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納豆は食後血糖値の上昇を抑える!納豆は血糖値コントロールの味方

生活習慣病
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身近に「糖尿病や糖尿病予備軍といわれてしまった」という人はいませんか。

糖尿病が気になる人にとって、血糖値のコントロールができているかどうかはとても重要です。

血糖値のコントロールは食事と運動の両輪で行っていきますが、とくに血糖値を安定させる効果がある食品があるのならぜひ試してみたいものです。

そこで、食後血糖値の上昇を抑えてくれるのではないかと注目されているのが「納豆」です。

納豆はどのようにして製造され、どのような成分が含まれているのでしょうか。

ここでは、納豆に期待できる効果と併せてご紹介していきましょう。

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納豆を食べたあとの食後血糖値の上昇が抑制される研究データ

ミツカングループでは多彩な種類の納豆を製造・販売しています。

ミツカングループは納豆は発酵することによって原料の大豆の状態を超えるような食後血糖値の上昇を抑える働きがあるのではないかとの仮説を立てて研究し、その成果を発表しました。

もともと食物繊維には糖の吸収を遅延もしくは阻害する働きがあることは知られていますが、大豆も多くの食物繊維も含む食品なので大豆を原料とする納豆にも同様の効果があると推測されます。

この研究のポイントは「納豆には発酵による新たな血糖上昇を抑制する成分が付加されるのかどうか」ということだったのです。

これは健常男性のボランティア12名を被験者として行った研究です。

「米飯150gのグループ」「米飯150g、納豆45g、タレ6gのグループ」「米飯150g、蒸煮大豆45g、納豆と同じタレ6gのグループ」と摂取する食品ごとに3グループに分けます。

そして、それぞれの食後血糖値の変化を測定するという研究を行いました。

食後2時間の血糖値を継続的に測定すると、米飯と大豆を摂ったグループは米飯のみを摂ったグループに比べて糖分の摂取総量が多かったためか食後45分までは米飯を上回る結果になりました。

一方、米飯と納豆を摂ったグループは米飯のみや米飯と大豆を摂ったグループに比べて常に低い値となったのです。

そして食後60分では血糖値が抑えられていることが確認されました。

この研究によって納豆が食後高血糖を予防してくれるということがわかります。

納豆を食べたときには大豆を食べたときと異なる作用がある、つまり「大豆にはない納豆に含まれる成分が食後高血糖の抑制に作用している」ということがわかったのです。

さらに、この研究の報告書で研究チームは「なぜ大豆を原料とする納豆にこのような食後血糖値の上昇を抑える働きがあるのか」についての考察を加えています。

そこでは「納豆に含まれる大豆の約1.5倍の水溶性食物繊維が糖の吸収を抑制しているのではないか」と推測したのです。

発酵による納豆のネバネバも理由のひとつではないかとも推測されるのですが、なぜネバネバが糖の吸収を抑制するのかはまだわかっていないため考察には加えられていません。

ミツカンは科学的証拠のない食品の機能については発表しないという慎重な姿勢を貫いています。

そのため納豆が食後血糖値の抑制に効果があるという事実には十分信頼がおけると考えられ、今後より詳しい研究が行われることが待たれるのです。

食後高血糖は血糖値を体に取り込むホルモン「インスリン」の量や働きが低下している糖尿病初期の状態です。

食後高血糖を改善できる方法があるのなら、ぜひ取り入れてみたいものです。

 

朝に納豆を食べた日の昼食後の食後血糖値の上昇が抑制される研究データ

納豆を摂取した効果はどのくらいの期間続くものなのでしょうか。

愛知学院大学の研究チームは、納豆や豆乳を摂ると次の食後の血糖値の上昇が抑制されるのではないかという仮説のもと研究を行いました。

納豆に食後血糖値を抑える働きがあることを踏まえ「納豆の摂取は、次の食事の際の食後血糖値を抑制する効果もあるのか」ということが、この研究のポイントです。

この研究では21~22歳の大学生の男女29名に対して「普段の朝食だけ」「普段の朝食に豆乳や納豆を加えた食事」それぞれの場合について、昼食後の血糖値の動きがどのように異なるかを調べました。

まず全員に対し「普段の朝食」をとった日の昼食に「米飯とお茶」を摂ってもらい、昼食のあと15分ごとに血糖値を測定します。

次に「普段の朝食に豆乳400mlを足したグループ」と「普段の朝食に納豆90gを足したグループ」に分けて昼食後に同様の検査を行い血糖値を比較しました。

豆乳を摂取したグループは昼食のあと30分の血糖値が低くなるという結果となり、また納豆を摂取したグループは昼食のあと15分、30分、45分の血糖値が低いという結果でした。

