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乳がんになりやすい人と乳がんの危険因子について

近年、乳がんの罹患率、死亡率ともに増加傾向にあり、国においても定期的な検診を推奨しています。

原因はさまざまですが、乳がんになりやすい人とそうでない人の間に違いがあることをご存じでしょうか。

また、乳がんのリスクファクターとなり得る生活習慣などを知らず知らずのうちにとってしまっている人もいるかもしれません。

乳がんについての正しい知識を持っておくことで疾患の理解や予防に役立ちます。

ここでは乳がんになりやすい人の特徴や危険因子、乳がん検診の詳細やセルフチェックの方法など幅広くご紹介します。

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乳がんになりやすい人の傾向

<乳がんと遺伝>

乳がん罹患者のうち7~10%の人は遺伝性乳がんといわれています。

これは遺伝子BRCA1とBRCA2の病的変異によるもので、乳がんや卵巣がんの人特有の特徴です。

本来BRCA1とBRCA2は「がん抑制タンパク質」としてDNAの損傷を回復する役割を担っています。

ところが何らかの原因によって変異が生じるとDNAは回復されず損傷したままに。

その結果、がんを発症しやすくなるというのが現在わかっている乳がんとの関連性です。

また、BRCA1とBRCA2の変異は卵巣がんの発症にも関係しているといわれています。

そのため「遺伝性乳がん卵巣がん」の有無を調べることも重要です。

遺伝が影響しているかどうかというのは、自分の母や母方の祖母、姉妹やおばなど家族や親族の乳がんの既往で理解することができます。

もしも家族や親族に乳がんの既往がある場合には、将来的な発がんのリスクを見据えて若い頃から定期的な健診を受けるということが大切です。

また、遺伝子変異の有無は血液検査によって調べることができ、遺伝カウンセリングを行っている施設などで検査を実施しています。

<乳がんと女性ホルモン>

エストロゲンが長い間分泌されている人は乳がんを発症しやすいといわれています。

月経期間が長いことはもちろん、エストロゲンにさらされる期間が長いのはどのようなときかについて整理しておきましょう。

・出産経験がない

出産経験がないと出産後のエストロゲン低値の期間を経験しないため、出産経験がある人よりもエストロゲンにさらされる期間が長くなります。

・ミルク育児をしている

母乳を与えているときにはエストロゲンの分泌が止まります。

・ホルモン補充療法

更年期障害の治療などで閉経後にホルモン補充療法を行っている場合が該当します。

・閉経後に肥満である

近年はメタボリックシンドロームなど閉経後も肥満の人が増えています。

脂肪細胞はエストロゲンを産生します。

そのため閉経以降も肥満な人はエストロゲン分泌が続いてしまうというわけです。

またエストロゲンの分泌を曲線で表すと、30代頃に分泌のピークを迎えて徐々に加齢とともに下降線をたどっていきます。

しかし乳がんの発症リスクが低下するわけではなく、むしろ乳がんを発症しやすい年齢は閉経前後。

これは40代前後にエストロゲンの低下が起こる一方でエストロゲンを少しでも受け止めようとエストロゲン受容体が増えるためです。

エストロゲン受容体と合体したエストロゲンが持つ、細胞増殖促進の働きが乳がんの発症に関与していると考えられているのです。

<乳がんになりやすい年代>

乳がんの好発年齢(疾患にかかりやすい年齢)は30~50代前後とされています。

この年代は働き世代や子育て世代の人が多く、多忙を理由に検診が遅くなりやすい年代でもあります。

また、この年代以外でも20代の乳がん発症というケースも存在するので注意が必要です。

 

乳がんの危険要因

<1 出産・授乳経験がない>

妊娠中に女性らしい体作りをサポートし胎児の発育環境を整える役割を担っていたエストロゲンは出産後、急激に低下します。

また産後に母乳育児を行っている人は、ミルク育児の人に比べてエストロゲンの分泌は抑えられた状態が続きます。

母乳育児の人のほうがミルク育児の人に比べて生理が始まるのが遅れるのはこのためです。

このように出産経験がない人や出産回数が少ない人、母乳育児でない人はエストロゲンが低値となる期間を経験せず、常にエストロゲンにさらされている状態になるため乳がんのリスクが高まるのです。

<2 喫煙をする>

あらゆるがんのリスクファクターとされている喫煙は乳がんにおいても当てはまります。

たばこの煙には多くの発がん性物質が含まれており、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインからの情報によるとその数は約60にも上るとされています。

これらの発がん性物質が遺伝子変異を引き起こし細胞のがん化が起こってしまうのです。

また、喫煙習慣がある人だけでなく受動喫煙によっても乳がんが発症しやすいというデータも存在しており、家族など喫煙者が身近におり煙を吸ってしまう環境にいる人は要注意です。

