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腎臓がんに気づかない人は7割もいる!?

腎臓がんは初期段階では症状が出ないため、無症状のうちに発見されるのが7割以上だと言われます。

ここでは腎臓がんについて、男女の発生率の違い、腎臓がんのリスクを高める要因、腎臓からの異変のサインなどについて解説します。

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男性に多く発症する「腎臓がん」

腎臓で発症するがんを「腎臓がん」と呼びますが、同じ腎臓がんでも発生する部位の違いによって名前が異なります。

また、その部位の細胞の性質はそれぞれに違うので治療方法も異なってきます。

腎臓がんで最も発生率の高いものが「腎細胞がん」です。

腎臓そのものに発生するがんで、腎臓がんにおける割合の8割を占めます。

腎細胞がんは腎臓にある「尿細管」と呼ばれる管のなかに生じます。

腎細胞がんにおいては「放射線治療」「化学療法」がなかなか効かないというマイナス面があります。

腎細胞がんとは別に「腎盂尿管がん」と呼ばれるものもあります。

腎臓は尿を作る働きをしますが、その尿が流れる通路(尿路)のことを腎盂と言います。

この腎盂の内側に尿路上皮と呼ばれる粘膜があり、この粘膜に生じるがんが腎盂尿管がんです。

同じ腎臓がんでも「腎細胞がん」と「腎盂尿管がん」は性質がまったく異なるため、その治療法にも違いが出てきます。

腎盂尿管がんは尿路に発生するがんなので、再発率が高いがんと言われています。

場合によっては腎盂尿管がんと一緒に膀胱がんが見つかるなど、手術後に別の場所で新たながんが発見されることもあります。

同じ腎臓がんの種類に「ウィルムス腫瘍」というものもありますが、これは主に小児・幼児に発生するがんです。

成人でも発生することもあるようですが、どちらかというと小児・幼児の先天的な要因による発生が主となります。

成人に発症する腎臓がんの多くは「腎臓がん」と「腎盂尿管がん」です。

腎臓がんの発生率は女性よりも男性のほうが多く、その発生率は女性の2倍から3倍と言われています。

同時に加齢を重ねることでその発生率も上昇していきます。

逆に若年層で腎臓がんになるケースはほとんどありません。

基本的には50歳以上から、60歳後半から70歳後半頃が発症のピークとなります。

男性の発生率が高い理由として、肥満・喫煙・高血圧といったマイナス要因が多いからと言われています。

特にタバコは腎臓がんの発生率を大きく高めるため注意が必要です。

肥満の場合も、通常の体型の人に比べて腎臓がんの発生率は3倍から4倍に上がります。

肥満体型の人が多い欧米では、アジアよりも腎臓がんになる男性が多いというデータがあります。

アルコールの過剰摂取も腎臓がんのリスクを高めます。

特にストレスや日々の生活の乱れから大量に毎日アルコールを摂取している人は要注意です。

 

50代~70代に発症する方が多い

腎臓がんの発生は若年層ではあまり多くありません。

腎臓がんの発生は50代からがほとんどです。

そこから60代、70代と上がるごとにその発生率も高くなります。

50~70代の腎臓がん発生率の平均年齢は62歳となっています。

1990年からの統計で見ると、腎臓がんを患う患者は上昇してきていますが、これは現在の日本の高齢化(50歳以上の人口が増えたこと)が大きな要因です。

同様に年々人間ドッグの検査や医療技術が進歩してきているので、早い段階で腎臓がんを見つけるケースも多くなっているのもその要因として挙げられます。

50代から70代は腎臓がんの発生率が高い年齢層ですが、やはり女性よりも男性のほうがより注意が必要です。

男性は女性よりも腎臓がんの発生率が2~3倍と高く、そのうち「喫煙者」に限るとその発生率は非喫煙者に比べて2倍になります。

「高齢の喫煙者」は要注意ということになります。

また、腎臓がんは家系的なリスク(遺伝的なリスク)もあるようで、腎臓がんの発生しやすい家系、または過去に家族で誰かが腎臓がんを患ったことがある場合も注意が必要です。

