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炭水化物抜きダイエットで身体を守る!?糖質摂取に警鐘を鳴らす研究

多くの人が一度はダイエットに挑戦してみようと思ったことがあるのではないでしょうか。

ダイエットには様々な方法がありますが、近年では「炭水化物抜きで身体を守る」ダイエットが注目されています。

炭水化物には糖質と食物繊維などが含まれていますが、その糖質を多く摂取することが実はダイエットの効果を減らすだけでなく、健康にも悪影響を及ぼすと言われているのです。

今回は、糖質摂取に警鐘を鳴らす研究についてご紹介していきます。

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糖化は老化に繋がる

炭水化物=糖質の過剰な摂取が健康に及ぼす悪影響として「糖化」が挙げられます。

糖化とは、摂取した糖とたんぱく質が結合してしまう現象を指しており、この糖化が体の老化を引き起こすとされています。

このため、炭水化物=糖質の摂取量を制限することが推奨されているのです。

○「糖化」とは?

糖化とは発見した人の名にちなんで、「メイラード反応」とも呼ばれています。

人間が食事から摂取した余分な糖質が体内のたんぱく質と脂質と結びつくことで糖化し、それが細胞を老化させる現象のことです。

人が余分な糖質を摂取して血液中に過剰な糖分があると体内のたんぱく質や脂質と結びつき変性させてしまい、老化促進物質であるAGEs(糖化最終生成物、エイ・ジー・イーズ)を作り出してしまうとのです。

○糖化は「体のコゲ」

この糖化の分かりやすい例えとして、糖化は「体のコゲ」とも呼ばれていることがあります。

例えばクッキーを思い浮かべてみるといいでしょう。

クッキーをオーブンで焼くと表面がこんがりと焦げますが、そのコゲに注目してみます。

このコゲとは、クッキーの生地に含まれている砂糖が卵や牛乳などのたんぱく質と結合し変性することで生じるものです。

つまり、糖とたんぱく質に熱が加わることでお互いが結びつき、見た目が褐色に変化することがコゲとなって表れているということになります。

このような糖化の現象が実は身体の中でも起こっているということです。

この現象は食べ物にとっては食欲を増すなどの効果はありますが、身体にとっての糖化は病気の原因になり悪影響を及ぼすもとになるといわれています。

では、身体の中で行われる糖化はどのように起こっているのでしょうか。

人間が食事として糖質=炭水化物を摂取すると、その糖質はまず血液中のブドウ糖になります。

このブドウ糖が人の体温によって温められることで、ブドウ糖とたんぱく質がゆっくりと結合し糖化反応が起こるということです。

○身体の中で糖化反応が起こるとどうなるのか?

身体の中で糖化反応が起こると身体の組織を作るたんぱく質に変化が起こるようになります。

先ほど例に出したクッキーと同じで、食品で起きた糖化と同じようにたんぱく質が茶色く変色していくということです。

またその組織自体も硬くなり、かつ、もろくなるため、たんぱく質の機能にも影響が現れてきます。

最終的には、この糖化反応により糖化最終生成物である「AGEs」が生成されます。

このAGEsは、さまざまな種類の化合物の総称です。

一旦、身体の中で生成されてしまうと少なくなったり消えたりするようなことはありません。

AGEsが身体の中に生成されるとどんどん体に蓄積されていき、さらに身体に悪影響を与えていくのが特徴です。

AGEsが内臓などの体内組織に作用すると、糖尿病や動脈硬化、アルツハイマーといった様々な病気の原因になるとされています。

○糖化で生じる「AGEs」が健康と美容に及ぼす影響とは?

精神的なストレスや紫外線によってAGEsによる糖化反応が促進される可能性もあります。

これらのAGEsの生成、蓄積による影響を総合的に捉えた概念は糖化ストレスと呼ばれます。

体内組織の悪化や、肌や髪にも黄ばみ・くすみ・しみなどの悪影響を及ぼしていきます。

○AGEはできやすいのはいつ?

