タバコは糖尿病の原因にもなりうる!肺がん以外にも警戒したいタバコの害
「タバコを止める気はない」「タバコは体に悪いと分かっているけどやめられない」そう思っている方は、もしかしたら本当のタバコの煙の怖さをまだ知らないのかもしれません。
ここでは、タバコの煙が喫煙者や周りの人の健康に与える影響とタバコの煙の正体、そしてタバコと糖尿病の関係をご紹介します。
そして、少しでも「タバコを止めたい」と思っていただけた方のために「禁煙を確実に成功させるためのコツ」をお伝えしていきます。
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タバコが原因になるとされている病気
タバコは体に悪いと言われますが、具体的に体のどこにどのように害を与えるかご存じでしょうか。
よく知られているのは肺がんや喘息、肺炎など呼吸器の病気や、歯周病やむし歯など口腔内の病気になりやすくなります。
そのほかにも血液の巡りに関係する心臓や血管などの循環器、食べ物を消化吸収して排泄する消化器、生殖器、そして脳など、ありとあらゆる器官に悪影響を与えて、病気の原因を作ります。
タバコの煙には、数千種類の化学物質が含まれます。
この中には、人間の体に害を及ぼすとされる化学物質が約250種類もあります。
この約250種類の化学物質の中には、発がん性物質や組織にダメージを与える活性酸素(フリーラジカル)などがかなり含まれています。
さらに、タバコの煙に含まれるこれらの化学物質は極小さな粒子になっています。
近年、微小粒子状物質としていわゆるPM2.5が大気汚染で問題になっています。
大気汚染のPM2.5は車の排気ガスや工場の煙などが原因になっていますが、実はタバコの煙にもたくさんPM2.5が含まれているのです。
PM2.5は目に見えないほどの極小さな粒子のため、肺の深部まで入り込んでしまうのです。
さらにタバコは吸っている本人だけでなく、そばにいる家族の健康にも害を及ぼします。
これを受動喫煙といい、周りの人が吸ってしまうタバコの煙を「副流煙」と言います。
副流煙には、タバコを吸っている人が吸い込む煙「主流煙」の何倍もの有害物質、刺激物質が含まれています。
つまり、タバコを吸っている人の周囲で副流煙を吸い込むと、喫煙者と同じかそれ以上の害を受けることになります。
喫煙はタバコの煙が直接触れる肺や口腔、のど(咽頭、喉頭)だけでなく、肝臓、すい臓、生殖器など、全身のありとあらゆるがんの原因になります。
また、化学物質は全身の血管に対しても悪影響を及ぼし動脈硬化も促進してしまうため、脳卒中や心筋梗塞を引き起こします。
さらに、2型糖尿病や脂質代謝異常、骨粗しょう症などの代謝系の病気をはじめ、白内障などの目の病気や関節リウマチなどの免疫系の病気の原因にもなっています。
生殖器にも悪影響を及ぼし、妊娠しにくくなったり勃起不全が起きたりします。
妊娠した状態でタバコの煙を吸うと早産や低体重児の原因になります。
主流煙、副流煙ともに、タバコの煙は「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の主な原因にもなります。
慢性閉塞性肺疾患は名前の通り肺が閉塞してしまう病気で、慢性的に続く咳や痰、動いている時の呼吸困難が起こります。
最終的には肺が目詰まりを起こしてしまい、気管支拡張薬を使っても呼吸は楽にならないため常時酸素吸入をすることになります。
また、COPDは全身の炎症、骨格筋の機能障害、栄養障害、骨粗鬆症などの併存症をともなう全身性の疾患で、肺以外の症状も徐々に重症化していきます。
タバコが糖尿病に繋がる理由
タバコの煙と肺、タバコの煙とがん、タバコの煙と心臓病、これらは何となくわかるような気がしますが、なぜタバコの煙を吸うことが糖尿病につながるのかは分かりにくいのではないでしょうか。
糖尿病につながる原因はタバコの煙に含まれるニコチンです。
ニコチンは交感神経系を刺激します。
交感神経とは緊張を高めていつでも活動できるようにスタンバイする神経系で、逆の働きをするのはリラックスを促す副交感神経です。
交感神経が優位になると細い血管が収縮し、血圧の上昇や心拍数が増加します。
この時血糖値も上昇しますがニコチンには体内のインスリンを働きにくくしてしまう働きもあるのです。
