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無自覚なことが多い「甲状腺がん」

女性の方が男性よりも3~5倍も多く、40歳から50歳代の女性に発症しやすいがんが「甲状腺がん」です。

甲状腺がんは、罹患している本人さえも気づかないケースが多く「無自覚のがん」とも言われます。

ここでは、甲状腺がんについて特徴や種類、症状や原因、治療法や予防法について紹介します。

甲状腺がんの特徴

全がん患者の中でも、甲状腺がん患者の割合は「全体の約1%程度」ととても低いです。

男女比では、圧倒的に女性の患者が多く、甲状腺がんに罹る割合は男性の3倍~5倍と高くなっており、発症しやすい年齢では50代の女性がもっとも多いという統計が出ています。

甲状腺がんの「乳頭がん」や「濾胞がん」は、甲状腺の腫れという自覚症状以外、取り立てて他の症状が無自覚なことも多いため、罹患している本人さえも気づかないことが多いことから、甲状腺がんは「無自覚のがん」とまで揶揄されることがあります。

そのため、たまたま受けた健康診断や体調が不良で病院に行き、医師から指摘されることで始めて甲状腺がんということが判明するケースが少なくありません。

近年では、頸動脈超音波検査やPET検診の普及が進んだことで、このような腫瘍が発見されることも増えてきています。

この甲状腺がんは、他の一般的ながんと比較して、ほとんどの甲状腺がんでは進行は遅いです。

しかし、甲状腺がんのなかでも悪性度が高い「未分化がん」に於いては、甲状腺の腫れが急激に大きくなるなどの症状から始まり、神経、食道などの浸潤、肺や骨に転移しやすい質の悪いガンとして、特に高齢者に多くみられるガンのひとつになっています。

 

甲状腺がんの種類

甲状腺がんは、がん細胞の組織の形から、「乳頭がん」「濾胞がん」「髄様がん」「未分化がん」に大きく分類されていますが、さらに、甲状腺にがんができる「悪性リンパ腫」があります。

このうち、甲状腺がん患者の大半、およそ9割を占めるのが「乳頭がん」甲状腺がんのなかでも最も多いがんといえます。

そして、この乳頭がんは、悪性度が低く、進行も遅い傾向にあり、治りやすく予後が良いとされ40歳代から50歳代の女性がもっとも患者に多いことが特徴です。

乳頭がんは、リンパ節への転移が多くみられるもののリンパ節の切除を含む手術を中心とした治療で、予後が良いとされるがんです。

さらに、甲状腺がんの種類のうち、「濾胞がん」は全体の5%程度で、乳頭がんよりやや高齢者の多い傾向がありますが、濾胞がんは、血液の流れに乗り、遠い臓器である肺や骨に転移しやすいという厄介な性質を持っています。

そのため、血液に乗って転移したような場合の予後はあまり芳しくないともいえます。

「髄様がん」は、甲状腺がんのなかでも、1~2%程度というかなり少ない割合のがんですが、このがんの特徴として、乳頭がんや濾胞がんよりも進行が早く、リンパ節や肺、肝臓への転移を起こしやすいことがわかっています。

このような髄様がんは、傍濾胞細胞というカルシウムを調節するカルシトンと呼ばれるホルモンを調節する細胞ががん化したもので、髄様がんのうち、2、3割が遺伝性で起こることから、家族も含めた検査が行われることがあります。

また、甲状腺がんの種類のなかでも「未分化がん」は、甲状腺がんの1~2%程度にみられるがんですが、特に高齢者に多いがんで、甲状腺の周囲の臓器である反回神経、気管、食道への浸潤や肺、骨などに転移しやすい悪性度の高いがんといえます。

そして、「甲状腺の悪性リンパ腫」は、血液やリンパの腫瘍である悪性リンパ腫が甲状腺にできたものですが、この病は、慢性甲状腺炎である「橋本病」が背景にある場合が多く、長期に渡り患っている高齢者の患者数が多く、症状として、甲状腺の急激な腫れや声がれ、呼吸困難などが現れることがあります。

