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風邪やたばこのせいにしがちな「肺がん」

 2017/07/10 生活習慣病
この記事は約 11 分で読めます。 2,534 Views

風邪の症状と似ているため、初期対応が遅れてしまいがちなのが「肺がん」です。

また、「肺がん=たばこ」というイメージがあるかもしれませんが、近年はタバコを吸わなくても肺がんになってしまう人が増加しています。

肺がんの症状や原因、予防法について詳しく解説します。

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症状はまるで「風邪」

肺がんの初期症状は風邪の諸症状に似ているものが多く、「ただの風邪かも」と軽く見ていたら、その背後に重大な病魔が隠れていたというケースも珍しくありません。

通常、風邪の症状は数日で治るものですが、もし2~3週間または何か月も同じような症状が続くようなら風邪以外の症状の可能性があるため注意が必要です。

肺がんの初期症状には「咳が出る」「息切れがする」「痰がよく出る」「胸が痛い」「食欲がない」「体重が減る」「肺炎になる」「熱が出やすい」といったものがあります。

いかにも風邪の諸症状と似通っていることに注目してください。

これらの症状が継続的にずっと続くようならば風邪だけでなく肺がんの可能性も疑ってください。

肺がんの初期症状のなかで特に注意したいのが「咳(空咳)」です。

風邪を引いたときも咳はよく出ますが、風邪の場合は治れば咳も一緒に収まるのが普通です。

もし背後に肺がんが隠れていて、肺がんの初期症状として空咳が出る場合は、何週間経っても治らずに長期間ずっと咳が出続けるという特徴があります。

肺がんは進行速度が早いため、そのまま放置しておくと空咳もさらに悪化していきます。

ただし、必ずしも「咳が長期間続く」=「肺がん」ということではありません。

咳が長く続く症状は、肺がんだけでなく様々な病気が考えられますから焦らずにまずはしっかりと検査を受けてください。

咳が長く続く症状で肺がん以外に考えられる病気は「咳喘息」「気管支炎」「間質性肺炎」「アトピー性咳嗽」「肺結核」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」などが挙げられます。

特に、長期間のあいだ咳が出る「咳喘息」の症状は肺がんの咳とよく似ているので紛らわしいことが多いです。

しかし咳喘息と肺がんの初期症状で明確に違うものに「痰(たん)」があります。

咳喘息の場合、痰の異常は見られません。

しかし肺がんの初期症状には「痰が大量に出る」「痰の色が赤い」という痰の異常がありますから、その点で区別することができます。

もし空咳と一緒に痰の異常もあるならば、肺がんの可能性は十分にあります。

いずれにしても背後にどんな病が隠れているか分かりませんから、咳であれ痰であれ異常が起こったら躊躇することなく精密検査を行ってください。

「たいしたことないだろう」と思って放置しておくことは大病の早期発見の可能性の芽を自分で摘むことにつながります。

肺がんに限らず、がんという病においては「早期発見」が何よりも重要です。

風邪の諸症状が数ヶ月にわたって続くようならば肺がんの可能性があると考え、すぐに病院で診てもらいましょう。

 

肺がんになってしまう原因は?

肺がんの原因には様々なものがありますが、その中でも最もリスクを高めるのが「喫煙」です。

タバコを吸っている人が肺がんになりやすいのはすぐにイメージできると思いますが、他人の煙草の煙を吸うこと(受動喫煙)によって肺がんのリスクが高まるというデータも出ています。

タバコを吸う人の肺がんになる確率は非喫煙者に比べて「3.0~4.5倍」になります。

これは男性も女性も変わりません。

しかし当然ではありますが喫煙者が禁煙をすればこの数値は減ります。

タバコは百害あって一利もありません。

やめるなら「今」です。

「大気汚染」も肺がんの原因になります。

都市部での排気ガスの充満、有害な細菌やウィルス、化学物質(アスベストなど)、PM2.5や黄砂など。

このような大気汚染物質、有害物質は気管のフィルターを通してある程度は除去されますが、上手く除去されないまま肺にまで達してしまうことがあります。

有害物質は肺にまで達すると「肺胞」と呼ばれる組織によって除去されますが、この除去の過程で生じる活性酵素の分泌が高すぎると肺の細胞に大きなダメージを与えてしまうのです。

