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最悪の場合失明することも!気付きにくい「糖尿病網膜症」の症状とは

 2016/04/03 生活習慣病
この記事は約 7 分で読めます。 3,197 Views

糖尿病網膜症は糖尿病の合併症です。目に張り巡らされている細い血管に血液を送る働きが、糖尿病による高血糖で正常に機能しないために起こります。

結果として、酸素が欠乏して新しい血管が異常に作られたり、血管が破損して出血が発生し、網膜を剥がした入り、透光体に出血が流れ出して視界を遮ることになります。

ほとんど自覚症状がないまま重篤になるまで気がつかないため失明することが多く、失明した後は回復することはありません。失明を防ぐためには早期発見が重要で、早ければ早いだけ視野の欠損は限定的になります。

糖尿病と診断されたら自覚症状はなくても定期的に眼底の検査を受けることを心がける必要があります。検査は、眼底カメラによって眼底を撮像するものや視野計を用いて視野の欠損を確認するような簡便なものがほとんどです。

半年に一度ぐらいの間隔で眼科で検診を受けることで確認できます。

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糖尿病網膜症は自覚症状がない

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眼の構造は黒目の部分にあたる角膜から入った光が網膜と呼ばれる眼底に結像することで視神経が光を感受し、脳へ情報伝達しています。

眼底の中心にある黄斑部と呼ばれるところが最も詳しい情報を受け取るところで文字などの細かなイメージを読み取るのに使われます。その周辺は少し大雑把なイメージを捕らえます。

失明と呼ばれる状況は網膜の視細胞が機能不全になることです。黄斑部が機能不全になると文字などが見えないため、生活に支障が出ます。

糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で網膜下の血管に十分な酸素が行き渡らないために機能不全に陥るものです。糖尿病を発症してから数年から10年以上経過して発症します。

周辺部で機能不全が起きても少し暗さを感じる程度で、見えないという自覚症状はありません。黄斑部が影響を受けて初めて自覚できるようになるため、失明につながることが多くあります。

 

糖尿病網膜症で失明になる過程

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糖尿病になると高血糖になります。

高血糖とは血液が水飴のようになる状態で、流れが悪くなったり、血管壁にひっついたり、そのまま固まってしまったりします。そのため運ばれるはずの酸素が行き渡らないことや、血管壁が傷ついて壊れやすくなるような症状を起こします。

眼底に張り巡らされる血管は細く、影響を受けやすいため詰まってしまったり、破れてしまったりします。

糖尿病網膜症は単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症という三段階で進行します。一度壊れてしまった網膜は修復しないため、早期発見で視野の欠損部分が広がる前に食い止める必要があります。

眼底カメラや視野検査によって眼底の状態を確認することができます。最近ではOCTと呼ばれる方法で眼底断面を検査できる技術も使われて早期発見できるようになってきています。

定期的な検査でしか失明を防ぐことはできません。

 

1.初期段階の単純糖尿病網膜症

糖尿病網膜症の初めの症状です。この段階で失明することはありません。この時は血糖値をコントロールして健全な血液の状態を保つことで回復できる可能があります。

症状としては、眼底の血管がコブ状に膨れる状態になっている毛細血管瘤ができていたり、軽い出血が発生したことによる点状の出血痕が眼底に現れたりする状態です。痛みも視野の欠損もないため自分でわかることは難しいと思います。

検査の方法としては、眼底の異常な血管を探すため蛍光造影法が用いられます。薬品を投与して血管に集まった薬品に光を当てて血管だけの映像を撮影するものです。

もし血管が詰まっている場合は、通常あるべきところに血管がないことでわかります。血管のどこかが破裂している場合は、薬品が漏れ出しているため血管の途中のところで丸く広がっています。

このように血管だけを確認して、異常な部分を探し出します。

 

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2.中期の前増殖糖尿病網膜症

単純網膜症から一段階すすんだ状態です。完全な失明に至ることはありませんが周辺の視野の欠損など部分的な失明になる段階です。

この状態で治療すれば、視野欠損を限定的な範囲にとどめることはできます。ただし、欠損した部分が戻ることはほとんど望めません。

単純網膜症よりも広い範囲で網膜血管が閉塞した糖尿病網膜症です。閉塞した先の細胞は酸欠状態になるため、それをなんとかするために新しい血管(新生血管)を作って、足りない酸素を補おうとします。

場所を構わずに新生血管が作られるため、血管同士が異常に重なるような状態になります。無理やり作られた新生血管は網膜に影響を与えます。

その結果、自覚症状として視界が霞んだりしますが、痛みを伴うことはないためあまり重篤な悩みにはなりません。この段階で視野の欠損が部分的をそれ以上広げないような治療を施します。

 

3.最も失明に近い増殖糖尿病網膜症

もっとも進行した糖尿病網膜症です。発見が遅ければ失明につながる段階です。

前増殖糖尿病網膜症で作られた新生血管が伸びて、網膜の表面や眼球内の透明な部分(硝子体)にまで伸びていきます。新生血管は即席のものですから、もろく破裂しやすい状態です。

血管壁が破れると出血につながります。出血した血液は硝子体に広がります。通常透光体である部分に血液がたまるため、視野が塞がれます。出血量が多いとそれだけ見えない部分が増えるため急な視力低下につながります。

その他にも線維性の増殖組織といわれる膜が網膜状に発生します。この膜が突っ張るような働きをして網膜を剥がしてしまう網膜剥離と言う症状を起こすことがあります。一度剥がれてしまうと自然に戻ることはないため手術で回復する必要があります。

このように色々な要因により網膜が傷つくことで失明することが多くあります。

 

糖尿病網膜症の治療方法

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現在の医学では失明した状態から回復することはできません。失明に至らないためには、初期段階でそれ以上悪化しないように予防したり、中期で視野欠損を部分的に止めるしかありません。

糖尿病網膜症の治療方法は凝固術になります。詰まってしまった血管や酸欠によってできる新生血管をレーザや電極などで焼き固める方法です。

糖尿病網膜症は出血による影響が大きいためそれを防ぐことが先決になります。破裂しそうな部分を見つけ出してその血管を焼き固めてそれ以上悪くならないようにする。凝固は点状に行うため視界を大きく奪うことはありません。

見えなくなる部分を最低限に止めてそのほかの部分を残すという保守的な方法しかないのが現状です。

今後、iPS細胞で網膜の再生が可能になると網膜の交換ができるようになるかもしれません。そうすれば、失明した状態を回復することができるかもしれません。

 

まとめ

糖尿病網膜症は自覚症状がありません。それが失明率を上げている原因でもあります。

失明を防ぐ方法として、症状がなくても検診を受けることです。定期的な検査によって早期に糖尿病網膜症を見つけることができます。

糖尿病網膜症を見つけるためではなく、糖尿病になったら眼底の検査を受ける必要があると考えることが予防につながります。糖尿病網膜症になってしまうと回復することが難しいため、初期であればあるほどリスクは少なくなります。

眼底カメラの検査も視野検査も非接触で簡単におわるものが多く扱われるようになったため、検査の負担も軽くなりました。それでも、精度は上がっているため、初期の症状でも確実に見つけだすことができます。

失明すると生活に与える支障は大きものになります。糖尿病の症状を抑える努力と併せて定期的な検診を忘れないことで糖尿病網膜症を未然に防ぐことが重要です。

 

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木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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