リンパ球の数が正常値から外れている予兆はどこから分かるの?
体調の悪いときに「リンパが腫れている」ということはありませんか。
このときに腫れているのはリンパ節というもので、そのリンパ節でウイルスや細菌などの外敵と戦っているのがリンパ球です。
このリンパ球は白血球の一種であり血液検査などでも調べることがあります。
ここでは正常なときの健診などでみるリンパ球の値、リンパ球が増えすぎているとき・減っているときの症状や考えられる病気についてみていきましょう。
また、一緒にウイルスや細菌と戦っているリンパ球以外の白血球の仲間についてもご紹介します。
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リンパ球の正常値は20~40%の範囲
血液の成分は「血小板」や「血漿」「赤血球」「白血球」に分けられます。
血液中で一番多いのは赤血球です。
全身に酸素を運んで二酸化炭素を回収するという働きをしています。
血小板には傷口で固まり出血を止める機能があり、白血球には異物の侵入から体を守る働き、いわゆる「免疫機能」があるのです。
血液全体のなかでは白血球と血小板はわずかな量であり少数派なのですが「病気から身体を守る」という重要な役割を果たしています。
白血球と括られているもののなかにあるのが「顆粒球」「単球(マクロファージ)」「リンパ球」です。
顆粒球は殺菌作用をもっていますし、単球(マクロファージ)は細菌も含めて血液中の不要なものを食べてくれるお掃除屋さんの役割をしています。
一度身体に侵入したウイルスや細菌などの異物を記憶して、その抗原を排除する作戦をつくるのがリンパ球です。
2回目以降の侵入では速やかに排除する「免疫」という機能を担っています。
つまりリンパ球は、免疫の要であるメモリー機能と指示機能を担っているのです。
はじめて身体に入る異物に対してはまだ免疫ができていないので、発見して排除するまでに時間がかかります。
しかし、その経験をもとに「抗原」となる異物が記憶され、同時に抗原に対するより速やかで効果的な攻撃方法「抗体」が記憶されるのです。
この機能により、体は抗原を記憶して自分自身の細胞とウイルスや細菌などの有害な異物を区別します。
この抗原かどうかの区別がうまくいかなくなったり過剰に反応してしまったりする状態が「アレルギー反応」です。
白血球の約25%を占めるリンパ球は骨髄や胸腺でつくられて増殖し「リンパ節」「扁桃腺」「脾臓」「腸管」などで免疫反応の機能を発動します。
リンパ球は血液中とリンパ液を行ったり来たりしながら異物や病原体の侵入に備えて警戒していますので全身を守ることができるのです。
この免疫機能のおかげで、水ぼうそうや麻疹(はしか)は基本的には一度発症すれば二度とかかることはないといわれています。
しかし水ぼうそうについては1回目が軽い症状だった場合は免疫がつかないことがあり、再び水ぼうそうになる可能性もあるのです。
予防接種はこの免疫機能を生かした病気を避ける方法になります。
リンパ球にあるのが「B細胞」と「T細胞」「ナチュラルキラー細胞」です。
ナチュラルキラー細胞は生まれたときから機能している免疫細胞で、細菌やウイルスなどに感染してしまった細胞を攻撃します。
B細胞は細菌やウイルスなどに対する抗体をつくります。
そして免疫反応のなかでも「知的中枢」であるT細胞は、病原体を記憶し再度その病原体が入ってきた際にはその記憶に基づいてすばやく対応するのです。
同時にほかの細胞にも指令を出して、速やかに病原体を排除する働きをもっています。
リンパ球の状態は血液検査で知ることが可能です。
血液検査一覧には「リンパ球」または「LYM」という項目でリンパ球の状態が示されています。
病院や検査施設によって多少変動はありますが、正常値は20~40%の範囲です。
リンパ球が減っているかもしれない症状
身体を守る免疫機能の知的中枢であるリンパ球が減るとどのような症状が現れるのでしょうか。
リンパ球減少がまだそれほど激しくない時点では何も症状がみられないこともあります。
しかし、当然ながら免疫反応を司るリンパ球の数が減少すれば、「細菌」「ウイルス」「真菌」「寄生虫」に感染しやすくなり治りにくくなるのです。
そのため倦怠感や発熱、腹痛、下痢などの感染症の症状のような状態がだらだらと続くことになります。
また、リンパ球を減少させる原因となっている病気自体の症状が現れることもあるでしょう。
