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「糖尿病」ではなく「糖脳病」である意外な事実とは?

 2016/10/09 生活習慣病
この記事は約 7 分で読めます。 8,068 Views

糖尿病は今や国民病とも言われます。
それほどまでに患者数も多く、よく知られた病気の一つです。

ただ、意外に知られていない重要な事実があります。
巨大な社会常識や、今となっては動かしがたい習慣のために、広く知れ渡ることのない事実があります。

一度、これまでの常識や先入観、思い込みをリセットして、糖尿病の予防や改善のためにできることを始めてみましょう。

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糖尿病は治らない?

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糖尿病にはインスリンが全く分泌されなくなった為に高血糖になるⅠ型糖尿病と、
インスリンは分泌されていてもうまく作用しない為に高血糖になるⅡ型糖尿病があります。

殆どの糖尿病と云われる人達は後者、即ちⅡ型糖尿病です。
Ⅱ型糖尿病は正確に言えば、病気ではなく血糖値が高すぎる状態で、むしろ高血圧症と同じ「高血糖症」と云うべきでしょう。

原因としては、食事として特に必要でない糖分を摂るためです。
糖(ブドウ糖)は、赤血球のエネルギー源として利用されるだけで、食事として摂る必要性は全くなく、体内で十分作り出せるのです(糖新生)。

血液中には60mg~109mg/dlのブドウ糖が存在すれば十分です。
すなわち0.06g~0.109g/100mlあればよいのです。
我々の身体には4,000ml~5,000mlの血液があるので、血液中に必要なブドウ糖の量は、2.4gから5.45gと云う事になります。

 

糖はアミノ酸や脂肪酸の様な必須栄養素ではありません。

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世間でよく言われる様に、ブドウ糖がなければ脳は働かないと云うのは全く馬鹿げた“お伽噺”に過ぎません。
もしこの考えが正しければ、糖も必須栄養でなければなりません。

たとえば病気で1週間もの間、水分以外の食べ物は喉を通らない様な状況になったことはありませんか。
また僧侶が10日間の断食修行をしたりしますが、彼らの意識は糖を取らなくてもハッキリしています。

このように、ブドウ糖は脳の働きに絶対必要な食べ物ではないと云う事です。
糖は必須栄養でないのです。

 

必須栄養でない糖をなぜ食べるのでしょう?

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我々の食欲(満腹感)は、セロトニン受容体(栄養センサー)が必須アミノ酸の“トリプトファン”から作られる“セロトニン”に反応する事により満たされます。
言い換えれば、“トリプトファン”は全てのタンパクに含まれているので、たんぱく質の物を食べればその量に応じて満腹感が得られるのです。

食欲センサーであるセロトニン受容体は、腸管壁に90%、脳に10%の割合で存在しています。
従って、満腹感という言葉は、文字通り“腸”=“腹”にあるセンサーが受け取る感覚を指しているのです。

しかし、このセンサーは、糖質に対しても作動する事があるのです。
ただし、この反応は間違ったもの(偽物)であって決して長続きせず、次々と糖質の食べ物を要求する事になります。
結果として、糖質の食べ物(口当たりの良い食べ物)は、麻薬の様に習慣性を生じます。
この様な現象を、一般的に「別腹」と呼んだりします。

 

「糖尿病」ではなく、「糖脳病」である

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血糖値を正常範囲にしておくのはそれほど難しい事ではありません。
何故なれば、糖質の物を食べない様にすれば、高血糖でもそのうちに低下し、正常範囲になるからです。

しかし、糖質の食べ物(口当たりがよい)は習慣性が強く、食べないようにしようと思ってもなかなかやめられないものです。
この様なことから、アメリカでは十年以上前より、「糖尿病」の事を「糖脳病」と呼ぶようになって来ています。

