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気づかないうちに進行している「肝臓がん」の怖さ

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように自覚症状を感じにくい部位です。

その肝臓において、40代以上の男性、50代以上の女性に多く見られるのが「肝臓がん」です。

中高年以上の世代の罹患者が多い肝臓がんについて、その原因や症状、治療法や予防法を解説します。

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肝臓がんの原因と症状

肝臓がんの原因には「慢性肝炎」や「肝硬変」があることは有名です。

これらの病気は別の病気ではなく連続した一つの病気の進行したものと考えれば、肝臓がんの原因も理解できます。

現代の肝臓がんにかかる人の多数は慢性の「ウイルス性肝炎」を長期間わずらっていることが多いと言えます。

特に自覚症状もなく、自分が肝炎ウイルスに感染している事実をしらないまま数十年放置し、血液検査で偶然肝炎ウィルスが発見されることもしばしばあります。

ただし、肝臓がんに繋がる慢性肝炎の原因ウィルスは「B型肝炎ウィルス」と「C型肝炎ウィルス」の2種類です。

肝臓がんに特有の症状はありませんが、慢性肝炎や肝硬変では肝臓の機能の損ないの程度に応じて症状が出てくることがあります。

ここでは肝障害を伴った肝臓がんの症状について考察します。

肝臓がんは大きくなると「しこり」を感知したり、圧迫感や神経にがんが広がったことによる「痛み」を覚えることもあります。

しかし、これらの症状は一般的な神経痛や胃腸炎の症状にも類似している部分もあり決定的ではありません。

むしろ、肝硬変に伴う症状を見抜くことが重要です。

肝硬変になった肝臓は肝細胞が死滅して硬くなっています。

肝硬変になってもなんとか生体維持に必要な肝機能が残っている状態では症状はありません。

しかしさらに肝硬変が進行すると体のあちこちで症状が出てきます。

<黄疸や皮膚症状>

皮膚や白目が黄色くなることで判明します。

ものが黄色っぽく見えたり、皮膚全身のひどいかゆみ、全身がだるい症状などをともなうことがあります。

手のひら、例えば親指の付け根などが赤くなる紅斑、足を広げたくものように血管が広がったクモ状血管腫が出ることもあります。

<手足の症状>

浮腫みやバチ指(指の先端が太鼓のバチのように丸くなった状態)

<腹部の症状>

腹水がたまると腹の周りが大きくなり、プロポーションも変化します。

寝るときも息苦しさを覚えてくることもあります。

肝臓や脾臓の腫れを伴うこともあります。

<肝性脳症による意識障害の発生>

肝臓では体内で生成されるアンモニアなどの有害成分を分解する解毒機能が備わっていますが、肝機能が低下してこの解毒作用が著しく低下するとアンモニアなどの有害物が血液にのって全身を循環します。

それらが脳に達して有害物質が蓄積されることで様々な症状が出てきます。

昼夜逆転、異常行動などが見られます。

さらに進行すると意識障害に進行します。

肝臓がんはその前段階の肝硬変の症状で発見のきっかけになることがあります。

 

肝臓がん発症のプロセス

肝臓がんの発生プロセスは相当程度解明されています。

肝臓がんの中には子供に発生するタイプや、肝臓内の血管から発生するタイプのもの等特殊なガンを除いては、多くの場合慢性肝炎から肝硬変を経て肝臓がんの発症に至る場合が殆どです。

「肝炎の原因」には大きく分けて2種類あります。

一つはお酒の飲みすぎや偏った食生活による肥満を原因として脂肪肝から慢性肝炎になる場合で、もう一方は、B型C型のいずれかの肝炎ウィルス感染によるウィルス性の慢性肝炎になる場合です。

肝臓では再生能力が活発なので、炎症が起きてある程度壊れても再生してきます。

生体肝移植などが行われるのは肝臓の旺盛な再生能力があるからで、肝臓の一部を提供してもやがてほぼ同じサイズにまで再生していきます。

ダメージに強い肝臓ですが、ウィルス等の攻撃に曝されて細胞の死滅と再生を長く繰り返すうちに弾力性がなくなり細胞の動きも不活発になっていきます。

やがて肝細胞は硬くなり始め、肝臓の内部も筋張った状態になります。

これは肝細胞が死滅した場所が繊維細胞に置き換えられて行くためで、正常な肝細胞はどんどん少なくなっていきます。

これが「肝硬変」と呼ばれる状態です。

肝硬変になると遺伝子レベルでも損傷を受けており、正常な細胞が生産されなくなり、異常な細胞がどんどん増殖して行き、やがては「肝臓がん」が発生してくることになります。