リンパ球減少症の原因になる病気は、「がん」や「HIV感染」「遺伝性の免疫系の病気」などです。
免疫機能そのものの異常と関節リウマチなどの免疫反応の誤作動、そして風邪などの感染症で免疫機能が疲弊している場合があげられます。
がんやHIV感染ではリンパ節腫大や脾腫がみられますし、遺伝性の免疫系の病気でみられるのは扁桃やリンパ節の縮小です。
リンパ球は骨髄や胸腺でつくられて増殖しますが、血液中に流れ込むリンパ管系と組織液と共に全身に流れていくリンパ系があります。
このリンパ系で中継所のような役割を果たしているのが「リンパ節」です。
リンパ節は体幹を中心にたくさんあり、そこで免疫機能を発動しています。
そのため体調が悪いときにはリンパ管が腫れたり、痛くなったりするのです。
がんやHIV感染では免疫機能が過剰に働いているためリンパ管が腫れますし、遺伝性の免疫機能低下ではこの機能がうまく働かないためリンパ管が縮小します。
免疫系が誤作動して自分の軟骨や骨を攻撃してしまい、関節が腫れて痛む症状が出るのは関節リウマチです。
全身性エリテマトーデスも関節リウマチと同じ仕組みで、痛みのある関節腫脹や発疹などの症状があります。
呼吸器ウイルス感染は、せきや鼻汁、発熱などがみられますが、リンパ球の動きが悪いと倦怠感が強くなります。
マクロファージが過剰に活性化してウイルスが感染した細胞を破壊しながら血球まで食べてしまうため、リンパ球減少だけでなく、白血球、赤血球、血小板のすべてが減少してしまうことがあるのです。
重症の細菌感染でも白血球は減少することがあります。
また薬が原因のこともあり、抗がん剤などの骨髄の働きを抑える薬剤で起こる場合と薬剤へのアレルギー性や中毒で起こる場合があるのです。
倦怠感などの症状がある場合には、その薬を出してくれた医師や薬剤師に相談してみましょう。
このようにリンパ球を含む白血球の異常には生命にかかわる病気が隠れていることがあります。
倦怠感が長期間続いたり、風邪症状がなかなか良くならなかったりするリンパ球減少を疑わせるような症状があったとき、健診などで白血球やリンパ球の減少を指摘された場合は、必ず血液・膠原病内科を受診してください。
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リンパ球が増えているかもしれない症状
それではリンパ球の数が増えた場合はどのような症状が出るのでしょう。
リンパ球の数が増加しても通常はほとんど症状が現れません。
なぜなら、感染症などと戦うためにリンパ球を増やすのは健康な身体の防御反応だからです。
リンパ球が増加する最も一般的な原因は細菌やウイルスの感染でしょう。
人間の歴史は感染症との戦いの連続でした。
有史以来「はやり病」はたくさんの人の命を奪ってきましたが、それが細菌の仕業だということが分かったのはようやく19世紀になってからのことです。
そしてウイルスが発見されたのは20世紀に入ってからでした。
しかし、ウイルスや細菌が発見されるずっと前から、人間の身体のなかでは感染症と戦いが続いていたのです。
リンパ球は感染症との戦いの主役であり、B細胞とT細胞、ナチュラルキラー細胞といったリンパ球は感染症に反応して増加します。
感染症以外のどんな原因で増えているのかを調べるため精密検査をする際には、まず血液を顕微鏡で見ます。
そして血液中のリンパ球が活性化して増えているのか、活性化していないのに増えているのかを観察するのです。
次に、そのリンパ球が未熟なままではないか、異常がないかを調べていきます。
場合によっては特定の種類のリンパ球のみが増加していることがありますので、血液検査でT細胞やB細胞、ナチュラルキラー細胞のどれかが著しく増加していないかを調べます。
これらの検査で未熟なリンパ球が多くあり、さらにリンパ球ががん化している場合には「リンパ腫」や「リンパ性白血病」といった血液のがんが疑われるでしょう。
これらの病気ではリンパ球の増加によって発熱や寝汗、体重減少がみられることがあります。
いずれも、早期発見が大切な病気です。
発熱や寝汗、体重減少などの自覚症状があるときは早めに医療機関を受診して相談しましょう。
このような詳細な血液検査でがん化していないリンパ球の異常が認められた際は、「自己免疫疾患」が疑われることが多いです。
この自己免疫疾患という病気は、外部からの侵入物を攻撃することで私たちの体を守ってくれている免疫系の誤作動で起こります。