 このことから朝食に豆乳や納豆を摂取しなかったグループより摂取したグループの方が昼食後1時間の血糖上昇を抑えられていることが分かったのです。

研究チームは朝食時に摂った納豆や豆乳に含まれる不溶性の食物繊維が関与している可能性があると考え、翌年にも類似実験を行いました。

しかし、この2回目の研究では朝食での豆乳や納豆の摂取が昼食後の食後血糖値を抑制するというデータが得られなかったのです。

「納豆などの豆類が次の食事の食後血糖値の上昇を抑制する」ということはまだ「可能性がある」としかいえない段階と言えます。

1日の最初の食事である朝食でインスリン濃度や血糖値が上がることを抑えると2回目の食事、つまり昼食で摂取した後の血糖値の反応も改善するのが「セカンドミール効果」です。

このセカンドミール効果に関してはまだわかっていないことが多いのですが、忙しくて昼食がおざなりになりやすい現代人にとっては魅力的な作用であるため注目が集まっています。

世界各地でもセカンドミール効果の研究が重ねられているので、今後また新しい研究結果が報告されるかもしれません。

 

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大豆が納豆になるまでのプロセス

納豆は美味しいだけではなく健康にも良い発酵食品として注目を集めている食品です。

最近では納豆特有の食後血糖値の抑制効果があるのではないかと期待されています。

また、朝食べるだけで昼の食後血糖値も抑えてくれるのではないかとの期待も高まり、さまざまな調査研究も行われているほどです。

原料となる大豆からこの期待の発酵食品「納豆」ができるまでには、どのような加工がされているのでしょうか。

大豆が納豆になるまでのプロセスを見ていきましょう。

納豆の製造は大豆を選別と洗浄し、水に浸して蒸し、納豆菌を加え、容器に入れて発酵させるという手順を踏みます。

大豆を納豆にするという一番大切な仕事は納豆菌がしてくれるため、納豆菌が大豆を発酵させるために働きやすい環境と美味しさを作りやすい温度管理をしてあげることが何より大切です。

<選別と洗浄>

原料となる大豆には石などの異物が混じっていたり、虫食いや割れ、変色しているものがあったりするので、まずこれらを取り除くことが必要です。

大豆の大きさが不揃いだと発酵に係る時間が異なってしまうため、大豆の粒の大きさごとに分けていき、粒がそろった良い大豆に付着している土や細かいゴミなどを水で洗い流します。

<浸漬>

きれいに洗った大豆を水に浸すのが浸漬という作業です。

この作業により元の大豆の2~2.3倍くらいの重量になります。

大豆に水をたっぷりと吸収させることにより蒸す工程での熱の通りが良くなり、風味や固さなどを均一に仕上げることが可能です。

 水温によって浸漬時間は異なります。

水温が25度位であれば7~8時間位が目安であり、15度位であれば17~18時間が目安です。

大豆の重量の3倍位の水が良いと言われ、大豆の粒のサイズや品種によって浸漬時間を調節します。

<蒸す>

よく浸水した大豆を圧力釜で柔らかくふっくらと蒸しあげる蒸煮という作業です。

蒸す作業によって納豆菌が栄養を取りやすくなり大豆は柔らかくなります。

そして納豆菌が増殖しやすい環境になり、納豆菌がつくりだす多様な酵素類が大豆に浸透しやすくなるのです。

浸透した納豆菌の酵素は大豆の成分を分解し、うまみを引き出します。

<納豆菌噴霧>

蒸した大豆に純粋培養した納豆菌を噴霧して表面に付着させる作業です。

蒸した大豆の温度が70~90度程度のうちに噴霧すると雑菌の混入を防ぐことができます。

<発酵容器充填>

発酵容器は店頭で販売される容器である「発泡スチロール」や「紙カップ」「ポリ袋」「経木」などです。

どの容器であっても、雑菌が入ってしまうことを防ぐために煮豆が熱いうちに充填の作業を済ませるよう注意します。

納豆菌が増殖するためには酸素が必要なため、大豆と大豆の間に適度な隙間があるようにふんわりとさせて空気の通りを良くすることが大切です。

<発酵>

発酵は38~42度を保って納豆菌が働きやすい環境をつくります。

季節や大豆の大きさ、容器などによって異なりますが16~24時間発酵させ、その後室温程度まで除湿を行いながら冷ますという作業です。

除湿には発酵容器内溜まった納豆菌による代謝ガスを取り除く効果もあります。

この過程で大豆は納豆に変わり栄養価がアップするのです。

<熟成>

発酵後は5度以下の低温を保ち、発酵で増えた納豆菌を休ませてあげます。

この熟成の温度管理は、発酵と共に納豆のおいしさに関わってくる大切な過程です。

 

