高血圧治療の必要性!放置し続けると命に関わる…
健康診断で高血圧と診断されても、実際に痛みがあるわけではないので重要視しない人も多いのではないでしょうか。
遺伝だからストレスのためだからと高血圧を治療しないでいると、身体の中では血管に変化が生じてきてしまいます。
そして放置し続けると命に関わる事態にもなりかねません。
高血圧で血管が痛むとどのような危険が高まるのか、高血圧の予防・改善にはどのようなことが大切なのか、ぜひ知っておきましょう。
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Contents
血管にダメージがじわじわ蓄積していくのが高血圧
血圧は時間帯や活動状況によりアップダウンするので、1回計っただけでは血圧が高い状態が続いているかどうか正確な判断が難しいものです。
場合によっては病院での測定で緊張して上がってしまうこともあります。
そのため高血圧の疑いがある場合、毎日家庭でも測定したうえで判断すると、本当に高血圧なのかどうか疑いを持つことなく治療を受けることができるでしょう。
高血圧は簡単に言うと血管に強く圧力が加えられている状態です。
心臓から送られてくる血液の量が増えたり血管が細くなることで血液の通り道が狭くなったりして、血液の流れがスムーズでなくなることによって血圧は高くなります。
高血圧は上の収縮期血圧が140以上、下の拡張期血圧は90以上が判断の目安となるので自分で測るときの基準にしてみてください。
血管は内膜と中膜、外膜の3層からできていて、高血圧になるとまず内膜が被害をうけます。
内膜は表面を細胞の層(内皮細胞)で覆われており、この細胞層が血液から必要な成分を取り込む役目をしています。
それだけではなく血管を収縮させたり拡張させたりする物質を生み出し、血管の緊張を調節したり血栓が形成されるのを抑制、動脈硬化の予防に役立つなどさまざまな機能を備えているのが「内皮細胞」です。
高血圧の状態を放置していると大切なこの内皮細胞を壊すことになり、血圧の調整がますますできなくなるので高血圧を放置してはいけません。
そもそもなぜ高血圧になってしまうのでしょうか。
その原因は高血圧の種類によって違ってきます。
多くの人がなりやすい高血圧はいろいろな要因がもたらす「本機能高血圧」です。
主に食事や運動などの生活習慣が引き起こす高血圧で、要因は分かるものの原因を特定することは難しく原因のひとつとして遺伝も考えられています。
もうひとつは「二次性高血圧」と言い、別の病気が引き起こす高血圧です。
二次性高血圧の場合は、高血圧の原因となっている病気の治療と共に血圧も改善していくことができます。
高血圧の怖いところは蓄積ダメージにより血管に被害を及ぼし、さまざまな病気の原因となることです。
全身に張り巡らされている血管全体に被害が及んでいるのに、本人は自覚症状を持ちづらく血管が痛んでいることにまで気付きません。
疲れだろうストレスだろうと放置していたら、高血圧で血管が相当なダメージを受けていたということになりかねないのです。
これが高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれる所以であり、健康診断などでの早期発見により高血圧を治療することは、蓄積ダメージを防ぐことにつながります。
血管が痛むことで起こること
高血圧の状態にあると、血管はその負荷に耐えようとして硬くなったり厚くなったりするなど強度を増そうとします。
血管の壁が厚くなっていくと柔軟性が失われ、脳の血管障害のほとんどの原因とも言われる「動脈硬化」の状態になります。
動脈硬化は進行していくと、血管の中に脂肪沈着(脂肪斑)を起こす症状です。
20歳や30歳から始まった動脈硬化が続くと脂肪班も大きくなり、50代になってくると血管が狭くなり重症化します。
具体的に血管で何が起きるのでしょうか。
動脈硬化の進行で内皮細胞が被害を受け始め、血液の中にある単球(白血球)が内皮細胞にくっつくようになります。
内皮細胞にくっついてしまった単球がさらに潜り込むことで変化(マクロファージ:白血球の1種)するのです。
そのため、コレステロールが多い状態だとこのマクロファージの影響でさらに脂肪物資を取り込むようになり内膜が厚くなってしまうのです。
そして、このマクロファージが限界を迎えて壊れると、おかゆのような状態(粥腫)になります。
さらに粥腫まで崩壊すると、できてしまった血栓によって血管が塞がれ「急性心筋梗塞」になるわけです。
「大動脈瘤」も高血圧により血管が痛むことで起きる症状です。
血管を木で表現すると、大動脈は幹に相当し身体中で最も太い血管になります。
大動脈瘤は大動脈が部分的に膨らみコブのようになっている状態です。
大動脈瘤は血管の壁が弱くなってしまったために起きるので、動脈硬化を引き起こす高血圧がそもそもの要因として考えられています。
この大動脈瘤は大きくなりすぎると破裂の危険性が高まります。
大量の出血が起こりショック状態を引き起こし、緊急手術が必要となる病気なのです。
