癌のステージごとの生存率と治療方法|病期によって対応は変わる
2人に1人はがんといわれる今の時代、がんの「ステージ」という言葉を耳にすることも多いのでないでしょうか。
この「ステージ」とは、がんの進行度を表したもので、0~Ⅳの5段階に分類されます。
一般的にがんのサイズが大きい、深い所に浸潤している、遠隔転移がある場合にステージは高くなります。
たとえば、ステージⅢでは、がん細胞はリンパ液や血液などにのって病巣部よりも遠く離れた臓器やリンパ節などに転移している状態です。
そのため病変部位だけでなくその周辺のリンパ節や組織を切除するための外科手術が必要です。
がんの病状をステージ分類することは、治療方針の決定や予後の判断に役立ちます。
ただし、ステージ分類は学会が発表しているものであり、がんは人によって進行度は異なり個人差が大きいのであくまでも予後の判断などは目安として捉えることが大切です。
がんを発症したら「自分はあと何年生きられるのか」が最も気がかりな内容でしょう。
この目安となるのが「5年生存率」です。
5年生存率というのは診断から数えて5年経過した後に生存している患者の割合を表したものです。
5年という数字ですが、全がんにおいて5年生存した場合その後癌で死亡する確率が低くなることが分かっているため、がんが治る割合として認識する人が多数です。
5年生存率は初期の段階が最も高く、がんが進行しステージが上がるにつれて低くなります。
5年生存率は癌の種類によってさまざまです。
ここでは、がんの各ステージの定義や5年生存率、治療方針の違いについて解説します。
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ステージ0、Ⅰの癌の生存率
まず、ステージ0、Ⅰのがんの生存率について解説します。
ステージ0と呼ばれる段階では、がん細胞は上皮細胞内に存在し筋肉層まで達していないのが特徴です。
がんは他の臓器などに転移していると生存率は低くなりますが、ステージ0ではリンパ節などへの転移はないため癌細胞が存在している上皮細胞を切除することで治療は完了します。
ステージ0で早期発見・早期治療が行われれば命の危険はほとんどなく、5年生存率は100%と言われています。
次にステージⅠと呼ばれる段階です。
ステージ0でがんが上皮細胞にとどまっていたのに対し、ステージⅠでは上皮細胞よりも深い筋肉層へ進行し浸潤範囲の拡大がみられるのが特徴です。
ただし、まだリンパ節までは転移がみられず、ステージ0で全てのがんにおける5年生存率は91.9%と高くなっています。
なお、臓器別でみるとステージⅠでの5年生存率には幅があることが分かります。
胃がんは97.4%、乳がんは100%の数値であるのに対し、予後不良な疾患として知られている肝臓がんではステージⅠの時点で全てのがんの中で最も低く5年生存率は61.6%とかなり下回っています。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」の2017年にがんで死亡した人数のうち、肝臓がんは男性で第4位、男女合わせた合計数では第5位となっていることからも5年生存率の低さを裏付けています。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、初期段階では症状が出にくいため発見が遅れてしまいステージが進行してしまうケースが多く見られます。
他にも、自覚症状が気になり検査をしたら知らないうちに肝硬変に移行してしており、肝臓がんを発症するリスクを高める場合もあります。
肝臓はいかにがんを早期に発見できるかが課題なのです。
ステージⅠにおける肝臓がんの治療法に関しては本人の持つ肝臓の機能を踏まえ、がんの状態に合わせて選択されます。
肝臓の機能がまだ残っており肝臓以外の臓器などへの転移がなく腫瘍の数は1~3個、大きさは3cm以内と初期段階であれば、病変部位を切除焼却する治療法が行われます。
一方で男女合わせて罹患者数の合計が多い大腸がんの場合、ステージ0、Iそれぞれ内視鏡での治療が可能です。
内視鏡手術は外科的手術に比べると侵襲が少なく短期間の入院で治療を受けることができるのが特徴です。