成人が発症する主な腎臓がんは「腎細胞がん」と「腎盂尿管がん」であると説明しましたが、いずれの場合も高齢男性の発生率が高いです。

「腎細胞がん」の場合、肥満・喫煙・高血圧といったものが発生リスクを高めます。

特に喫煙はそのリスクを大きく高める要因になりますから、予防という意味ではまず禁煙をすることが重要になります。

肥満体の場合も、ダイエットや食生活を見直してできるだけ体重を落とすことをオススメします。

「腎盂尿管がん」も50歳から70歳代での発生が多いですが、やはりそのなかでも高齢男性のほうが発生率は高くなります。

確率でいっても女性よりも2倍の数値です。

腎盂尿管がんの場合も喫煙が大きなリスク要因となります。

高齢になると高血圧になりやすいですから日々の血圧にも注意が必要です。

腎臓がんの手術後、および再発に伴って「膀胱がん」が見つかることがあります。

この膀胱がんの発生率も50歳以上に多く、60歳以上から上昇カーブを描きます。こちらも男性のほうが発生率は高く、女性の4倍という数値になっています。

そして繰り返しになりますが、膀胱がんの大きなリスクはやはり喫煙です。

男性の膀胱がんの約50%が喫煙によって生じたというデータがあります。

喫煙は腎臓がん、膀胱がんの発症に大きく関わっていますから、高齢男性で喫煙をしている方はぜひ禁煙を行ってください。

 

腎臓は重要な役割を果たしている!

腎臓の役割には様々なものがありますが、そのなかでも特に重要な働きとして4つのものが挙げられます。

・尿として老廃物や毒素を排出する

腎臓は体内のなかにある成分を「必要なもの」と「不必要なもの」に分ける働きをし、体に不必要なもの(老廃物や毒素など)を尿として排出します。

同時に体にとって必要な成分を吸収する働きをします。

腎臓の機能が低下すると不要な成分が体内に溜まりやすくなり、尿も出にくくなり、結果として体内に蓄積された老廃物や毒素が新たな病気を作ってしまいます。

腎臓の働きが正常であれば必要物と不要物のフィルター機能もしっかりと作用しますから、外に出る尿の色にも問題は見られません。

もし尿の色が赤かったり、茶色かったり、またはかなり泡立っていたりしたら腎臓が正常に働いていない可能性が高いです。

その場合すぐに病院で検査を受けてください。

・血圧を調整する

腎臓には血圧を調整する働きがあります。

血圧が高くなり過ぎたときは低くなるように、血圧が低すぎるときは高くなるようにバランスよくコントロールしています。

腎臓の働きが悪くなると血圧のバランスが取れなくなり高血圧になりやすくなります。

腎臓の機能による血圧のコントロールは「塩分」と「水分」の排出量によって決まります。

血圧が高すぎる場合は体内の塩分と水分の排出量を増やすことで血圧を低下させ、血圧が低すぎる場合は塩分と水分の排出量を抑制して血圧を上げる働きをします。

腎臓と血圧は深い関係にありますから、血圧の異常がある場合は腎臓の病を疑ってみて下さい。

・血液(赤血球)を作る

腎臓は血液(赤血球)を作る役割を担っています。

腎臓から出る成分(ホルモン)にエリスロポエチンというものがありますが、これは体内の血液を増加させる働きをします。

通常、腎臓はエリスロポエチンを多く作って血液の量を増やしていますが、腎臓の働きが悪くなるとこの成分が減少してしまうため、血液の量も少なくなってしまいます。

血液の量が少なくなると貧血などの症状が出てきてしまいます。

・体内調整をする

人間は季節や日々の生活の中で様々なものを摂取し、同様に汗などを通して水分を排出しています。

この排出のバランスを整える(体内調整をする)のも腎臓の働きです。

つまり体内の体液量を整えているわけです。

夏場に汗をたくさんかいたときは濃い色の尿を少量出し、汗をさほどかかないときは薄い色の尿を大量に出す・・・といった調整を自動的に行います。

こうすることで体内の水分量やそのバランスを整えて体を正常で健康的な状態にします。

腎臓の働きが悪くなり、水分量の調整が上手くいかなくなると「体がむくむ」「疲労しやすくなる」「眩暈がする」といった症状が現れます。

 

