「1型糖尿病」の発症様式は3つに分類される!急性発症・緩徐進行・劇症の特徴は?
糖尿病には「1型糖尿病」「2型糖尿病」がありますが、その違いはご存知でしょうか?
糖尿病という名前は同じでも、その内容は1型と2型とは別の病気といってもよいほどの違いがあります。
1型糖尿病はどのような病気なのか、どのようなタイプがあるのか、2型糖尿病との共通点や違いなど詳しく解説します。
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Contents
1型糖尿病は急性発症・緩徐進行・劇症に分類される
本来、正常な体であれば膵臓からインスリンという成分が分泌されるのですが、このインスリンは人間の体を動かすエネルギーをつくる役割にとても重要な成分です。
人間のエネルギー源の一つである「糖」は血液を通して体のさまざまな細胞にいきわたっています。
しかし、ただ血液のなかに糖があっても細胞のなかに入ることができません。
血液から細胞にいくときに「インスリン」が必要になるのです。
インスリンが不足していると糖は細胞のなかに入れませんし、インスリンの量が充分でもしっかりと機能していない状態でも糖は細胞に入ることができません。
インスリンが適切な量があり、しっかりと働くことで、はじめて血液内の糖が体の細胞にいきわたり、正常に活動できるのです。
細胞に糖が行かないことで血液内の糖が行き場をなくし、その結果血中の糖の量が多くなってしまいます。
血液内の糖の量が増えることを高血糖といい、高血糖の状態が続くと喉がかわく、尿の回数が増える、疲れやすくなるなどさまざまな症状がでます。
献血や血液検査などで高血糖と分かる場合もあれば、高血糖による症状がでたり、エネルギーが不足している症状がでたりして糖尿病と診断されるケースがあります。
こうした状態により体に影響がでてしまうのが糖尿病ですが、そのインスリンのつくられる状態によって1型と2型にわけられます。
2型糖尿病はインスリンが作られにくくなるものの少量は作られており、治療によって作られる量は改善されます。
しかし1型糖尿病はインスリンの量自体が完全に不足してしまうタイプの糖尿病で、インスリンを注射から摂取しなければいけません。
自分の膵臓でインスリンが作られずに注射が必要な状態をインスリンの依存状態といいますが、1型糖尿病は自分の体がインスリンを作ることができなくなってしまっているため、このインスリン依存状態から治るわけではないため注射での摂取を止めてしまうとまた同様の症状が発生してしまいます。
1型糖尿病は発症し始めてからどの程度でインスリン依存症となるか、その進行の早さによってさらに3種類に分類されます。
・急性発症:糖尿病の症状がでてからインスリン依存状態になるまでは数ヶ月ほどのタイプです。
・緩徐進行:発症からインスリン依存状態になるまでに半年以上、人によっては数年かかることがあるタイプです。
・劇症:糖尿病の症状がでてからインスリン依存状態になるまでが一週間ほどと非常に短いタイプです。
原因と考えられるのは「自己抗体機能の異常」
インスリンが体のなかで不足する状態というのはさまざまな原因がありますが、1型糖尿病は人間の体がもつ「自己抗体」という本来は身を守るための機能が異常となっているために起こるとされています。
例えば風邪をひいたインフルエンザになったときというのは、体の中にウイルスや細菌などが侵入している状態ですが、身を守るために侵入した細菌やウイルスに対して抵抗するための物質をつくられることで体調がよくなるのです。
この抵抗するための物質を抗体といい、風邪など体調を壊してしまった状態から回復するためには不可欠なものとなっており、通常であれば自分の体に悪影響を与えることはありません。
しかし、その抗体が異常な状態になると本来悪影響のない物質に対してウイルスや細菌のように「体にとって悪いもの」と誤認識してしまい抗体をつくり、体に悪影響を与えてしまいます。
こうした自己抗体の異常によって発生する病気を「自己免疫疾患」といいますが、1型糖尿病はこの自己免疫疾患のうちのひとつという分類です。
どのような臓器の抗体に異常が発生するかでも発症する病気は異なりますが、1型糖尿病は膵臓の細胞を壊してしまう抗体が原因とされています。
この臓器の細胞を壊してしまう抗体は
・インスリン自己抗体(IAA)
・膵島細胞抗体(ICA)
・抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体(GAD)
