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咽頭がんの主な症状と治療法(上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がん)

 2018/11/29 生活習慣病
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「咽頭がん」という疾患に関して喉にできるがんという漠然とした知識を持っている方は多いことと思います。

しかし、この咽頭がんは、生じる場所によって「上咽頭がん」「中咽頭がん」「小咽頭がん」の3種類に分類することができ、そのそれぞれで症状や治療法などは異なります。

そのため、もしも咽頭がんと診断されたらそれが具体的にどの種類の咽頭がんなのかを認識しそれに応じた知識を得る必要があります。

ここでは上述した3種類の咽頭がんの症状や治療法、引き起こす要因などについて解説します。

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咽頭がんの特徴

「咽頭」とは、具体的にいうと鼻の奥から食道にいたるまでの食べ物や空気が通る部分のことを指します。

この部分は縦に長いことから三分割したそれぞれの部位に名称がつけられており、それらを上から「上咽頭」「中咽頭」「下咽頭」と呼びます。

ここでは最初に、これらそれぞれの部分に生じるがんの特徴について解説します。

・上咽頭がん

上咽頭とは、咽頭のうち最も上部に位置する鼻腔の奥や口の奥にある扁桃の上部のことを指します。

この部分に生じるがんのことを「上咽頭がん」と呼び、具体的にはこの部分に悪性腫瘍が発生することを意味します。

上咽頭がんでは鼻に関連する症状が表れることが多いですが、この部分は耳にも通じているため同様に耳に関連する症状も表れやすくなります。

また、上咽頭に発生する疾患としては咽頭扁桃という組織が増殖することによって発症するアデノイドも挙げることができ、その症状の中には上咽頭がんの症状に似たものも存在しますが、アデノイドは腫瘍性の疾患ではないため上咽頭がんとは異なります。

そのため、鼻や耳に異常が生じ始めたからといってすぐに上咽頭がんだと決めつけるべきではありません。

・中咽頭がん

三分割した咽頭のうち真ん中に位置する部分を「中咽頭」と呼びます。

この部分には口を大きく開けたときに見える喉の奥全体が該当し、具体的には俗にいう「のどちんこ」の付け根の部分を指す「軟口蓋」、さらにその奥にある「後壁」、その横の部分にある「扁桃」、舌の付け根の部分を指す「舌根」の4種類の部位をまとめて中咽頭と呼びます。

この中咽頭に発生するがんのことを「中咽頭がん」と呼び、これは粘膜上皮から発生する「扁平上皮がん」や「悪性リンパ腫」、粘膜下にある附属せんから発生する「腺がん」に分類することができます。

また、このうち中咽頭がんは扁平上皮がんに該当するものが特に多いという特徴もあります。

・下咽頭がん

三分割した咽頭の最も下に位置し、食道へとつながる部分を「下咽頭」と呼びます。

下咽頭は喉仏の位置にある喉頭と隣接しており、がんが生じる場所によっては喉頭がんと下咽頭がんのどちらに該当するのか判断が難しい場合もあります。

また、下咽頭がんは食道に直結していることから、下咽頭がんであることが発覚したときに食道がんも見つかるというケースもあります。

このようなケースでは「転移」という言葉は使わず「重複がん」という呼び方をされ、各々に合った治療法が模索されます。

 

咽頭がんの主な症状と進行

咽頭がんの症状は、進行状況だけでなく、上述した3種類のがんのどれに該当するのかによっても異なります。

続いては咽頭がんの種類別の症状について解説します。

・上咽頭がん

上咽頭は鼻と耳に近いことから、その症状もこれらの部位に表れやすくなります。

そのため、鼻づまりや鼻血、難聴や耳のつまったような感覚は上咽頭がんの代表的な症状となります。

また、上咽頭がんは首のリンパ節に移転しやすいという特徴もあるため、この部分のリンパ節の腫れも症状として表れやすく、さらに進行すると別の部分のリンパ節にも同様の症状が表れることがあります。