肝炎ウィルスで感染人口が多いのは「C型肝炎ウィルス」で、肝炎全体の7割を占めると言われています。

肥満による脂肪肝も原因になりえますが、圧倒的に肝炎ウィルスを原因として慢性肝炎が発症しているのです。

なかでも注意が必要なのは「B型肝炎ウィルス」で、肝硬変に移行する前にいきなり肝臓がんを発症する場合があることです。

そこで肝臓がんに進行させないように、前段階で予防策を考えることも重要になります。

つまりアルコールを取り過ぎない生活に改めることや、肝炎ウィルスを排除することで肝臓がんの予防も可能と言えます。

かつてはC型肝炎に有効な抗ウィルス薬は限られた種類のものしかなく、日本人に多いタイプのウィルスには効果的な作用はさほど期待できない上に、うつ病などの副作用が出ることもあって、特にウィルス対策を採ることはなく、肝臓機能を改善する薬で経過観察することが多く取られてきました。

しかし最近では薬の開発が進み、ウイルスを効果的に排除することも可能になってきているのは朗報です。

 

肝臓がんのステージと肝障害度分類

肝臓がんの根本には何らかの原因で肝機能障害を持っていることが多いので、進行度を判断するには肝臓がんそのものの進行具合(これをステージと言います)だけでなく、「肝機能がどの程度損なわれているのか」も重要な判断材料に位置づけられています。

肝臓がんのステージを判断することの意味をもう少し考えて見ましょう。

肝臓がんのステージは、腫瘍の大きさや個数(複数あるのか否か)、リンパ節転移の有無(リンパ腺の塊になった部分へのガンの広がりの有無)、肺などの肝臓以外の臓器への転移の有無などを考慮して決定されます。

まず肝臓がんの腫瘍の状態から周囲への広がり具合を判定します。

腫瘍が一つのみで、大きさは2センチ以下であって、肝臓の重要な血管に広がっていない、この3点を全て充たす状態のものを初期とし、「4段階」で肝臓がんの周囲への広がり具合を判定します。

これにリンパ節への広がりは無い、リンパ節への広がりはあるが他の臓器に飛んでいない、既に他の臓器に飛んでいる、などの肝臓以外へのがん細胞の広がり具合を検査します。

肝臓内部でのガンの広がり具合と、肝臓以外の臓器への広がり具合の両方の判定結果を元に、ステージがいくつであるのか判定します。

ステージはⅠ期にはじまりⅣ期までの段階で評価され、治療方針が立てられます。

他の臓器のガンではこのステージ判定でほぼ以後の治療方法が決まりますが、肝臓がんでは、慢性肝炎や肝硬変などの病気も患っている場合が多いので、肝臓の機能がどれほど残っているのかを知ることも大事になってきます。

「肝障害度分類」では、腹水の有無と、血液検査による数値を参考に判定されます。

いきなり腹水(腹に水がたまる)症状の話が出たので奇異に感じる方がいるかと思います。

これは肝臓の機能が落ちると細胞の中に水分を維持しておく「アルブミン」という成分を十分に生産することが出来なくなり、腹に水がたまる症状がでることになるわけです。

そのため「腹水の有無」は肝機能の障害の程度を判定する際に使用されています。

血液検査では特殊な色素を注射し、15分後にその色素の残りを判定します。

正常な肝臓であれば異物が進入すれば、異物を捕らえて中和する機能のおかげで、体内に入ってきた色素の数も減少するはずですが、肝機能が落ちていると中和されないまま残っていることになります。

肝障害度分類はABCの三段階で評価され、Aの自覚症状がない状態から、Bはたまに自覚症状がある、そしてCの常に自覚症状がある、となります。

Cが最も障害度が重いことになります。

 