これが肺がんのリスクを高めます。

中国から流れてくるPM2.5や断熱材として使用されるアスベストなども肺がんのリスクを高める有害物質として有名です。

外出する時はできるだけマスクをし、体内に有害物質を取り入れないようにしましょう。

物理的な原因以外にも精神的な要因(ストレス)が肺がんのリスクを高めるという報告もあります。

日本の社会は厳しい競争社会であり、多くの人が日々の生活でストレスを溜めています。

会社でのノルマ、成功、落ちこぼれてはならないという強迫観念・・・そのような日々の競争の中で生じるノイローゼ、不安、不眠、生活習慣病。

そうした様々なストレスは人間の「免疫力」を下げます。

免疫力が下がるということは、それだけ様々な病気にかかりやすい体になってしまうということです。

特に注意したいのが過度な睡眠不足です。

夜遅くまでの仕事や慢性的なストレスで不眠になっている人はそれだけ体にダメージを与えています。

睡眠は人間の体を整え、修復し、血圧や血糖値を正常にするなど多くの回復作用をもたらします。

睡眠はいわば「体を正常に戻す」働きをするのですが、その睡眠を過度に削り、またはストレスで眠れない日々が続くと当然体のダメージになります。

その結果、がんを含めいろんな病気になるリスクが高まるわけです。

女性の肺がんを高める原因として「女性ホルモンの過剰分泌」があります。

こちらについては別の項にて詳しく説明します。

 

肺がんを予防するには?

肺がんの原因で圧倒的に多いのが喫煙です。

そのため肺がんの予防においてはまずはタバコを吸わないこと、禁煙をすることが第一です。

これまで何年もタバコを吸い続けた人でも、禁煙することによって肺がん発症のリスクを低下させることができます。

禁煙といっても一時的なものでは効果がありません。

10年、20年と禁煙をすること、もしくはもう二度と吸わないことが肺がんのリスクを下げます。

また、喫煙は本人のみならず周囲の人にも悪影響を与えます。

いわゆる副流煙(受動喫煙)によって肺がんのリスクが高まるという研究報告があります。

家族や周囲の友人が自身のタバコの煙によって肺がんになってしまうということもありえますから、自分のためにも、周囲の人々のためにも喫煙はできるだけ控えましょう。

どうしてもタバコがやめられないという人は、禁煙外来などを受診するのも手です。

肺がんのリスクを低めるために日頃の食べ物にも注意を払ってみましょう。

特に「抗酸化作用」のある食べ物は肺を強くする働きがあると言われており、日頃から積極的に摂取すれば肺がんのリスクを下げることにもつながります。

ビタミン類を多く含んだ食べ物にも抗酸化作用が強いものがあります。

抗酸化作用が豊富な食べ物は一般的な量で食べるなら問題ないですが、たとえばサプリメントなどであまりにも急に大量に摂取するのは避けてください。

そのような急激な大量摂取は逆に肺がんのリスクを高める可能性があると指摘されています。

できるだけバランス良く適量に摂取することが予防につながります。

添加物が多い食べ物を控えることは肺がんの予防に効果的です。

肺がん予防においては「定期的な検診」も重要です。

仕事が忙しいと言って検診もせず放置していたらもう手遅れだった・・・というケースもよく聞きます。

定期的な検診や人間ドッグは、がんの早期発見につながります。

面倒くさがらずに定期的に検診を行うこともまた大切な肺がん予防法です。

 

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タバコを吸わなくても肺がんになってしまう

「肺がん」というと「タバコが原因!」と思いがちですが、近年はタバコを吸わなくても肺がんになってしまう人が増加しています。

肺がんになる割合で男性の約40%、女性の約70%がタバコによるものではない肺がんを発症しています。

肺がんには主に二つのケースがあります。

喫煙者や喫煙の影響を強く受けた肺がんである「扁平上皮がん」、もう一つは喫煙の影響をほとんど受けていない「肺腺がん」です。

肺腺がんは喫煙とはほとんど因果関係を持たないという特徴があり、男性よりも女性のほうが発症しやすい傾向にあります。

非喫煙者、女性が多く発症することから「タバコを吸っていないのになんで私が肺がんに?!」とショックを受ける方も多いです。

肺腺がんの大きな原因には「女性ホルモンの過剰分泌」と「大気汚染物質」が挙げられます。

まず「女性ホルモンの過剰分泌」についてですが、女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の二種類があり、肺腺がんで問題になるのはエストロゲンのほうです。

