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糖尿病の診断基準で「境界型」にあたる人が気をつけるべきこと

 2018/06/18 生活習慣病
この記事は約 11 分で読めます。 1,834 Views

健康診断などで血糖値の結果が基準異常に高いと糖尿病の検査を受けることになりますが、その検査の結果が診断基準によって3つのレベルに分けられることをご存知でしょうか。

「正常型」「境界型」「糖尿病型」の3つですが、「境界型」とは糖尿病なのでしょうか?それとも糖尿病ではないのでしょうか?

また「糖尿病型」と糖尿病はどう違うのでしょうか?

今ひとつわかりにくい糖尿病の診断基準について、また「境界型」と判定されたときの注意したい点などをご紹介します。

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糖尿病の診断基準とは

職場や自治体が実施している健康診断を受けて血糖値が高いと言われた経験をお持ちの方は多いかもしれませんね。

もちろん血糖値が高いだけでは糖尿病かどうかの判断はできませんが、糖尿病が疑われる数値が出たらできるだけ早めに病院で詳しい検査を受けた方が良いでしょう。

初期にはほとんど自覚症状がない糖尿病ですが、「糖尿病予備軍」「隠れ糖尿病」などと言われる前段階があり、その段階で対策ができれば深刻な合併症のリスクを減らすことができます。

では実際に糖尿病の検査では、どんなことを調べるのでしょうか。

日本糖尿病学会が定めている糖尿病の診断基準では、血糖値を「早朝空腹時検査」、「随時血糖値検査」、「75gOGTT」の3種類の条件で測定したときのそれぞれの数値と、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値によって、検査結果を糖尿病型、境界型、正常型の3つに分類しています。

朝食を抜いた空腹の状態で採血するのが「早朝空腹時検査」、食後からの時間を決めないで採血するのが「随時血糖値検査」、「75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)」はまず10時間以上絶食したあとの空腹の状態で採血して血糖値を測り、その後ブドウ糖液を飲んで30分、1時間、2時間経過後のそれぞれの血糖値も測っていく検査です。

血糖値は食事に影響されて変動しやすいため、こうして条件を変えてそのときどきの状態での数値を計測します。

これらの検査の結果を診断基準に照らし合わせて判定したものに、糖尿病の典型的な症状である口の渇き、多飲、多尿、体重減少などの状態や肥満度、高血圧や脂質異常症の有無といった他の条件をあわせて医師が診断をしますが、1回の検査で糖尿病と確定される場合もありますし、数回の検査が必要となることもあります。

3つの血糖値検査とHbA1cの結果のいずれか一つでも、糖尿病の診断基準で示されている基準値を超えていると糖尿病型となります。

血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型だった場合はすぐに糖尿病と診断されますが、血糖値かHbA1cのいずれか片方のみが糖尿病型で、他に糖尿病に相当する症状がない場合には、その後再検査をすることになります。

再検査の結果で糖尿病と診断されなくても、糖尿病の疑いという疑い病名がつき、この場合はさらに3~6ヶ月後に再検査となります。

 

結果は「正常型」「境界型」「糖尿病型」の3つに分けられる

糖尿病の診断基準では、検査の結果によって正常型、境界型、糖尿病型の3つの分類に分けられます。

それぞれの診断基準値を見てみましょう。

【正常型】

■早朝空腹時血糖値が110mg/dL未満
■75gOGTTで2時間後の血糖値が140mg/dL未満

これら2つの数値がどちらも確認されたら、正常型と判定されます。

【境界型】

■早朝空腹時 110~125mg/dL
■75gOGTTで2時間後 140~199mg/dL

血糖値の数値が糖尿病型と正常型の境界線上にあるのが境界型です。

【糖尿病型】

■早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上
■随時血糖値が200mg/dL以上
■75gOGTTで2時間後の血糖値が200mg/dL以上
■HbA1cが6.5%以上

これら4つの数値のいずれか一つでも確認されたら糖尿病型と判定されます。

 

正常型と判定されるのは空腹時血糖が110mg/dL未満であり、なおかつ2時間値が140mg/dL未満の人で、この状態であれば糖尿病の心配はないと診断されます。

反対に糖尿病型に当てはまった人は、糖尿病もしくは糖尿病の疑いがあるということになります。

診断基準の「糖尿病型」に当たる血糖値の数値はすでに合併症が起きるレベルになっていますので、すぐに糖尿病と診断がつかない場合でも必ず再検査や定期的な検査を受けて経過を見ていく必要があります。

