高血圧対策としての禁煙|実は知らないタバコと血圧の関係性
「タバコは健康によくない」となんとなく分かっていても、具体的にどのような仕組みで体に悪影響を及ぼすのかまで考える機会はあまり多くないでしょう。
タバコの煙は気体と燃えかすの粒子が混じったものです。
タバコの煙の気体の部分には約1,000種類の化学物質が含まれ、さらに粒子には約4,300種類もの化学物質が含まれています。
これらの化学物質が血管や血圧にどのように作用するのかご紹介します。
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タバコを吸うと一時的に血圧が上がる理由
タバコの煙に含まれるニコチンはタバコに対する依存性を高める物質です。
タバコを吸うと数秒で脳にニコチンが届き、イライラした気持ちが落ち着いてすっきりした「快」の状況になります。
さらに、血液の中のニコチン濃度は5分後に最大値となります。
このように、タバコの吸入で取り込むニコチンは即効性があるため依存症になりやすいのです。
ニコチン依存性の元となる「快」の作用と同じ原理で、タバコを吸うと一時的に血圧が上がります。
その作用の仕組みは、ニコチンがホルモンを作る臓器である「副腎皮質」を刺激して「カテコールアミン」というホルモンの分泌を促すところから始まります。
カテコールアミンはアドレナリンと同じように人を高揚した気分にしてくれる交感神経系のホルモンです。
交感神経系のホルモンが分泌されると末梢血管が収縮するので血圧が上昇し脈拍も早くなります。
つまり、カテコールアミンによって身体は軽い興奮状態になるため、タバコを吸うと興奮して気持ちよくすっきりとした気分になるのです。
しかし、これは同時に心臓にも大きな負荷をかけているということでもあります。
さらに、カテコールアミンはトロンボキサン A2という血管を縮める・血液を固めるといった作用をもつ物質を分泌させてしまうのです。
そのため、血管はさらに収縮してしまい、また末梢血管の血圧が上がってしまいます。
そのうえ、トロンボキサン A2の作用は血を固まりやすくするため、血液中にできた血の塊が血管に詰まる「血栓症」のリスクまでも高めてしまうのです。
ニコチンのほかタバコの煙には一酸化炭素が含まれています。
一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと固く結合し、ヘモグロビンに酸素が結合できないようにしてしまいます。
つまり、一酸化炭素はヘモグロビンが酸素を身体中に運ぶ役割を阻害してしまうため、タバコを吸うと慢性の酸素欠乏状態になってしまうのです。
さらに、タバコの煙はコレステロールの構造を変化させ血管の内側の壁面を傷つけるので、その傷に対処しようと修復を繰り返すうちに血管壁は徐々に厚く硬くなり動脈硬化が進行します。
つまり、血液の通り道が狭くなるうえカテコールアミンの血管収縮作用と相まって、ますます血圧が上昇してしまうのです。
加えて、タバコの煙は善玉コレステロールも減少させてしまうので動脈硬化の進行を促進してしまいます。
一酸化炭素による酸素欠乏など、さまざまな要因での血管異常収縮が血圧をあげ、心臓の負担を高め循環器疾患のリスクを増大させるのです。
このように、ニコチンは末梢血管を収縮させて血圧をあげ一酸化炭素は動脈硬化を進行させるなどの作用を持つため、いずれも心臓の病気を起こしやすくしてしまうのです。
タバコを吸うと慢性的な高血圧にも繋がる?
