普段の血圧は正常値なのに病院では高くなる症状「白衣高血圧」とは?
「普段家で血圧を測ると正常範囲なのに、病院や診療所で測るとなぜか血圧が高くなってしまう」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように、いつも家で血圧を測るときは正常血圧なのに医療機関で測ると血圧の数値が上がってしまうことを「白衣高血圧」といいます。
この記事では、白衣高血圧の症状や原因、ストレスで血圧が上がるメカニズムをご紹介しましょう。
また、白衣高血圧と逆の状態である「仮面高血圧」についても解説していきます。
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「白衣高血圧」とはどのような症状なのか
普段の血圧は正常なのに病院や診療所の診察室で血圧を測ると血圧が高くなってしまう、という方はないでしょうか。
これは「白衣高血圧」です。
ここでは白衣高血圧とは何か、具体的な症状などをご紹介します。
●白衣高血圧とは
普段自宅で測る血圧は正常値なのに病院の診察室で医療者の前で血圧を計測すると、いつも以上に血圧が高くなってしまうのが白衣高血圧です。
白衣高血圧の「白衣」とは、多くの医師や医療関係者が診察のときに着ている白衣のことを指します。
患者さんが白衣を見ると緊張してしまい、自然と血圧が上がってしまうので白衣高血圧と呼ばれているのです。
ここからは、白衣高血圧の具体的な血圧の基準を見ていきましょう。
白衣高血圧の血圧基準は病院の診察室で測る血圧が140(最高血圧)/90(最低血圧)以上です。
一方、自宅や職場で測る血圧(家庭血圧)は135(最高血圧)/85(最低血圧)未満となっています。
診察室で測る血圧が高いといわれた人のうち約15〜30%の人が白衣高血圧であるとも指摘されており、年齢が高くなるほど、とくに女性に多い傾向があると言われているのです。
白衣高血圧ではどのような症状が見られるのでしょうか。
その症状を挙げていきます。
●普段の血圧は正常値なのに病院では高くなる
白衣高血圧となる人は普段の血圧は正常で問題ないことが多いです。
この普段の血圧とは「家庭血圧」ともいわれています。
普段から自宅で血圧を測っているという人も多いのではないでしょうか。
家庭血圧は以下のような条件下で計測することが推奨されています。
朝は起床後の1時間以内、排尿を済ませた後、朝薬を内服する前、椅子などに座り約1〜2分間安静状態を保って測り、夕は飲酒や入浴のあとの寝る前、椅子などに座り約1〜2分間安静状態を保ったときに測る、というものです。
このような条件で朝と夕に1回以上、家庭血圧を計測します。
家庭血圧の計測はなるべく毎日継続して計測していくことが大切です。
定期の外来通院などで病院に行き、いざ血圧を測ると急に血圧が上がってしまうのが白衣高血圧になります。
診察室で急に血圧が高くなっても、そのあとは時間の経過とともに正常の値に戻っていくことが特徴です。
そのほかにも医師の指導のもとで行われる「24時間自由行動下血圧測定」があります。
自動的に血圧を測ることができる血圧計を24時間身につけて、日中の活動時や睡眠時も継続的に血圧を測る方法です。
以上のような、家庭血圧や24時間自由行動下血圧測定において高血圧の基準を下回る値が出るのに、病院や診察室で高血圧となってしまう場合は白衣高血圧という診断を受けます。
●普段は正常であるためすぐに治療する必要はない
白衣高血圧の傾向があるとわかっても降圧薬の内服など、すぐに治療をする必要はありません。
医師の判断にもよりますが、高血圧を引き起こす既往症や合併症がなければ治療をすぐに始めないことがほとんどです。
しかし、白衣高血圧は将来的に高血圧症になる可能性が高いことが指摘されています。
そのため日頃から朝起きて1時間後に家庭高血圧を測る習慣を身につけたり健康診断や人間ドックを受けたりして、定期的に血圧やそのほかの症状がないか経過観察していくことが大切です。
●白衣高血圧は将来本当の高血圧になりやすい研究結果もある
白衣高血圧の症状がある人は血圧が正常である人よりも将来的に心臓血管系の病気のリスクが高くなることがわかっています。
白衣高血圧の人は気づかないうちに持続的に高血圧となる「持続性高血圧」となる可能性が高いです。
高血圧によって心臓血管系の病気にかかる可能性も高まります。
白衣高血圧の傾向がある人は普段の血圧が正常だからといって安心してはいけません。
白衣高血圧の傾向がある人は家庭血圧を長期的にモニタリングしていくことが重要であると言えるでしょう。
白衣高血圧の原因
次になぜ白衣高血圧になってしまうのか、その原因を探っていきます。
白衣高血圧になる原因としては以下のようなものが考えられるでしょう。
・医療機関の中で、医師の前に座ったことによる心理的な緊張
