タイプ別!高血圧対策で病院から処方される薬が効くメカニズム
病院で高血圧と診断されて薬を処方されたが、どのような働きをもって血圧を下がるのかが分からないという方もいるでしょう。
医師から十分に細かい説明を受けていてもなかなか覚えることができないという方もいるかもしれません。
さまざまな要因で血圧は変わるため薬の種類も多くありますが、血圧に関する薬は副作用などが出ることもあるのでどのような働きをもって血圧を下げることにつながるのか、そしてどんな副作用があるのかをそれぞれの薬ごとにしっかりと理解しておきたいところです。
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利尿薬
利尿薬とは尿をだす働きを高める病院から処方される薬です。
どういった原因で高血圧になっているのかによって処方される利尿薬は異なります。
1-1.利尿薬の目的
血圧が上がることの原因のひとつに、血液中の水分が増えてしまうことが挙げられます。
血圧とは流れる血液が周りの血管にかける圧力のことで水分が増えてしまうと血液全体の量が増えてしまいます。
川でイメージすると、大雨などで川が氾濫したときに岸の土が崩れてしまうことがありますが、これは川の水の量が多く岸にダメージを与えているためです。
この川の水の量を抑えることと血液の水分を抑えることを同じように考えるとわかりやすいかと思います。
川の水つまり血液の量を調整するためには体の外に出すしかありません。
水分を外に排出するために尿の量を増やすことが目的の薬が利尿薬です。
塩分であるナトリウムは水と結合する性質があり、利尿剤はそのナトリウムを体の外に排出する成分をもっています。
利尿薬の成分でナトリウムを体の外に排出し一緒に水分を排出しているのです。
1-2.利尿薬の種類
利尿薬にはいくつかの種類があります。
・ループ利尿薬
利尿薬で主に使われるものが「ループ利尿薬」です。
腎臓にある尿細管という部分で尿が作られますが、この尿細管の一部分がヘンレループと呼ばれています。
このヘンレループ部分での尿をつくる作用を強める効果があるのがループ利尿薬です。
・カリウム保持性利尿薬
ループ利尿薬では塩分であるカリウムを排出してしまうため、カリウムが不足することでの副作用が発生します。
カリウム保持性利尿薬はこのカリウムを排出する働きを抑える機能を持っています。
・サイアザイド利尿薬
尿細管という部分に影響を与えるタイプの利尿薬で、カルシウムの排出量が抑える働きをします。
厳密な作用は異なるものの同様の働きをするものとしてサイアザイド系利尿薬と呼ばれるものもあります。
サイアザイド利尿薬を服用すると、高齢の方は利尿効果が少なくなる場合があります。
・浸透圧利尿薬
濃度が違う水分が合わさることで一定の濃度に保つことを浸透圧といいます。
浸透圧利尿薬は、尿を作る尿細管で浸透圧を一定に保つよう働きナトリウムや水が再吸収を減少させます。
その結果、尿の量が増えることになります。
1-3.利尿薬の副作用
塩分と水分を外に排出することにより身体に副作用が発生することがあります。
水と一緒にナトリウムやカリウムという成分を一緒に排出してしまうことで脱水症状やナトリウム、カリウム不足を起こし、体のバランスが崩れてしまうのです。
さらに肝臓の病気などが発生することもあります。
また利尿剤に限った副作用ではありませんが、むくみが発生するという副作用もあります。
むくみは血圧が下がることにより体の中に血流が滞ってしまうため、他の血圧を下げる薬でも発症する可能性がある副作用です。
1-4.利尿薬の特徴
ループ利尿薬では聴覚障害を発生させるケースもあり、その際はループ利尿薬を服用し始めてから早い段階で両側の耳に発生します。
しかし他の原因で発生する難聴とは異なり回復が可能です。
日本ではあまり症例は多くありませんが耳鳴りがする、聞こえづらい、耳が詰まったような感覚などがある場合にはすぐに医師に相談するようにしましょう。
α遮断薬
血液の量以外に血管に対する圧力が強くなる原因として、血管自体が縮んだり広がったりする点があります。
この血管が縮んでしまうことを抑えるために病院から処方される薬が「α遮断薬」です。
2-1.α遮断薬の目的
血管が収縮するメカニズムのひとつに血管を縮める物質が神経から伝わるという点があります。