ただし、ステージⅠでも病変が粘膜下層に軽度浸潤している状態であれば内視鏡での治療ができますが、病変が粘膜下層の深いところにまで浸潤しているものに関しては外科的治療で対応します。
大腸がんでは便秘や便に血が混じっていたなどの症状で来院し、偶然病気が発見されるというケースもあります。
女性は特に診察を受けることに抵抗がある、あるいは羞恥心などから発見や治療が遅れる傾向にあります。
その間も大腸がんはじわじわと進行してしまいます。
何か気になる症状があればすぐに医療機関に相談することが大切です。
今は女性専用外来を設けている病院も多数あり、女性も安心して受診できる環境が整っているので一度足を運んでみるのもよいでしょう。
ステージⅡの癌の生存率
次にステージⅡのがんの生存率について解説します。
ステージⅡと呼ばれる段階では、筋肉層を超えて癌細胞が浸潤しているがリンパ節への転移までには至っていない、あるいは腫瘍の拡大は見られないもののリンパ節への転移が少なからず見られるという状態です。
全がんの5年生存率は82.9%とステージ0、Ⅰ期よりは低くなるものの8割を越えています。
一方で、食道がんの57.3%や胃がんの63.9%などステージⅠからⅡにアップするだけで30%ほど生存率は一気に低下するものもあります。
食道がんの9割以上は扁平上皮がんと呼ばれるがんで、このがんは進行スピードが速いのです。
初期の段階では自覚症状に乏しく食べ物がつかえるような感覚がある、あるいは体重が減ってしまったなどという症状が現れた時点ですでにがんが進行してしまっているケースもあります。
食道は解剖学的にみると気管や気管支、肺や心臓などという主要な臓器に近く周囲組織への転移や浸潤が起こりやすいという特徴もあります。
このため多臓器への転移、浸潤のリスクを視野に入れ、食道がんⅡ期では可能であればまず手術が選択されます。
手術が難しい場合には化学療法、放射線療法を組み合わせて治療を実施します。
胃がんはがんで死亡する人の割合でみると男性では2番目に女性では4番目に多いがんとして知られています。
胃がんも初期症状に乏しく胃炎などと症状が似ているケースもあるため、定期的な健康診断や内視鏡検査を受けるといった方法を選択することが大切です。
Ⅰ期までは早期胃癌と定義されますがⅡ期以降は進行胃癌に分類されています。
Ⅰ期では内視鏡で病変部位を除去できますがⅡ期以降は腹腔鏡下での摘出手術か開腹手術が選択されます。
最近は腹腔鏡下での手術が一般的で開腹手術よりも短い時間で負担も少ない治療が可能です。
手術後は化学療法などの治療を継続します。
近年では腫瘍の縮小効果の高い抗がん剤も登場し、病状や本人の体力などを加味し最も合うものが選択されます。
大腸がんの場合もステージⅡの段階では内視鏡的手術の適応が難しく外科的な治療での切除が選択されます。
手術の場合は病巣部だけでなく転移のリスクを視野に入れて栄養血管の根元に存在するリンパ節まで切除を行います。
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ステージⅢの癌の生存率
ステージⅢは、他の組織へのがんの拡大が認められてリンパ節に転移が及んでいる状態を指します。
ステージⅠ、Ⅱでは外科的治療の適応となりますが、Ⅲ期になると手術・薬物療法・化学放射線療法をすべて用いた治療をおこないます。
大腸がんの場合、ステージⅢでは腹腔鏡下手術や開腹手術などの外科治療で対応します。
術後は摘出した病変部位を病理検査などに出し、病理診断の後、薬物治療や放射線治療などが行われます。
全がんの5年生存率は、49.7%とステージⅡに比べると30%以上も低い数値に下がります。
食道がんでは30.8%とステージⅡから5年生存率は25%以上低下、肺がんでも同様にステージⅡからⅢになると5年生存率は21.3%に低下しています。
このようにリンパ節へ転移すると生存率への影響が大きいことがわかります。
女性特有の癌である乳がんは、ステージ0~Ⅱ期までは95%以上あった生存率もⅢ期になると80.8%に低下しますが、この段階で治療を受ければまだ間に合うともいえます。
