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日本人にじわじわ増加している「胆管がん」

生活習慣病
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胆管がんは5年生存率が非常に低いがんであり、手術以外に根治を期待できる治療法がいまだ確立されていないのが現状です。

消化器系のほかの疾患と臨床症状が類似しており、症状以外にも採血や画像などを用いた総合的な判断が求められます。

ここでは胆管がんの原因や検査、治療法、日常生活において実践できる予防法について見ていきましょう。

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日本人に増加している胆管がん

「胆管がん」「胆のうがん」を総称して胆道がんと呼ばれていますが、胆道がんは東アジアや中南米、北欧に多く、地域によって罹患状況に差が見られます。

近年は日本においても胆道がんが増えており、高齢化や生活習慣の変化などの影響が考えられているのです。

初期症状が乏しく症状が現れているときには、すでに病態が進行してしまっていることがあります。

また健診やほかの目的で受けに行った検査で、たまたま胆管の異常を指摘されることもあるでしょう。

<胆管がんとは>

胆管がんとは、胆管という胆汁の通り道に発生する悪性腫瘍のことです。

胆管の長さは10~15cmほどであり、がんがどこに発生するかによって種類があるため治療法が異なります。

年代としては70代、80代に多く、若い年齢で亡くなる方はまれです。

また胆のうがんが女性に多いがんである一方、胆管がんは男性に多いという特徴があります。

肝臓内の胆管に発生するのが「肝内胆管がん」であり、肝臓外の胆管に発生するのが「肝外胆管がん」です。

がん細胞が胆管を塞いでしまうことによって、黄疸や白色便、黄疸尿、かゆみといった症状が出現します。

胆管は細いため、がんによって管が塞がれやすく胆汁がスムーズに移動できなくなってしまうのです。

食欲不振や全身の倦怠感、上腹部痛など、ほかの消化器疾患と類似した症状が見られることがあります。

胆管がんには特異的な症状が乏しいため、ほかの疾患との鑑別が重要です。

また、胆管がんは局所で進行する以外にも周囲のリンパ節への転移や肺など離れた臓器への遠隔転移、がん細胞が直接組織にこぼれてしまう播種に分類されます。

胆管がんでは転移や播種が起こるため、根治が非常に難しくなってしまうのです。

胆管がんの転移で多いのは肝臓であり、場合によっては肝臓の一部を切除することもあるでしょう。

<胆管がんの増加要因>

胆管がんは国内で増加傾向にあり、胆道がん(胆のうがんも含む)は年間2万人以上の人が診断されている病気です。

諸外国と比較しても日本は胆管がんの罹患者数が増えています。

その背景として、まず高齢化が挙げられるでしょう。

胆管がんをおこしやすい、あるいはかかりやすい年齢は70代や80代です。

このことも、胆管がんの罹患者数増加に高齢化が関与していることを物語っています。

また人の体には「がん抑制遺伝子」や「免疫細胞」などがあり、これらの働きはがん細胞の増殖を抑えてくれることです。

ところが高齢になるにつれて、がん抑制遺伝子や免疫細胞などの機能が低下するため、がんの増殖を止めることができなくなってしまうのです。

このほかの要因としては糖尿病や肥満、運動不足などといった生活習慣に影響する因子などがあげられます。

人々の生活習慣が変化したことが胆管がん増加の背景にあると考えられているのです。

食べ物が簡単に手に入る時代であり、交通機関や交通手段の発達などによる運動不足など、まさに現代人が陥りやすい生活習慣病ががんの発生に深くかかわっていると言えるでしょう。

また、印刷工場で胆管がんの罹患者が多いということが以前話題になったことがあります。

これは印刷工場で使われるジクロロメタンなどの化学物質を空気の通りがよくない場所で、高濃度で曝露してしまったことが影響していると考えられています。

このように胆管がんが国内で増加している要因は実にさまざまです。

しかし、生活習慣を改善することや労働環境へ配慮することなどが胆管がん発症の予防につながる可能性も十分にあります。

 