神経から伝わったノルアドレナリンという物質が血管にあるα受容体というものと結合することで血管を収縮するという信号を出し、血管の縮みが発生します。
このα受容体への信号が伝わらないように遮断をするものがα遮断薬です。
イメージとしては水をかけているホースを潰すと水圧が強くなりますが、血管をホースと考えた際にこの血管を潰す手の力の影響を受けないようにするものです。
α受容体には「α1」と「α2」の2種類があり、α2の受容体の遮断をするとノルアドレナリンが増えてしまうため血圧を下げる目的の場合はα1の遮断薬を使用するのが一般的となっています。
2-2.α遮断薬の副作用
α1遮断薬は心臓の病気を発症させる可能性が高くなる副作用や、最初に服用した際にめまいや心臓の動悸などが発生することがあります。
2-3.α遮断薬の特徴
副作用が心臓に影響のある薬のため、血圧を下げる目的の薬として最初に選択することは少なくなっています。
その他の血圧を下げる薬を使用することをまず治療として進めて、それでも改善が見られなければα1遮断薬を使用するというのが一般的な血圧の治療の進め方です。
しかし使用には充分な注意が必要となっており、使用開始の際にも副作用に注意して少量から始めていき他の薬と合わせて使用されます。
β遮断薬
β遮断薬はα遮断薬と同じような働きですが、交感神経の働きを抑え心機能の仕事量を減らす薬です。
先程のように血管をホースとして考えると、ホースをつぶす手の回数を減らすというイメージになります。
実際にはβ遮断薬は心臓を動かす筋肉に影響をあたえるので、α遮断薬と同様に副作用の影響が大きい薬です。
3-1.β遮断薬の目的
α遮断薬と同じように、ノルアドレナリンと結合をするものとして「β受容体」があります。
β受容体はノルアドレナリンと結合すると、α受容体とは反対に血管の拡張を行ったり心拍数を増やしたりします。
β受容体にはβ1やβ2といった受容体がありますが、そのなかでも心臓の筋肉に多くあるのがβ1受容体で心臓の筋肉の収縮を強める働きをしており、血圧を下げる目的で使用する場合にはβ1受容体の薬が主に使用されます。
3-2.β遮断薬の副作用
α遮断薬と同じようなめまいや心臓に関する症状がでることがあります。
3-3.β遮断薬の特徴
血管の収縮ではなく心臓の動きを抑えて圧力を下げることを目的とします。
心臓は体全体へ血液を送るポンプのような役割をしていますが、そのポンプが全身へ送る回数を減らすことで体全体の血液への流れをおさめることができます。
α遮断薬の使用と同じで治療の上で最初の選択肢としては含まれません。
他の治療の薬だけでの効果がなければ、副作用に注意しながら少しずつの量から始めていく薬です。
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カルシウム拮抗薬
血管を縮める働きを持つ物質はいくつかありますが、その内のひとつが「カルシウム拮抗薬」です。
4-1.カルシウム拮抗薬の目的
大きな血管の壁には平滑筋細胞という細胞が存在していて、この細胞が血管を縮ませて血液の流れをよくする働きをもっています。
この平滑筋細胞が血管を縮まるように動くきっかけは平滑筋細胞にカルシウムが流れこむことです。
カルシウム拮抗薬は平滑筋細胞にカルシウムを流れ込ませないようにして、血管が縮むきっかけを失くすようにすることで血圧の流れを低くする薬です。
4-2.カルシウム拮抗薬の副作用
他の血圧をさげる薬と同じようにむくみが起こるという副作用がありますが、カルシウム拮抗薬の特徴としてむくみが部分的に発生することが多いことが挙げられます。
むくみは主に下半身にあらわれ、くるぶしや足の甲にまで発生することがあります。
このむくみが、指やまぶたなど下半身以外の部位に発生するケースもみられます。
また口にも影響が出ることがあり、歯茎が腫れる、口の中に痛みを感じる、などの症状が出ることもありますが、副作用と気がつかないことも多いので注意してください。
4-3.カルシウム拮抗薬の特徴
他の血圧の薬に見られない特徴として、カルシウム拮抗薬はグレープフルーツを一緒にとることで血圧が下がりすぎてしまうということも報告されています。
なぜグレープフルーツが影響するのかははっきりとはされていませんが、薬を飲んでからグレープフルーツを食べるか、その反対の順番にするかで影響は異なります。