大動脈瘤の怖いところは小さいときは進行しにくく、大きくなり始めたとたんに進行が加速、急に破裂を引き起こすという点です。
コブが目立つようになるまで気付きにくいので、高血圧で動脈硬化のある人は以下の症状があったら要注意です。
・食べた物が気管に詰まる、もしくは食べ物が飲み込みづらい
・声がしわがれ声になる
・胸や背中が痛み、息苦しい
しかしながら、これらの明確な症状が現れるのは珍しいものです。
現れたとしても、それはすでに破裂寸前である可能性が高いでしょう。
大動脈瘤にはいくつか種類があります。
破裂しやすい部分的に膨らむタイプ(嚢状瘤)と、破裂しにくい全体的に膨らむタイプ(紡錘状瘤)が存在するのです。
嚢状瘤は見つかり次第早めに対処する必要があるので要注意です。
さらに血管の壁が破けて血液が組織に包まれている状態でできるコブ(仮性瘤)もあるので、この場合もいち早く対処しなければなりません。
大動脈瘤のひとつである「大動脈瘤解離」は突然の激痛が胸や背中に走り1時間に1%ずつ死亡率が上がると言われ、48時間以内に発症者の約半数が亡くなるという極めて危険な動脈瘤です。
大動脈瘤解離になったら直ちに救急車を呼び病院で治療を受けなければなりません。
症状は血流の異常や脳への影響具合など、障害が起きる部位によって違います。
以下のような症状が出ますが、大動脈瘤解離は症状が起きたときはすでに救急車を呼ぶレベルです。
本人も症状を伝えるのが困難なので、周りの人が救急隊の人にどのような症状があったのか伝えるようにします。
・胸や背中の激痛
・お腹や腰回りの痛み
・手足の震え
・意識がもうろうとしている、呼びかけに応じない
血管が痛むことで影響を受ける臓器
心臓は心筋梗塞になることも
高血圧だと血管へのダメージだけではなく臓器にも被害をもたらします。
まず考えられるのが心臓への影響です。
心臓は血管内の圧力に耐えるために収縮を繰り返し分厚くなる「求心性肥大」になります。
「心不全」は肥大化がさらに進んでいき心臓がポンプ機能を失った状態です。
ここでようやく足のむくみや息切れ、呼吸困難といった明確な症状が出てきます。
心臓は高血圧に対応するべく筋肉を動かすので、より多くの酸素を必要とします。
「狭心症」は動脈硬化のなれの果てでもあり、心臓の動脈が狭くなり血液の流れが滞っている状態です。
狭心症になると胸が締め付けられるように痛み圧迫感を感じる「狭心症発作」を引き起こすようになります。
狭心症発作を繰り返していると心臓に血栓ができ、血液が流れなくなることで酸素や栄養を細胞に届けられなくなり細胞が死んでいきます。
これが「心筋梗塞」の状態であり、激しい胸の痛みが起きたのち死亡する確率が高く、後遺症が起きる可能性も高い極めて危険な状態です。
脳は脳梗塞や脳出血になる
死亡率の高い病気と言えば「脳梗塞」もありますが、これも高血圧によるところの影響が大きいです。
脳にはたくさんの血管が存在し、酸素と糖分を脳へと運んでいます。
脳梗塞になると脳細胞は壊死してしまい、再生や回復が見込めません。
そしてこの壊死の範囲が広すぎると死亡する可能性も高くなります。
高血圧による動脈硬化では「脳出血」になることもあります。
高い圧力に耐えきれなくなった脳血管がついに破裂することにより起きる病気です。
脳内で出血すると血の塊である血腫ができます。
この血腫が大きくなり脳を圧迫してしまうことで意識障害、麻痺へとつながっていきます。
脳出血の中でも怖いのは「くも膜下出血」という頭蓋骨と脳の間に起きる出血です。
この場合は予兆となるものがなく、突然強い頭痛と吐き気を生じて意識を失います。
腎臓の機能を失い透析治療が必要になることも
高血圧は腎臓にも影響し、腎臓の機能が低下した状態である「腎硬化症」を引き起こします。
腎臓は血液をろ過する役目を担っていますが、血液を腎臓のろ過装置である糸球体に送る役割は「細動脈」という血管が担っているからです。
この細動脈で動脈硬化が起こり血液の流れが悪くなると、徐々に糸球体は硬化することになり「腎硬化症」を発症します。
腎硬化症が進行し透析治療が必要となるのが「慢性腎不全」です。
目の網膜にも影響
目には網膜がありますが、高血圧で血管に障害が起きるようになるとこの網膜の血管にも出血や血管が狭まるなどの異常が起きてきます。
「高血圧性網膜症」と呼ばれ視野に異常が起きる状態です。
慢性腎不全と同じく、ひとたび高血圧性網膜症になると、もとのように戻ることはできません。
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血圧を下げるために日常でできること
・たばこは控えてお酒は適量を
たばこは血管を収縮させます。
そのため、血圧が上昇すると言えます。
さらに血液の流れも悪くするので血が固まりやすくなるのです。
動脈硬化の要因にもなるので、喫煙習慣はないほうが望ましいでしょう。
たばこと共にアルコールも大量に摂取すると血圧を上げてしまいます。
さらに脳卒中や肝臓病を引き起こすので、お酒は適量を心がけましょう。