<3 血縁者に乳がん経験者がいる>

先ほども触れましたが、家族や親族など血縁者に乳がんの経験者がいるというのもリスクファクターになり得ます。

検診などで病院やクリニックが家族歴を把握するのはこのためです。

自分の家族や親族の乳がんの既往歴をチェックしておきましょう。

<4 過去に乳がんや乳腺疾患にかかった経験がある>

乳がんは転移します。

片側の乳房にできた乳がんを治療できたとしても、もう片方の乳房に発症する可能性は乳がんを経験していない人に比べると約5~10倍の確率で高くなることが分かっています。

また、乳がんと似たような乳房のしこりや痛みで良性疾患とされる乳腺炎といった診断が下された人もいるでしょう。

良性の疾患ではありますが、細胞増殖性病変として経過をフォローされている人では乳がんが起こりやすくなります。

そのため良性疾患だからと安堵せずに定期的な検診を受けるということも大切です。

<5 身長が高い>

最近、身長が高い人ほど乳がんの発症率が高くなるという驚きのデータが注目されています。

身長が高い人の中でも成長ホルモンやIGF-1というインスリン様成長因子が高値である人は、平均的な身長の人や低身長の人と比較し細胞の母体数が多く、突然変異も多くなるのではという説が今のところ有力となっています。

ただあくまでも仮説にすぎず、身長が高い人であってもリスクファクターとなり得る喫煙などの習慣を見直すなどの努力で乳がんの発症予防につながります。

<6 閉経後に肥満傾向>

閉経後に肥満であることも乳癌のリスクファクターとなります。

脂肪細胞がエストロゲンを作り出してしまうためです。

そのため閉経してエストロゲン分泌が減るから乳がんの心配をしなくて済むとはいえません。

がん発症のリスクを抑制するためにも体重管理が重要となります。

<7 お酒を飲む>

女性の社会進出に伴って家庭だけでなく職場やイベントなどで女性もお酒を飲む機会が増えています。

お酒に含まれているアルコールによりエストロゲンの血中濃度が上昇することが分かっており、乳がんのリスクファクターとして飲酒習慣のある人は特に注意が必要です。

<8 出生時の体重が重い>

スウェーデンにおける研究によって、出生時の体重が重いことも将来の乳がん発症に影響を与えているというデータが存在します。

子宮内で母親からのエストロゲンの影響を受け胎児は成長し、このエストロゲンの量とのかかわりが注目されているのです。

<9 初潮の年齢が早く、閉経した年齢が遅い>

体内がエストロゲンにさらされる期間が長いほど乳がんの発症リスクが高まります。

月経の開始が早く、閉経の年齢が55歳以降と月経を多く経験している人は要注意です。

12歳以下で初潮があり55歳以降で閉経した人は、乳がん発生率が2~3倍になるというデータも存在します。

 

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乳がん検診のメリット

乳がん検診は早期発見ができることがメリット

乳がんも他のがんと同様に、早期発見が重症化や死亡率減少につながります。

早期発見のために利用したいのが乳がん検診です。

乳がんは乳房に特徴的なしこりを感じる、くぼみなどで形が変形している、わきの下のリンパ節が腫れているなど視覚的に症状が分かりやすく発見に至りやすいがんです。

しかし、セルフチェックの段階ではすでに腫瘍が2~5cmと大きくなっており、ステージⅡからⅢの段階に既に進行してしまっているケースが多くなっています。

検診で発見される約7割がステージⅠと呼ばれる早期がんであるというデータも存在し、定期的に検診を受けているほうがセルフチェックで発見されるよりも早期の対応が期待できるのです。

多忙であることや検診の費用負担を避けたい、がんと分かりたくないなどといったさまざまな理由で検診を受けない人も多く、日本は米国など海外と比較しても検診率は低いです。

