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生活習慣病予防&生活習慣改善を目指す「健康日本21」はどのような運動?

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日本では国民の健康維持および増進を目的とした国主導の政策が数十年前からおこなわれてきました。

近年はこれまで実施されてきた政策をさらに改善し、中身を充実化させた「健康日本21」と呼ばれる新たな取り組みが始まっています。

今回は国が行う「健康日本21」の政策の歴史や成果、また今後「健康日本21」が目指すとしている目標について解説していきます。

これからの自身の健康、家族の健康を考えるうえでの参考にしてみてください。

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2000年に策定された「健康日本21」

「健康日本21」とは

健康日本21の正式名称は「21世紀における国民健康づくり運動」で、国民に対する健康施策として厚生労働省が2000年に開始した取り組みです。

これにより食生活、運動、休養、タバコ、アルコールなど幅広い事柄において数値目標が設定されています。

日本における健康施策は30年以上前から始まっており、1978年の第1次国民健康づくり対策では国内の保健センターの設置や健康検査の実施、保健師の充実といった施策が取られるようになりました。

第2次国民健康づくり対策は1988年に開始され、健康施設のさらなる増加や適切な運動指針の策定などが行われました。

そして、2000年に行われた第3次国民健康づくり対策において「健康日本21」と名付けられた新たな運動が開始されたのです。

健康日本21では国民と社会が一体となった健康づくり運動の促進、一次予防対策や健康支援のための環境作りの充実を図り、日本人の健康寿命の延伸および生活の質の向上を目指すことを目的とされています。

健康日本21の特徴

1.一次予防の重視

高齢化が深刻化し治療や介護における社会的な負担の増大が予想されるなかで、病気の早期発見と早期治療はこれまで以上に重要な課題となっています。

健康日本21では一次予防(病気を未然に防ぐための予防)を重点に置いた施策が取られています。

2.健康づくり支援のための環境整備

個人の健康づくりの取り組みや生活の質の向上のためには社会的な支援が大切です。

健康日本21では行政機関・医療機関・教育機関・企業・マスメディア・ボランティア団体などがおこなう支援と連携を促し、個人がスムーズに健康づくりに取り組めるための環境設備の充実を推進しています。

3.目標の設定と評価

健康日本21では健康づくりを支援する関係者が健康に関する知識や課題を共有し、科学的な根拠を基にした具体的な目標設定をおこなっています。

また単に目標を設定するだけでなく、それらの目標を達成するための諸活動の評価および改善も積極的に実施されています。

4.各実施主体の連携および情報共有

健康づくりにおいては国民一人一人が健康や病気に対する正しい知識を知ることが大切になります。

健康日本21では「国民に対する有益かつ的確な情報の提供」を目指し、マスメディアによる情報伝達の充実と拡大、保健事業を活用した個別の健康教育の実施などを推進しています。

また、近年特に問題となっている生活習慣病に対する地域住民への適切なアドバイスやサポート、生活習慣病が発症しやすいと思われる地域や集団に対する働きかけなど対象者の特徴やニーズを踏まえた幅広い活動が推進されています。

このような活動の効果をより高めるために老人保健事業や医療保険者などとの連携も積極的に実施されています。

 

日本の国民健康づくり運動の歴史

第1次国民健康づくり対策は1978年に開始され、その後1988年に第2次国民健康づくり対策が開始されています。

この第1次と第2次の国民健康づくり対策で具体的にどのような施策がおこなわれたのかについて詳しく解説します。

第1次国民健康づくり対策(1978年~)