・待ち時間の長さなどに対するイライラ、ほかの原因により生じたストレス
・病気のことを考えた場合に起こる不安
誰でも病院という非日常的な空間に行くだけで多少のストレスを感じるものです。
そのうえ、もともと持病がある人ならその病気に対する不安も出てくるでしょう。
そのような不安を感じている中で病院が混んでいたり長時間待たされたりすると、疲れもたまりイライラ感も募っていきます。
このように精神面で心に負荷がかかったり感情の変化があったりして、血圧が一時的に上昇して白衣高血圧になることがわかっているのです。
医師や医療関係者の前だと必要以上に緊張してしまい、さらにストレスが心身にかかってしまいます。
これは普段から緊張しやすい人にも多くみられると言われている現象です。
白衣高血圧の原因のひとつにストレスがあり、それが血圧を上げてしまう原因になっています。
そのため普段の生活におけるストレスにも注意が必要といえるでしょう。
たとえば、仕事や家庭で感じるストレスなどが自分でも気づかないうちに継続的な心の負荷になっていないかチェックすることが大切です。
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ストレスで血圧が上がるメカニズム
なぜストレスによって血圧が上がるのでしょうか。
ここではそのメカニズムを順番にご紹介します。
●ストレスを受けると脳から副腎ホルモンが分泌される
人間は外部からストレスを受けると視床下部や脳下垂体といった脳の部分から副腎ホルモンが分泌されます。
すると、その刺激を受けて副腎から「アドレナリン」、神経の末端からは「ノルアドレナリン」が分泌されるのです。
●ストレスに対する防御反応が起こる
アドレナリンは人が興奮したときに分泌されるホルモンであり、心拍数を高めて心臓からの血液を全身に多く送るように作用します。
血管を収縮させて血液の通り道を狭くする作用があるのがノルアドレナリンです。
このように、心拍数が上がり血管が収縮するのはストレスを受けたときの人間の体の一種の防御反応でもあります。
この反応が、血圧を高めることに繋がっているのです。
●体内で発生した活性酸素が高血圧の要因にもなる
最近の研究では活性酸素も高血圧の要因になると言われています。
活性酸素とは、人の体のなかに取り込まれた酸素が普通の状態よりも活性化された状態の酸素のことです。
この活性酸素は体のなかの代謝の過程でさまざまな成分と反応します。
ストレスを受けたときも同様であり、ストレスを受けることでできた副腎ホルモンを分解する酵素が分泌され、分解される過程で活性酸素を多く発生させるのです。
この活性酸素が過剰に生産されると人の体に酸化ストレスをもたらします。
これが高血圧の原因になるというわけです。
●ストレスを受けてすぐに血圧が戻らない人は注意!
これまで説明したように、人はストレスを受けると一時的に血圧が上がることがあります。
しかし、しばらくすると正常の血圧に戻ることがほとんどです。
ですが、中にはストレスを受けて高くなった血圧がすぐに元に戻らない人もいます。
以下のようなタイプの人はストレスによる高血圧を避けるために注意をした方が良いでしょう。
●メタボリックシンドロームの人
高血圧や高脂血症、糖尿病などの動脈硬化になりやすい病気を肥満の人は抱えやすいです。
こうした背景を複数もっている状態を「メタボリックシンドローム」といいます。
インスリンの働きが悪くなる傾向もあるため、ストレスによって食べ過ぎてしまった場合にはより肥満が進んだり、インスリンの分泌を悪くさせたりするでしょう。
さらにメタボリックシンドロームを悪くする状態になり、血圧にも影響を与える原因になってしまいます。
●高齢者(65歳以上)
年齢が上がると血圧をコントロールする体の機能も低下し、たとえ軽いストレスであっても血圧が上下しやすくなるものです。
環境の変化や災害、家族や友人との対人関係の悩みなどでも容易にストレスがかかりやすくなり、高血圧を引き起こしやすくなります。
●脳卒中などの既往のある家族がいる
自分の家族のなか(祖父母や兄弟)に脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管病の人がいる場合、本人も高血圧になりやすい傾向があるといわれています。
高血圧を引き起こすストレスには普段から注意が必要になるでしょう。
このようにストレスは血圧上昇に影響を及ぼします。
そのため、普段の生活からストレスを軽減する行動を意識することが大切です。
病院では正常なのに普段は血圧が高くなる「仮面高血圧」もある
病院での血圧は正常なのに普段測る血圧が高くなることを「仮面高血圧」といいます。
これまで説明してきた白衣高血圧とは逆の症状であり注意が必要です。
ここでは仮面高血圧について見ていきましょう。
●仮面高血圧とは?