乳がんは近年日本人女性に急増しているがんのひとつで発症する年齢は40~50歳代が多いですが、20~30歳と若い年齢層の女性にもみられるようになっています。
がんを発見する8割ほどの女性が乳房のしこりに気づき受診していますが、乳がん検診は唯一自己検診可能です。
入浴前後などで鏡をみながらセルフチェックをする習慣が早期発見につながります。
乳がんのステージⅢでは外科的治療の前に化学療法やホルモン療法、分子標的治療などの薬物療法を実施し、その後、乳房温存術または乳房切除術がおこなわれます。
摘出部位は病理検査にまわされ病理診断確定後は再発リスクを考慮して必要があれば追加の治療がおこなわれます。
同時に薬物療法や化学療法などを継続します。
女性特有の癌のひとつである子宮頸がんの5年生存率は、ステージⅡで79.2%だったのがⅢ期になると64.2%まで下がります。
子宮頸がんにおけるステージⅢでは、がんの浸潤が骨盤壁にまで達しているか膣壁の下3分の1に浸潤が達しているものが該当します。
ステージⅣの癌の生存率
がんがステージⅣレベルになると、がん細胞が血液やリンパに乗って発生個所から離れた腹膜や臓器に転移が見られるようになり、全がんの5年生存率は22.2%と極めて低くなります。
臓器別でみると、肝臓や肺、胃などでは5年生存率が10%を下回り一桁台になっています。
一方で、乳がんは38.5%、前立腺がんは65.9%とステージⅣでも5年生存率が高いものも存在します。
最も5年生存率が低い肺がんは、女性のがんでの死亡者数第二位にもなっています。
肺がんがステージⅣの段階に達している状態はがん細胞が肺の様々なところに転移し、脳や骨、肝臓などの遠隔転移を認める場合は胸水が貯留しその中にもがん細胞がみられるのが特徴です。
この段階では外科的手術は困難であり、化学療法や緩和ケアなどによって少しでもがんの進行スピードを落とし疼痛や呼吸困難などの症状を改善するための治療がなされます。
肺がんは早期であれば外科的手術が適応され完治も期待できるため、早い段階で発見し治療できるのが望ましいのです。
大腸がんにおいてはステージⅣで病変部位の切除が可能と判断されれば外科的手術の適応となります。
体の部位によっては治療困難とみなされるケースも存在します。
手術や薬物治療、放射線治療、化学療法などさまざまな治療法を行っても病状が回復しない場合、疼痛コントロールなど緩和ケアが選択されます。
いわゆる「末期」と同じケアが選択されることとなります。
よく、「ステージⅣは末期ということなのか」と疑問に思う声を聞きますが、ステージⅣ=末期ではありません。
たとえば肝臓や肺に転移がみられる場合、臓器の完全切除ができるのであれば切除後、抗がん剤の併用を行い再発なく過ごせる人もいます。
ステージⅣだからといって末期である、治療選択余地がないとは限りません。
まとめ
がんの種類によってさまざまですがステージⅢまではまず外科的治療がおこなわれるケースが多く、ステージⅣでは抗がん剤を使用した治療が主となります。
ステージⅣでも外科的手術を行うケースもあります。
また同じステージだとしても、がんの発症部位によって5年生存率や治療方針は異なります。
近年は中高年、高齢者だけでなく20~30代の若年層でもがんが増加傾向にあり、子宮頸がんや乳がんを発症する人の割合が増えています。
検査機器の発達やがん検診などで早期発見・治療が可能なケースが増えてはいますが、この年代は就職、結婚、妊娠、出産、育児など人生の転機となるライフイベントが続き発見が遅れてしまうことも少なくありません。
発見が遅れてしまえば予後などその後の人生にも影響を及ぼします。
がんはいかに早期発見できるかが重要です。
たとえば大腸がんでは便潜血検査など簡易的に検査をし病変の有無を調べることができます。
職場や各自治体によっても検診の内容は異なりますので一度チェックしてみるとよいでしょう。
がんの早期発見には個人がいかに意識して行動できるかが重要でステージ分類についても意味や治療、予後に関する違いを理解しておくことが大切です。
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