上述したように喫煙にはさまざまなリスクがともないます。
それではタバコと慢性的な高血圧は関係あるのでしょうか。
すでにご説明した通り、タバコを吸うと末梢血管が収縮するため一時的に血圧が高くなります。
具体的には、タバコを1本吸うと15分間以上いつもより血圧が高い状況が続きます。
2本連続で吸えば血圧はさらに上がり、30分たっても元の血圧に戻りません。
1日のうち目覚めている時間を16時間とすると、1時間に2本以上、1日32本以上のタバコを吸っていると酸欠状態が1日中続いていることになります。
つまり、1日にタバコを2箱吸うようなヘビースモーカーの人の身体は1日中酸欠状態で血圧も高くなっているということになるのです。
このように、タバコを吸うことが末梢血管を収縮させて一時的な血圧の上昇をすることは分かっているのですが、実はタバコを吸うことが慢性的に身体全体の血圧を高くするのかどうかについてはまだ分かっていません。
身体全体の血圧は腕で測定しますが、この上腕血圧のレベルではしっかりとした評価が出ていないのが現状です。
ただし、タバコを吸う人はタバコを吸わない人に比べて喫煙以外の血圧を上げる要素が少ないので、タバコが血圧に及ぼす影響を見えにくくしている可能性があるのです。
たとえば肥満になると全身の血流量が増えてしまうため血圧が高くなります。
つまり肥満は高血圧の重要なリスクとなりますが、タバコを吸う人はやせている人が多いのでタバコを吸わない人よりも肥満という要因で血圧が高くなっている人が少ないのです。
こうしたことから統計上タバコのリスクが相殺されてしまっているとも考えられます。
身体全体、上腕血圧ではまだ分かってはいませんが、タバコを吸う人は吸わない人に比べて中心血圧と脈波増大係数が高いという報告があります。
これは、タバコを吸うことで末梢動脈が収縮して血圧が上がることと、動脈硬化が進んだことで血液の流れが血管壁にぶつかった際、流れを跳ね返される勢いが強くなることで説明できます。
高血圧が怖いのは高い圧で血液を送り出さなければならないため心臓に大きな負担をかけて疲れさせてしまうほか、高い圧の血流が血管壁を痛めてしまい動脈硬化を進行させてしまう可能性があるからです。
タバコの煙は高血圧にどう影響しているかはわからなくても心臓の血管の病気を引き起こすリスクになることはハッキリと分かっています。
また、最近では上腕血圧よりも中心血圧のほうが心臓の血管に悪影響を及ぼすことも報告されているので、心臓の病気のリスク下げるためにもタバコをやめることが望ましいと言えるでしょう。
まとめると、タバコを吸うことで慢性的に血圧が高くなるかどうかはまだハッキリとわかってはいませんが、身体を酸欠状態にして心臓に負担をかけ動脈硬化を促進させることは確かです。
また、タバコ特有の血圧への影響の仕方が心臓へ悪影響を及ぼしていることはハッキリ分かっています。
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タバコが血管に及ぼす影響
タバコの煙はタバコを燃やしてできた気体とその燃えかすの粒子が混じりあっており、気体の部分には約1,000種類、粒子の部分には約4,300種類もの化学物質が含まれています。
つまり、「喫煙」は5,000種類以上の化学物質をわざわざ身体に取り込んでいるということになるのです。
身体に取り込まれたこれらの化学物質の多くは肺に入り肺で吸収されて血液中に取り込まれ身体中を循環します。
この化学物質が血管に刺激を与えるため、傷ついた血管壁は「炎症」をおこします。
ケガをした時に傷口が腫れて膿が出る状況や、風邪をひいた時にウイルスによってのどが腫れて熱が出る状況と同じことが血管に起こるのです。
炎症が起こると交感神経は緊張し血管の収縮も起こります。
また、傷ついた血管壁は修復されますが、修復を繰り返すうちに血管壁は硬く厚くなり、血液の通り道が狭くなってしまいます。
つまり、タバコを吸って血管に繰り返し炎症を起こしていると動脈硬化はどんどん進行してしまうのです。
1日のうちに何度もタバコを吸うと、そのたびに軽度の一酸化炭素中毒の状況になるため身体は慢性的な酸素欠乏になります。
それでも何とか新鮮な酸素を届けようと身体は酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンの量を増やします。
そのため血液の粘調度が高くなり血液が固まりやすい状態にもなってしまうのです。
皮膚が傷つき炎症を起こした時、膿が出てかさぶたができてそれが剥がれ落ちてようやく治りますが、それと同じことが血管壁の炎症部分を修復しようとして起こります。
しかし、皮膚の傷と違って剥がれ落ちたかさぶたは血管内を漂うことになるのです。