第1次国民健康づくり対策では、国民の健康維持と高血圧や肥満の人が陥りやすい病気の早期予防・早期治療を目的として、3つの基本施策が策定されました。

第一は「生涯を通じる健康づくりの推進」です。

これは乳幼児から高齢者まで幅広い年代における健康診断受診の普及と保健指導体制を確立するといった内容が該当します。

第二は「健康づくりの基盤整備」で一人ひとりが健康づくりに取り組める土台を形成する取り組みです。

具体的には健康増進センターや市町村における保健センターの設置をはじめ、保健師や栄養士といった健康づくりの専門知識を持った人材の確保が挙げられます。

第三は「健康づくりの普及・啓発」です。

市町村ごとに健康づくり推進協議会を設置し、加工食品の栄養成分表示、健康づくりに関する研究の実施などがおこなわれました。

これらの基本施策を基にした10か年計画が1987年から始まり、順次取り組みがなされています。

第2次国民健康づくり対策(1988年~)

第2次国民健康づくり対策は第1次国民健康づくり対策の内容の充実化を図る目的で策定されました。

特に、取り組みが遅れていた運動面の施策に力を入れており、運動指導者の養成などがおこなわれました。

また従来の施策では「治療」のみに重点が置かれていましたが、2次からは一次予防と二次予防を重視し「自分の健康は自分で守るという自覚を促す」をテーマにした新しい視点の取り組みが導入されました。

第2次国民健康づくり対策では従来の3つの基本施策はそのまま受け継いでいますが、中身は追加・改善されています。

1.生涯を通じる健康づくりの推進

・乳幼児~老人に至るまでの健康診査
・保健指導体制の充実

2.健康づくりの基盤整備

・健康科学センター、市町村保健センター、健康増進施設などの整備
・健康運動指導者、管理栄養士、保健婦などのマンパワー確保

3.健康づくりの普及・啓発

・栄養所要量の普及・改定
・運動所要量の普及
・たばこ行動計画の普及
・外食栄養成分表示の普及
・健康文化都市および健康保養地の推進
・健康づくりに関する研究の実施など

第2次国民健康づくり対策からは別名「アクティブ80ヘルスプラン」とも呼ばれるようになりましたが、これは「80歳を超えてからも身の回りのことは自分ででき、元気に社会参加できるようにする」という意味が込められています。

 

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第1次健康日本21の成果

2000年より始まった健康日本21ですが2013年からは「第2次健康日本21」が開始されています。

これは2000年に開始された第1次健康日本21の成果を踏まえ、2011年に見直しが行われて改訂されたものです。

そこで、まずは2011年に行われた第1次健康日本21の成果と最終評価について見ていきましょう。

○最終評価の結果

第1次健康日本21では、9つの分野で59項目が目標として設定されました。

このうち「目標値に達した」が10項目で全体の16.9%、「目標値に達していないが改善傾向にある」が25項目で全体の42.4%となっており、全体の6割で改善傾向がみられています。

すべてのデータは以下のようになっています。

A 目標値に達した 10項目(16.9%)
B 目標値に達していないが改善傾向にある 25項目(42.4%)
C 変わらない 14項目(23.7%)
D 悪化している 9項目(15.3%)
E 評価困難 1項目(1.7%)

○目標値に達した項目(10項目)

目標値に達したのは、「メタボリックシンドロームを認知している国民の割合の増加」「糖尿病有病者の減少」「定期的な歯科検診の受診者の増加」を含む10項目です。

また、睡眠不足の人の減少なども達成項目として該当しています。

○目標値には達していないが改善傾向にある項目(25項目)

目標値に達してはいないものの改善傾向にある項目は「外食や食品を購入するときに栄養成分表示を参考にする人の増加」「禁煙支援プログラムの普及」などを含め25項目にのぼりました。

また、高血圧の改善やがん検診の受診者の増加傾向もみられています。

改善傾向にある項目全体を通してみると、食事から摂取する栄養バランスの重要さの再認知・普及、喫煙など健康な生活のリスクとなりえる事柄について正しい知識を伝えるなど健康な生活に向けての知識の普及について前進したといえるでしょう。

○変わらない、または悪化した項目

改善が見られなかった項目(変化が見られなかった項目)には「脂肪エネルギー比率の減少」「運動習慣者の増加」「自殺者の減少」「多量に飲酒する人の減少」「メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少」などが挙げられます。