このAGEsが身体にできやすいのは、食後1時間です。

人が食事を摂取してから30分後から1時間ほどで血糖値が上がるため、そのときに糖化が起こりやすいといわれています。

また、この食後の血糖値が150mg/dlや200mg/dlを超えている場合には、糖化がより早く進んでしまうこともあります。

さらに、肥満や喫煙などからくるメタボリックシンドロームが進んでいる人は日頃から血糖値が高いため食後血糖も上がりやすくなり糖化反応も強くなってしまいます。

食後の血糖値が高いとAGEsが身体の中に大量に作られてしまうため、一旦生成されたら代謝されないAGEsが体内に蓄積され続けていくという仕組みなのです。

 

AGEsが身体にもたらす悪影響

AGEsは、生成されて身体に蓄積されると代謝されて体外に排出されたり、元に戻ったりすることはないといわれています。

それどころかAGEsは体内のたんぱく質と結びついて人間の身体の老化だけでなく、病気などの悪影響を引き起こす可能性があるのです。

それらの悪影響をひとつずつ解説していきましょう。

○動脈硬化のリスクを高める

糖化が進むと血管の組織が脆くなってしまいます。

血管の組織が脆くなることで血管の壁に炎症が起こりやすくなり、動脈硬化になるリスクが高まるといわれているのです。

血管の壁に炎症が起きてしまう原因として、悪玉コレステロールであるLDL-Cが糖化してAGEsが溜まった状態になることが挙げられています。

普通なら悪玉コレステロールのLDL-Cは白血球のマクロファージが食べて分解して消してくれるのですが、悪玉コレステロールであるLDL-Cが糖化したことによりAGEsが溜まった状態になってしまうとマクロファージが食べても分解することができなくなるのです。

そして、悪玉コレストレールのLDL-Cは泡沫細胞という状態になり血管の内壁に蓄積してしまいます。

これが、アテロームという粥状のかたまりを作り出し動脈硬化を招いてしまうのです。

○腎機能の低下を引き起こす

腎臓にある老廃物が含まれた血液をろ過する膜はたんぱく質でできています。

そのため、たんぱく質が糖化してしまうと老廃物が含まれた血液をろ過するための本来の機能がなくなってしまうのです。

腎機能の低下が引き起こされることで血液中のたんぱく質が尿に漏れ出してしまうようになります。

尿たんぱくの症状が出るまでには多くの時間が必要となるため、健康診断などで尿たんぱくが認められた場合は体内の糖化が進んでいる可能性があります。

・アルツハイマー病と関連が指摘されている

アルツハイマー病を患っている患者の脳には健康な高齢者の脳と比べて約3倍のAGEsが蓄積されていたという指摘があります。

このことから、AGEsが脳に蓄積することでアルツハイマー病の罹患率を高めることが予測されているということです。

○皮膚にも悪影響がある

糖化は皮膚にも悪影響を及ぼすといわれています。

糖化することで肌のコラーゲンたんぱくの繊維を破壊させて肌や髪のハリを奪います。

また、糖化が生み出す老廃物が皮膚の細胞に沈着することでシミやくすみとなって現れてくるため肌の透明感が失われます。

このシミやくすみはたんぱく質が茶色くなるため、それが皮膚の黄褐変としてあらわれるのです。

糖化が進行すると、さらに肌のくすみ(黄ぐすみ)が進行することになります。

○肌の弾力やハリがなくなる

肌の弾力やハリのもとになるコラーゲンたんぱくが糖化すると皮膚を構成するコラーゲン繊維でできたバネ構造が硬くなって固定されてしまうようになります。

繊維の稼働性やしなやかさが失われてしまうため肌の弾力性が低下し、ハリがなくなる、あるいは皮膚が硬くなってしまうのです。

さらに、髪のたんぱく質も糖化することにより髪のハリやツヤもなくなってしまいます。

 

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5大陸18カ国でデータを取った「食事にまつわる研究」

糖質=炭水化物の摂取量が非常に多い人は死亡リスクが高く脂質の摂取が多い人は死亡リスクが低いという研究結果が出され、非常に話題になったことがありました。

この結果は、カナダ・マックマスター大学の Mahshid Dehghan博士らが報告した「食事にまつわる研究」によるもので、2017年8月に世界で権威ある医学雑誌のひとつ「ランセット」のインターネット版に掲載されました。

この研究において炭水化物の摂取量の多さが死亡リスクの上昇と関連していることが報告されています。

○この研究の背景

現在、世界的に使用されている低脂肪食を推奨した食生活ガイドラインがあります。

しかし、それらの食生活ガイドラインは欧州や北米の人々を中心とした研究に基づいて作られているため、欧米以外にもガイドラインは当てはめられるのかを研究して検証することになったのです。

○研究対象は?