この、「固まっていないかさぶた」のようなものを血栓と呼びます。
この血栓が血流にのって細い末梢血管に流れていくと目詰まりを起こしてしまいます。
これが梗塞です。
心臓の筋肉に酸素や栄養を届けるための細い血管が詰まると心筋梗塞が起き、脳に酸素や栄養を届けるための細い血管に詰まれば脳梗塞になるという恐ろしい病態なのです。
さらに、タバコの煙に含まれる化学物質は肺の免疫機能を低下させます。
有害な化学物質を取り込むと、免疫を司る白血球の一種「肺胞マクロファージ」が大量の活性酸素を発生させます。
肺には酸素がたくさんあるので他の臓器よりも活性酸素が発生しやすいのです。
しかも、タバコの煙の中にはもともと活性酸素が含まれているので肺は大量の活性酸素にさらされることになります。
活性酸素は細胞の機能をコントロールするDNAを切断するので細胞に決定的なダメージを与えます。
肺胞マクロファージが損傷を受けると免疫システムが崩れるので、風邪などの感染症に罹りやすく治りにくくなってしまうのです。
さらに、切断されたDNAを修復しようとして間違ったくっつき方をしてしまうと異常細胞が発生します。
この異常細胞が「がん細胞」に変わることがあるのです。
タバコは動脈硬化などからくる血管障害や心臓病のリスクを高めるだけでなく、感染症への免疫を低下させがんになるリスクを高めてしまうと言えるでしょう。
禁煙のメリット
タバコが体に悪いとわかっていても、いまさら禁煙しても仕方がないと考えている人も少なくありません。
ですが、実はいつから始めても禁煙にはメリットがあるのです。
たとえば、タバコを最後に吸ってから20分で血圧や脈拍はタバコを吸う前の状態まで下がり、冷えていた手足の体温も正常に戻ります。
このように、有害なタバコの煙の吸入が止まると身体はすぐに回復しようとがんばり始めるのです。
さらに、8時間経過すると血中の一酸化炭素レベルも正常域に戻るので、運動した時の息切れが少なくなります。
そして、タバコをやめてたった1日程度で心臓発作の確率は下がるのです。
その後、数日程度で咳や痰が減り、心臓の働きや胃腸の調子も改善していきます。
また、慢性的に血圧が高い場合は数ヶ月かけてゆっくり下がっていきます。
このように、タバコをやめれば徐々に血管に与える負担が減り、呼吸をはじめ身体全体に良い影響が出るのです。
禁煙には血圧や心臓の負担を減らすメリットがありますが、呼吸に関してもとてもよい影響を及ぼします。
喫煙者に多い「慢性閉塞性肺疾患」という病気がありますが、慢性閉塞性肺疾患はCOPDとも呼ばれるタバコの煙などの有害な物質を長い間吸い続けることで起こる肺の病気なのです。
慢性閉塞性肺疾患に罹患すると、肺や気管支といった空気の通り道が狭くなり呼吸が苦しくなってしまいます。
また、日常的に咳やたんが出るほか、少し動いただけで息切れを起こし息苦しさも感じるようになります。
さらに進行すると呼吸困難になり、酸素吸入器を付けて生活しなければならなくなってしまうのです。
既にCOPDであったりその兆候が見られたりする人でも、禁煙をして1ヶ月ほどで咳やたん、喘鳴などの呼吸器の症状が和らぎます。
禁煙を1年続けたころにはCOPD患者の肺の機能にも改善がみられるといわれています。
そのため、禁煙はCOPD対策の第一番に掲げられているのです。
長年タバコを吸っている人であれば、一番影響が長く残るガンのリスクも禁煙を続けるにつれて確実に減っていきます。
禁煙している期間が5年になるころには肺ガンになる確率も半分に減り、10年かけて「がんの前段階」になってしまっていた細胞も修復されます。
つまり、禁煙後10年で、口腔癌、咽頭癌、食道癌、膀胱癌、腎癌、膵臓癌になるリスクが減るのです。
このほか、タバコを吸っていると肌の老化が早まり疲れやすくなるうえ口の中の血流も悪くなるので、歯周病が進行する可能性も高まります。
また、タバコから立ち昇る煙「副流煙」の影響で、子どもの喘息など、家族の健康にも害を及ぼしかねません。
禁煙することは身体全体によい影響を及ぼしますし、家族など周りの人の健康を守ることにもつながるのです。
まとめ
タバコの煙は血圧や心臓をはじめとした循環器に悪影響を及ぼし、高血圧と同様かそれ以上に脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因となってしまいます。
さらに、COPDという酸素吸入器が手放せない呼吸器の病気を招くほか、がんのリスクを高める可能性もあるのです。
禁煙に遅すぎるということはありません。
禁煙して数十分から体は少しずつ回復していき、継続することで確実に健康へ近づくことができるのです。
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