・適度な運動で肥満防止とストレス解消を
軽い運動は血液の流れをよくします。
高血圧の要因である肥満の防止にもつながり気分転換によるストレスの軽減にもなるので、適度に運動したほうがいいでしょう。
ただし、現在高血圧気味である人は医師に相談しながら運動を実施する必要があります。
ウォーキングやサイクリングなど無理のない程度に運動するようにしましょう。
・糖質を控え栄養バランスを配慮した食事にする
肥満になるとインスリンの分泌量が増えます。
インスリンの過剰分泌により交感神経も刺激されて末梢血管が収縮、さらに血圧を上昇させてしまうのです。
そのため、糖質を控え栄養バランスをしっかりとったうえで肥満にならないような食事を心掛けるようしましょう。
・周りの温度差に要注意
血管は暖かいところから寒いところに行くと収縮するので、血圧が上がることになります。
高血圧の場合、冬の外出時にはマフラーや手袋、マスクをするなど、肌が露出した状態をできるだけ避けるようにしましょう。
また、室内での移動でも寒いところへ行くときは防寒対策をしたほうが賢明です。
夏でも冷房の温度に気を付けることで、移動するさいに激しい温度差を身体にもたらさないようにしましょう。
・お風呂は浴室内やお湯の温度に注意
お風呂に入るときは裸になりますので冬は特に血圧が上がりやすいです。
そして入浴すると血圧は下がり、お風呂から上がるとさらに血圧を下げることになります。
急激な血圧の変化によってお風呂場で倒れないためにも、ぬるめのお湯に浸かるようにし浴室内にも暖房をかけるようにしましょう。
・トイレは洋式で長くイキまない
冬はトイレも居間より寒くなりがちなので、トイレに行くときも体が冷えないように温かくする必要があります。
また、排便するときにイキんでいる時間が長いと血圧は上昇していくので、便通がスムーズにできるような生活を心がけましょう。
使用する便器は和式ではなく洋式にすると、急激な血圧の変化を防止できます。
高血圧と併発している可能性がある病気
高血圧は生活習慣病としてなる人が多いので、他の生活習慣病を併発している可能性が高いです。
食事などの生活習慣を改めると高血圧だけではなく併発している病気の改善にもつながるので、薬での治療に加えて生活習慣を見直すことはとても大切です。
高血圧と併発することが多い病気として「糖尿病」があります。
糖尿病はインスリンが働かなくなることで神経や血管にダメージをもたらします。
動脈硬化を加速させ、さらに心臓や脳疾患の発症率も上げることになる病気です。
糖尿病も高血圧と同じく合併症が怖い病気であり、失明する場合もあります。
また、糖尿病は予備軍だとしても動脈硬化を加速させるので、高血圧も患っている人は特に注意して、早期からの治療をする必要があります。
「脂質異常症」も高血圧と併発している可能性の高い病気です。
糖尿病よりも聞きなれないかもしれませんが、心筋梗塞や脳卒中に直結する注意が必要な病気です。
脂質異常症とは血中のコレステロール値が異常な状態を指します。
血管の中ではコレステロールが壁に付着している状態であり、動脈硬化を引き起こしている可能性が高いでしょう。
脂質異常症は3タイプに分かれており、血液中の脂質のどのタイプが多いか少ないかにより診断されます。
・高LDLコレステロール血症
悪玉であるLDLコレステロールが多いタイプ
・低HDLコレステロール
善玉であるHDLコレステロールが少ないタイプ
・高トリグリセライド血症
中性脂肪であるトリグリセライドが多いタイプ
糖尿病はこの脂質異常症をより悪化させ動脈硬化を進行させます。
血糖値が高いとLDLコレステロールの酸化や縮小を促し、脂質がより血管に入り込みやすい状態になってしまうからです。
動脈に強い圧力をかける高血圧も血管の内側の壁を傷つけるので、併発しているとより動脈硬化の進行を加速させます。
糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を併発している状態が「メタボリックシンドローム」です。
血圧や血糖値、脂質の検査結果に異常値が出ている状態を指します。
メタボリックシンドロームだと言われたら複数の検査値に異常が出ていると考えたほうがいいでしょう。
その中でも、高血圧はメタボリックシンドロームの診断を受けたときに最も当てはまりやすい症状です。
メタボリックシンドロームを解消するには肥満の解消や内臓脂肪の減少など血圧コントロールが欠かせません。
健診を受けてメタボリックシンドロームだと言われたら、血管を保護できるように生活を改めましょう。
まとめ
高血圧は放置しておくと、それだけでも命に関わる危険なリスクが高まります。
高血圧を予防・改善することは他の生活習慣病対策にも非常に有効です。
食事、運動、お酒やタバコなどの生活習慣を今一度見つめ直して、健康で元気に過ごしていけるようにしましょう。
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