月経の期間が長めの女性や、エストロゲンの補充治療を受けた女性は肺腺がんのリスクが高まりやすいというデータが出ています。

肺腺がんとエストロゲンの関係についての研究も進められていて、両者はかなり密接に結びついていることが明らかになっています。

エストロゲンの量が多い女性、または濃度が高い女性は肺腺がんの発生の可能性が高くなります。

喫煙していないのに肺がんになる女性が増えている理由にこのような背景があります。

エストロゲンの量が多く、濃度が高い女性は注意が必要です。

過去にエストロゲンの補充治療を受けた女性もその濃度や量が上昇しますから、気になる方は定期的に検査を行いましょう。

男性にもエストロゲンはありますが、男性の場合は肺腺がんとの関係性は今のところ明らかになっていません。

肺腺がんの原因のもう一つが「大気汚染物質」です。

空気中には肺に有害な物質がたくさんあり、私たちは呼吸すると同時にそれらを体内に吸い込んでいます。

具体的には「ウィルス」「細菌」「排気ガス」「タバコの煙」「PM2.5」「工場の煤煙」などが挙げられます。

こうした有害物質が体内に入り込み、肺を蝕みます。

特に最近は中国発の大気汚染物質として知られるPM2.5が日本にも飛来して空気を汚しています。

中国ではPM2.5が原因で肺がんを発症する人が急増しています。

中国からのPM2.5の影響を受けやすい地域に住んでいる方は注意が必要です。

 

肺がんになってしまったら

肺がんを告知されたらやはり精神的なショックを受けますし、今後についての不安もたくさん出てきます。

悲しみ、怒り、恐怖、様々な感情が湧き起こると思いますが、それでも現実を受けとめて歩んでいかなければなりません。

感情も一回りすると現実を受けとめる余裕ができ、前向きな気持ちも生まれてきます。

これから闘病生活が始まりますから、腰を据えて「病に勝つ!」という気持ちになれるまで無理することなくじっくりと時間をかけて心を整理してください。

そして心に余裕ができ、前向きな気持ちになれたら、がんについての知識を学んだり、インターネットで闘病についての情報を集めたりと、一つ一つゆっくりとでも自分のできることをしていきましょう。

家族や友人の協力は惜しむことなく素直な気持ちで受けましょう。

親しい人たちと会話をするだけでも精神的に楽になれます。

一人で思い悩んでいると、かえって不安感が大きくなったりしますから、物質的にも精神的にも十分にサポートしてもらってください。

たとえ一人の闘病になったとしても、様々な悩みや相談に応じてくれる「がん相談支援センター」や「がん診療連携拠点病院」が全国各地に設置されていますから是非利用してみて下さい。

がん診療連携拠点病院には同じように闘病を頑張っている人たちがいますから、そのような患者さんと交流を深めることは心の支えにもなります。

心の辛さや不安を一緒に共有できれば、きっと前向きな強い気持ちを持つことができるようになるはずです。

癌治療や闘病においては「精神面」でいかに心を楽にできるか、余裕を持てるかが大切になります。

不安やストレスを抱えたままでは心身ともに日々が辛くなります。

これは肺がんを患うことになった本人だけでなく、そのご家族や友人にも当てはまります。

肺がんになってしまった場合、本人も、周囲の人々においても、「余裕のある心の持ち方」「精神状態の安定」を最優先することが大切です。

 

まとめ

「タバコを吸わないのに肺がんになった」という方が増えています。

肺がんの原因はタバコだけではありませんし、大気汚染やストレス、睡眠、食事など、できる限り注意し予防を行うことが大切です。

また、肺がんの症状は風邪の症状と似ているため軽く考えてしまいがちですが、継続的にずっと続くようならば肺がんの可能性も疑って病院で診てもらうようにしましょう。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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