薬を飲んで2、3時間ほどしてからグレープフルーツを摂取するのは問題ないとされていますが、反対にグレープフルーツを食べてから数十時間は薬を飲むのは避けなければいけません。
カルシウム拮抗薬を定期的に薬を服用するのであればグレープフルーツは避けなければいけない食品となってしまいます。
オレンジでは発生しないため、薬を飲んでいるときにグレープフルーツを食べたいときにはオレンジに替える方法があります。
ACE阻害薬
血圧を上げることに関連する成分がつくられることを止める目的で病院から処方される薬です。
カルシウム拮抗薬と同じような働きですが、影響する物質が異なります。
5-1.ACE阻害薬の目的
血圧を上げる原因のひとつにアンジオテンシンⅡという物質があり、これは全身の血管を縮めて血液量を増やすというホルモンです。
また、腎臓でのナトリウムや水分の排出を抑える働きをもっています。
アンジオテンシンはⅠとⅡの二種類があり、アンジオテンシン変換酵素という物質がアンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡに変化させる働きをします。
このアンジオテンシン変換酵素をACEとよび、ACEによるアンジオテンシンの変換を抑えるのがACE阻害薬です。
5-2.ACE阻害薬の副作用
ACE阻害薬の副作用は咳の発生や血管のむくみなどです。
咳の発生は薬を取り始めてから一週間から数ヶ月ほどで発生し、薬の服用をやめることで咳は止まります。
また妊娠中に服用すると母と子どものどちらとも影響があるので妊娠中はもちろん服用できず、服用している方に妊娠が発覚すれば服用をやめなければいけません。
5-3.ACE阻害薬の特徴
副作用で発生する咳は通常の日常生活で起こる咳とは異なります。
一般的な咳は痰が絡んだりすることが多いのですが、ACE阻害薬が原因で発生する咳は痰がからまず、のどが狭いなどの違和感が発生します。
夜間に発生する傾向があり、タバコを吸っていない方や女性などに多くみられます。
ACE阻害薬だけ咳が発生することがある理由として、本来であればアンジオテンシン変換酵素によって咳を発生させる物質が分解されることにあります。
咳の原因をやっつけるアンジオテンシン変換酵素自体を抑える目的に薬であるため、咳を発生させる物質が残ってしまうことで発生する副作用です。
ARB
血圧に影響を与える成分の働きをおさえる目的で処方される薬です。
ACE阻害薬と最終的な目的は同じですが、作用する段階が異なります。
6-1.ARBの目的
ACE阻害薬はアンジオテンシン変換酵素の働きを抑えるものですが、既にアンジオテンシンⅡに変化してしまったあとの働きを抑えるのがアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬で「ARB」と呼ばれます。
血圧を収縮させる働きをもつ物質になるのを止めるのではなく、アンジオテンシンⅡが発生している状況においてその働きを抑える薬です。
6-2.の副作用
心臓の動悸やめまいなどが発生します。
またACE阻害薬と同様で、妊娠中の方が服用すると母親と子どもに影響が出る可能性が高いので服用できません。
6-3.ARBの特徴
ACE阻害薬とは異なりアンジオテンシン変換酵素自体は発生するため咳をおさえる働きに影響は与えません。
そのためACE阻害薬で咳が発生した方にはARBに切り替えることがあります。
まとめ
高血圧で病院から処方される薬はそれぞれ異なります。
血圧が上がるということは血液から受ける血管への圧力が高くなるということです。
この圧力が高まる理由としてはさまざまな要因があり、血液中の水分の量や身体全体へ血液を送る心臓のポンプ働き、神経から刺激を受けて圧力を高まるなど多岐にわたります。
そのため血圧を下げる薬にもさまざまな種類があります。
血液は全身へ栄養や酸素などを送る重要な働きをもっているので、血圧を下げる薬を使うことで体に副作用が現れることがあります。
そのため服用している方一人一人の状況を踏まえて医師が薬を選択することが重要で、同じ高血圧でも人によって薬の種類は異なります。
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