これらに加え上咽頭がんでは脳神経にかかわる症状も表れやすくなります。

脳神経にはさまざまな種類のものが存在しますが、例えば目につながる脳神経が上咽頭がんによって圧迫されるとものが見えづらくなるなどの症状も表れます。

・中咽頭がん

中咽頭は飲み込んだ食べ物が最初に通る場所でもあります。

そのため、この部分にがんが生じると飲み込むときの違和感や痛みなどの症状が表れます。

これらの症状は中咽頭がんの初期の段階から生じることが多く、このような症状が表れたらすぐに専門医に受診する必要があります。

中咽頭がんがさらに進行すると違和感や痛みはさらに強くなり、それと同時に出血や開口障害などの症状も表れます。

また、がんが生じている箇所によっては呼吸困難に陥ることもあります。

さらに中咽頭がんが進行すると、今度は頸のリンパ節を皮切りに各部位への転移が始まります。

この段階になると、のどやその周辺以外でも強い痛みや腫れなどの症状が表れるようになります。

・下咽頭がん

下咽頭は食道に通じる部分であることから、この部位にがんが生じると食べ物を飲み込んだ際の違和感や痛みなどの症状が表れます。

また、潰瘍型の腫瘍ができているこの部位にできている場合、食べ物を飲み込まなくても非常に強い痛みを伴うことがあります。

一方、下咽頭がんでは耳の奥の方に強い痛みが生じることもあります。

これは下咽頭と耳を結ぶ神経回路があるためであり、下咽頭の近くにある喉頭にがんが生じた場合も同じような症状が表れることがあります。

同様に比較的初期の段階では下咽頭に生じたがんが喉頭に浸潤することで声枯れが生じることもあります。

よって、風邪を引いたわけでもないのに長期間にわたって声がかれる場合も下咽頭がんを疑い、できるだけ早く専門医に診てもらうことをおすすめします。

また、下咽頭がんの場合もある程度進行すると、頸のリンパ節をはじめとした下咽頭に近い部位へ転移が始まります。

特に頸部リンパ節へ転移するケースは多く、初診時で既に転移してしまっているケースは全体の約6割にもおよびます。

 

早期発見のための検査方法

咽頭がんを早期発見するための検査方法は、上述した3種類のどれに該当するのかによって若干異なります。

続いては、その詳細について解説します。

・上咽頭がん

上咽頭がんの基本的な検査方法には、鼻や耳の奥に光を当てて観察する「視診」と摘出した病変の一部を顕微鏡で調べる「生検」があります。

特に視診においてはファイバースコープなどを挿入することで異常が生じている患部を直接見ることもできるため、早期の診断につなげやすくなります。

また、これ以外の方法としては喉の奥に直接指を入れて頸の周辺のリンパ節の腫れを確認しながら行う「触診」も挙げられます。

ただし、この検査方法ではある程度がんが進行し上咽頭内でがんが広がっているだけでなく、リンパ節にも転移していなければ以上を察知することは難しいため早期発見にはつなげ辛いという特徴もあります。

これらに加え、頸のリンパ節への転移を確認する際に行われる「超音波検査(エコー検査)」や、がんの広がり方を確認する際に行われる「CT検査」「MRI検査」なども上咽頭がんの検査方法として挙げられます。

・中咽頭がん

中咽頭は上咽頭に直結しているだけでなく鼻や耳の穴を通すことで触診や視診が可能となるため、基本的な早期発見のための検査方法は上咽頭がんの場合と変わりません。

また、摘出した組織を顕微鏡で観察する生検や超音波検査、CT検査、MRI検査に関しても上咽頭がんと同様に行われます。

・下咽頭がん

下咽頭がんの場合も触診や視診をはじめ、生検や超音波検査、CT検査、MRI検査が基本的な早期発見のための検査方法となることは変わりありません。

しかし、下咽頭がんに限定した場合、「上部消化管内視鏡検査」が行われることもあります。

上部消化管とは具体的にいうと食道や胃のことを指し、下咽頭はこれらの器官に近いことから下咽頭がんと共に食道がんや胃がんが併発していることがあります。

上部消化器官内視鏡検査とはこのような上部消化器官に生じるがんを発見するための検査でもあることから、下咽頭がんの検査と共に行われることが多くなっています。

 

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咽頭がんを引き起こす要因

咽頭がんを引き起こす原因についてはいまだ解明されていない部分が多く、はっきりとしたことは言及できません。

しかし、以下のものは大きく関係しているといえます。

・喫煙

咽頭がんには喫煙が大きく関係していることが分かっており、このことは喫煙率が女性に比べて高い男性のほうが咽頭がんの発症率も高いというデータにも表れています。

また、世界的にみて咽頭がんの発症率が高いインドにおいて、かみタバコが広く親しまれていることにも咽頭がんと喫煙の深い関係は窺い知ることができます。

・飲酒

喫煙と並んで咽頭がんを引き起こす要因として挙げられることが多いのが飲酒です。

喫煙の場合もそうですが長期間にわたる度を過ぎた飲酒は喉への負担が大きく、このことはお酒を飲みすぎた翌日の声枯れなどで実感したことがあるという方も多いかもしれません。

