果糖(フルクトース)も糖尿病を招く!自然由来でも要注意
糖尿病のリスクを減らすための方法として、体内の血糖値の上昇を抑えることがあげられます。
その点、ブドウ糖などの糖類は摂取することで血糖値が上昇しやすいものですが、糖類のうち果物などに含まれている果糖は自然由来のイメージがあり糖類の中でも血糖値が上昇しにくいとされる場合が少なくありません。
しかし、果糖であれば摂取しても血糖値が上がりにくいというのはひとつの側面にすぎません。
果糖の摂取には血糖値の上昇も含め、いくつかの重要な注意点があります。
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「果糖をとっても高血糖にならない」は幻想
果糖は糖の一種であり別名フルクトースとも呼ばれ、ハチミツ、果物、ベリー類、メロンなどに含まれています。
果糖の形状は白色の結晶になっており、あらゆる糖類の中でも水に多く溶けるのが特徴です。
果糖は天然に存在する糖の中でも甘みが強く、砂糖の主成分であるスクロース(ショ糖)と比べると約1.73倍の甘さがあるとされます。
また、果糖は温度によって甘みの強さが大きく左右されるのも特徴のひとつであり、冷やすことで甘みが強くなります。
40℃以下の場合は砂糖よりも強い甘みがありますが、高温になると砂糖の6割程度の甘みに変化します。
果糖はスクロースと比べると相対的に強い甘さがあり、かつ比較的低コストで生成できることから商業的に食品や飲料水などによく用いられます。
・果糖自体のグリセミック指数は低い
「果糖は摂取しても血糖値を上げないので高血糖になりにくい」と言われることがありますが、その理由は果糖のグリセミック指数が低いという点にあるようです。
グリセミック指数とは、食品を摂取することによって血糖値がどの程度上昇するかを表現する数値で「GI値」とも表現されます。
これは1981年にカナダのデヴィッドJ.ジェンキンズ博士らが食品によって血糖値の上がり方が異なることを発見し提唱した概念です。
グリセミック指数では、食品の炭水化物50グラムを摂取した場合に血糖値がどの程度上昇するかについて、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値であらわします。
ブドウ糖のグリセミック指数を100とした場合、果糖のグリセミック指数は55程度です。
これはグルコース、白米、サツマイモ、ジャガイモ、コーンフレークなどよりも低い数値であり、野菜、豆類、ナッツなどに近い数値です。
血糖値が上昇しにくいのであれば、高血糖の原因となるインスリン抵抗性を引き起こしづらくなるため高血糖になりにくい、という見解があります。
ブドウ糖に比べて半分程度の数値のため、グリセミック指数だけでみれば果糖は血糖値が上昇しにくいように思えます。
・果糖はブドウ糖とセットで吸収されてしまう
上述したように、果糖はブドウ糖の半分近くのグリセミック指数であり、単体で摂取すれば他の糖よりも血糖値が上昇しにくいように見えます。
ところが、ここに大きな落とし穴があります。
それは、果糖は単独で存在することはなく、ほとんど常にブドウ糖と組み合わさって存在しているということです。
果糖が存在する形態としては自然界に存在する砂糖の主成分であるスクロースとして、あるいは人工的に作られた異性化糖として存在する場合が多くあります。
そして、スクロースも異性化糖も、ともにブドウ糖と果糖が組み合わさったものなのです。
上でも触れましたが、ブドウ糖のグリセミック指数は100であり血糖値の上昇のしやすさは果糖の約2倍です。
果糖単体では血糖値が上昇しにくいように見えても、血糖値が上昇しやすいブドウ糖とセットで吸収されることで、結果として血糖値は上がってしまうのです。
果糖の長所と見逃せない短所
・果糖の長所
果糖の長所は、糖の一種であることから比較的早くエネルギーになることです。
同じ糖であるブドウ糖よりエネルギーへの変化は遅いですが、タンパク質や脂質と比べるとエネルギーに変換しやすくなっています。
また、血糖値がどの程度上昇するかを表現する数値であるグリセミック指数がブドウ糖の半分程度であることから、果糖だけで見ると血糖値を上げづらいという特徴もあります。
・短所はブドウ糖とセットになること
一方、果糖はブドウ糖とセットになって存在する場合がほとんどです。
果糖が存在する形態としては、砂糖の主成分であるスクロースの形態か、デンブンを分解した異性化糖の形態による場合が多くなっています。
スクロースと異性化糖はどちらも果糖とブドウ糖が組み合わさっている状態のものなので、スクロースと異性化糖を摂取すれば果糖だけでなくブドウ糖も摂取することになります。
血糖値が上昇しやすいブドウ糖を一緒に摂取することになるため、結果として血糖値が上がりやすくなってしまうという短所があります。