検査で早期発見したい胆管がん

胆管がんの5年生存率を大きく左右する有効な治療法は今のところ手術となっています。

また、がんが胆管のどの部位にできているのか、ほかの部位に転移しているかどうかで治療法が異なってくるのです。

肝臓に隣接している場合、肝臓を切除するにしても肝臓の機能をきちんと評価したうえで切除範囲を決定していく必要があります。

さらに年齢や治療の侵襲に耐えうることができるかどうか、本人の希望など、さまざまな内容を考慮し本人と医師との間で治療法を決定していくこととなるでしょう。

胆管がんの治療方法

胆管がんの治療法はおおまかに「手術」「抗がん剤を用いた化学療法」「放射線療法」に分類されます。

治療法はがんの進行具合や本人の体力や意志、年齢など、さまざまなことを考慮して決定していきます。

・手術

胆管がんの根治を目指すことができる有効な治療法は外科的手術です。

手術はがんが胆管のどの部位にできているのかによって、隣接する臓器の切除範囲などが決定されます。

肝内胆管がんでは肝臓切除術、肝外胆管がんでは肝臓切除と肝外胆管切除を合わせておこなっていきます。

また膵臓に隣接する肝外胆管がんで実施するのは膵頭十二指腸切除術です。

いずれも根治性と安全性とを見極め適切な方法を選択することとなります。

がんの進行具合や転移などがある場合には手術困難と判断されることもあるでしょう。

・抗がん剤

すでにがんが腹膜や骨、肺や脳に転移しており、手術困難であると判断された場合には抗がん剤治療などの適応となります。

標準治療ではゲムシタビンとシスプラチンという薬剤の併用が基本です。

本人の体の状態に合わせ薬剤が選択され、外来で治療を受けることが可能となっています。

ただ根治を目標とする手術とは違って、症状の緩和やがん自体のサイズを小さくするといった目的で行われる治療であるということを押さえておく必要があるでしょう。

手術の後に抗がん剤治療を行うケースもあります。

・放射線治療

放射線療法も抗がん剤と同様に手術適応とならない場合に行われます。

また、抗がん剤による治療効果をより高めたいというときにも実施されます。

延命や黄疸への治療、疼痛緩和などさまざまな目的で選択される方法です。

胆管がんの5年生存率

国立がん研究センターがん対策情報センターのデータによると、2009~2011年診断例で見ると胆のう・胆管がんの5年生存率は男性で26.8%、女性で22.1%となっています。

予後不良の病として知られる膵臓がんに次いで2番目に低い数値となっているのです。

乳がんや前立腺がんなどの5年生存率は90%を越えており、これらのがんと比較しても数値に大きな差があることがわかります。

これだけ5年生存率が低い背景として、まず胆管がんは初期の段階での自覚症状が乏しいということが挙げられるでしょう。

胆管がんは早期に発見することが難しいのです。

胆管がんが見つかったときには、すでに病態が進行しているということも少なくありません。

膵臓や肝臓などの主要臓器に隣接しているため、場合によっては手術困難と判断され根治の可能性が低くなってしまいます。

またステージごとの5年生存率を見てみると、ステージⅠの段階で見つかった場合には生存率が80%を越えており、早期発見がいかに重要かということが分かります。

ステージがⅡ・Ⅲと上がるほど徐々に5年生存率は下がり、ステージⅣの場合には極めて低い数値となってしまうのです。

ニュースなどで著名人が胆管がんで亡くなってしまったという内容を見たことがある人もいるでしょう。

ステージⅣなどでは、がんが見つかって治療したとしても亡くなるまでの期間が短いことが分かります。

このことからも、初期の段階でがんが進行する前に、また播種や転移などが起こる前にがんを発見できるかということが5年生存率を左右するカギになると言えるでしょう。

胆管がんの早期発見に向けた検査

胆管がんは初期の段階では自覚症状が乏しいことから、検査による客観的指標でがんを発見することが重要です。

検査はおもに血液検査とさまざまな画像診断に分類されます。

また胆管は肝臓や膵臓といった重要な臓器にも隣接しており、近い場所にがんが発生している場合には肝臓や膵臓の一部を摘出しなければならないこともあるでしょう。

・採血

採血による検査では胆道系の酵素の値やビリルビンの上昇をチェックします。

肝酵素の上昇があると肝臓への障害や感染といった可能性も考えられるので併せて確認を行います。

・エコー検査

超音波を利用して体内の様子を映し出す検査です。

胆管など腹部に集まる臓器の病変を簡易的にチェックするのに便利な方法であり、腹部にゼリーを塗るだけと負担が少ないことも検査のメリットとなっています。

また、がんがどの部分を塞いでしまっているのかを捉えることが可能です。

・MDCT(マルチスライスCT)

腹部に集まる臓器を多方面から撮影し、あらゆる角度から病変部分を観察できる検査になります。

造影剤の使用によって病変部分が鮮明に映し出され、がんの広がりや場所、浸潤の有無を詳しく知ることができる検査です。

・EUS(超音波内視鏡検査)

胃カメラの先端に超音波装置が付いたもので膵臓や胆のう、胆管などといった部位を調べます。

通常のエコー検査よりも精度が高く、太さがあるため麻酔が必要ですが胃カメラと同様に検査をおこなうことが可能です。

・ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

このERCPでは内視鏡を体内に進めていきます。

十二指腸乳頭部から総胆管に向けてチューブを挿入し先端部分から造影剤を注入する検査です。

胆管や膵管の形、閉塞や狭窄の有無のほか結石の存在についても確認することができます。

・MRCP(MR胆管膵管造撮影)

MRI検査のひとつで、機械の進歩により造影剤を使うことなく膵管や胆管といった部位の病変の検査ができることが大きな特徴です。

侵襲が少なく、より詳細に検査ができることから胆管がんの早期発見に役立つ検査と言えるでしょう。

・MRI検査

磁力を活用し、腹部の臓器を輪切りにして捉えた画像をチェックすることができます。

磁気の影響があるので、ペースメーカーが埋め込まれている人には実施が難しいことに注意が必要です。

・PET検査

がんがブドウ糖を取り込む性質を利用し、FDGというブドウ糖に類似した薬剤を使用して病変をチェックする検査になります。

MRIやエコー検査などが臓器の形をみるのに対し、がん細胞の動きや活性が評価の指標となる点が特徴です。

ステージが浅い早期の段階ではFDGが集積しない場合もありますが、がんの転移などを調べる際に有効となります。

 

