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糖尿病で入院になってしまった場合、費用、期間はどのくらい?

 2016/10/22 生活習慣病
この記事は約 10 分で読めます。 4,518 Views

ひと昔前まで、日本人は世界でも有数の長寿国としてその名を知られていました。
ところが近年は食生活の乱れなどにより様々な生活習慣病に罹患する人が増え、今や日本人の5人に1人が糖尿病もしくはその予備軍だとされています

糖尿病は生活習慣病の代表格ともいえる存在で、何より怖いのが一度発症すれば生涯完治しないという点にあります。

それだけではなく、血中の糖分の割合が高い状態が慢性的に続くことで動脈硬化が進みやすく、血液の通り道が狭まってしまって心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクを格段に引き上げてしまいます。これらは命にも関わる重大な病であり、放置していてもそのリスクが上がるばかりで自然に治まることはありません。

こういった恐ろしい合併症を引き起こすという特徴からも糖尿病は非常に危険視されており、早期発見や早期治療の開始が推奨されているのです。

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治療はどのように行われる?

もしも糖尿病だと診断された場合、まずは薬物療法や食事療法、運動療法などが行われます。

軽症の場合は積極的に運動を行ったり食事内容の改善を行うことで症状を抑えることもできますが、ある程度症状が進んでいる患者の場合は入院が必要になるケースもあります。

ひと口に入院と言っても、生活習慣の改善や病気の基本的な知識を身に着けることを目的とした教育入院と、合併症も含めた本格的な治療を行うための治療入院に分けられます。

それぞれ目的や期間、必要になる費用などが異なってくるので事前にどのようなものかを知っておくと準備などにも役立ちます。

 

教育入院の場合

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教育を目的とした場合ですが、これは何らかの治療を行うわけではなく、糖尿病の基本的な内容を知った上で食事や運動療法のやり方を学んだり、合併症が起きていないかの精密検査を行うことになります。

こういった取り組みによって自分自身の病気に対する自覚も芽生え、これ以降の治療法や生活スタイルを担当医と相談しながらより良いものへと変えていくことができます。

一人暮らしの患者などはなかなか自分一人で生活の改善をすることが難しいので、短期間入院してみっちり糖尿病の知識や習慣をつけると大いに役立ちます。

具体的な期間や費用は地域によってかなり差があり、地方の病院であれば2泊3日という短期で負担金も約3万円ほどと気軽に実践できる内容になっています。
もちろん希望や症状の重さに応じて期間を延ばすこともあり、1週間程度で約7万円、2週間になると約16万円ほどという地域が多くなっています。

これに対して都内にある病院の場合、約10日ほどの期間で13万円前後の負担金となっています。都内にある病院は割高に設定されている所が多いので、事前によく調べておいた方が良いでしょう。

これらの費用はあくまでも基本的な料金であり、ここに個別の指導や検査などが加わると金額が変わることもあるので、同じく事前に病院にしっかり確認しておく必要があります。

 

治療入院の場合

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病気の症状がある程度進行していると、教育目的などのんびりしたことを言ってはいられません。
少しでも糖尿病の進行を抑えるために、すぐに本格的な治療に入る必要があります。
どのような治療が行われるかは患者ごとに異なり、血糖値のコントロールだけでなく合併症の治療も併せて行われることになります。

このため費用がいくら必要になるかは幅があり、教育目的の場合のように地域によってはっきり差が分かるというものではありません。
一般的には、約2週間ほどの期間で約13万円から16万円ほどの負担金が発生するケースが多いです

実際にどのような治療が行われて費用がどれくらいかかるかは事前に分かり辛いため、最初に費用を提示してくれることはほとんどありません。
検査内容によっては手術が必要になることもあり、期間や費用も大きく変化することになるためなかなか一概に金額を決めることは難しいのです。

厚生労働省が平成21年にとった統計データでは、糖尿病に罹患した人の平均入院期間は約36日であり、1日当たりにかかる費用の額は約25,000円だったと報告されています。
費用の自己負担割合は3割なので、1度入院すると約270,000円という費用が必要だということになります。これはあくまでも平均額のデータなので、人によっては安くすんだり高くなることもあるので注意しておきましょう。

 

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費用はどんなものにかかる?

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それぞれの目的ごとに必要になる費用は上記の通りですが、具体的にどのようなものにお金がかかってくるのか気になる人も多いでしょう。

まず費用の大部分を占めるものとしては、部屋代が挙げられます。
個室か大部屋かということを最初に決めるのですが、どちらにするかによって費用もかなり変わります。

大部屋は4人や6人など患者がまとまって入る部屋で、カーテンなどで仕切られていますがあまりプライバシーはありません。一方の個室は自分一人しかおらず、部屋の中もある程度自分の好きなように使用できるので快適度はアップします。
当然ですが個室の方が1日当たりの室料は高く、長期間入院する場合は差額もかなり大きくなります

さらに、病院にいる間は3食病院から支給される食事を摂るので、その食費も必要になります
糖尿病の場合はカロリーや塩分などを極力抑えた特別食が出される患者もいるので、それぞれ費用も変わります。

これに加えて、治療を受けたり検査を受けたりすればその分の費用も加算されていくことになります。
ちなみにテレビを見るのも費用がかかり、プリペイド式のカードを売店などで購入しないと見ることができません。
このカードはかなり割高で、暇だからと1日中テレビを付けているとあっという間にすごい金額になってしまうので注意しましょう。

このように、病院にいる間に必要となる費用には様々な内容があります。何ヶ月入院しても費用は1ヶ月ごとに請求される病院がほとんどなので、その都度支払うことになります。

