「血糖値スパイク」こと食後血糖値の急上昇を抑えるコツ
50歳を超えると、身体のあちこちに不調が出てくる人は多いです。
特に生活習慣病は、ある一定の年齢を超えるとあらゆる形で表面化しやすいため、定期検診をきちんと受けて早めにケアをしていくことが大切です。
特に食後血糖値が高いといわれた人は、特別の注意を払う必要があります。
食後血糖値が高いまま放置しておくと、さまざまな疾病を引き起こしますから、正しい食習慣や運動習慣を身につけて健やかに過ごせる老後に備えたいと考えるひとも多いでしょう。
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Contents
「血糖値スパイク」とは
近ごろ「血糖値スパイク」という言葉が盛んに使われるようになりました。
この血糖値スパイクとは、食後血糖値が急に上昇する現象のことをいいます。
血糖値は一定したものではなく常に変化をしているものです。
この血糖値が、食事を摂った後に跳ね上がっても短時間ですぐに正常値に戻るため普通の健康診断などを受けても異常が見つからない場合がありますが、この血糖値スパイクは非常に危険な症状なのです。
自分に血糖値スパイクがあるのを知らずにこれまでと変わらない生活をしていると、脳梗塞や心筋梗塞などによる突然死のリスクが高まるばかりか、がんや認知症のリスクも高まる恐れがあるのが最近の研究で明らかになってきました。
この血糖値スパイクの厄介な点は50歳から60歳以上の中高年ばかりではなく、若くてスリムな女性たちの間でもしばしば見られる症状だという点です。
血糖値スパイクは通常の検査ではなかなか感知できないので、まずは自分でリスクがあるかどうかを確認してみることが大事です。
例えば、食事をしてしばらくしてから急に強い眠気に襲われる、集中力が極度に低下する、あるいは食べて間もないのに空腹感を感じることがある場合には血糖値スパイクである可能性が強いと思ってもいいでしょう。
この血糖値スパイクは、空腹時血糖値が正常な人でも起こる可能性が高いので、それらしき症状を体験した人は自分が糖尿病予備軍かもしれないと思ったほうがいいかもしれません。
血糖値スパイクの危険なところは食後血糖値が高いのを放置しておくと糖尿病になるばかりではなく、動脈硬化が進む要因ともなり得るところにあります。
自分が血糖値スパイクかどうかを知るためには「75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)」という検査を受けると分かります。
この検査は医療クリニックで行っているもので、75gのブドウ糖を水に溶かしたものを飲み一定時間後に血糖値を測っていきます。
この検査で2時間値が200mg/dL以上ある場合には、「糖尿病型」と診断されます。
検査を受けるにあたり前夜から10時間以上絶食しなければならないといった不便さがありますが、遺伝的にも糖尿病が心配な人は、早めにこの検査を受けて、食後血糖値のコントロールをするのをおすすめします。
クリニックの中でも特に糖尿外来を設置しているところがおすすめです。
血糖値の急上昇の後は急降下の危険性がある
血糖値は常に変化しているものですが、その変化が緩やかであればあるほど身体に対しての害は小さくなります。
食事をした後、食後血糖値が急に上がった場合には私たちの身体がこの値を正常に戻そうとして必死に働くため、再び急降下してしまう可能性があります。
まるでジェットコースターのように食後血糖値が短時間で急上昇したり急降下したりするので危険が高いといえるのです。
食後血糖値を急上昇・急降下させないためには食事に留意することが必要です。
例えば、ご飯は糖質がかなり高いという特徴があります。
ですからご飯をたくさん食べてしまうと一気に血糖値が上がってしまいます。
これを避けるためには、ご飯は食べないというのが最善の方法です。
仕事が忙しいからといって、空腹時にいきなりおにぎりやラーメン、パンなどを掻き込んでいた人は食生活を真剣に変える工夫をしないと後でさまざまな病気に悩まされる可能性あることを知っておくべきでしょう。
若いころは不調にはならなくても、50歳、60歳を過ぎるとだんだんと若いころの無理が身体に現れてきます。
脂質に関しては、消化吸収に非常に時間がかかりますので食後血糖値が急上昇する危険性はあまりないというメリットがあります。
動物性脂肪を積極的に食べるようにするとよいでしょう。
そもそも血糖値が高い状態は血管にダメージを与える
「糖尿病は万病の元」とはよくいわれることですが、食後血糖値が高い状態が続くと糖尿病に発展するばかりではなく血管にダメージを与えます。
私たちが食事を摂った後は摂取した炭水化物はブドウ糖という形に変換されて身体中に送り込まれますが、このときに大切な役割を果たすのがインスリンです。
インスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる働きや、筋肉や脂肪に取り込ませてエネルギーとして利用されるのを助けます。
ところが、食後血糖値が高い状態が続く人はインスリンの量が少なくなったりうまく働かなくなったりします。
その結果、毛細血管がダメージを受けて足の壊疽(えそ)や網膜症、腎症といった形の弊害として出てくるわけです。
ダメージは細い血管に限らず太い血管にもおよび、血管壁が硬くなって血管内を詰まらせたり血管を補足して動脈硬化を起こしたりする要因になります。
動脈硬化は悪化すると「下肢閉塞性動脈硬化症」を起こすばかりではなく、「狭心症」や「心筋梗塞」あるいは「脳梗塞」といった重篤な形で現れてきます。
一度ダメージを受けた血管を回復させるのはかなり困難なため、日ごろから食事の糖質制限を厳格に行い食後血糖値が急上昇したり急降下したりするのを抑えることがさまざまな病気の予防法となってくるわけです。
