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年齢、性別etc…属性によって血圧の正常値は変わる!

 2018/04/30 生活習慣病
この記事は約 11 分で読めます。 1,712 Views

血圧が高い、低いなどという話しは日常生活の中でも話題になることがありますが、その基準はどこにあるのでしょう。

病院で血圧が高めと言われたから、昔から低血圧で目覚めが悪いからなど、なんとなくの感覚で話している人も、一度自分の血圧をしっかり測定してみてはいかがでしょうか。

血圧の正常値は、年齢や性別、その他の条件で変わってきます。

自分の血圧は正常なのか、それとも正常範囲を超えているのか、高血圧治療ガイドラインの規定に照らし合わせてみませんか?

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「健康」とされる血圧の正常値は?

健康診断はもちろん、体調を崩して病院を受診すると測ることが多いのが血圧です。

血圧は大丈夫ですね、などと言われて何となく受け流しているという人も多いのではないでしょうか。

そのときによって多少低めであったり、今日は少し血圧が高めであったりし、血圧は一日の中でも時間によって常に変動しています。

でも健康であれば、血圧の数値を気にかけることはあまり無いというのが、ほとんどの人でしょう。

特に若い頃は低血圧で朝起きられないとか、長時間立っていると立ちくらみを起こしてしまうとか、血圧が低いことの方が問題になることが多い印象が強いのですが、健康に影響を与えるほどのことはあまりありません。

ところが中高年を過ぎたあたりから、性別に関わらず高血圧という言葉が気にかかるようになってきます。

ご存知のとおり、高血圧はサイレント・キラーなどという恐ろしい言葉で表されるほど、命に関わるような重大な病気の引き金となることが多いからです。

そこで気になるのが、血圧はどの程度で維持するのが良いのかということです。

あまり知られていないようですが、高血圧でも低血圧でもない血圧の正常値は、正常域血圧と呼ばれ3つの段階に分けられています。

「至適血圧」「正常血圧」「正常高値血圧」です。

至適血圧は、最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80㎜Hg未満の人たちで、最も理想的な数値です。

この数値を保っていれば脳血管疾患や心臓病などの血圧に関係する病気のリスクが少なく、年齢が上がってもこうした病気にかかりにくいとされています。

正常血圧は最高血圧120~129㎜Hgかつ最低血圧80~84mmHgで、至適血圧より若干高い数値となっています。

正常血圧の人は現時点では血圧に関する問題はないものの、年齢が上がるにつれて血圧が高くなる恐れがあり、病気を発症するリスクも上がる可能性をはらんでいます。

正常高値血圧は最高血圧130~139㎜Hgかつ、または最低血圧85~89㎜Hgで、この数値の範囲にいる人は高血圧予備軍です。

まさに高血圧の一歩手前まで来ており、このまま行くと高血圧の仲間入りをするのもそう遠くはないという状態です。

正常値と言われたからと言って安心するのではなく、普段の生活の中で血圧を低めに維持できるように心がけていくことが大切です。

 

年令を重ねると血圧は上がる

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」では、血圧はその数値によって正常域血圧から3段階の高血圧、孤立性収縮期高血圧という7つの分類に分けられ、数値が高くなればなるほど命に関わるような重大な病気のリスクが高まるとされています。

これとは別に年代別・男女別の血圧の平均値というものも発表されています。

これを見るとはっきりとわかるのが、男性、女性ともに年令を重ねるにつれて、平均血圧が上がるということです。

年代別の平均血圧と正常値の割合を比較すると、男性では30代で約8割、40代では約6割の人が正常値の範囲に収まっていますが、50代になると約4割、60代以降ではなんと約2割にまで下がってしまいます。