長期間かかる場合はそれだけ費用もかさんでしまい、患者が負担する金額もかなり大きくなってしまいます。人によってはそんなに払えない、と入院を躊躇してしまうこともあるでしょう。
病院で本格的な治療が必要なのに費用の問題で実行できないのは非常につらいところですが、そんな人のために国がある程度の補助をしてくれる制度もあります。

それは高額療養費制度というもので、国民健康保険に加入している人が1ヶ月に一定の上限を超える高額の医療費がかかった場合、その超過分は国が負担してくれるのです。
この制度を適用するためには1ヶ月間同じ病院にお世話になっていたことが条件となっており、複数の病院で治療して上限を超えたとしても適用を受けることはできないので注意が必要です。

自分が負担する額の上限がいくらになるかは人によって異なるため、自治体に問い合わせるなどして確認しておきましょう。
ひとまず請求された金額を自分で支払い、後日この制度を利用して国から差額分の支払いを受けるという方法が取られることが多いです。

 

入院の際に準備するものは

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病院でしばらく過ごすということは、その間使うものや身の回りの品を一緒に持っていく必要があります。
家族がいる場合は後から取りに行ってもらうこともできますが、一人暮らしの場合は簡単に取ってくることもできないので、事前にしっかり確認して準備しておくことが大切です

具体的に言うと、まずは普段飲んでいる処方薬や常備薬、血糖値コントロールを行っている人の場合は血糖測定器も忘れずに持っていきましょう

測定器は病院に備わっているのでわざわざ持っていかなくても良いですが、自分で持っていればちょっとした時に気軽に確認することができます。
最近はドラッグストアや家電量販店などでも販売しているため、すぐに購入することができます。
患者にとっては自分の血糖値を常に把握しておくための必須アイテムとも言えるので、持っていない場合はこれを機に購入してみると良いでしょう。

この他、自宅で血糖値を測定していた人はその数値を記したノートや最近食べたものや食事のメニューなどもあると病院側にも喜ばれます。

下着や着替え、タオルや洗面道具なども5日分程度を持って行って洗濯してローテーションさせるようにします。

忘れがちなのが箸やコップなどの食事用の道具ですが、病院によっては自分で準備しておかなければならないので確認してみて下さい。

保険証や売店で使うための現金も持っていくのですが、病院ではトラブルを避けるためにも貴重品はしっかり部屋の金庫に入れておくようにしましょう。
金庫はベッドごとに備わっていることがほとんどですが、中には金庫が無いこともあるので注意が必要です。

 

入院中はどのようなことをする?

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実際に病院に入ってみても、毎日どのような事をして過ごすのか想像がつかないという人も多いでしょう。

病院で行われる内容は入院の目的や治療の有無などによっても異なりますが、分かりやすいのは検査目的のケースです。それほど症状が進行していない場合や、合併症がないかどうかを詳しく調べるために検査目的で病院に入ることもあります。

血液検査や尿検査など簡単なものは通院しながらでも行えるのですが、それらの検査で疑わしい内容が見られた際にはしっかりと時間を取って隅々まで検査する必要が出てきます。

心電図測定の他、眼底検査やエコー検査など合併症の可能性がある部位を中心に徹底的に検査を行うことになります。

また、糖尿病患者は1日を通して血糖値のコントロールをすることが重要であるため、病院で何日か血糖値をこまめに測定してどのような変化があるかを把握することも大切です。

一般的には3日程度病院にいて、その間に必要な検査をこなしていくことになるので場合によってはかなりハードなスケジュールになります。

教育目的の場合は上記で述べた通りで、期間中に糖尿病の食事療法や運動療法などのやり方や知識を学ぶことになります。糖尿病に適した食事の作り方、運動のやり方などを知って生活習慣の改善に役立てます。

治療目的の場合は治療を行いつつ、退院した後の生活の維持のために教育目的の場合と同じようなカリキュラムを組み込んでいる病院も多いです。血圧や血糖値の測定は食事ごとに行われますし、検査の説明や結果報告などに担当医と打ち合わせを行うことも多いです。

いずれの場合もスケジュールがしっかり決められていることが多いので、何日もすることが無くて暇だということはありません。

 

入院期間や費用を少なく抑えるには早期発見が必須

糖尿病は、症状が進行すればするほど治療が大変になります。
入院期間も長期に及び、必要になる検査や医薬品もどんどん多くなってしまいます。

つまり、重症化してしまえばそれだけ費用も大きくかかるということなので、できるだけ早期発見して治療を始めることが大切なのです。

例えば、軽症の場合に行う食事療法や運動療法の場合、治療費は検査料や指導料などごくわずかで済みます。保険適用を受ければ1ヶ月あたり3000円から高くても5000円以下です

これが重症化すると食事と運動に気を付けても血糖値が下がらなくなり、薬物療法やインスリン療法が必要になってきます。これらの医薬品は価格も高く、継続して使用すれば毎月かなりの額になってしまいます

2012年に大手医薬品メーカーが糖尿病患者に対して行ったアンケート結果によると、軽症の糖尿病患者が1ヶ月あたりに支払っている治療費は5000円以下という割合が約47%で10,000円未満が約45%となったのに対し、インスリン治療を採用している患者の場合は月に10,000円以上かかっている割合が約57%を占めているとされていました。

つまり、症状が進んで本格的な治療が必要になると毎月の負担も倍以上に増えてしまうということになります
これに入院すれば入院費用も加わってくるため、いかに早期発見して症状の進行を抑えることが経済的な問題からも重要であるかが分かります。

特に症状を感じていなくても、定期的に血液検査を行って血糖値に異常が無いかをチェックしておくと糖尿病の早期発見に非常に役立ちます。症状を自覚してからでは遅いことも多いので、普段から自分の体のためにも注意しておきましょう。

 

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木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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