もしこの状態で放置すると、やがては深刻な合併症を引き起こして手遅れとなってしまうかもしれません。

そうなる前にしっかりと診断を受け、すぐにでも血糖コントロールを始めることが大切です。

また境界型に当てはまるのは、血糖値の数値が正常型と糖尿病型の中間に位置する人です。

糖尿病予備群とも言われるのがこの境界型にいる人たちで、現段階では糖尿病に伴う合併症も起きにくく発症もしていませんが、将来的には糖尿病になっていく可能性が高いため注意が必要とされるレベルです。

統計上でも境界型の人は数年以内に糖尿病になる確率が高いことがわかっています。

血糖値もあるとき突然高くなるわけではなく、問題なく正常範囲であった段階から糖尿病型と判定されるようになるまでの間にはそれなりの期間があります。

徐々に血糖値が高くなりはじめ、ついには糖尿病と診断されるまでの間に位置するのが境界型と考えるとイメージしやすいと思います。

 

「境界型」は糖尿病型に近いので油断禁物

糖尿病の診断基準の境界型と判定された人の中には、糖尿病じゃなかった!良かった!と安心する人と、正常型の数値を超えていた…と心配する人、両方のタイプの人が混在するのではないでしょうか。

楽観的な人は「まだ糖尿病じゃないんだから大丈夫!」と思うかもしれませんが、これは大変危険な勘違いです。

深刻に心配しすぎる必要はありませんが、境界型はいわばイエローカードが出たも同然ですからレッドカードが出される前に手を打つことが肝要です。

そもそもなぜ正常型と糖尿病型の間に境界型があるのかを考えてみると、その意味が想像できると思います。

信号機で言うと赤と青の間にある黄色のようなものですね。

ここで注意をしないとリスクが増大して、あとで後悔をするはめになるかもしれません。

日本糖尿病学会によると、「境界型のなかには糖尿病の発症過程または改善過程にある症例が混在する」とされています。

これから糖尿病になろうとしている人と、糖尿病が治りかけている人が両方いるということですね。

また「境界型は糖尿病に準ずる状態である」ともされています。

これはもう、糖尿病の一歩手前というところまで血糖値が上がっていると考えても良さそうです。

境界型の人は今はまだ自覚症状が全くないかもしれません。

しかし糖尿病の怖いところは、症状がある程度進行するまではあまり身体の不具合は感じないというところです。

特に腎障害、網膜障害、神経障害といった糖尿病特有の三大合併症はある程度症状が進行するまでは自覚症状がほとんどないため、気づいたときには完治が不可能という状態になっている場合すらあります。

そうなる前に、早めに血糖コントロールを開始することは自分の将来の健康を守るためには避けられません。

糖尿病は一度発症するとその後の治療は障害続けなければならない慢性疾患ですから、いかに発症しないように努力するかということがカギになります。

境界型と判定されたら、すぐにも生活習慣の改善に取り組み始めましょう。

糖尿病予防には食事や運動習慣の改善が大きな効果を発揮します。

食べ過ぎや糖質や脂質の摂り過ぎには注意して太らないようすることが大切です。

肥満の人はまずは肥満を解消することから始めましょう。

疲れやストレスをためないこと、十分な睡眠時間をとることももちろん重要です。

 

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もしタバコを吸っているなら禁煙必須!

喫煙が健康に及ぼす被害についてはさまざまな報告がありますが、糖尿病への影響もそのひとつです。

すでに糖尿病になってしまった人はもちろん、診断基準で境界型と判定されている人はすぐに禁煙に取り組むことが必須です。

というのも、喫煙は糖尿病の発症リスクを高めることがこれまでの多くの国内外の研究でわかっているからです。

たばこに含まれる有害物質のニコチンには、インスリンの分泌量を低下させインスリンが働きにくくするという作用があります。

このことと、喫煙が交感神経を刺激することで血糖が上昇するという作用が関係して、喫煙者は糖尿病にかかりやすくなると考えられています。

1日20本のたばこを25年間吸っている人は喫煙しない人の1.61倍もリスクが高まりますが、1年間禁煙を続けることでそのリスクは喫煙しない人と同程度まで下がるという調査結果もあります。