これは女性にも同じことが言えて、50代で約3割、60代を過ぎると2割程度しか正常値の人がいません。

この数字を見る限りでは、60代を超えると性別に関係なく脳卒中や心疾患のリスクが大幅に増えるということが、より現実味を増して突きつけられるような気がします。

実際に厚生労働省が発表した平成26年の患者調査の概要をみても、高血圧性疾患の患者数は前期高齢者となる年代から目に見えて増加しています。

35~64歳では15万7千人である患者数は、65歳を超えると51万7千人になっているのです。

ではなぜ年齢が上がると血圧も上がるのかいうと、加齢によって血管の弾力性が失われ、若い頃のように勢いよく血液が全身を巡ることができなくなるからです。

また血圧調整に関わるアンジオテンシンIIというホルモンのせいで、血管が厚くなることもわかっています。

そのため心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧である収縮期血圧、いわゆる上の血圧が特に高くなります。

その他にも長いあいだの生活習慣による影響や、薬、他の生活習慣病との関連など、若い世代とは違う問題が高齢者には増えてきます。

重大な病気を引き起こすリスクを減らし、健康な毎日を過ごせるように、自分にとっての正常値を維持していけるように、血圧のコントロールに注意を向けていきましょう。

 

女性よりも男性の方が血圧の正常値は高い

高血圧というと男性の病気というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

実際に若い頃から低血圧に悩む女性は多いものの、男性と比べると血圧が高いという悩みを持つ女性はあまり聞きません。

というのも年齢や生活習慣などによって血管が固くなりやすい男性と違い、女性はエストロゲンという女性ホルモンの働きによって、血管のしなやかさが保たれやすいという特性があるからです。

年代別に比較しても、血圧の平均値は男性よりも低い傾向が続き、収縮期血圧と拡張期血圧、いわゆる上の血圧と下の血圧がともに低くなっています。

このことから、一般的に男性の方が血圧の正常値は高く見積もられているようです。

ところがそんな女性も、女性ホルモンが減少し始める更年期の時期を迎えると、急に血圧の上昇が始まります。

40代ころから男性との差が狭まりはじめ、60代、70代までには高血圧の割合が男性と変わらなくなってしまうのです。

上でもご紹介したように、60代以降の正常値血圧の人の割合は、男女ともにたったの約2割です。

若いころから血圧に関する問題にはあまり関心がなく、むしろ低血圧を心配していた女性が、急に血圧が上がり始めると、大きなショックを受けてしまうかもしれません。

健康診断の結果を見ながら、何かの間違いでは?と疑う人もいると思います。

ところが閉経後に高血圧になる女性は少なくありません。

エストロゲンが急激に減少すると、保たれてきた血管の柔軟性も低下し、また男性ホルモンの働きが増加するため、高血圧のリスクが急に上がってくるのです。

もし健康診断で要注意の数値が出たり、病院を受診した際に「血圧が高めですね」と言われたりしたら、家庭用血圧測定器を用意する時期かもしれません。

血圧は1日の中でも時間によって変動しやすく、測る場所や環境によっても差が出ます。

毎日落ち着いた環境で、起床後の血圧を測る習慣をつけると、自分の血圧の状態がつかめるようになってきます。

もし起床後の早朝血圧が正常値を超えるようであれば、早めに病院で相談してみて下さい。

寝起きの時間に測った血圧が高いと、より危険性が増します。

また日常生活や習慣を振り返り、血圧を上げる要因となっていることがあれば、それを改善する努力を始めましょう。

食生活を注意したり、定期的に運動をする習慣をつけたり、喫煙習慣がある人は禁煙に取り組むことも重要です。

女性だからと安心しているのではなく、50歳を過ぎたら血管年齢の若返りにも取り組むようにしましょう。

 

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高血圧と診断されるのは世界基準の140/90mmHgを越えたら

高血圧の怖さを知ると気になるのが、自分の血圧の数値ですが、どのくらいになると病院で高血圧と診断され治療が必要となるのでしょうか。

先ほどもご紹介した日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」によると、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg を超えると、高血圧となります。

これはWHOの世界共通基準で示されているのと同じ数値です。

ガイドラインでは高血圧を3段階に分けています。

I度高血圧は、収縮期血圧(最高血圧)140~159mmHg、拡張期血圧(最低血圧)90~99㎜Hg

Ⅱ度高血圧は、収縮期血圧(最高血圧)160~179mmHg、拡張期血圧(最低血圧)100~109㎜Hg

Ⅲ度高血圧は、収縮期血圧(最高血圧)180mmHg以上で、拡張期血圧(最低血圧)110㎜Hg以上です。

以前は「軽症」「中等症」「重症」と呼ばれていたものですが、軽症というと程度が軽いと勘違いをしやすくなり、治療にも影響が見られることから、名称を変えたという経緯があります。