本来外敵に対してする攻撃を自分の身体を異物とみなしてしまい攻撃してしまう病気なのです。
この誤作動の攻撃の際に、感染症に対するときと同様にリンパ球を含む白血球が増殖します。
「全身性エリテマトーデス」や「橋本病などの甲状腺疾患」「尋常性白斑」「関節リウマチ」あるいは「重症筋無力症」などがあるのが自己免疫疾患という病気です。
これらの自己免疫疾患では合併症として円形脱毛症が起きることがあるでしょう。
これはリンパ球のT細胞が毛根を異物と間違えて攻撃してしまう結果、毛根が傷んで突然抜け落ちてしまうのではないかと考えられています。
いずれにしても、「リンパ球が増えていることそのもの」を治療するというよりは、その原因となっている病気を治療することになるのです。
健康診断などで見るリンパ球についての数字
健康診断などでもリンパ球についての検査項目がある場合があります。
白血球はいくつかの種類に分かれていてそれぞれ役割が違います。
その種類別の比率を調べることで病気の診断の役に立つのです。
まず白血球は、これまで触れてきた「好中球」「リンパ球」「単球(マクロファージ)」に加え、「好酸球」と「好塩基球」があります。
つまり白血球の成分は、5つに分けられるのです。
その白血球の成分を種類別に分け、その割合を調べることで感染症やアレルギー、自己免疫疾患などの原因疾患を推定することができるため細かく分けて検査をします。
まずLYMはリンパ球(Lymph)の略であり、リンパ球の割合を%で表しているものです。
検査をする施設や病院によって数値は多少異なりますが、リンパ球は20~40%の範囲が正常値になります。
リンパ球の割合が高いとウイルス性感染症が疑われ、低くなると急性感染症の初期や全身性エリテマトーデス、悪性リンパ腫などが疑われるでしょう。
次に単球はマクロファージのことで、1~10%の範囲が正常値です。
マクロファージは異物を捕食して消化する清掃屋の働き以外にも、リンパ球に抗原となる異物の情報を伝達するという大切な働きをしています。
マクロファージの割合が高いと発疹性感染症や慢性肝炎などが疑われるでしょう。
そしてNEUTは好中球(Neutrophils)の略で、47~70%の範囲が正常値です。
好中球には殺菌作用があり、細菌などの異物を消化して処理してくれます。
好中球の割合が高い場合には急性細菌感染症が疑われ、低いとウイルス性疾患や休憩白血病などが疑われるでしょう。
EOSは好酸球(Eosinophils)の略で1~5%、BASは好塩基球(Basophil)の略で0~1%が正常値です。
もともと好酸球と好塩基球は、寄生虫を撃退するために重要な役割を果たしていました。
最近では寄生虫と出会うことがほとんどなくなったため、アレルギー反応に関連するようになったのではないかともいわれています。
好酸球が高値だと、アレルギー性疾患が疑われるでしょう。
好塩基球が高値でもアレルギー性疾患が疑われます。
好塩基球の場合は、さらに甲状腺機能低下や慢性骨髄性白血病などが疑われるでしょう。
TLC(mm3)は総リンパ球数(Total Lymphocyte Count)の略で、血液1立方ミリメートル中のリンパ球の数を示しています。
この数値だけは割合ではなく量で示されていますが、検査料金が比較的安く済むため低栄養による免疫低下かどうかを見るための指標として用いられているのです。
このように、血液検査からだけでもさまざまなことが分かります。
健診の結果を改めて見直して、もし受診を勧めるマークがついていたら放置せずに医療機関に相談しましょう。
同様に気になる自覚症状があるときも、早めに相談することがおすすめです。
まとめ
リンパ球は免疫機能の記録媒体であり、免疫機能を発動する際の司令塔でもあります。
ウイルスや細菌という外敵を記憶し、ほかの白血球の成分に対してより効果的な排除の仕方の指令を出すのです。
感染症に罹った際には細菌やウイルスと戦うために活性化します。
それ以外にも、アレルギー、がん、自己免疫疾患などにも反応して増加するのです。
白血球の成分の割合を調べることで、どのような病気の可能性があるのかを調べることができます。
そのため健診の項目にも入っていることがあるのです。
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