妊娠糖尿病の診断基準は「急に言われてもイチゴさん食べちゃった」がポイント
女性は妊娠すると、ホルモンが激変することにより体調も変化するため、妊娠前には予想もつかなかったいろいろな体調不良に遭遇することになります。妊娠中に気を付けたい病気の一つとして「妊娠糖尿病」があります。
妊娠中はすい臓から分泌されるインスリンというホルモンの作用が低下するため、注意していないと妊娠糖尿病になってしまうことがあるのです。栄養バランスに充分注意しているつもりでも、ホルモンバランスの変化によって妊娠糖尿病になることもあります。
妊娠糖尿病とは、妊娠するまで糖尿病ではなかった人が妊娠してからなってしまう糖代謝異常です。これは妊婦さんの約8人に1人の発症率ですので、決して珍しい病気ではありませんが、母体・胎児にいろいろな悪影響を及ぼすので充分な注意が必要です。
欧米では日本より発症率が高いため、非常に重要視されている病気ですが、日本においても近年増えつつありますので注意しましょう。
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Contents
妊娠糖尿病になると何が起こるのか
妊娠糖尿病(糖代謝異常)とは、血糖値が基準値を上回ってはいますが糖尿病と診断されるほどではない状態のことで、初期段階では自覚症状がほとんどありません。進行するにつれて、のどの渇き、尿の量や回数の増える、疲れやすくなる等の症状が出てきます。
妊娠中の体の変化により疲れやすくなったり、胎児の成長と共に膀胱が圧迫されトイレが近くなったりと、これらの症状は妊娠中に誰もが感じるものですので、妊娠糖尿病による症状だと気づきにくいことも多いのです。
妊娠中、基準値を上回り高血糖状態が続くと胎児も高血糖となり、
- 流産・早産のリスク増加
- 妊娠高血圧症候群・羊水量の異常・尿路感染症
- 肩甲難産
- 網膜症
- 腎症等合併症
のリスクが高くなります。他にも、
- 難産
- 巨大児
- 低出生体重児
- 先天性奇形
- 心臓の肥大
- 低血糖
- 多血症
- 電解質異常
- 黄疸
- 子宮内胎児死亡
のリスクも高くなってしまいます。
妊娠糖尿病になる原因
食事をしたあと、食べ物に含有されている糖質が分解されブドウ糖になって血液中に取り込まれます。
この時、誰でも血糖値は上昇し、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの作用によりブドウ糖が全身の細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されたり、肝臓・筋肉・脂肪組織にエネルギー源として取り込まれたりするので、血糖値は通常、時間とともに基準値以下に低下します。
妊娠中は胎児へもブドウ糖の供給が必要となるため、胎児の成長と共に胎盤からインスリンの働きを抑制するホルモンが分泌されたり、インスリン破壊酵素が生成されるようになります。このためインスリンが効きにくくなり、血糖値が基準値よりも上昇してしまうのです。
妊娠糖尿病は高糖質な食事・肥満なども危険因子となりますが、遺伝的体質を持っている人、35歳以上の高齢出産も原因となることがあります。
妊娠糖尿病の診断のしかた、その基準値とは
妊娠糖尿病の診断方法は、妊娠初期より妊婦健診において随時血糖値を測り、基準値よりも血糖値が高い場合はブドウ糖負荷試験を行うという、75g OGTTという方法になります。
妊娠初期に血糖値が基準値を下回っていた場合(陰性)でも、妊娠が進むと共に血糖値を下げるインスリンが効きにくくなってきますので、妊娠中期(24-28w)にもう一度スクリーニングテストを受ける必要があります。
基準値である空腹時血糖値92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれかに該当することで、妊娠糖尿病の診断となります。
この基準値の覚え方は「急に言われてもイチゴさん食べちゃった」です。「キュウニ:92」、「イワレても:180」、「イチゴサン:153」という語呂合わせですが、通常の糖尿病の基準値と妊娠糖尿病の診断基準値は異なっています。
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妊娠前に注意すべきこと
現在「糖尿病」の治療を受けている場合、妊娠して良い状態なのか(血糖コントロールが良いか、糖尿病合併症が妊娠中に悪化する状態ではないか)を確認する必要があります。
妊娠初期に血糖値が基準値を上回っている場合、胎児に先天奇形を合併するリスクが高くなります。妊娠4-9週の間に胎児のさまざまな臓器が形成されるため、母体の血糖値が高いと胎児の血糖値も高くなって先天奇形を合併しやすくなります。
この時期には妊娠にまだ気づいていないこともあるので、高血糖が胎児に悪影響を与えるのを予防するためにも、妊娠前に血糖コントロールを十分にすることがとても大切なのです。
そして、血糖コントロールだけではなく、糖尿病網膜症・腎症の合併がないか、妊娠による影響を受けやすい状態ではないか、を妊娠前に検査しましょう。もしすでに増殖網膜症を合併している時は眼科的治療をしておきます。
妊娠糖尿病発症の場合、妊娠中に注意すべきこと
胎児や母体の合併症を防ぐためには、妊娠中の血糖コントロールを良い状態に保つことが重要です。基準値は、健常の妊婦さんと出来るだけ同じ血糖値を目標とします。
食事療法が基本となり、その妊娠中の理想ダイエットとは、
- 母体と胎児が健全に妊娠維持をするために必要なエネルギーをきちんと摂取する
- 食後の高血糖を起こさないように注意する
- 空腹時のケトン体生成を促進させない
という3つの条件を満たす必要があります。
妊娠中は母体だけでなく胎児に供給するためのエネルギーも必要ですので、食後に高血糖になりやすいのです。
妊娠糖尿病発症の場合、出産後に注意すべきこと
妊娠中は胎盤よりインスリン抑制ホルモンが分泌され、胎盤でインスリンが分解されていたため、出産・胎盤摘出後は通常インスリン分泌量が急激に減り、自然治癒することも多いです。
出産後6-12週間後に再度ブドウ糖負荷試験を受けて、血糖値が基準値を下回り、妊娠糖尿病が治っているか診断を受けます。治っている場合でも、健常妊婦さんだった人に比べて約7倍というとても高い頻度で糖尿病になりがちですので、その後の定期的な検診が必要となってきます。
産後に母乳を与えると、お母さんも赤ちゃんも、将来糖尿病になる確率が減ることが分かっていますので、出来る限り母乳育児を心がけましょう。
妊娠糖尿病は、産後のお母さんと赤ちゃん両方の将来の糖尿病、メタボリック症候群発症などに大きく関わりリスクを上げるので、妊娠時に糖尿病に関する正しい知識を身に付けておくことが大切です。
まとめ
妊娠前にすでに糖尿病の診断を受けている人、妊娠中に「明らかな糖尿病」と診断を受けた人は、ここには含まれません。これらの場合は妊娠糖尿病よりも重度の状態ですので、血糖の管理をより厳密にしなければなりません。
もし血糖値が基準値を上回り、妊娠糖尿病と診断されても、医師の指導の元きちんと対処していくことにより、妊娠中はもとより産後の母体と赤ちゃんにおけるさまざまな病気へのリスクを減らすことが出来るのです。
産後治療も、インスリンは乳汁に移行しないことが分かっていますし、授乳することでさらにこれらのリスク減へと繋がりますので、安心してどんどん授乳しましょう。
妊娠糖尿病の予防方法は、普段からの糖質を控えた食事、適度な運動を心がけることです。これらは妊娠糖尿病予防だけではなく、出産という大仕事をする上でもとても注意すべき大切なことです。
規則正しい生活を心がけ、安全な出産を迎えましょう。
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