などといくつか種類があり、1型糖尿病かどうかを判断するにあたり、こうした抗体を調べることが検査のひとつとしてあります。
一般的に「糖尿病」と聞くと生活習慣が原因であるというイメージがありますが、糖尿病でも1型と2型では大きく原因が異なります。
2型糖尿病は生活習慣が原因とされていますが、1型糖尿病は生活習慣が原因とはされていません。
その原因ははっきりとは特定されていないものの、理由としては
・薬や微生物などによって自分の臓器組織が変わってしまう
・薬や微生物などが自分の臓器組織に似ていて抗体の区別がつかなくなってしまう
などと考えれられており、妊娠を機会に発症するというケースもあります。
糖尿病という名前は一緒ではありますが、2型とは別の病気といってもよいほどの違いがあります。
また糖尿病を発症した人の9割以上が2型ということもあり、2型に比べると知名度もあまり高くなく一般には認識されていない病気です。
生活習慣を改善して自己免疫疾患が治るわけではないので、インスリンを投与する対処のみで2018年現在では1型糖尿病はまだ完治されない病気とされていますが、人工の膵臓や移植を行ったり再生医療で対応したり様々な治療法が発展しており、今後完治することもできるのではという期待があります。
急性型1型糖尿病の特徴
発症から数ヶ月でインスリン依存状態となるタイプで、1型糖尿病のなかではもっとも多い期間となり、大体は3ヶ月以内にインスリン依存症となります。
症状としては初期に
・口が乾く
・尿の回数が増える
・疲労感がつよくなる
・体重が減少する
というような症状が現れ、
数ヶ月でインスリン依存症になってからはインスリンを投与していない状態となってしまうと、さらに昏睡状態になるなどのケースもあります。
これらは1型糖尿病では発症頻度は異なるものの症状としてはある程度共通しています。
初期症状が起こる理由としては、体のインスリンが不足することで血液内の糖の数が増えている高血糖の状態になることが理由です。
高血糖となると正常な血糖値にしようと体が働き、水分を求めるようになります。
それにより喉が乾き、また水分を多くとることで尿の回数が増えるのです。
さらに糖を体の外にだそうとすることでも尿の数は増える原因となります。
体の細胞にエネルギーをつくる役割をもつ糖が血液から細胞にいかず、体を動かすのに充分なエネルギーが足りなくなってしまうことも症状がでる原因となります。
食べたご飯をエネルギーにすることができず力がでない、疲れやすいという症状につながります。
また血液から糖がもらえなくなった場合に、体は代用として脂肪をエネルギーに変えるようになり、これにより体重減少につながるのです。
糖尿病と聞くと体型的には中年以降の太めの人をイメージする方がいるかもしれませんが、これは2型糖尿病の傾向です。
2型糖尿病は糖質の摂り過ぎや運動不足などが原因につながることがあり、基本的には長い年数をかけてゆっくり進行していくため、中年や太めの人の患者さんが多くなるのです。
1型糖尿病の患者は体の脂肪をエネルギーに変えることから痩せ型の人が多い傾向にあり、年齢も若い人が多くなっています。
急性型1型糖尿病はインスリン投与をおこなう治療を開始してから、インスリン分泌の能力がよくなり症状が改善したかのようにも見える時期がでることもあります。
この時期を「ハネムーン期」と呼びこの期間はインスリン投与が不要なこともありますが、一般的には一時的なもので再度インスリン投与の治療が必要となります。
入院していた場合、退院する際の体内のインスリンの量に左右される、また年齢や性別などに影響がある、膵臓細胞を壊す抗体の種類によるなどの研究もされていますが、はっきりとは解明されていません。
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緩徐進行型1型糖尿病の特徴
インスリン依存症まで半年以上の期間がかかるものです。
数ヶ月以上の期間をかけて徐々に体のなかのインスリンが減少していき、次第にインスリン依存症へとなってしまいます。
しかしインスリンは正常な状態よりも少ないため、治療の初期段階からインスリン投与しないというわけではありません。
どれくらいの期間でインスリン依存症となってしまうかは個人差があり、場合によっては発症後10年経ってもインスリン依存症にならないというケースもあります。
治療としてはインスリン依存症になるまではインスリンの投与で血糖値をコントロールするような治療が一般的です。