・肝臓に負荷をかけて分解される
果糖は体内で吸収された後に肝臓で代謝を受けることで多くの割合がブドウ糖に変化し、ブドウ糖に変化しなかった残りの果糖についてもグリセルアルデヒドという物質になります。
そのため、体内に吸収された後に血液中に放出されるブドウ糖とは異なり、果糖はそのままの形ではほとんど体内に存在しないのが特徴です。
果糖が体内に吸収された後、肝臓によってすぐに処理される理由は果糖の酸化力がブドウ糖に比べて遥かに強いため、そのままの形で体内に残ると体にとって負担になるためと考えられます。
また、果糖を分解することは肝臓にとって負担になります。
血中における果糖濃度の正常値はブドウ糖濃度の約500分の1ほどですが、最近では食物や飲料水などから大量の果糖を摂取する機会も多く肝臓の負担は増しています。
・糖化作用がある
「糖化」とは、体内に摂取した余分な糖質がタンパク質や脂質などと結合し、老化を促進させる物質を生成する現象です。
糖化はシワ、くすみ、シミなどの原因になるほか、糖化によって生成される物質が体内組織に作用することで、血液や内蔵などに悪影響が生じます。
その他、動脈硬化、白内障、アルツハイマーなどの症状との関連も指摘されています。
糖化現象は、糖質がタンパク質などと結合することで生じるAGEという物質によるものです。
代表的なものはブドウ糖から直接生成されるAGE-1ですが、果糖はAGEの生成効率がブドウ糖の10倍以上という報告もあります。
また、体内でブドウ糖に変化しなかった果糖はグリセルアルデヒドに変化しますが、グリセルアルデヒドの一部からはAGE-1よりも毒性が強いとされるAGE-2が生成されることも判明しています。
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ブドウ糖と果糖の吸収経路の違い
ブドウ糖と果糖は同じ糖分の仲間ですが、体内での吸収経路は異なります。
・ブドウ糖の吸収経路は小腸
ブドウ糖は主に小腸で吸収されており、人体の中で最も長い臓器といわれる小腸は胃や十二指腸などで消化された食物をさらに細かく分解し、栄養素として吸収する機能を有しています。
小腸の内部は柔らかい絨毯のようになっていて、その表面には無数の突起が存在しており、これによって小腸内部の表面積が大きくなり栄養素を効率よく吸収できるようになっているのです。
糖以外にも水、アミノ酸、ビタミンなど、小腸は人体に必要なさまざまな栄養素を吸収しますが、その中のブドウ糖は小腸の内部にある柔毛という部分の毛細血管から吸収されます。
吸収されたブドウ糖は血液中に入って全身に運ばれ燃焼用のエネルギーとして利用されますが、運ばれなかったブドウ糖の一部は肝臓に運ばれて貯蔵が可能なグリコーゲンという物質に変化して蓄えられます。
それ以外の余分なブドウ糖は、すい臓から分泌されたインスリンによって中性脂肪に変化し脂肪細胞に貯蔵されるのです。
中性脂肪とは人体の主なエネルギー源であるブドウ糖が不足した場合に備えて貯蔵される予備のエネルギー源ですが、体内に取り込まれたエネルギー源が余ると中性脂肪が合成されて貯蔵されます。
エネルギーが不足する緊急事態においては中性脂肪は心強い味方ですが、増え過ぎると人体に悪影響を及ぼすことになります。
というのも、中性脂肪が皮下組織で増えすぎると肥満につながり、肝臓で増え過ぎると脂肪が肝臓の多くを占めるようになる脂肪肝の原因になってしまうのです。
・果糖の吸収経路は肝臓
一方、果糖は肝臓で代謝されます。
肝臓の主なはたらきは、脂肪を消化するための液体である胆汁を作る、グリコーゲンや葉酸などの栄養素を蓄える、アルコールやニコチンなどの毒素を中和するなどが主なようです。
果糖は消化器官で吸収された後に肝臓で代謝を受け、その多くはブドウ糖に変換されますが、ブドウ糖に変換されなかった残りの果糖は同じく肝臓においてグリセルアルデヒドに変化します。
果糖の大部分は肝臓で代謝されるため、果糖単体では血糖値が大きく上昇する要因にはなりません。
ところが、肝臓の代謝によって果糖が変化したグリセルアルデヒドは最終的には中性脂肪に変換されることになります。
グリセルアルデヒドの代謝はグルコースを分解するための反応経路である解糖系で行われますが、経路の途中から割り込むような形で進行するという特徴があり、途中から開始することで調節作用が上手く機能せず脂肪が蓄積しやすくなるとされます。
・過剰摂取は中性脂肪を増やす
ブドウ糖と果糖はそれぞれ体内における吸収経路は異なりますが、どちらも過剰に摂取すると最終的には中性脂肪を貯め込む原因になります。
特に中性脂肪が肝臓に蓄積されると、脂肪性肝疾患や脂肪肝炎などにつながる可能性も考えられるのです。
糖尿病でもそうでなくても果糖摂取は注意!
