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なぜ糖尿病はインスリンや薬ではなく「食事」で改善すべきなのか?

糖尿病が疑われる人は2016年に1000万人に上ったと、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」で公表されました。

「糖尿病の食事療法や運動は難しいので薬で治そう思います。どんな薬を飲めばよいですか?」という声はよく耳にします。

一方でインスリン注射をしながらも、目が見えなくなったとか、足指が腐って切断したとか、透析になったといった話もよく耳にします。

ではどうして、インスリンや薬では糖尿病を改善できないのでしょうか?

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人間の身体は「電気」で動いている

糖尿病とインスリンの関係を説明する前に、身体活動を保つために必要なエネルギーが何から作られるかを説明します。

「心電図(心臓電気図)」からもわかるように、私達の身体の働きはすべて「電気」を使って行われているのです。

だから、24時間途絶えることなく電気が供給されなければなりません。

我々の身体は電気自動車のように、コンセントに接続して充電するわけにはゆかないので、自分で発電しで電気を作らなくてはなりません。

自分の身体を使って発電する(自家発電)為には、発電機が必要です。

我々の身体は、60兆個という膨大な数の“細胞”と呼ばれる工場から出来ていて、これ等の工場では24時間、電気エネルギーを使って色々な生産活動が行われているのです。

一つの細胞には1個以上の発電機があり、心臓や骨格筋に至っては数千個あると云われています。

 

2つの発電材料「糖」と「脂肪」

これらの発電機で電気を起こす為には、発電材料が必要ですが、これには2種類あります。

最も簡単に入手できる「炭水化物=糖(質)」と、もう一つは炭水化物に比べて非常に効率がよい「脂肪」です。

特に植物油よりも「動物脂肪」の方が身体にとって無害で優れています。

炭水化物=糖を発電する為の材料として使う為には、まず10回ほどの処理をしなければなりません。

この10回ほどの工程の際にもエネルギーを消費するので効率は悪くなります。

 

「身体が酸性になる」のが良くない理由とは?

食事として食べられたブドウ糖は、ピルビン酸という物質まで加工された後、“ミトコンドリア”とよばれる発電器官(power station)に取り込まれ、本格的な発電が始まります。

これらすべての工程が正常に行われる為には、細胞やその他の体液は“アルカリ性”でなければなりません。

体液がもし“酸性”である場合は、酸素が溶け難く低酸素となり「癌」をはじめとする色々な変調をきたす事になります。

身体が“酸性”になるのは、せっかく作られた電気が身体を動かす為や、体温を上げる為(正常体温は37℃)に使われないと電気が余るため、発電材料として食べられた「炭水化物=糖」が、細胞内でピルビン酸にまで加工(代謝)された段階で発電装置であるミトコンドリアに入ることができず“乳酸”に変化するからです。

“乳酸”は酢酸よりやや酸性度が高いので、細胞内は“酸性”となり結果として低酸素になります。

一方細胞内が“アルカリ性”になると、酸素が溶け易くなり酸素濃度が濃くなります。

酸素はミトコンドリア(発電装置)が正常に働くために必要不可欠な物質で、呼吸が2分間止まれば酸素の供給は途絶え死に至ります。

我々の身体は電気を使用して色々な仕事(代謝活動)をしているので、停電すれば当然全ての仕事はストップしてしまうからです。

だから、通常はミトコンドリア=発電装置の効率が悪くなると、代謝活動が悪くなり健康が維持できなくなるので、効率が悪くなった発電装置は自然消滅し、新品と入れ替わる様に遺伝子の設計図に書き込まれているのです。

これをミトコンドリアの「アポトーシス=自然死」と呼んでいます。

 

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インスリンはミトコンドリアに材料を供給する「配達屋さん」

炭水化物の基本形である“ブドウ糖”は、自分の身体で“タンパク”-“アミノ酸”を原料として作る(自家生産)事が出来るので、食事として食べる必要性はまったくありません。

