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糖尿病治療で使用されるインスリンの働き方と役割

 2016/06/20 生活習慣病
この記事は約 11 分で読めます。 2,202 Views

現在日本で約316万6000人以上(厚生労働省『平成26年患者調査の概況』)が診断されている「糖尿病」。

生活習慣病の代表でもある糖尿病は自覚症状が少ないため、異変に気付いていない糖尿病予備軍の数はその倍以上にもなると言われています。

それほどまでにポピュラーな病気のひとつとなっている糖尿病ですが、糖尿病治療ではしばしばインスリン注射や、インスリンの働きを高める薬が投与されることがあります。

ではインスリンは糖尿病の発症とどのような関係があるのでしょうか。

今回は糖尿病治療で使用されるインスリンとはなにか、その働き方と役割を紹介いたします。

糖尿病とはなにか

まず糖尿病自体がどのようなものであるか知ることから始めましょう。

糖尿病とは血液中の糖分が過剰に増え、血糖値が上がることで起きてしまう病気です。

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病の2種類が存在します。

1型糖尿病は「インスリン依存型」と呼ばれ、後出する役割を担うインスリンが分泌されにくいなどが原因で発症します。

また2型糖尿病(インスリン非依存型)は、遺伝的な要因や生活習慣の乱れなどによって引き起こされる生活習慣病でもあります。

2型糖尿病は気をつけようと思えば防ぐこともできる糖尿病ですが、現代的なライフスタイルが発展を続けるにつれ、患者数も増えていっているのが実情です。

糖尿病の治療には、食事療法で糖質とカロリーをコントロールし、肥満を解消・予防することが大切です。

 

インスリンとはなにか

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糖尿病はホルモンの一種であるインスリンが不足していることで発症をしてしまいます。

インスリンは上がりすぎてしまった血糖値を下げる役割をする、唯一のホルモンです。

食事をすることで通常血糖値は上がるものですが、その際インスリンの分泌器官である膵臓が働きます。

インスリンが細胞に存在するインスリン受容体と結合することでブドウ糖が細胞まで到達し、それにより身体のエネルギー作りが行われます。

しかし、インスリンの作用不足などで糖を必要としている細胞までブドウ糖が届かず、血液中に過剰に流れ出てしまうと糖尿病が発生してしまいます。

インスリンは細胞と身体のエネルギー源となる糖分をつなぐ、大切な役割を担っています。

インスリンの細胞への作用が弱まっているために起こっている糖尿病は、人工的にインスリンを投与してその働きを補う必要があります。

近年では、糖尿病治療でインスリンを使用するのが一般的になってきています。

 

糖尿病の進行過程

糖尿病は、暴飲暴食や不規則な生活が主な原因で発症する生活習慣病です。

食事をして血糖値が上がると血糖値を下げる役割を果たすインスリンが作用しますが、インスリンの作用不足などにより、糖尿病を発症してしまった場合、病気はどのように進行するのでしょうか。

おもに糖尿病にかかりやすいとされる50~60代の例として、簡単にまとめたものが以下になります。

・ 加齢により基礎代謝が低下する
・ 過食や運動不足で、エネルギーの過剰供給が起こる
・ エネルギー過剰により、余分な糖分を取り込まなくなった細胞がインスリン抵抗性に変化する
・ 膵臓はインスリンの分泌を増やそうとする
・ 糖分の過剰供給とインスリン抵抗性の大量発生が繰り返される
・ 肝臓でもインスリン抵抗性が進み、食後高血糖が起こる
・ 食後高血糖で膵臓にも悪影響が発生、膵臓のインスリン分泌能力が限界になりインスリン分泌が低下
・ 空腹時の糖の取り込み能力がインスリン分泌低下によって低下し、血糖値が上昇
・ 空腹時に血糖値が上昇し、126mg/dL以上になるため「糖尿病」と診断される

 

糖尿病は合併症に注意しよう

また糖尿病は血液中に溢れた糖分が尿として排出されるようになるだけでなく(尿糖が出ない場合の糖尿病もあり、あくまでも糖尿病の診断基準は「血糖値」です)、合併症をわずらってしまうことがあるので注意が必要です。