すい臓からインスリンが分泌されているのに血糖値がうまく下がらないためすい臓は「まだインスリンが足りていない」と判断し、さらに一生懸命インスリンを分泌します。
その様なことを繰り返しているうちにすい臓はすっかり疲れてしまい、徐々にインスリン分泌能力が低下してしまいます。
そうなると、さらに血糖値は下がりにくくなり糖尿病につながるのです。
このような悪循環の中で、糖尿病の合併症も起こりやすくなります。
たばこの煙を吸うと糖尿病になりやすいことは各国のさまざまな研究で報告されており、医療の世界では常識です。
喫煙者は非喫煙者と比較すると糖尿病の発症率が 1.5~2 倍も多いことが判明しています。
恐ろしいことに受動喫煙だけでも糖尿病の発生が1.5倍多くなるとする研究もあります。
日本でも7つの研究を含む25の追跡調査において、タバコを吸う人は体重や飲酒、運動などの糖尿病予防の対策を行っても、非喫煙者よりも2型糖尿病に1.4倍かかりやすいと報告されています。
つまり、いくら太りすぎを解消しても、どんなに激しい運動をして活動量を増やしても、がんばってアルコールを飲むのをやめても、タバコの煙を吸っている限り容易に糖尿病からは逃れられないのです。
しかし、「でも、タバコを止めたら、ご飯がおいしくなって太ってしまうのが心配」という声も聞かれます。
確かに心配されている通り禁煙して糖尿病の発症リスクが低下しても、禁煙することで食べ過ぎてしまって血糖が上昇しやすくなるケースも調査でも報告されています。
しかし、禁煙することで得られる健康全体の改善効果は、体重増加による健康リスクをはるかに上回ります。
糖尿病予防のための一番確実な第一歩は食事でも運動でもなく禁煙なのです。
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既に糖尿病になっている人も喫煙はNG
既に糖尿病の治療を始めている人の体に対し、タバコの煙はどんな影響を与えるのでしょうか。
糖尿病の合併症の中で特に怖いのは心筋梗塞や糖尿病性腎症による透析、糖尿病性網膜症による失明、下肢の壊死です。
糖尿病になってしまった後もタバコの煙を吸い続けると、糖尿病の治療がうまくいかず重症化してこれらの合併症の進行を早めてしまいます。
さらに、糖尿病とは関係なくタバコの煙の害だけでも、脳梗塞や心筋梗塞・腎不全、末梢血管の循環不全などの病気を起こすリスクが高まります。
つまり、糖尿病になっても喫煙を続けるということは糖尿病の悪化とタバコによる健康被害という二重の負担を体に強いているということになるのです。
前項でご紹介したように、ニコチンには体内のインスリンを働きにくくしてしまう働きがあります。
これは、すい臓が分泌したインスリンだけでなく、治療のためのインスリン注射も効きにくくなるということです。
このため、インスリン治療を行っている喫煙者の糖尿病患者さんはタバコの煙を吸わない糖尿病患者さんよりも多くのインスリンが必要です。
どのくらい多く必要かと言うと、喫煙している患者さんは平均で15~20%多いインスリンの投与を必要とします。
そして、ヘビースモーカーの患者さんは30%も多くインスリンを必要とします。
問題はインスリン量だけではありません。
喫煙していると注射したインスリンの皮下での吸収も遅くなってしまうのです。
ヘビースモーカーの患者さんたちは禁煙さえすればインスリンの効きは良くなります。
実際にインスリン治療中の患者さんが禁煙によって治療に必要なインスリンの量が減少したという報告もあります。
糖尿病の状態がどの段階にあっても禁煙は確実に効果があるのです。
また、糖尿病の合併症の中でも糖尿病性腎症による人工透析はよく知られています。
しかし、多くの人は糖尿病と腎臓の関係は知っていても喫煙と腎臓の関係についてはあまりご存知ないようです。
実は糖尿病があってもなくても、喫煙は慢性腎臓病(CKD)のリスクを高めているという報告があるのです。
日本腎臓学会は、禁煙はCKDの進行抑制とCVD(心血管疾患)の発症を抑えるためにも必須な対処として、腎臓病のすべての病期ステージにおいて禁煙を勧めています。
他にも、糖尿病患者さんが喫煙することは総死亡のリスクをも上昇させることがわかっています。
