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喫煙者の男性に多くみられる「膀胱がん」

 2017/06/08 生活習慣病
この記事は約 11 分で読めます。 1,937 Views

血尿が出ると誰しもドキッとするでしょう。

血尿の症状が出る病気には、女性に多い「膀胱炎」や男性に多い「膀胱がん」があります。

ここでは「膀胱がん」について、症状やセルフチェックの方法、治療方法などを詳しく解説します。

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膀胱がんとは

私達の身体には、「膀胱」と呼ばれる器官があります。

膀胱は、腎臓でろ過された全身の老廃物を含む水分を「尿」として溜めておく役割をしています。

膀胱には最大で500mlのペットボトル1本分の尿を溜めることができ、膀胱に尿が満たされると尿意を催して排出を促します。

つまり、膀胱は尿を溜めておく「タンク」の働きをしており、一定量が溜まると「尿意」というセンサーが働き、トイレに行きたくなるという形で、私達に身体の老廃物の排出を促してくれるのです。

また、膀胱は尿を体外に排出する際の「ポンプ」の役割も担っています。

私達が排尿をする際、「尿道括約筋」と呼ばれる筋肉が開き、膀胱が収縮して尿が排出されます。

私達が身体の老廃物を尿として体外に排出出来るのは、膀胱がポンプの働きをしているからなのです。

膀胱はまさに、私達の身体になくてはならない大切な器官なのです。

そんな大切な器官である膀胱ですが、特に40代以降の男性、特に喫煙者に多く見られるのが「膀胱がん」です。

泌尿器系のがんでは、男性特有のがん「前立腺がん」に次いで多いとされており、日本では年間2万人ほどが膀胱がんにかかると言われています。

膀胱がんには大きく分けて3つのタイプがあり、膀胱の内側にカリフラワーのように出来る「表在性膀胱がん」、悪性度が高く早期に膀胱の壁に出来る「浸潤性膀胱がん」、そして前述のがんに移行する可能性が高い特殊なタイプの「上皮内がん」に分類されます。

膀胱がん全体の70%から80%は表在性膀胱がんで、残りの20%から30%は浸潤性膀胱がんと言われています。

膀胱がんは他のがんと同様、症状が進行するに連れて5年生存率が下がり、年間で7千人ほどの人がこのがんで死亡しています。

ただ、膀胱がんは初期症状が出るのが早く、症状の出方もはっきりしているため、早期発見をして適切な治療を行うことが大切です。

予後も他のがんと比べて比較的良好であり、早期に治療を行うことで根治を目指すことが可能です。

また、膀胱がんには「危険因子」、つまり膀胱がんにかかる原因となる要素がいくつかあります。

その一つが、「喫煙」です。

冒頭に書いた通り、膀胱がんは喫煙者に多く見られるがんであり、煙草に含まれる有害成分が老廃物として尿に混ざり、膀胱に刺激を与えることによってがんのリスクを高めていると言われています。

喫煙は膀胱がんだけでなく他のがんのリスクも高めるため、現在喫煙習慣のある人は禁煙を考えた方が良いでしょう。

 