糖尿病はほかの病気とは異なり、ひとくちに症状の重さを表現することはできません。

しかし、一般的には合併症を持つ患者ほど重症とされています。

合併症を発症すると、糖尿病自体の治療に加えて合併症の治療も行わなければいけなくなり、精神的・肉体的負担が増大します。

合併症の予防のためにも、糖尿病の治療は早めに開始するにこしたことはありません。

三大合併症と呼ばれるのが、「糖尿病網膜症」、「糖尿病性腎病」、「糖尿病性神経障害」です。

合併症は血管系の器官に影響するものが多く、高血糖により細い血管が圧迫されてしまうことが原因のひとつです。

三大合併症のひとつ、「糖尿病網膜症」は文字通り、眼の網膜に支障をきたす病気です。

網膜には血管が張り巡らされ、高血糖に敏感に反応してしまいます。

眼がかすんだり、ぼやけるなど異変に気付き始めたころには、症状がある程度進行している状態で、ひどい場合は失明する場合もあります。

また「糖尿病性腎病」は、血中の老廃物や不純物を尿に排出するための器官である、腎臓の働きが弱まってしまうことを指します。

腎臓が上手く働かず体内に毒が溜まってしまうと、尿毒症となり、進行してしまった場合、人工透析治療を受けることになります。

人工透析は、装置などを使い人工的に血中の老廃物などを取り除いたり、身体の水分量やほか成分の調整をおこなったりします。

三つめは「糖尿病性神経障害」です。

これには末梢神経の障害と自律神経の障害の2パターンがあります。

末梢神経は高血糖が持続するとまず感覚神経に異常をきたし、両足の指先や裏がしびれるという感覚から身体の上の方に向かって進行していきます。

やがて両手指がしびれたり、舌先がしびれ味覚障害を発症してしまうこともあります。

神経がにぶってしまっているので、足などを怪我しても傷に気がつかないことも多く、そこから細菌に感染したり、壊疽にいたる場合もあります。

壊疽してしまうと治療が難しく、最悪の場合足を切断することもあるので、非常に深刻です。

また自律神経に影響が出た場合は、呼吸や代謝、体温調節などに障害をきたし、日常生活で困ることが増えます。

代表的な例では、胃のもたれ、便秘、立ちくらみ、インポテンツも自律神経の障害によるものです。

糖尿病が恐れられる理由のひとつに合併症の深刻さがあります。

適切な糖尿病治療を行うことは、合併症の予防につながるのです。

 

インスリンを薬物療法で取り入れるには

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糖尿病において、インスリンがいかに大切な役割を担っているかは先述部分でご理解いただけたかと思います。

しかしインスリンの分泌が上手くいかない場合、薬物を投与することでインスリン分泌を促すことも可能です。

糖尿病治療における薬物療法では、血糖値をできるだけ正常な範囲にコントロールする目的で行う治療法で、以下2種類の方法でおこなうことが可能です。

まずは「経口血糖降下薬」です。

これにはインスリンを分泌する膵臓の細胞(β細胞)に直接作用し、インスリン分泌を促す薬「SU薬(スルホニル尿素薬)、肝臓で新たにブドウ糖が作られるのを予防し、筋肉のブドウ糖利用を促進させる「BG薬(ビグアナイト薬)」、そして脂肪細胞に作用することで筋肉のインスリン抵抗性を改善し、インスリン自体の作用を高めるための「インスリン抵抗性改善薬」という代表的な3種類があります。

また、食後の血糖値を下げることで日常的な血糖コントロールの改善を試みる薬もあり、「α-グルコシダーゼ阻害薬」、「速攻型インスリン分泌促進薬」がそれにあたります。

前者は食事に含まれるでんぷん、糖質の分解を押さえ、ブドウ糖の吸収を遅らせるもの、後者は「SU薬」と同じように膵臓のβ細胞に作用することでインスリン分泌を促す一方、薬の効果は即効で感じられ、短時間しか作用しないというポイントがあります。

次に「インスリン注射」です。

インスリン注射は、おもに1型糖尿病など「膵臓からのインスリン分泌がほとんどない場合」に使用します。

膵臓からのインスリン分泌が保たれている場合は、先の「経口血糖降下薬」が投与され、しばらく内服して様子を見ます。

 