 

甲状腺がんの症状

「甲状腺」は、のど元のいわゆる「喉仏」といわれる甲状軟骨を下から支え、包み込むようにある臓器です。

甲状腺がんのなかでも9割を占める「乳頭がん」や「濾胞がん」は、甲状腺が腫れるという症状以外、特に自覚症状がないことが特徴的で、たまたま行った健康診断や病院などで医師から指摘されて判明することが多いがんの代表でもあります。

近年では、「脈超音波検査」や「PET検診」の普及により、偶然、甲状腺にできた腫瘍が発見される割合も、従前より多くなってきています。

しかしながら、自覚症状が乏しいとはいえ、乳頭がんや濾胞がんのような場合、単なる「甲状腺の腫れ」のほか、「甲状腺のしこり」や「リンパ節のしこり」などを感じることや、「反回神経」と呼ばれる声帯を動かす神経の麻痺による「声のかすれ」を自覚症状として感じる場合も少なくありません。

一方、甲状腺がんのなかでも、悪性度の高い「未分化がん」の症状では、甲状腺の腫れが急速に大きくなって「首の周囲の痛み」と共に「発熱」が起こるようになったり、「血痰」が出る場合もあります。

また、進行してくると喉の周囲を圧迫するようになるため、物が飲み込みにくくなったり、嚥下障害を起こしたり、酷くなると呼吸困難を起こして全身の衰弱が起こる場合もあります。

甲状腺がんの症状は、「喉に感じるしこり」という特徴的な症状があるので、自分で発見することは可能ですが、触診で明らかなしこりの場合には甲状腺がんの進行が疑われる場合も少なくありません。

さらに、甲状腺がんの症状は、発症するとホルモン分泌に異常が出ることから、身体に感じる「冷え」や「倦怠感」が現れるようになりますが、このような症状は他の疾患でも現れるので、他の疾患との区別がつきにくい場合もあります。

そのため、早期発見のためにも、少しでもしこりが小さいうちに自分で触って気づくことが重要であり、さまざまな身体の出しているサインから、自覚症状を注意深く観察することも大切といえるでしょう。

 

甲状腺がんの原因

甲状腺がんの原因は、現代の医学では未だはっきりとは解明されていません。

甲状腺がんの要因のリスクについては、様々な研究が進んでいます。

その一つが、海藻類に多く含まれている「ヨードの過剰摂取と甲状腺がんの関連」についての研究です。

ヨードはミネラルの一種ですが、甲状腺ホルモンの分泌に必要であり、人の身体に無くてはならない栄養素です。

そんなヨードですが、閉経後の女性がヨードを含む海藻類を毎日過剰に摂取することで乳頭がんの発生率が高かったという研究結果があります。

その他、「放射線による被ばく」を指摘する声もあります。

幼少期の頃に、病気の治療などで、頭部や首に受けた強い放射線などが原因となり、10年~30年後くらいにがんの要因となることもあるというものですが、未だに詳細が解明されていないことも多いのです。

さらに、甲状腺がんの要因のリスクとして「遺伝」がありますが、これは、甲状腺がんのなかでも、髄様がんに良く見られる傾向であり、髄様がんの2、3割は遺伝性であることが判明しています。

そのため、家族などの血縁関係がある親族のなかで、内分泌系のがんに罹ったことがある人がいる場合には、甲状腺がんに罹るリスクが高くなると言われています。

 

甲状腺がんの治療法

甲状腺がんの治療方法では、主にがんの病巣そのものを取り除く「外科手術」の局所療法が基本となりますが、その他の治療法として、「内照射療法」と「ホルモン療法」があります。

通常、この内照射療法は外科手術と組み合わせで行われていて、手術によって甲状腺がんの切除が行われた後、カプセルに封入した放射線ヨードを甲状腺のなかに注入するという治療法となります。