膀胱がんの症状の現れ方

膀胱がんの症状の現れ方にはどのようなものがあるのでしょうか。

前述の通り、膀胱がんは初期症状がはっきりと表れるがんであり、早期に適切な治療を受けることで根治が期待出来ます。

少しでも普段と違う症状が出た時は、放置せずに泌尿器科を受診して詳しい検査を受けることが大切です。

それでは、本題に入っていきましょう。

膀胱がんの症状の代表的なものとしてまず挙げられるのが、尿に血が混じる「血尿」です。

膀胱がんを患っている人の7割以上が、初期症状として血尿を挙げています。

もし、急に血尿が出るようになった時は、まず膀胱がんを疑ってみると良いでしょう。

ただし、膀胱がんの初期症状の血尿には大きな特徴があり、それは「排尿時に痛みを伴わない」ということです。

同じく血尿が出る症状に「膀胱炎」がありますが、こちらは排尿時に痛みが伴います。

一方、膀胱がんが原因の血尿は痛みが伴わないため、痛みがないにも関わらず血尿が出た時は要注意です。

膀胱がんが原因の血尿は、がんの部分にある血管が壊死、もしくは損傷したことにより起こります。

がんに出来る血管は非常にもろく壊れやすく、正常なものでないことから、ささいなことで容易に壊れてしまうためです。

痛みがない血尿が出た時は、膀胱がんの可能性が高いのです。

ちなみに、血尿には大きく分けて2種類存在し、肉眼で確認出来るものを「肉眼的血尿」、顕微鏡で調べて初めて判明する「顕微鏡的血尿」があります。

この2つを合わせると、膀胱がん患者の実に8割以上で血尿が出ていると言われています。

肉眼的血尿は一時的に出て、時間が経つと元の尿の色に戻ることがありますが、血尿がなくなったからといってそのまま放置してはいけません。

一回でも肉眼的血尿が認められた場合は、膀胱がんによるものではないかを泌尿器科で検査してもらうようにしましょう。

この病気は、早期発見が完治への第一歩となるため、ささいな症状も見逃さないことが大切です。

また、「尿意があるにも関わらず尿が思うように出ない」、「排尿しても尿が残った感じがする」、このような「排尿機能障害」が出た時も、膀胱がんの可能性があります。

この症状は膀胱炎ともよく似ており、なかなか治らない膀胱炎だと思って治療を続けていたものの、実は膀胱がんであったことが後に判明するケースもあります。

膀胱炎の治療で抗生物質を飲んで、膀胱炎が改善されたにも関わらず血尿が続く時は、膀胱がんの可能性があるのです。

 

膀胱がんの検査と診断

ここまで、膀胱がんの概要と症状の出方についてご説明してきました。

ここからは、膀胱がんの症状が認められた時に、具体的にどのような検査が行われるのかを詳しく見ていきましょう。

泌尿器科では、膀胱がんが疑われる患者に対して「膀胱鏡検査」と「尿細胞診」の2種類の検査が行われます。

前者は、膀胱の内視鏡(膀胱鏡)を尿道から膀胱へ挿入して行う検査です。

内視鏡を通じて、医師が肉眼でがんの発生部位や大きさ、数、形状などを確認します。

通常は通院によって行われる検査です。

内視鏡を直接尿道から膀胱へ入れるため、特に男性では痛みを伴うことが多く、身体への負担が高いのも特徴です。

ただ、「膀胱鏡検査」は直接医師が患者の膀胱を内視鏡を通じて肉眼で確認出来るため、現在最も確実性の高い検査方法とされています。

一方、「尿細胞診」は尿にがん細胞が出ていないかどうか、顕微鏡を用いて判定する方法です。

尿細胞診の検査は、膀胱がんの可能性がない「陰性」、膀胱がんの疑いがある「疑陽性」、膀胱がんの疑いが強い「陽性」の3種類で判定されます。

病院によっては「5段階法」で判定される場合があり、5段階で膀胱がんの可能性が判明します。

1、2は「膀胱がんの可能性がない(陰性)」、3は「膀胱がんの疑いがある(疑陽性)」、4と5は「膀胱がんの疑いが強い(陽性)」ことを表します。

「尿細胞診」のメリットとしては、内視鏡での検査と違い身体への負担がなく、何度も検査が行える点です。

デメリットとしては、必ずしもこの検査で膀胱がんと断定することが出来ない点です。

仮にこの検査で陰性と判定された場合でも、膀胱がんの可能性がゼロとは言い切れないため、他の検査も並行して行われることがほとんどです。

また、定期的に受けることにより、膀胱がんの早期発見につなげることが出来ます。

ちなみに表在性膀胱がんの場合、ただちにがんが他の臓器に転移することはまれであるため、全身転移の検査をする必要はありません。

ただ、浸潤性の膀胱がんの場合は他の臓器に転移している可能性があるため、CTスキャンを用いた全身の検査が行われます。

膀胱の内部だけでなく、がんが転移しやすいと言われる尿管や腎臓、リンパ節や肺、肝臓、骨など、ほぼ全身をくまなく検査することが出来ます。

ここまで挙げた治療法の他に、超音波を使って身体の外側から膀胱の状態を検査する「超音波検査」も行われます。

この治療法も身体への負担が少なく、1センチ以上のがんであれば発見出来ると言われています。

逆に言えば、1センチより小さいがんは見つけられない可能性があります。

 