血糖値が上昇する度合いを数値で表すグリセミック指数が示すように、果糖単体ではブドウ糖と比較して血糖値は上がりづらくなっています。
しかし問題は、果糖はほとんどの場合がブドウ糖と組み合わさった糖として存在していることです。
・果糖とブドウ糖の組み合わせの種類
スクロースは果糖とブドウ糖が結合した二糖類であり、砂糖の主成分として知られています。
このスクロースは甘味が強く、無色透明、水溶性などが特徴です。
スクロースは小腸に存在する消化酵素のサッカラーゼの作用によってグルコースとフルクトースに加水分解され、小腸内で吸収されて血液に流入します。
転化糖はインベルターゼという酵素によってスクロースを加水分解したものです。
同量のスクロースよりも甘味が強いのが特徴で、湿気を吸収する性質があり菓子をみずみずしい状態に保ちたい場合に多く使用されます。
異性化糖とはトウモロコシやジャガイモなどに含まれるデンプンを酵素や酸によって加水分解したもので、主成分はブドウ糖と果糖であり、ブドウ糖を果糖に異性化させることで甘味を強めているのが特徴です。
これらの糖は果糖とブドウ糖が組み合わさったものなので、摂取すると果糖だけでなくブドウ糖も吸収することになります。
グリセミック指数が示すところではブドウ糖は果糖に比べて血糖値の上昇の度合いが約2倍であり、摂取することで結果として血糖値の大きな上昇につながります。
・ブドウ糖と果糖は満足感が異なる
ブドウ糖と果糖では摂取した際の満足感が異なります。
ブドウ糖を摂取すると、インスリンや血糖値を上昇させて食欲を抑制するホルモンであるグルカゴン様ペプチド1(GLP-1) の分泌が活性化するほか、視床下部に作用して食欲を増進させる働きを有するグレリンというホルモンの分泌が抑制されます。
このように、グルカゴン様ペプチドの増加とグレリンの減少によってブドウ糖を摂取すると満足感が得られ、それ以上の食物を欲しがらなくなるのです。
一方、果糖の場合はインスリン分泌に対する刺激が小さく血糖値も直接的には上昇しないうえ、グルカゴン様ペプチドの分泌が増加せずグレリンの生産もあまり抑制されません。
そのため、果糖を摂取してもなかなか満足感を得られず、結果として必要以上の量を摂取してしまいがちです。
満足感を得られないため果糖を摂取しすぎてしまった場合、大量の果糖を分解することで肝臓に負荷をかけることになります。
特に、甘みが強く満足感を得にくい異性化糖が大量に使用された加工品などの場合は食べ過ぎや飲み過ぎに注意する必要があります。
糖尿病の場合は血糖のコントロールが重要になりますが、果糖は満足感を得にくく摂取しすぎると結果的に血糖値の上昇につながるうえ、果糖を分解するために肝臓の負担になるといった弊害があります。
そのため、糖尿病の場合もそうでない場合も、果糖の摂取には十分注意しましょう。
まとめ
果物やはちみつなどに含まれる糖分である果糖は自然由来のイメージも手伝って一般的に血糖値が上昇しにくいと認識されている場合が少なくありません。
確かに果糖単体で見るとブドウ糖に比べて血糖値が上昇しにくいと言えますが、果糖はブドウ糖と結合して存在する場合がほとんどなので、果糖を摂取すると同時にブドウ糖も摂取することになってしまい結果として血糖値の上昇につながってしまうのです。
その他、果糖は摂取しても満足感を得にくい大量に摂取すると肝臓の負担になるなどの特徴があるため、ブドウ糖などと同じく摂取には注意が必要と言えます。
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