悪化した項目には「カルシウムに富む食品の摂取量の増加」「朝食を欠食する人の減少」「日常生活における歩数の増加」「ストレスを感じた人の減少」「睡眠の確保のために睡眠補助品やアルコールを使うことのある人の減少」などが挙げられます。

このような結果を受け改善が見られなかった項目、悪化した項目は、第2次健康日本21の目標設定の変更に活かされることになりました。

 

第2次健康日本21の目標

第1次健康日本21の成果と評価を踏まえ、2013年に第2次健康日本21として新たな健康施策が行われることになりました。

第2次健康日本21では5つのテーマを施策の柱として掲げ、第1次で改善されなかった課題を中心にそれぞれに目標項目を設定しています。

1. 健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現

健康寿命を延ばすことを目的として、「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」「都道府県格差の縮小」といった2つの項目が設定されています。

2. 主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底

がん・循環器疾患・糖尿病・COPDなど、近年問題となっている生活習慣病の発症の予防、および重症化予防を目指し、「がん検診の受診率の向上」「特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上」などが設定されています。

また、メタボリックシンドロームに該当する者、および予備軍の減少や高血圧の改善なども含まれており、現代社会ならではの課題に取り組む内容であると言えます。

3. 社会生活を営むために必要な機能の維持・向上

このテーマでは、「こころの健康」「次世代の健康」「高齢者の健康」の3つに分けて、さまざまな目標項目が設定されています。

◎こころの健康
・自殺者の減少
・心理的苦痛を感じている者の割合の減少
・メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合の増加
・小児人口10万人当たりの小児科医・児童精神科医師の割合の増加

◎次世代の健康
・健康な生活習慣を有する子どもの割合の増加
・適正体重の子どもの増加

◎高齢者の健康
・介護保険サービス利用者の増加の抑制
・認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上
・足腰に痛みのある高齢者の割合の減少
・高齢者の社会参加の促進 など

4. 健康を支え、守るための社会環境の整備

個人の健康づくりをサポートする自治体・企業・民間団体の増加と連携強化、および社会環境の設備の充実を目指すとして、以下の項目が設定されています。

・地域のつながりの強化
・健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合の増加
・健康づくりに関する活動に取り組み、自発的に情報発信を行う企業登録数の増加
・健康づくりに関して身近で専門的な支援・相談が受けられる民間団体の活動拠点数の増加
・健康格差対策に取り組む自治体の増加

5. 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善

生活習慣や食生活の良し悪しは病気の発症リスクと密接に関わっています。

このテーマでは、栄養・体重・運動量・休息・飲酒・喫煙・口腔内環境といった面で具体的な数値を設定して目標を掲げています。

・適正体重を維持している者の増加
・適切な量と質の食事をとる者の増加
・日常生活における歩数の増加
・運動習慣者の割合の増加
・住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加
・睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少
・週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少
・生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少
・成人の喫煙率の減少
・妊娠中の飲酒をなくす
・妊娠中の喫煙をなくす
・口腔機能の維持・向上
・歯周病を有する者の割合の減少
・過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加 など

 

まとめ

生活習慣病の予防と生活習慣の改善のためには、それに必要な正しい知識と対処法を学ぶことが重要です。

しかし、それらの知識を学ぶ機会が限られている人も多く、国や地域、企業や各団体が積極的に情報を発信し、また支援活動や連携強化を行うことが求められています。

現在の「健康日本21」は個人にとどまらず地域や自治体の取り組み強化を踏まえた施策がなされており、活動の効果および健康への啓蒙は徐々に浸透してきています。

ただし、実際に成果が平行線または悪化している項目もあり、まだまだ課題は大きいといえるでしょう。

国は病気の予防と生活習慣の改善をさらに促進させるべく、個人・自治体・企業・メディアなどの連携や協力、新しい活動のあり方など今後も模索・検討していくことになりそうです。

私たち一人一人もまた社会と一体となって意識を高め、地域全体の健康意識の普及に努めていくことが求められています。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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