっており、検査を受ける人の負担は比較的軽くなっており受けやすい環境が整っています。
ただし癌検診の費用は自治体によって異なるため、住んでいる地域の詳細な金額は自身で調べる必要があります。
たとえば川崎市で受けられる各種癌検診にかかる料金は以下の通りです。
肺癌検診:1,100円
大腸癌検診:700円
胃癌検診:5,500円
子宮頸癌検診:1,000円
乳癌検診(マンモグラフィ):1,000円
・よりお得に癌検診を受けるためには
癌検診の費用が安い自治体は補助額が高いことが多くなります。
よりお得に癌検診を受けるためには、引っ越し先を決める際などに癌検診を対象とした補助金給付制度などを設けている自治体を探すとよいでしょう。
また自治体によっては癌検診をお得に受けられるよう無料クーポンを配布していることがあります。
クーポンの利用が可能となる条件は自治体によって異なるものの、よりお得に癌検診を受けるためにはクーポンの配布制度を定めている自治体を引っ越し先として選ぶのもよいでしょう。
癌検診で利用できるクーポンの内容としては、「乳癌検診は5年に1回無料」や「子宮頸癌検診費用は5年に1回割引」といったものが多いようです。
自治体によってはクーポンの配布条件として一定の年齢に達していることなどを定めていることもあり、利用を希望される方は受診前にそれらの詳細も含めて、よく下調べをしておく必要があります。
・まとめて検診を受けるのもおすすめ
癌検診を部位ごとに異なる日時に受けていると、検診そのものにかかる費用だけでなく病院へ行くまでにかかる交通費もかさんでしまうでしょう。
このことから、よりお得に癌検診を受けるためには複数の検診をまとめて受けてしまうことがおすすめです。
複数の癌検診をまとめて受けたいという方は各自治体で行われている半日癌検診や一日癌検診を利用してみてください。
このようなタイプの癌検診では、半日、あるいは丸一日をかけて各種癌検診を受けることができます。
多くの場合、半日癌検診では主要な癌の検診、一日癌検診では主要な癌検診と前立腺癌検診やそのほかの疾患の検診(骨粗しょう症、各種肝炎など)を受けることが可能です。
このようなタイプの癌検診は1万円以下で受けられるものがあり交通費も含めて大幅な節約ができます。
中にはホテルや温泉などに宿泊しながら検診を受けるプランがありますが、出費を抑えたいのであれば日帰りのプランを選ぶことがおすすめです。
さらに癌検診費用を節約するためには、胃カメラ検査とエックス線検査のどちらかを選択する胃癌検診のように2つの検査から好きなほうを選択する検診において料金の安いほうを選ぶという方法があります。
しかし、料金が安いことばかりを優先してしまうと検査の精度が下がってしまうことがあるため、検査方法に関しては医師と相談したうえで決めていくとよいでしょう。
まとめ
もし癌になってしまっても早い段階で適切な治療を開始できれば完治する確率を高くすることができます。
また癌を早期発見するためにはなによりも定期的に検診を受けることが重要となり、それぞれの部位の癌で推奨されている受診年齢や受診ペースを把握しておくことが大切です。
一方、癌検診による出費はかさみがちであることから自治体が配布しているクーポンやお得な半日検診・一日検診を利用するとよいでしょう。
また、さまざまな検診をまとめて受けることにより交通費を抑えることができます。
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