仮面高血圧とは、診察室での血圧は正常なのに家庭で測る血圧が高い状態のことを言います。
本当は高血圧であるのに病院での診察では医師に「自分は高血圧ではない」と嘘の仮面を被っているように捉えられるため、仮面高血圧といわれているのです。
これまで説明してきた白衣高血圧とは逆のことが起こっているので「逆白衣高血圧」ともよばれています。
家庭では140(最高血圧)/90(最低血圧)以上と高血圧を示すのですが、外来血圧では、135(最高血圧)/85(最低血圧)未満となるのが仮面高血圧です。
診察の場面以外では高血圧の症状があるのに診察では正常血圧を示してしまいます。
たとえば降圧薬を服薬している人は朝の時間に薬を飲むと血圧が下がったころに診察を受けることになり、血圧が正常と判断されてしまうのです。
また服薬しているから血圧が下がっているともとらえられてしまいます。
それでは、なぜ仮面高血圧となるのでしょか。
仮面高血圧の要因を挙げていきましょう。
●高血圧治療中で薬の効果が出るのが遅い
仮面高血圧の人はもともと高血圧の治療中の人が多いです。
普段内服している血圧を下げる薬の効果が出にくいことが要因のひとつとして考えられます。
たとえば病院受診をする日の朝に降圧薬を服用したとき、薬の効果が出る昼間に病院で診察を受けるため、病院で測る血圧は低い状態に保たれているというわけです。
しかし病院受診のあとは血圧を下げる薬の効果がなくなって、またもとの高い血圧に戻ってしまいます。
●病院受診前や受診中は喫煙ができないため
血圧が高い人のなかにはたばこを吸っている人も多く、血圧も高くなりがちです。
しかし病院を受診するときは一時的に喫煙を避けることができるので血圧が高くなることを防ぐことができます。
そのため普段の血圧は高いのに診察室の血圧は正常に近くなり、高血圧が気づかれにくい原因にもなってしまうのです。
●病院ではストレスを感じることなく過ごせるため
職場や家庭で普段感じているストレスによって血圧が上がるタイプの人は、病院を受診することで逆に血圧が下がるケースもあります。
自律神経を刺激して血管を収縮させ血圧を上げやすくさせる原因のひとつは強いストレスです。
しかし病院ではいつも感じる職場や家庭でのストレスを感じないため普段よりリラックスした状態になります。
そのため診療時の血圧を落ち着かせてしまうのです。
本当は治療をしなければならない高血圧を抱えているのに正常とみなされてしまいます。
これにより高血圧の治療が遅れてしまう可能性も出てくるでしょう。
仮面高血圧は脳心血管病になりやすいので注意が必要です。
仮面高血圧の人は以下のような人がなりやすいと言われています。
・タバコを吸っている
・普段体を動かすことが多い
・精神的なストレスを感じやすい
・アルコール飲料をよく摂取する
このような条件があてはまる人は仮面高血圧にかかりやすいです。
家庭血圧と診察室血圧の両方が高いタイプの人と同じく、脳卒中などの脳心血管系の病気が発症しやすい傾向があります。
すでに高血圧と診断されて降圧剤を服用している人も同様ですので、1日のどの時間でも血圧が高くならないようにすることが大切と言えるでしょう。
まとめ
普段の血圧は正常値なのに病院では血圧が高くなるのが「白衣高血圧」です。
家庭で測る血圧がどのくらいであれば「白衣高血圧」ではなく、正常範囲なのかという明確な診断の基準はありません。
しかし白衣高血圧から本当の高血圧症になる人は多いので、白衣高血圧の様子が見られる人は血圧の変動には十分注意をする必要があります。
高血圧症になるのを防ぐためには生活習慣を改善していくことが大切です。
それでも状態が変わらなければ、高血圧を引き起こすほかの要因も考慮して薬物療養が必要になることもあります。
いずれにしても病院で医師に相談して治療を進め、経過を見ていくことが必要となるでしょう。
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