内照射療法は、外科手術を行ってもがんが全て取り除かれずに残っていたような場合に効果的で、注入された放射線ヨードががんの患部に作用して、がん細胞を死滅させるというものです。

この内照射療法の治療は、がん細胞の再発防止として使用されるポピュラーな治療法でもあります。

ホルモン療法も外科手術と併用して行われますが、この治療法は、「ホルモン療法TSH抑制療法」とよばれ、甲状腺の刺激ホルモンの分泌を抑制する療法であり、手術後に甲状腺ホルモンの薬を内服することで甲状腺ホルモンが抑制され、がん細胞再発の予防にも貢献します。

しかし、内照射療法とホルモン療法は、「乳頭がん」や「濾胞がん」にはとても効果的ですが、悪性度が高い「未分化がん」には効果がないことがわかっています。

さらに、甲状腺がんの治療法では、化学療法として抗がん剤がありますが、この抗がん剤は、身体のなかにあるがん細胞を破壊するものです。

多くの甲状腺がんの治療法のなかでも、近年、多用されている副作用や痛みが少ない先進医療が注目されています。

それは、患者の細胞を体外で増やし、機能を増強して体内に戻すという「免疫細胞療法」や、がんの部位のみに照射し、正常な細胞には治療を施さないという症状緩和の「陽子線治療」などです。

また、陽子線治療と同じく、先進医療である「重粒子線治療」では、がん患部の集中的な治療が可能でありながら、がん殺傷能力は陽子線治療の2~3倍あり、深部にあるような治療が難しいがんにも対応できる治療法といえます。

 

甲状腺がんの予防について

甲状腺に発症する腫瘍では、その80%が良性の腫瘍であり、残りの20%が悪性腫瘍である甲状腺がんになりますが、この甲状腺がんは、年齢に関係なく、小児から老人まで罹ることがあるがんともいえます。

特に発症が多い年代と性別では、40代~50代の女性といえますが、なかには、10代、20代の若年層でも罹ることがあるので、検診は必ず受けることが大切です。

また、このような甲状腺がんは「交感神経」が大きく影響していることが判っているため、甲状腺がんを事前に予防するために、交感神経を正常化させることが重要なポイントといえます。

交感神経を正常化させるためには、まず、自律神経を正常に保つことが肝心であることから、不規則な生活を改めることから始めると良いでしょう。

不規則な生活を改善し、早寝早起きの習慣を付けるようにして、しっかりと良質な睡眠を取り、規則正しい生活を送ることで自律神経の改善を目指すようにします。

また、甲状腺がんは「ホルモン」のバランスとも深い関係があるため、ホルモンバランスが崩れることによってホルモンの分泌異常につながり、引いては甲状腺がんに罹るリスクを高めてしまうということにもなりかねません。

がん全体に共通することとして、がんにならないための予防策は、ストレスを溜めないことが大切なことであり、ストレスを溜め込むことが自律神経の乱れにつながり、交感神経に支障が出たり、身体にある免疫力を低下させて、結果としてがんを呼び込んでしまうことがあります。

このように甲状腺がんの予防は、規則正しい生活や、充分な睡眠、そしてストレスを減らすことが肝心です。

定期的な健康診断や検査を受けるようにして、自分の身体の状態の把握に努めるようにしましょう。

なお、甲状腺がんのリスク因子を持つ人の場合、普通の人より積極的に検診を受けて早期発見に努めることも重要です。

 

まとめ

多くの甲状腺がんは進行が遅いからと節制せずに油断をしていると、忘れたころに再発するという危険性があります。

通常、甲状腺がんが再発した場合には、非常に困難な再手術が待っているといっても過言ではありません。

そのため、甲状腺がんと診断をされた場合には、医師のもとで治療を受けながら規則正しい生活を送ることが大切です。

そして、甲状腺がんにならないためにも規則正しい生活を送り、万が一に備え定期的に健康診断を受けることが大切です。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。


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