また、1型糖尿病は数ヶ月以内でインスリン依存症になる急性型や劇症型が多いため、徐々に進行する緩徐進行型は最初の診断は2型糖尿病と診断されることもあります。
2型糖尿病として治療を続けて定期的に検査をおこなっているうちに、緩徐進行型1型糖尿病と判明するということもあるのです。
この2型糖尿病と似ている緩徐進行型1型糖尿病の分別としては、膵臓の細胞に攻撃をしてしまう抗体がいるかどうかという部分などが判断する要素になりますが、初期の段階では見つからないこともあります。
患者さんの生活習慣などから「緩徐進行型の可能性もある2型糖尿病」として治療をすすめるケースもありますが、しかしその治療の方針は2型糖尿病とは完全に同じというわけではないのです。
2型糖尿病は生活習慣を見直すことが重要であるため、血糖をコントロールする薬などをメインとし、インスリンの投与は積極的にはおこないません。
しかし緩徐進行型1型糖尿病であれば膵臓の細胞に攻撃をする抗体が存在することになるのですが、薬を飲むことはその膵臓に負担をかけてしまう行為になります。
そのためできるだけ臓器に負担をかけないように、早めに薬ではなくインスリンで臓器を守るようにする治療を早めにおこなうべきとされているので、緩徐進行型1型糖尿病が疑われる2型糖尿病であれば、インスリン投与をおこない、慎重に検査をしながら治療を勧めていくケースもあるのです。
このように2型糖尿病と思って治療を続けていたら緩徐進行型1型糖尿病であったという例は、2型糖尿病と診断されているうちの1割前後であるともされています。
進行していく上での症状は急性と同様で喉の渇きや尿量の増加、疲労感や体重減少となりますが、2型糖尿病と同様で自覚症状がないこともしばしばあり発見が遅れてしまうこともあるタイプです。
劇症型1型糖尿病の特徴
劇症型1型糖尿病は1週間から10日ほどでインスリン依存症となってしまうため、急激に悪化してしまうこと、事前の発見が難しいことが特徴としてあげられます。
また3種類ある1型糖尿病のなかでも、もっとも危険度が高い種類の糖尿病です。
症状が発症するまでは通常どおりのインスリンが分泌されているので、糖尿病の特徴である高血糖やインスリン不足などの症状はでないため、発症前に健康診断などを受けていても見つけることができません。
例えば10日前に健康診断を受けていたのに全く異常値は発見されず元気であったということもあります。
2型糖尿病などであれば、徐々に症状が進行していくので健康診断を定期的に受けていれば発見されることは多いですが、劇症型1型糖尿病だとこうした発見もできないのです。
また劇症型1型糖尿病は発症してからの1週間ほどで急に重い症状がでるのが特徴です。
糖尿病の症状で「糖尿病ケトアシドーシス」というのがあり、インスリン不足による急激な症状のことをいい、短期間で糖尿病ケトアシドーシスを発症するのが劇症型1型糖尿病ではよくみられます。
糖尿病ケトアシドーシスの症状は急に血糖値が高くなったときに起こるもの非常に危険な症状で、以下のものがあります。
・意識を失う昏睡状態
・脱水状態
・発熱
・全身のだるさ
・吐き気、腹痛
特にこのなかで脱水症状による喉のかわきがもっとも症状として多く、次にお腹の痛みや吐き気などの症状が多いです。
それまでは全くでていなかったのに、こうした症状が10日以内の間に急に発症しているというのが診察のときによくあります。
インスリンがなくなっている状態が急激に発症するため、症状がでたときには体のなかにはインスリンはほとんどない状態となっていることもあります。
劇症型1型糖尿病と判断されたら治療を早い段階でおこなうことがとても重要となり、発見や治療が遅れてしまえば死につながるという怖い病状となっています。
病院に行った場合も劇症型1型糖尿病と診断された場合には多くの医師による集中的な治療がおこなわれ、数日間は忙しい対応となるのです。
また急激な症状が落ち着いたあともインスリンが体のなかでつくられないことに変わりないため、血液内の糖の量のコントロールが難しく高血糖の症状が発症しやすいです。
治療に関してはほかの1型糖尿病と同様で、食事や運動の管理や定期的なインスリンの注射などが必要となります。
まとめ
1型糖尿病は、症状や治療法が2型糖尿病と共通するところもありますが違うところもあります。
徐々に進行する緩徐進行型の場合、最初の診断は2型糖尿病と診断されることもあります。
思い当たる症状や気になることがあれば医師の診察を受けましょう。
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