薬物療法で気をつけたいこと

薬物療法は食事療法や運動療法をしっかりと守った上でおこなう治療です。

薬の服用のために、勝手な判断で食事を増やしたり、運動を中止するのはNGです。

万が一、薬の使用中に以下の症状が出たら注意が必要です。

・ 眼がかすむ
・ めまいがする
・ やたらと汗をかく
・ 動悸がする

上記の症状に当てはまるものがあれば、薬の作用で低血糖になっている可能性があります。

低血糖は血糖値が70~50mg/dL以下になった状態のことを指し、薬物の投与によりで血糖値が急激に下がってしまうと起こってしまいます。

特に血糖値が50mg/dLを切ってしまった場合は重症。けいれんを起こしたり、著しい高血糖により、糖尿病昏睡と呼ばれる状態に陥ることもあります。

糖尿病を改善するために行っているはずの薬物療法が悪い方向に作用してしまっては本末転倒です。

薬物療法中は医師から投与された用法・容量を守り、医師の診断やアドバイスに従って、自己判断で使用を中止することはやめましょう。

食事時間の遅れや運動をしすぎても急激に低血糖を起こす場合があるので、日頃から気をつけておく必要があります。

また患者のなかには「Sick day」を体験したことがある人もいるかもしれません。

これは糖尿病の治療中に発熱したり、下痢や嘔吐で食事がとれなくなったりする日のことを指します。

Sick dayには、十分水分を摂取しましょう。

まずは血糖を測定し、症状の把握をしてからインスリン注射を使用し続けるか、使用を中止するかを決めます。

 

糖尿病を避けるために

第1型の糖尿病は薬物療法が必要になりますが、第2型糖尿病は自分たちの努力で未然に防ぐことが可能と述べました。

そのために日頃から気をつける項目をピックアップしました。

規則正しい生活

体内リズムに合わせた生活が、糖尿病の予防につながります。

睡眠不足やストレスは自律神経にも影響を及ぼし、また身体が正常に機能しない原因にもなってしまうので注意が必要です。

大切なのは食事時間や睡眠時間を一定に保つことです。

規則正しい生活を送れば、肝臓が糖分をエネルギーに変える「糖代謝」やインスリンの作用を促してくれます。

糖質や甘いものを避ける

糖質は血糖値を上げる原因ですし、また肥満の原因でもあります。

肥満になってしまうと糖をエネルギー化する膵臓などの作用が追いつかなくなり、悪循環を引き起こします。

まずは糖質の摂取を避け、健康的な食事をすることから糖尿病は防ぐことができます。

味付けは薄味に

糖質を含む調味料は避けます。

また濃い味の食事はつい糖分を多く含む、ごはんなどを食べてしまいがちになります。

薄味で食材の味を楽しむくらいの気持ちで食事をしましょう。

決まった時間にゆっくり食事する

1日3回の食事の間隔が重要視されています。

前の食事との間隔が短すぎても、お腹に溜まったエネルギーを消化しきれませんし、また間隔が空きすぎても吸収が良くなり、食べ過ぎてしまったり血糖値が急激に上がってしまいます。

理想とされるのは毎食6時間間隔ですが、忙しい人なら5~7時間程度を目安にするといいでしょう。

ひと口につき30回噛む

早食いは血糖値上昇の原因となります。

早く食べてしまうとインスリンの分泌が間に合わなくなるので、よく噛んで食事に時間をかけましょう。

また、たくさん噛むことで学習能力がアップし、情報処理能力が上がります。

エネルギーを消費する

血糖値を抑えるためには運動や入浴をすることが有効といわれています。

運動や入浴で汗をかくことで糖分がエネルギーとして消費されるので、血糖値を抑えることができます。

ただし、食後すぐに動くのは気分が悪くなる場合もあるので気をつけましょう。

このように、健康的な生活と食事を習慣づけることで糖尿病患者や予備軍を減らし、生活習慣病を防ぐことは可能といえるでしょう。

まとめ

インスリンは、糖尿病とは切っても切れない関係にあります。

インスリンが正常に作用することで、私たちは適切な血糖値を保ち、糖分をエネルギー化して健康に暮らすことができます。

糖尿病を発症することにより、血糖値が高くなってしまうだけでなくさまざまな合併症をわずらう危険性もあるのが怖いところ。

インスリンをたかがホルモンの一種とあなどっていると、失明や、腎臓疾患、神経のしびれなど思わぬ不幸に見舞われてしまうこともあるかもしれません。

つまり、糖尿病を治療することは、合併症の予防にもなります。

糖尿病が進行し、インスリンの働きが弱くなるとインスリン注射での治療が必要になります。

まずはインスリンの働きと役割を理解し、インスリンが正常に働くような環境づくりを整えることが糖尿病予防の第一歩となります。

 

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木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。


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