この事は、夜10時間くらい寝ていても、朝に低血糖になっていない事からもわかります。

昔から「炭水化物=糖質」は、絶対に食べないといけない“必須栄養素”ではないのです。

絶対に食べないと生命が維持できない“必須栄養素”は“必須アミノ酸”と“必須脂肪酸”だけです。

だから、お米や野菜などの農作物を食べれば、その分肝心の“栄養”が不足し“栄養失調”となり色々な不具合すなわち病気になるのです。

動物が捕まえられなくて、エネルギー不足=カロリー不足になり、生命が危険に晒された時、緊急にインスリンホルモンが分泌され、「農作物=米・野菜=炭水化物(ブドウ糖)」を食べて一時しのぎをするのです。

このためインスリンのことを「飢餓ホルモン」とも言います。

インスリンはタンパクとコレステロールを原料として、膵臓の“ランゲルハンス島”で24時間たえず作られ一時的に貯留されているのです。

食物からの糖が血液中に入ると、それに反応して“ランゲルハンス島”に蓄えられているインスリンが放出されます。

この放出を一次放出と呼んでいます。

その後は順次インスリンを生産しながら二次放出をし、糖の細胞内への運び込みを助けます。

 

なぜ糖尿病はインスリンや薬ではなく「食事」で改善すべきなのか?

ブドウ糖を細胞まで運ぶために使われたインスリンは、肝臓に取り込まれそこで分解処理されます。

だから、インスリンは常に新しく作られるので、その働き(作用)には何等の不具合もありません。

従って、食べた糖が余るのはインスリンの問題ではないので、幾らインスリンを注射で補給しても糖尿はよくなりません。

インスリン注射をしながらも、目が見えなくなったとか、足指が腐って切断したとか、透析になったとかよく耳にするのはその為です。

ではどうして、インスリンが効かなくなるのでしょう。

それは、インスリンの指令を受け取る側、すなわち細胞側に問題があるため、糖を細胞内に運び込むことが出来ないのです。

細胞を取り囲む膜(細胞膜)に何らかの異常がある為です。

ミトコンドリア膜は「脂肪」と「タンパク質」でできています。

異常が起きる原因としては、良質の「動物性脂肪」に代わって、ごま油やサラダ油などの「植物油」が多用される様になったからと考えられます。

「油(植物油)」は非常に錆びやすいです。

その他、良質の動物性タンパクの摂取量が不足気味ということもあります。

インスリンが働く身体にする為には、小腸の糖中毒を治し、糖質を摂らない様にする事です。

その上で、動物性タンパクおよび脂肪を必要量食べる事です。

血液中のブドウ糖の濃度が正常な基準を越えている場合を一般的に糖尿病と呼んでいますが、正確に言えば高血圧症と同様に“高血糖症”と云うべきで、病気ではなく単なる症状に過ぎないのです。

だからこそ、その高血糖症状は薬ではなく、食事で改善すべきなのです。

 

まとめ

糖尿病(高血糖症)になったとき、どのような方法で改善するのかは本人次第です。

また糖尿病や合併症にならないように、どのような対策をするのかは本人次第です。

ただ、病気の原因や本質を見誤った方法では、改善にも対策にも繋がりません。

国民病ともいえる病気ですし、巷には様々な情報が溢れかえっていますが、参考にしてみてください。

 

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ライター紹介 ライター一覧

荒木 裕

荒木 裕

崇高クリニック院長。
1962年 京都大学医学部卒
1967年 京都大学医学部大学院卒
1968年 大阪北野病院勤務
1971年 アメリカハーバード大学付属 小児病院脳神経外科研修医
1973年 アメリカハーバード大学医学部 臨床栄養学部助教授
1976年 アメリカ国立公衆衛生研究所(NIH)客員研究員
1977年 アメリカサウスカロライナ大学 医学部勤務
1983年 崇高クリニック開設

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