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腎臓からの3つのサイン

腎臓に関する病が疑われる場合の「3つのサイン」というものがあります。

それは「尿」「血圧」「むくみ」の3つです。

・尿の異常

腎臓の病の兆候で最も分かりやすいのが尿の異常です。

腎臓の機能が悪くなるとフィルターの働きにも支障が出て様々な不要物が含まれたり、いつもとはあきらかに違う色の尿となって排出されます。

いつもより「濃い尿」の場合はそれほど問題ありません。

汗のかきすぎやビタミン剤を多く飲んだあとはそのような濃い尿にすることが多いです。

もし何日も濃い尿が出る場合は念のため診療を受けてみて下さい。

「緑っぽい色の尿・白濁色の尿」の場合は何らかの腎臓の病の可能性があります。

たとえば尿に白血球が混在している、腎臓または膀胱内で感性症や炎症が起こっている、ということが考えられます。

「赤色の尿・黒い尿」の場合は非常に危険なサインです。

尿に血液が混ざっているということになりますから、腎臓や尿道などのどこかで出血している可能性が高くなります。

具体的には「急性腎炎」「腎結核」「腎臓ガン」「膀胱炎」などの病が考えられます。

尿の臭いにも注意してみましょう。

正常な尿の場合はそれほど臭いがなく、あっても少し甘い臭いがします。

もし刺激臭のような酸っぱい匂い、鼻にツンとくる臭いがした場合は腎臓の病の可能性があります。

・血圧、高血圧

血圧の乱れは腎臓の機能の低下から起こることもあります。

腎臓と血圧は密接な関係がありますから、もし血圧に異常が出たら腎臓の病を疑う必要もあります。

また、たとえ腎臓の病でなくとも別の要因で高血圧になった場合、その高血圧が腎臓に負担をかけ、結果として腎臓の病を発症させてしまうということもあります。

腎臓病を発症すると高血圧になりやすく、高血圧になると腎臓に負担がかかり・・・という悪いサイクルに入ってしまいます。

高血圧の方は要注意です。特に血圧が「140」以上になっている方はできるだけ血圧が下がるように努力をしてください。

・体のむくみ

体のどこかにむくみの症状が出た場合も腎臓病のサインとなることがあります。

腎臓の働きが悪くなると体内の水分調整が上手くいかなくなり、体の一部分に水分が溜まってむくみが生じやすくなります。

まぶたがむくむ、顔がむくむ、足がむくむ、急に靴が入らなくなった、いつもの服なのにきつい・・・そのような症状が一時的にではなく継続的に出るようなら腎臓の病の可能性も十分にあります。

 

糖尿病による合併症

糖尿病による合併症には様々なものがありますが、そのなかで特に注意したいのが腎臓の機能に大きく関わった「糖尿病性腎症」です。

糖尿病は血糖値が高すぎる病気のことを言いますが、この高血糖の状態が長く続くと腎臓に負担がかかり、腎臓の機能が損なわれることがあります。

この腎臓の機能の欠損が糖尿病性腎症です。

この症状がさらに進行すると「腎不全(腎臓が機能しなくなる状態)」になり命の危機になります。

これまで説明してきたように腎臓は老廃物や毒素を体の外に排出するという重要な機能を持っていますから、腎機能が低下すると体内に老廃物や毒素が溜まり、体内環境をどんどん悪化させます。

それによって老廃物や毒素を含んだ濁った血液が体内の中を駆け巡るので、内臓や脳にも悪影響をもたらします。

それが原因で死に至ってしまうというケースも少なくありません。

そのような致命的なものでなくとも、濃度の高い糖尿によって腎臓の機能が悪くなると、尿そのものが作れなくなる状態になることがあります。

こうなるといわゆる「人工透析」によって人工的に尿を出す治療を受けなければならなくなります。

人工透析の場合、週に何度も通院して長時間にわたって尿を出す治療をしなければならないので普段の仕事にも影響が出てしまいます。

近年、糖尿病によって腎臓の機能が悪くなり人工透析を受ける方が異常に多くなっているようです。

最悪、この人工透析を一生続けなければならなくなるということにもなりかねません。

糖尿病がいかに腎臓と深く結びついているか、そして腎臓というものがいかに体を健康にしてくれているか、また体内の血液をクリーンにしてくれているか、ということを考えなければなりません。

体内に老廃物や毒素が溜まり、血液も高血糖によって汚くドロドロになってしまい、腎臓機能の悪化による「負のサイクル」を作り出すという恐ろしい結果になってしまう前に、日々の食生活や生活習慣を見直し、もし腎臓に負担をかけているようならしっかりと改善を図っていきましょう。

一つ手遅れになると、気が付かぬ間に腎不全になってしまうということもあります。

そうならないためにも、日ごろの生活習慣や食生活を改めることが最も大切になります。

 

まとめ

腎臓がんは初期段階では症状が出ないため、早期発見が困難ながんです。

ただ、お伝えしたように腎臓がんのリスクを高める要因や腎臓に異変が起こったこを示すサインがあることは報告されています。

自分に当てはまる生活習慣や食生活があるのなら、見直すことをお勧めします。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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