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気になる胆管がんの原因と予防

日本人に珍しくない胆管がんですが、その原因は先ほども触れたとおり実にさまざまです。

原因がわかればがんを予防するための対策を講じることができます。

とくに以前とは違ったライフスタイルの変化ということが、がんの発症に大きく関与しているとされ、ほかのがんと同様に生活習慣を見直してがんにかかりにくい体作りや生活を習慣にしていくことが重要です。

ここでは胆管がんの原因や具体的に生活において、どのような点に注意していけばよいのか詳しくみていきましょう。

胆管がんの原因とは

胆管がんが起こる背景としてあげられるのは、以下のとおりです。

・膵胆管合流異常

膵液が胆管などに逆流し、持続的に胆管に炎症を起こすことが胆管がんの発症の原因のひとつと考えられています。

・化学物質による高濃度曝露

印刷工場でのジクロロメタン、1,2-ジクロロプロパンを高濃度に曝露したと考えられる労働者から胆管がんの発症が確認され、労災認定されたというケースがあります。

このケースでは、職場で十分な換気がおこなわれていなかったということも問題点として挙げられているのです。

このような有機溶剤を使う職業に従事している人は、とくに防毒マスクの着用や十分な換気をおこなう必要があります。

・生活習慣

偏りのある食事や過度なアルコール摂取、喫煙、ストレス、運動不足などの生活習慣は肥満や糖尿病、脂質異常症などといった生活習慣病はもちろん、がん発症の原因としても考えられています。

結婚や出産、転職、退職など自分を取り巻く環境の変化によって生活に変化が生じ、アルコールや喫煙が過剰になる、ストレスを受けやすい環境になる、運動不足になってしまうなどといったこともあるでしょう。

がんを予防するためには、現在の生活習慣を見直し改善を図ることが必要です。

胆管がんを予防しよう

ここからは、胆管がんの予防につながる生活習慣について考えていきましょう。

・運動

適度な運動によって体の活動量をアップさせることは、がん予防に効果的です。

仕事などでなかなか運動の時間を確保できないという人は、「できるだけ階段を使う」「ひとつ前の駅で降りて歩いて帰る」などして可能な範囲で運動できる機会を増やしていくとよいでしょう。

休日など、まとまった時間をとることができる場合にはウォーキングや軽めのジョギングなどを取り入れ、息がはずむ程度の運動を実施するよう心がけてください。

・禁煙

喫煙する人は喫煙しない人と比較して、がんになる確率がアップするというデータがあります。

がんをしっかりと予防していきたいという人は思い切って禁煙にチャレンジしてみましょう。

場合によっては周囲の人の協力が必要になることもあります。

禁煙外来を受診して専門家のサポートのもとで実践してみるというのもおすすめです。

また受動喫煙もがんのリスクが高まります。

そのため煙草の煙を吸わないように気をつけることも重要です。

・飲酒量を見直す

過度な飲酒はがんのリスクを高めることが報告されています。

飲酒の習慣がある人は適量に留め、過度に摂取することは避けましょう。

・ストレス

ストレスが体や心にかかると体内で増えた活性酸素で遺伝子が傷つき、がんが発症するというメカニズムがわかっています。

環境の変化や身近な人の死、人間関係のトラブルなどで大きなストレスがかかってしまうこともあるでしょう。

対処法としてはストレスをため込まず発散して解消することが大切です。

ストレスとなる原因からいったん離れてみる、趣味や外出で気分転換を図るなどといったことを実践してみましょう。

・食事

がん予防におすすめしたいのが食事における「糖質制限」です。

食事に糖質が多いと血糖値が上昇し、血流量が増えることで血圧が上昇します。

そのため、糖質を徹底的に制限することで血糖値の上昇を押さえインスリンの分泌量を抑えることができて、肥満防止にもつながるのです。

大切なのは、ご飯やパンなどの炭水化物を徹底的に避けることになります。

炭水化物(糖質)を避けつつも、必須アミノ酸や必須脂肪酸などの栄養はしっかりと摂取し、健康的な食事を摂ることが求められるのです。

ニンジンやジャガイモなどの根菜類や果物には多くの糖質が含まれ、ケチャップやみりんなどの調味料にも糖質は含まれるので、摂取する際には注意してください。

 

まとめ

胆管は周囲が主要な臓器や血管に囲まれているため、胆管がんの病態が進行してしまうと手術適応とならない場合もあり、がんを根治するということが難しくなってしまいます。

そのため、がんが進行する前に早期発見するということが重要です。

定期的に健診を受け、黄疸症状などをそのまま放置せず、気になることがあれば専門家にすぐ相談してみるという意識でいることも重要だと言えるでしょう。

また、食生活をはじめとした生活習慣を見直し、がん予防に取り組むことも大切です。

 

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ライター紹介 ライター一覧

木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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