食事の内容によっては血管年齢を若く保つことは可能ですから、糖質制限をすると同時に若い血管を作ってくれる食品も合わせて摂ることが必要です。
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スパイク防止策① 早食いをしない
血糖値スパイクは百害あって一利なしですから、普段の食生活を改めてできるだけ食後血糖値が急に上がらないようにしましょう。
スパイクを防止する最善の方法は「糖質(炭水化物)を摂らない」ということです。
また、早食いをして一度に大量の糖質を体内に取り込むと否が応でも食後血糖値は急に上昇するものですが、同じ量でもゆっくりと食べることによって食後血糖値の上昇カーブはだいぶ緩やかになります。
ただ、緩やかになってもリスクは残りますので「糖質(炭水化物)を摂らない」というのが最善の方法です。
また、よく噛まないで早食いをすると胃にも負担がかかり消化がうまくいかずに腸などの器官も必要以上に働くことになってしまいますから注意したいものです。
昔からいわれている通り、食事はよく噛んで食べることが大切です。
一口で噛む回数は30から50回程度が目安ですが、実際に食べながら数えてみるとこれまでいかに十分に噛まずに食べ物を丸呑みにしていたかがわかります。
よく咀嚼すると唾液もしっかりと分泌され、消化酵素である「アミラーゼ」という物質が消化器官の働きを助けます。
内臓というのはそれぞれの働きがありますが、例えば胃に負担がかかり過ぎると肝臓を傷める、あるいは肝臓に負担をかけると解毒作用が低下して腎臓の働きが悪くなるといったようにお互いに密接に作用し合っていますから、食事をよく噛んでゆっくりと食べて胃の負担を軽減し、膵臓や腸を傷つけないようにするといった配慮が大切になってきます。
食後血糖値の急上昇を避けるためには、子どものうちからごはんの食べ方をきちんと教えていくことも大切です。
なんでも柔らかく煮込んでしまわずに、適当な歯ごたえを残すことによって咀嚼する力を養うことができます。
お肉にしても口当たりがよくてあまり噛む必要のないハンバーグよりも、肉質がしっかりしていて歯ごたえがある料理などもおすすめです。
最近の子どもは柔らかいものを中心とした食生活に慣れてしまっているために食べ物を噛む回数が減ってしまい、あごが小さくほっそりとしてしまい、しかも歯並びが悪くなっている傾向があります。
このような現象も子どものうちに正しいごはんの食べ方を指導することによって改善することができますし、大きくなってからも糖尿病の予防へとつながっていくことをもっともっと自覚したいですね。
よく噛む力を付けるためにはカルシウムやタンパク質をたっぷりと摂ることも重要です。
スパイク防止策② 食後30分~2時間ほどの間に軽く運動
血糖値スパイクを急上昇させないためには糖質(炭水化物)を摂らない、よく噛んで食べるなどを工夫すると同時に食後の運動を習慣づけるのも大切です。
血糖値というのは要するに血液内に存在するブドウ糖の濃度のことですが、健康な人では血糖値の濃度は110mg/dL未満にキープされています。
これが何らかの要因で常に126mg/dL以上になった場合には糖尿病と診断されることになります。
健康で血糖値が平常値に保たれている人でも、食後の血糖値が140mg/dL以上に急上昇する血糖値スパイクの状態になる場合も珍しくありません。
血糖値スパイクは厄介な現象ですが食後に運動をすることによって食後血糖値を抑えることは可能です。
ただ、運動がいいといっても食事の直後に運動をするのは控えたほうがいいようです。
食後は消化のため胃に血液が集まっている状態ですから、無理に食事の直後に運動すると消化不良になってしまいます。
食後血糖値の急上昇を避けるために最も効果的な時間帯は食後30から2時間ほど経ってからです。
運動といってもハードなものではなくウォーキング程度の軽いものでも十分に効果を得ることができます。
ポイントは有酸素運動を意識して行うことにあります。
有酸素運動であれば血液中に存在する糖や脂肪を効率よく消費することができますのでダイエット効果も期待できて一石二鳥です。
50代ともなってくると毎日定期的に運動するのがおっくうだという人はかなり多く見かけられますが、血糖値スパイクを抑えるためにはぜひとも軽い運動を行う習慣を身につけたいところです。
オフィスで働いていて昼食後にウォーキングなどをしたりする時間が取れないというのであれば、軽い屈伸運動をするだけでもそれなりの効果が得られます。
階段を昇り降りするなども、オフィス内で簡単にできる運動ですね。
運動する時間は15から30分程度が目安です。
ただし、あまり激しい運動はかえって逆効果になることもあるので気をつけましょう。
激しい運動によって血糖値をあまり下げてしまうと身体が血糖値を取り戻そうとしてご飯を食べたわけでもないのに急上昇することがありますので要注意です。
夕食後はウォーキングなどをしてしまうと寝つけない場合もありますので、筋肉トレーニングなどといった無酸素運動で体を動かすといいでしょう。
まとめ
血糖値スパイクは通常の血液検査ではなかなか突き止められない厄介な症状です。
家族の中に糖尿病を患っている人が何人かいる場合には自分もその傾向が強いと思って間違いありませんので、食事の後急に睡魔に襲われるといった症状がある場合にはできるだけ早めに専門医の診察を受けることが大切になります。
内科クリニックでも糖尿病の診察は行っていますが、血糖値スパイクのように診断が難しい症状の場合には「糖尿病科」「糖尿病内科」あるいは「内分泌代謝内科」などと銘打った専門クリニックを選ぶのがおすすめです。
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