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膀胱がんの治療方法

検査の結果、自分が膀胱がんであると判明した場合、どのような治療を受けていけばよいのか、ここからは膀胱がんの治療方法についてご説明していきます。

膀胱がんの治療方法は、症状の進行度(ステージ)やがんの種類によって異なります。

がんの進行度は、一般的に「ステージ」と呼ばれる基準で示されます。

がんのステージには「0期」から「4期」があり、4期が最もがんが進行している状態を表します。

ほとんどのがんは、ステージ1期であれば5年生存率が80%から90%であり、膀胱がんも例外ではありません。

すなわち、がんが進行すればするほど5年生存率は大きく低下していきます。

膀胱がんに限らず、がんは早期発見、早期治療が大切なのです。

膀胱がんの場合、ステージ0期から1期の場合は、膀胱を温存する治療法、つまり膀胱をそのまま残した状態でがんだけを取り除く治療法が行われます。

この方法は、一般的には「TURBT」と呼ばれており、内視鏡と切除ループを用いて膀胱に出来たがんを切除します。

尿道から内視鏡を挿入するため、お腹を切るなどの大掛かりな手術が必要ないのが特徴です。

入院は必要ですが、手術自体は1時間程度で済み、手術後の歩行や食事制限などもありません。

ただし、膀胱がんは非常に再発が多く、2年間で約半数の人が再発すると言われています。

そのため、治療後も3ヶ月おきに膀胱鏡による検査と細胞診検査が必要です。

少しがんが進行した状態、ステージ2期から3期の場合は、膀胱を全て摘出する手術が行われます。

男性の場合は膀胱と前立腺、女性の場合は膀胱と尿道、子宮と膣の一部も摘出します。

同時に骨盤のリンパ節も摘出し、がんがリンパ節に転移していないかどうかの検査も行われます。

言うまでもなく、この手術を行った後は膀胱がなくなってしまうため、尿の出口を作る手術(尿路変向術)が必須です。

がんがかなり進行してしまった状態、ステージ4期の場合は手術では全てのがんが取り切れないことがあるため、手術前に抗がん剤による治療でがんを小さくし、手術に臨みます。

いずれにしろ、再発や転移の可能性があるため、手術後も定期的に病院を受診する必要があります。

ちなみに、膀胱を全摘出する手術を受けた後に行われる「尿路変向術」には、いくつかの種類が存在します。

その一つに手術前と同様、自分の尿道から排尿出来るようにする「新膀胱」と呼ばれるものがあります。

小腸の一部を使って、人工の膀胱を作る方法です。

 

膀胱がんセルフチェック

ここまで、膀胱がんに関する様々な事項についてご説明しました。

ここからは、自分が膀胱がんであるかどうかを簡単に調べられる方法「セルフチェック」についてご紹介します。

セルフチェックをすることで、自分が膀胱がんの可能性があるかどうか確かめることが出来ます。

膀胱がんは比較的自覚症状がはっきりと表れるがんであるため、今から挙げる事項で該当するものがある人は、一度泌尿器科へ行き詳しい検査を受けることをおすすめします。

1つ目は、「血尿の有無」です。

膀胱がんの代表的な症状は血尿です。

膀胱炎など、膀胱がん以外の病気の可能性もありますが、膀胱が正常な状態で尿に血が混じることはまず考えられないため、血尿が出た時は注意が必要です。

特に痛みを伴わない血尿、一時的に現れる血尿は要注意です。

2つ目は、「残尿感の有無」です。

排尿後も尿が膀胱に残っている気がする、何度排尿してもすっきりしない、このような症状が出ている人は膀胱がんの可能性があります。

また、「排尿時の痛み」や「下腹部の重い痛み」なども注意が必要です。

その他にも、膀胱がん最大の要因である「喫煙」も、セルフチェックでは注目すべきポイントです。

喫煙は「百害あって一利なし」、膀胱がんだけでなく肺がんや喉頭がん、食道がんなど、様々ながんに直結する大変リスクの高い生活習慣です。

また、喫煙は吸っている本人だけでなく、周りの人にも受動喫煙という形で悪影響を及ぼします。

現在喫煙習慣のある人は、自分の健康のためにも禁煙を目指すことをおすすめします。

さらに、「加齢」も膀胱がんの要因の一つとして挙げられます。

膀胱がんは40代以上の男性に多いとされており、年齢が進むに連れて発症のリスクも高まります。

40代以上の男性は、特に注意が必要です。

ちなみに、膀胱がんに関して興味深いデータがあります。

それは、ゴム工場で働いていた人に膀胱がんが多く発症しているということです。

ゴム工場で使われている化学物質が、膀胱に何らかの悪影響を与えていると考えられています。

ただし、現在は「発がん性」が指摘されている化学物質は使用されておらず、この点については特に心配する必要はないでしょう。

ここまでの事項をまとめると、「血尿があるかどうか」「排尿時に痛みがあるかどうか」「喫煙習慣があるかどうか」「年齢が40代以上の男性であるかどうか」がセルフチェックの項目として挙げられます。

膀胱がんの早期発見のためにも、セルフチェックを定期的に行うようにしましょう。

 

まとめ

膀胱がんは初期症状がはっきりと表れます。

また「痛みがない血尿」などセルフチェックも行いやすいです。

膀胱がんは早期発見、早期治療を行えば予後は比較的よく根治を目指すことが可能です。

気になる症状が出た場合は、放置することなく病院へ行って診てもらうことをお勧めします。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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