また糖尿病治療をしている人についても、たばこの害は及ぶことが明らかになっています。

たばこを吸っていると治療の妨げになるだけではなく、脳梗塞や心筋梗塞で命を失う危険性が高まります。

糖尿病で喫煙を続けている人が心筋梗塞になる率は喫煙習慣がない糖尿病の人に比べると2.6倍にもなりますが、10年以上禁煙を続けていると、喫煙しない人とほぼ同じ率にまで下がるというデータがあります。

さらには喫煙によって糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの糖尿病特有の合併症の進行が速くなると言われています。

インスリン治療を行なっている場合は喫煙していない人に比べてより多くのインスリンが必要となるほか、インスリンの皮下への吸収も遅くなりますが禁煙すると治療に必要なインスリンの量も減るという報告もあります。

食事や運動など血糖コントロールに気を配って努力しても、たばこを吸うだけでその努力も台無しになってしまうかもしれません。

糖尿病の人、糖尿病になる可能性が高くなっている境界型の人にとっては禁煙は少しでも早くそして真剣に取り組まなければならない課題です。

喫煙をやめれば、その後はゆるやかに糖尿病の発症リスクは減少しますが、禁煙後5年間は危険性が高い状態が続くという調査報告もあります。

糖尿病の危険性がある人は、すぐにでも禁煙を開始しましょう。

 

運動量を上げて血糖値を下げる努力も始めましょう!

糖尿病の人が血糖コントロールのために行う運動では、「有酸素運動」と「筋力トレーニング」が良いとされています。

有酸素運動を行うと筋肉への血流が増え、ブドウ糖がどんどん消費されて血糖値が下がります。

また筋力トレーニング(レジスタンス運動)によって筋肉量が増えると、基礎代謝が上がって脂肪燃焼しやすくなるのに加え、ブドウ糖の消費量も上がって血糖値を下げることができます。

現在言われているのは、この2つの運動を両方行うことでより大きな効果が得られるということです。

その場合はレジスタンス運動を先に行なった後で有酸素運動を行うという順番の方が、治療効果が高く運動中・運動後の低血糖も起こしにくいということがわかっています。

ジムでのトレーニングのときだけでなく家庭で運動するときも、できればこの順で行えると良いですね。

例えば家で筋トレをしたあとに、ウォーキングをするなどの方法が考えられます。

運動はどの時間にしてもかまいませんが、食後に行うとブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなり、食事で上がった血糖値も下げることができます。

また食後の運動によって得られた血糖降下作用は運動後も12~72時間持続するといいますので、夕食後に運動をするとその効果は翌日の朝食後の血糖値の上昇も抑えてくれるということになります。

どんな運動をどの程度の強さで行うのが良いのかですが、運動の強さは一般的には中等度の強度が推奨されています。

中等度とは「ややきつい」と感じるくらいの強さで、心拍数のめやすでいうと50歳未満では1分間に100~120拍、50歳以上では1分間に100拍以内程度です。

ただしこれまで運動習慣のない人が急にキツイ運動を始めると、身体に思いもしない負担がかかることもあります。

最初は無理のない範囲で軽い運動から始め、徐々に強度を強めていくと良いでしょう。

運動の種類ではジョギングやウォーキング、水泳、自転車、エアロビクスなどさまざまなものがありますが、自分が好きなものでなければ続きませんから、気軽に継続できるものを選ぶのがコツです。

筋トレにしても家の中でできるスクワットや段ふみ運動、腹筋や腕立て伏せ、ダンベル運動やゴムチューブ運動など、自分のタイミングで気軽に取り組めるものでかまいません。

大切なことはできるだけ毎日継続していくことです。

 

まとめ

健康診断で血糖値が高いと言われても、すぐに糖尿病と結びつく人は少ないかもしれません。

とくにこれといった症状もないし自分はまだまだ大丈夫と思っている人も油断は大敵です。

糖尿病は国民病とも言われるほどに患者数が多く、若くても気づかないまま予備軍になっている人は意外に多いのです。

とくに糖尿病の検査を受けて「境界型」と言われた人は要注意です。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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