また(孤立性)収縮期高血圧というものもあり、収縮期血圧だけが特に高くなる、動脈硬化の進んだ高齢者に多く見られる数値です。

実際には血圧の数値が140/90mmHgを超えたら、治療を始める必要があります。

ただしすぐに降圧薬を飲まなければならないわけではありません。

食生活の見直しや運動などの生活改善に励み、血圧を下げることができれば、薬がなくても健康な生活ができるようになります。

またⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の段階には、その数値の度合いに応じた治療法があります。

病院で高血圧と診断されたら、医師の指導に従ってしっかりと治療に取り組みましょう。

3ヶ月間生活改善に取り組んでも140/90mmHg以上であれば、投薬での治療を開始する、受診した時点ですでにⅢ度高血圧であれば、生活改善とともにすぐに投薬治療をするということが定められています。

もちろん高血圧予備軍である正常高値血圧の人も、今は正常値に収まっている人も安心はできません。

血圧は年齢や生活習慣などの影響を受けて上がってしまうものですから、将来の健康リスクを増やさないためにも、血圧を上げない食事や生活に取り組んでいくことが大切です。

 

妊娠中や病気の時などは、特に血圧のコントロールに注意

妊娠中に起こる高血圧は「妊娠高血圧症候群」で、昔は妊娠中毒症と呼ばれていたものです。

妊娠20週以降から分娩後12週までに妊婦に高血圧が見られる場合、あるいはさらに蛋白尿を伴う場合がこの症状に当たり、妊婦さんの約20人に1人の割合で発症します。

妊娠32週未満で発症すると重症化しやすく、母体にも赤ちゃんにも危険が及ぶことがあります。

ただどうして発症するのかということは、まだ研究の結論が出ていません。

諸説ある中では妊娠初期の胎盤の作られ方に何らかの不具合があり、胎盤での酸素や栄養の受け渡しがスムーズに行かないために、お母さんの身体に無理がかかる、あるいは胎盤でさまざまな物質が異常に作られて、全身の血管に作用するためではないかという説が有力です。

どんな人が妊娠高血圧症候群になりやすいかというのは、ある程度傾向がわかっています。

もともと高血圧や糖尿病、腎臓の病気などがある人、肥満、母体が15歳以下、40歳以上である、初産婦、以前にも妊娠高血圧症候群になったことがある、家族に高血圧の人がいる、双子などの多胎妊娠などです。

当てはまる人はそれだけリスクが高くなりますので、より慎重に備えて下さい。

治療の方法は安静が基本で、ひどくなると入院となることもあります。

原因がわからず根本的な治療法も確率されていませんので、症状を見ながら対処していくこととなります。

妊娠高血圧症候群に関しては予防法もはっきりしていませんが、ストレスをためない、しっかり休む、健康的な食事にするなどが推奨されていますので、妊娠がわかったらこれらを心がけていくようにして下さい。

また病気によっても高血圧が引き起こされることがあります。

こうした原因がはっきりしている高血圧のことを、二次性高血圧といいます。

腎臓病、腎動脈狭窄、ホルモンの過剰分泌、大動脈炎症候群などの大動脈疾患などは、高血圧を引き起こす病気ですから注意が必要です。

また糖尿病の人が高血圧になる割合は、糖尿病ではない人の2倍と言われています。

病気になった時点で、医師からもさまざまな注意を受けると思いますので、医師の指示をしっかりと守って治療を進めて下さい。

 

まとめ

血圧はとても身近でありながら、普段健康なときはまったく気にしていないものでもあると思います。

若いころはそれでも問題ありませんが、ある程度の年齢を超えたら意識してコントロールする必要があるということが言えそうです。

血圧を測る測定器が置いてあるのを見かけたら、とりあえず測ってみてはいかがでしょう。

なにごともまず、自分のこととして認識し、自覚することから始まります。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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