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肝臓がんの治療方法

肝臓がんでは多くの場合に肝機能障害も抱えていることが多いのは、先ほど解説したとおりです。

そこで肝臓がんの治療に当たってはがんの進行度ももちろん気になりますが、肝臓の機能の障害の程度に応じて治療方法を選択していくことが重要になります。

肝臓がんの治療の種類と肝臓の障害の程度に応じた治療の考え方について解説いたします。

「肝手術」。

手術によってガンを取り除く方法です。

肉眼でガンを観察しながら取り出すので、取り残しの心配も無く、ガンが肝臓内に止まっており腫瘍の数が3個以内であれば、手術も積極的に行われています。

ただし肝障害度分類が酷い場合(高い場合)には残った肝臓が十分に働かず、肝不全の心配があるので手術以外の治療法を検討することになります。

「ラジオ波焼灼療法」。

体の外から肝臓に針を刺して、ガンを死滅させる方法です。

日本では針の先端で高熱を発生させて熱によってガンを死滅させるラジオ波を利用するのが主流になっています。

手術に比べ肉体への負担がやさしい方法です。

「肝臓動脈塞栓療法」。

肝臓がんは進行に伴い血行が豊富になり、多数の血管を張り巡らせて周囲の細胞から栄養分を確保しようとしています。

ガンのこの性質を利用して、肝臓ガンに栄養を供給している冠動脈にゼラチンを原材料にしたもので血管を塞ぎ、がん細胞を兵糧攻めにする方法です。

人工的に血管を閉塞させ、ガンへの栄養を遮断し壊死を促します。

最近では血管をふさぐ前に冠動脈に抗がん剤を投与する治療法も選択されています。

ガンが大きくラジオ波療法を使えない人や、肝臓がんが散らばって複数存在しているときでも実施できる治療法です。

肝障害度分類は先ほど解説したように肝臓の機能の状態に応じてABCの三段階に分かれます。

肝機能が比較的良好なAやBでは手術などの積極的な治療法が可能です。

ただし、全身状態が良好でもガンが複数肝臓内に散らばっているなど、切除すると肝不全になる危険があるときは別の方法が検討されます。

反面、腫瘍が大きくても一つの場合には肝機能が良好であれば手術も積極的に検討されることになります。

ガンが2,3個の場合でも積極的な治療は可能です。

肝機能があまり損なわれていない限り、手術で取ることも可能で治癒も目指せます。

腫瘍がさほど大きく無ければ(3センチ以内)ラジオ波で焼くことも検討して良いでしょう。

ガンが4個以上ある場合は冠動脈を塞ぐ治療法が取られます。

肝臓がんは同時にわずらっている肝炎や肝硬変の進行具合にも相応左右されることになります。

 

肝臓がんの予防

肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、何らかの症状が現れたときには相当程度病状が進んでいる場合があります。

その上、肝臓は人間の生体機能維持のための重要な臓器でもあります。

肝臓は食事から取り入れた栄養便を体内で利用可能となるように加工する「代謝」、人体にとっての有害物質である成分(典型的なものとしてアルコール)の「解毒」、そして人体に不要になったものを体外に出す「排泄」、以上3点の役割を果たす臓器です。

肝臓がよく「人体の中の化学工場」とも呼ばれる所以です。

肝臓は血管の塊とたとえることが出来るほど、肝臓の内部には血管が縦横に張り巡らされています。

他の臓器のガンでは発生原因が不明なことが多く、予防策を取ることは非常に困難であると言えます。

肺がんと喫煙の関係性についてはある程度明らかになっていますが、タバコを吸わない方でも肺がんが発生する方がいます。

これに対して、原発性の肝臓がんについては、ほぼ発生原因が特定されています。

肝細胞がんの患者の方では、慢性肝炎や肝硬変を患っている場合が非常に割合が高いと言えます。

肝臓がんになる背景にこれらの別の病気が隠れていると言うことは、肝硬変などの原因に対して対策を立てれば、肝臓がんの発生を防止できる可能性が高いと言うことを意味しています。

慢性肝炎や肝硬変を引き起こす要因としては、大量のアルコール摂取などもありますが、肝臓がんの元になる肝硬変は肝炎ウィルスの感染によることが非常に高い割合になっています。

肝臓にウィルスが住み着くと、肝臓内ではウィルスを排除しようと免疫細胞が活発になり炎症が日常的に起こっています。

この過程では肝臓の細胞の死滅と再生のサイクルが日々繰り返されています。

これが数十年続くと、肝臓は硬くなって弾力性がなくなっていき、慢性の炎症状態から肝硬変に移行していきます。

肝硬変の肝臓では炎症の繰り返しで遺伝子に異常をきたし、異常細胞であるガン細胞などが発生し、肝臓がんを発症させることになります。

肝臓がんに関係するのは、B型とC型の肝炎ウィルスです。

そこでこれらの肝炎ウィルスを体内から排除させることが出来れば、肝臓がんのリスクを相当程度減少させることが出来ます。

肝炎ウィルスを排除する抗ウィルス薬については最近の進歩は目覚しいものがあります。

かつてはB,C型肝炎ウィルスについての抗ウィルス薬は1種類のみで効果もばらつきが見られました。

しかし最近では新薬が相次いで登場し、ウィルスの排除率も飛躍的に向上しているので、肝炎ウィルス排除で肝臓がんを予防できる時代になりつつあります。

 

まとめ

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように自覚症状を感じにくいため、気付いたときには病状が進行してしまっていることがあります。

ただ、肝臓がんの原因や発症のプロセスを理解することで、予防や対策を行うことは可能です。

今回お伝えしたことを参考に、日常生活を見直したり、自分の体調の変化に気付けるよう体調管理を行いましょう。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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