低所得国(バングラデシュ、インドなど)、中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリなど)、高所得国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)の合計18カ国と地域で研究が行われました。

大規模な観察研究である「PURE」に参加した、35〜70歳の13万5335人のデータが分析されています。

○どんな研究を行ったのか

この研究への参加が決まった時点でそれぞれの食事内容を調べ、その後2013年3月31日まで平均7.4年間の追跡調査を行っています。

研究対象となった人々がどんな原因で亡くなったのか、循環器疾患の発症と循環器疾患による死亡などの有無を調べていたのです。

○どんな結果が出たのか

この研究で分かったのは炭水化物摂取量の多さがすべての死亡リスクの上昇と関連しているということでした。

これらに加えて、脂質の摂取量が多いほど死亡リスクが低下することも分かったのです。

ちなみに炭水化物の摂取量が多かったのは中国や南アジア、アフリカの国でした。

また脂質の摂取量が多かったのは北米や欧州などで、たんぱく質の摂取量が多かったのは南米と東南アジアの国の人だったという報告があります。

 

摂っているエネルギーの7割以上が炭水化物由来だと黄色信号!?

「食にまつわる研究」では、炭水化物の摂取量が多いと死亡リスクが高まることと、さらに総死亡のリスクの上昇傾向についても言及しています。

○炭水化物の摂取量が多いと死亡リスクが上がる

総エネルギー量に対して炭水化物由来のエネルギーの割合が高すぎる人は総死亡率が高いとされています。

これは低所得国の食生活は炭水化物の摂取量がとても多いことが関係していると見ており、炭水化物を減らすことで総死亡リスクを下げることができるとしています。

また、これらの結果により食生活に関する世界的なガイドラインの再考が必要と提言しています。

○炭水化物由来の摂取エネルギーの割合と死亡リスクの関係

総エネルギー量に占めている炭水化物由来の摂取エネルギーが60%を超えたあたりで総死亡のリスクとしては上昇傾向がみられました。

さらに、炭水化物由来のエネルギーが70%を超えてしまうと主要な循環器疾患のリスクが急上昇し、統計学的に無視できないほどの報告が上がっているようです。

○日本の糖質摂取量は?

日本で指導されているカロリー制限食では糖質量は6割くらいとされていますが、これを先ほどの「食事に関する研究」に当てはめてみると死亡リスクが上昇する範囲に含まれることがわかります。

炭水化物はご飯・麺類・パンなどの主食の他にも野菜や果物にも含まれています。

野菜では特に根菜類に糖質が多く、野菜だから糖質が少ないというわけではありません。

○日本でも糖質を控えた食事を指導する必要がある

これらの世界的な研究があるにも関わらず、現在の日本では「脂肪を減らしてその分、炭水化物を増やす」という指導が行われているのが現状です。

炭水化物をとるほど死亡リスクが高くなる一方で、脂質の摂取比率が多いほど死亡リスクは低下するということとが判明したため日本でも糖質量を控える食事指導を行う必要があるといえます。

この「食事にまつわる研究」は、あくまで研究のひとつに過ぎないのかもしれません。

しかし、炭水化物の過剰摂取が体に悪影響を及ぼすことは事実なのです。

 

まとめ

糖化について、また糖化が体内をはじめ肌や髪などに及ぼす悪影響についてご紹介しました。

カナダ・マックマスター大学の博士らによる研究では炭水化物を60%以上摂取すると死亡率が上がることが示されており、「過剰な炭水化物は総死亡リスクを高める」と糖質制限の正しさが裏付けられています。

このような研究があることを知り、私たち自身の身体においても糖化を防ぐことが大切です。

そのために糖化の仕組みを知り、それを予防する生活習慣を身につけることがいつまでも身体の健康を保つ秘訣だといえます。

これから糖質制限を行う際は、糖質は徹底的に避けつつ、アミノ酸、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、カルシウムといった必須栄養素をしっかりと摂るようにしましょう。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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