納豆を食べると血糖値コントロール以外にもメリットが沢山ある

納豆の原料となる大豆は食物繊維も豊富であり、水溶性の食物繊維は血糖値の上昇を抑えてくれます。

また、納豆の発酵成分が血糖値のコントロールを助けてくれるのではないかとも言われているのです。

調理する手間がない納豆ですから、血糖値のコントロールに役立つのなら毎日でも摂り入れたい食品と言えるでしょう。

血糖のコントロール以外にも、納豆はさまざまな健康や美容の効果があると話題になっています。

納豆を食べることで期待できる効果には、血糖値コントロール以外に何があるのでしょうか。

●脳梗塞や心筋梗塞の予防、ナットウキナーゼ

動脈硬化が進んだり血液の循環が悪かったりすると心臓や血管で血液の塊ができてしまいます。

その塊が血液に乗って身体を巡り、細い血管で詰まり、血栓となって心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすのです。

納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」という酵素はこの血栓を溶かす効果があります。

ナットウキナーゼの血栓を溶かす作用は大変強いため、血液を固まりにくくする薬を服用する際に「納豆は食べないように」と指導されるほどです。

このナットウキナーゼの効果は6~8時間持続するので、身体を動かさず循環が悪くなりやすい夜に納豆を食べるとよいとも言われています。

●動脈硬化の予防、ポリアミン

動脈硬化は血圧が高かったり血液の成分に異常があったりすることで血管壁に傷が付くことをくりかえしているうちに血管壁が硬く厚くなってしまい、血液の通る道である血管内腔が狭くなってしまう状態です。

血管内腔が狭くなると血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなったり詰まりやすくなったりします。

納豆に含まれる「ポリアミン」はタンパク質を合成したり細胞を増殖したりする新陳代謝に関わっている成分です。

ポリアミンは組織の再生に関わり、血管の柔らかさを維持してくれます。

またポリアミンは肌のハリをよくしてくれるなど美容への効果も期待できるアンチエイジングの成分とも言われているのです。

●骨粗しょう症の予防、ビタミンK2

加齢や無理な減量、女性ホルモンの低下によって骨密度は減少します。

これにより骨がスカスカになってしまうのが骨粗しょう症です。

血液中のビタミンK2の濃度が低い女性は骨粗しょう症から生じる圧迫骨折を起こしやすいと考えられています。

納豆にはこのビタミンK2がたくさん含まれているのです。

ビタミンK2がどのように作用して骨粗しょう症を予防するのかはまだ明らかにされていません。

しかしながら「納豆の消費量が多い都道府県は骨折率が低い」という報告もあるのです。

●記憶力アップや認知症予防、レシチン

納豆の原料となる大豆に多く含まれる「レシチン」は細胞膜の主な成分であり、神経や神経組織を構成する素材になります。

レシチンをしっかり摂ることで脳や神経がうまく機能する状態を保つことができ、物忘れや認知症を防ぐことが可能です。

●免疫機能を良好に、レバン

納豆のネバネバ部分に含まれる「レバン」にはアレルギーを抑制する働きがあります。

そのため「じんましん」や「花粉症」「気管支喘息」などのアレルギーに効果的です。

さらに腸内環境が良好だと免疫力が高まったり、さまざまな面で体調を整えてくれたりすると言われています。

納豆菌はこの腸内環境にも良い影響を与えるのです。

納豆菌自体は善玉菌でも悪玉菌でもありませんが、納豆菌が腸を通り過ぎることで腸内での悪玉菌の増殖が抑えられるため、結果的に腸内環境を良くしてくれます。

 

ほかにも納豆に含まれるタンパク質やアミノ酸、ビタミンB群には美容効果があるなど、納豆はさまざまな効果が期待できる食品と言えるでしょう。

 

まとめ

納豆は食物繊維やレシチンなど原料となっている大豆の成分だけでなく、納豆菌をかけて発酵・熟成させることによって多くの身体に良い成分を含むようになります。

納豆による食後の血糖値上昇を抑える作用については現在も研究途上ですが、納豆の血糖値コントロールへの効果が徐々にわかってきているのです。

納豆は血糖値への影響以外にも血管壁を柔らかく若々しく保つ効果や、納豆を日常的に食べている人は骨粗しょう症などになりにくいとのデータもある注目の食材と言えるでしょう。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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