このような生活習慣によるダメージが同じ部位に継続して与えられる状況が続くことは咽頭に限らずがんを引き起こす要因になることが多く、年齢や性別にかかわらず節度を持つことが重要となります。

・熱い飲食物

熱すぎる飲食物は飲み込んだときに中咽頭から下咽頭に大きなダメージをおよぼします。

このことは継続性がなければがんを引き起こす要因となる可能性は低いですが、日ごろから熱い飲食物を口にしている場合は注意が必要です。

・貧血

因果関係についてはよく分かっていない部分が多いですが、貧血(鉄欠乏症貧血)の症状がみられる女性に下咽頭の輪状後部という部位にがんができるケースは多く報告されており、条件は限定的ではありますが貧血も咽頭がんを引き起こす要因のひとつといえます。

 

咽頭がんの主な治療法

咽頭がんの主な治療法は「外科治療」「放射線治療」「化学療法」の3種類となります。

しかし、その方法に関してはがんが生じる部位によって若干異なります。

・外科治療

外科治療では、がんそのものやリンパ節を手術によって摘出します。

しかし、上咽頭がんの場合は基本的に放射線治療が中心となるため外科治療は殆ど行われません。

その一方で中咽頭がんの場合、リンパ節とその周辺の血管や筋肉、神経を切除する「リンパ節郭清」やがんそのものの切除、手術箇所に対して行う「再建手術」などのさまざまな外科治療を行います。

このうちリンパ節郭清では頸の周辺にむくみやこわばり、肩の運動障がいといった後遺症が残ることがあります。

また、その他の外科治療の場合も呼吸機能や咀嚼機能などに後遺症が残ることがあり、再発率も完全になくなることは稀です。

下咽頭がんに関しては、発見された段階である程度進行していることが多いため、放射線治療や化学療法だけで完治する可能性は低く、外科治療が中心となります。

下咽頭がんに対する外科治療もまた基本的にはがんやリンパ節を切除することとなり、切除する部分が広いほど発声や食べ物を飲み込む機能に後遺症が残ることがあります。

また、この場合も再発率が完全になくなることは少なく、術後も慎重な経過観察が必要です。

・放射線治療

放射線治療ではX線などの放射線を皮膚に通して照射することでがん細胞の増殖を抑え、がんの完治を図ります。

この治療法は上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんのいずれの場合でも行われることが多く、場合によっては外科治療や化学療法と並行して行われることもあります。

放射線治療を行うと照射を行った箇所に皮膚に炎症が生じ、喉の渇きや発生障がいなどといった副作用が表れることがあります。

また、これらの副作用の中には放射線治療実施後3か月以内に症状が表れるものと、3か月以上が経過してから表れるものの2種類が存在します。

・化学療法

抗がん剤を投与する化学療法もまた上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんのいずれの場合でも行われます。

ただし、化学療法は単独で行われることは極めて少なく、外科治療や放射線治療に対する補助的な治療として行われることが基本となっています。

化学療法の副作用としては、正常な細胞にも抗がん剤が作用することで生じる脱毛や口内炎、下痢、白血球や血小板数の減少が多く、さらに重いものだと肝臓や腎臓に表れる障害なども挙げられます。

また、化学療法は外科手術や放射線治療と並行して行うことが多いため治療パターンは多岐にわたり、行った治療内容によって再発率も大きく異なります。

 

まとめ

上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんの3つに分類できる咽頭がんは、発症する箇所によって症状や治療法が異なることもあります。

そのため、咽頭がんと一括りにするのではなく、咽頭がんに分類される3種類のがんのうちのどれに該当するのかということまで認識をし、それに応じた情報を収集することも咽頭がんの患者さんには求められます。

また、咽頭がんを引き起こす要因は解明されていない部分も多いものの、飲酒や喫煙といった生活習慣が大きく影響することは確実視されており、それらを嗜んでいる方はより注意が必要です。

 

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薮内直純

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株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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