つまり、どんなに血糖のコントロールをがんばっていても喫煙していると命とりになるのです。
禁煙すればこれらのリスクは確実に改善しますが、残念なことに重症化のリスクはゆっくりとしか低下しないため一刻も早く禁煙することがなにより重要なのです。
禁煙するためにできること
ここまでで、糖尿病になっていてもなっていなくてもタバコの煙を吸うことが体に多くの害を及ぼすことがわかりました。
禁煙は「思い立った時が始めどき」です。
ここでは禁煙の基本をお伝えします。
禁煙は「量を減らす」「タバコの種類を軽くする」などという方法ではあまり意味がありません。
「禁煙しようかな」と思ったら、やめる日を決めて一気に禁煙を開始しましょう。
人によっては「もうこれでタバコは吸わない」と考えることが逆にプレッシャーになってしまうこともあります。
「試しに1週間吸わずに、タバコの煙が入らないと自分の体調がどうなるのかを観察してみる」くらいの軽い気持ちの方がうまくいくと考えがちですが、正しい禁煙方法ではタバコを完全に断つことが重要です。
また、加熱式タバコに替えれば良いと考える方も少なくありません。
最近になり加熱式タバコにも様々な害があることが分かってきています。
加熱式たばこはタバコの燃焼によって出るタールを最小限に抑え、ニコチンを効率的にとる方法です。
血糖値を高い状況にしてインスリンを効きにくくするニコチンを体に入れることには変わりないので、糖尿病の予防や治療のために普通のタバコから加熱式たばこに変える意味もありません。
タバコを完全に断つとニコチンが体に入らなくなるため、体がニコチンに依存する傾向のあった人は、3~7日目に「離脱症状(禁断症状)」が現れます。
タバコが吸いたくてたまらなくなり、イライラしたり、不安になったり、集中力が落ちたりします。
人によっては肩こり、頭痛、ふらつき、咳などの身体的な症状も現れます。
これらのニコチンに対する身体的な離脱症状は1週間もすればおさまるのです。
しかしタバコを吸うという行為に対する精神的な依存は残りますので、禁煙した状況を続けるためには工夫が必要です。
まず、喫煙していた時の生活パターンを変更しましょう。
生活の中で違う行動をしたりするようにします。
例えば食後にタバコを吸っていた人は、すぐに歯磨きをする、別の楽しみを見つけるなどが考えられます。
コーヒーやお酒を飲むとタバコを吸いたくなる人は、飲むことを控えるのも一つの方法です。
次に、喫煙しにくい環境を作る方法があります。
タバコやライター、灰皿は捨て禁煙を宣言する、喫煙する人や今まで喫煙していた場所に近づかない、しばらくはタバコを買うことのできるお店に行かないなどの方法が考えられます。
禁煙成功の3原則は「捨てる・買わない・もらわない」ことです。
そして、どうしてもタバコを吸いたくて仕方が無くなった時の行動をいくつか決めておきます。
効果的な行動には、深呼吸をする、水やお湯、お茶を飲む、体操をする、歯磨きをするなどがあります。
禁煙が失敗してしまうのは、多くの場合「1本だけなら」とタバコを手にしてしまうことがきっかけになります。
タバコを手にするまでにいろいろな方法を試してみることができるよう、準備をしておきましょう。
ニコチンへの依存度が高い場合には禁煙外来に通う方法もあります。
離脱症状が少なければ3ヵ月間に5 回程度の通院で7~8割の人が成功しています。
受診の費用も健康保険が使えるので、トータルで2万円弱です。
1日に400円のタバコを1箱吸っていた人であれば、3か月通ったとしてもタバコ代より1万6千円も安く済むのです。
まとめ
タバコは呼吸器系だけでなく体中の健康を損ないます。
タバコはほとんどのがんの原因とも言われており、体の代謝も損なっているのです。
さらに、喫煙は血糖値のコントロールにも悪影響を及ぼしますので、糖尿病が気になる方や既に糖尿病になっていて血糖値の管理や治療が必要な方はなによりもまず禁煙をすることが大切です。
タバコの煙は喫煙者だけでなく発生する副流煙で家族の健康にも害を及ぼしますので、ご自分とご家族の健康のためにぜひ禁煙にチャレンジしてみてください。
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