「炭水化物」=「糖質」の食べ物は、“習慣性”が非常に強く一種の麻薬です。
「糖質」の食べ物は口当たりがよく、何度か食べている内に癖になり止められなくなります。

一般的にまず、口に入った“栄養”を「舌」で感知し、次に小腸で必要量の栄養が摂り入れられたかどうかを判断し、その情報を“脳”に連絡します。
絶対必要な栄養である“タンパク”を構成分する“必須アミノ酸”の一つ「トリプトファン」を感知するセンサー、「セロトニン受容体」は“小腸”と“脳”にありますが、その数は小腸の方がはるかに多くて、脳の約10倍にもなります。

この事から云えるのは、“満腹感”は頭(脳)で感じるのでなく、文字通り“お腹”で感じるのです。

 

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「人類は完全な肉食ではなく、やや雑食である」

イギリス中部の川底から発見された、約7,000年前の女性の大腿骨の、詳細な分析結果から、我々人類は“ライオン”と同じ様にほぼ“肉食”である事が証明されています。

人間は“ライオン”などの完全な肉食動物の「歯」とは違い、わずかながらも「臼歯」=「奥歯」を持っています。
“臼”は物を砕いたり、すり潰したりする働きをします。
ただ人間の“顎”は“左右”に動かす事は出来ず、“上下”にしか動きません。
言い換えれば、“クルミ”や“ドングリ”の様な物を噛み砕く事はできても、野菜の様な葉っぱや柔らかい茎などはすり潰せないので食べられません。
「切歯」=「前歯」は呼んで字の如く、食べ物を切り裂く、いわば“ナイフ”の働きをしています。
この様に、歯型や顎の動き方からみても、我々人類はやはり“肉食”と云えるでしょう。

また、我々の「胃」では“強酸性の胃酸”が分泌され、食べ物に含まれる細菌を殺したり、胃消化液の分泌を促進する作用があります。
胃消化酵素には、肉などに含まれる“タンパク”を分解する酵素と、“脂肪”を分解する酵素が含まれていますが、米や野菜に含まれる“デンプン”などの“炭水化物”を消化する酵素はありません。
極端なことを云えば、“玄米採食”の様な生活をしている人には“胃”は必要ないということです。
この事実からも、人類は“肉食動物”であると云っても過言ではないでしょう。

 

「腸は第2の脳」

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先程も書いたように、食欲を調整する役割を果たしている「セロトニン受容体」の約90%は腸管壁にあり、残りの10%が脳にあります。

よく“糖質の食べ物”=“甘い物”を見ると、喉から手が出るほど欲しくなると云われますが、食欲をコントロールしているのは“脳”ではなく、むしろ“腸”であることがわかります。
食べてもすぐには甘く感じない一般的な“炭水化物”でも、腸では“糖”にまで分解・消化されるので、お腹は甘く感じているのです。

だから、「糖尿病」を治すには“糖質”のものを食べなければよいのですが、頭ではわかっていても“ついつい手が出てしまう”のは、意思が弱いのではなく「腸の脳」が許さないからです。
身の回りにあればどうしても食べてしまうので、そう云う食べ物には近ずかないようにする以外ないのです。

 

まとめ

糖質の物を食べない様にすれば、血糖値を正常範囲にコントロールすることは可能です。

糖質の食べ物は麻薬のように習慣性が強いため、癖になり止められなくなります。
それはもはや「意思が弱い」という問題ではありません。

今までの食生活が「習慣」であるように、糖質の物を食べない生活も続けるうちに習慣になります。

「生活習慣病」である糖尿病を改善するために、できることからでも「食習慣」を見直しましょう。

 

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ライター紹介 ライター一覧

荒木 裕

荒木 裕

崇高クリニック院長。
1962年 京都大学医学部卒
1967年 京都大学医学部大学院卒
1968年 大阪北野病院勤務
1971年 アメリカハーバード大学付属 小児病院脳神経外科研修医
1973年 アメリカハーバード大学医学部 臨床栄養学部助教授
1976年 アメリカ国立公衆衛生研究所(NIH)客員研究員
1977年 アメリカサウスカロライナ大学 医学部勤務
1983年 崇高クリニック開設

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