国として個別に受診を推奨する郵便物を送付して、受診に使えるクーポン券を配布するなどといった取り組みを行っています。

マンモグラフィ検査と超音波検査の併用が大切

乳がんの早期発見において代表的な検査がマンモグラフィ検査です。

これは乳房のレントゲン検査のようなもので、厚生労働省の通知で現在2年に一度の検査導入が推奨されています。

実際に乳房を縦方向や横方向から検査機器で圧迫し、乳房組織の重なりを減らして内部をより見やすくします。

マンモグラフィ検査によって全年齢の乳がん死亡率は25%も低下することが分かっているので、非常に有用だということが分かります。

しかし、中には乳腺組織が多いことによってマンモグラフィ検査をしても結果がはっきりと分かりにくい場合があります。

せっかく検査を受けたのに乳がんの存在を見落としてしまうということは防ぎたいところです。

そのためマンモグラフィ検査とともに超音波検査(エコー検査)を併用するということがとても重要となります。

超音波検査では小さな乳房のしこりや乳腺組織の変化もキャッチすることができるのです。

また、脳ドッグや人間ドッグと合わせて受診ができる施設やクリニックもあるため、チェックしてみると良いでしょう。

セルフチェックのやり方とタイミング

定期検診を受けていても乳がんの進行スピードが速く悪化してしまうケースも存在します。

そのため検診と合わせて行いたいのが自宅で気軽に行うことのできるセルフチェックです。

乳がんは視覚的に症状を知ることができるため、セルフチェックが非常に有用とされています。

仰向けの状態や入浴前に鏡の前で、あるいは湯船に浸かっているときなどに触診してみましょう。

その際、以下のポイントをチェックします。

・乳房のしこりの有無
・乳房の変形、左右差の有無
・乳房のただれの有無
・わきの下の腫れの有無
・乳首をつまんだ際の出血など分泌物の有無

月に1回の頻度を目安として実施しましょう。

また、少しでも上記の症状に当てはまるかもしれないと思ったときには、できるだけ早めに受診することが大切です。

 

乳がん検診の結果の考え方

乳がん検診の要精査とは

乳がん検診はマンモグラフィ検査を受けて終了ではありません。

マンモグラフィ検査を受けると結果について通知が来ます。

その後必要な場合は要精査を受けることになります。

通知に書かれた「要精査」という文字を見て驚く人もいるでしょう。

この要精査というのはマンモグラフィで何らかの異常が見つかったため念のために再検査を要請するものです。

ちなみにマンモグラフィの検査結果のカテゴリーは5段階に分類され、そのうち3~5が「要精査」に該当します。

1 異常なし
2 良性病変(のう胞や線維線種のみ)
3 がんの疑いが否定できず
要精査でがんの確率は5~10%です。
4 がんの疑いあり
要精査でがんの確率は30~50%です。
5 がんの確率が高い
要精査でがんの確率は95%です。

「要精査」の通知が来ても実際に精密検査を受けて乳がんではなかったという人が8割に上るというデータも存在し、必ずしも乳がんであるということを意味するものではありません。

要精査といわれると不安に感じやすくなりますが、実際にまったく異常がなかったという人や乳腺症などその他の疾患が存在したというケースもあるのです。

精密検査を受けてみないと結果は分からないため、乳腺症や線維線種の可能性を含め通知が来たら早めに医療機関や専門施設を受診して検査を受けましょう。

また、自覚症状がないからという理由で検査を後回しにする人もいます。

しかしその間にも病気が進行してしまうことも考えられるため、自覚がなくても受診することが重要です。

マンモグラフィだけで乳がんを完璧に発見するというのは難しく病変が見えづらく判断しづらい場合もあるので、要精査の検査と組み合わせてより正確な判断へとつなげていきます。

乳がん検査に引っかかりやすい体質の人もいる

マンモグラフィでは乳房内の「石灰化」と呼ばれる状態を調べます。

しこりとして自覚する前段階の早期に発見するために有用ですが、この石灰化というのは乳腺にカルシウム成分が付着、沈殿したもので、石灰化を起こす病変によって良性なのか悪性なのかに分別されるのです。

例えば、乳腺症や線維線種などといった良性の疾患においても石灰化が見られるのです。

乳がんの中でも乳管の中で石灰化の跡を残しながら増殖していくのが乳管がん。

乳腺症や線維線種などで石灰化が起こっている人だと毎回の乳がん検査で引っかかりやすくなってしまうのです。

石灰化だけの場合には早期のがんであることがほとんどなので、すぐに命の危険があるというわけではないですが、経過をフォローしていく必要があるでしょう。

乳がん検査が要精査だった場合の再検査の内容

精密検査の種類は以下の通りです。

・マンモグラフィの追加撮影
疑わしい部位を中心に追加で多方面から乳房を撮影していきます。

・超音波検査
マンモグラフィ検査だけでは分かり得なかった小さな病変などの発見に役立ちます。

・細胞診
細胞診では穿刺吸引と呼ばれる方法が行われ、超音波を見ながら乳房のしこり部分に細い針を刺して細胞の成分を取り出し、顕微鏡で調べます。

・組織診
細胞診ではしこりの性質によって悪性かどうかの判別ができない場合もあり、その際には組織診といってより広い範囲の組織を採取し、検査を行います。

どの検査を実施するかは悪性かどうかの可能性や疑われる病変部位などによって異なります。

場合によっては乳房MRIや乳房CTをとることもあります。

 

まとめ

国からも定期的な検診さ推奨されていることからも、日本の女性の乳がん患者の増加や死亡率の増加を防ごうという試みが見えてきます。

乳がんの原因はさまざまですが、日常生活の中で危険因子を回避することは個人の努力次第で可能です。

また、セルフチェックや定期的な検診を組み合わせて悪化する前に発見できるというのがベストになります。

発見が遅れたがために乳がんで亡くなる人のニュースを耳にすることもあります。

どの年代においても乳がんを起こす可能性はあり注意する必要があるでしょう。

自覚症状の有無で自己判断せずに「要精査」といわれた際にも受診し、きちんと検査を受けるということが重要です。

 

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ライター紹介 ライター一覧

木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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