多様にある「リンパ節の腫れの原因」を潰すには?
体の一部が急に腫れてしまうと、何が起こったのかと心配になってしまいますね。
この腫れの原因は、リンパ節に原因があることが多いのです。
ただ、それはそれほど心配することはない場合が多く、リンパ節が腫れるのはごくごく一般的なことです。
とはいえ、リンパについて知識がないと不安が先行してしまいます。
ここではリンパ節の腫れと原因についてみてみましょう。
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Contents
よくある腫れの原因は自然治癒力の低下
リンパ節は豆のような形をしているもので、哺乳類が持っている免疫系に属する二次リンパ器官というものです。
全身からリンパ液を回収して静脈に戻すリンパ管系の途中にある首や鎖骨、腋、内臓や足の付け根に存在しています。
普段はそれらの大きさは0.5~1㎝程度のものが2~10数個集まったものなので、全身で600個程度あるとは言え、腫れていない時はそこにそのようなものがあるとは思ってもいないのではないでしょうか。
リンパ管系は、リンパ球から成り立っています。
それらは体を守り、免疫系のケアを行っているのです。
リンパ球には、体内に侵入した病気を引き起こす可能性のある毒素や病原体、細菌やその他の異物を発見し、攻撃する働きがあるのです。
近年話題になっている「ナチュラルキラー細胞」もリンパ球の一種で、それらが正常に作動しているから、私たちはウイルスにも負けずに健康でいられるのです。
インフルエンザなどにかかった後、首の側面のリンパ節が腫れていたり、腋の下に小さなしこりを見つけたりすることがありますが、これは至って一般的な症状なので、それほど心配し過ぎる必要はありません。
まずは落ち着いて、医師に診てもらいましょう。
このリンパ節の腫れの原因のひとつは、自然治癒力が低下していることです。
自然治癒力とは、人間や動物が本来持っている心身全体を健康に保ち、ケガや病気を治す力のことです。
風邪薬は、実は風邪を治す薬ではありません。
風邪薬は症状を抑えておいて苦痛をやわらげ、その間に自然治癒力によって治るのを待つためのものなのです。
ですから、風邪薬を飲まなくても、その間辛い症状に悩まされはしますが、風邪自体はやがて治癒します。
しかし、自然治癒力が低下していると、ウイルスなどに感染しやすくなってしまいます。
自然治癒力とリンパ球は密接に関係しています。
リンパ球が活発に活動しているときは、ウイルスなどに負けることはほとんどありませんが、リンパ球の働きが弱くなり、自然治癒力が弱まるとリンパ節でリンパ球とウイルスや雑菌などが戦いを始めます。
その結果、リンパ節が腫れてしまうのです。
耳や口が影響を与えているケース
耳の下や首、顎の下などが腫れてしまった場合、耳や口がリンパに影響を与えているケースが考えられます。
痛みを伴う場合もありますから、そのままにしておいては日常生活にも支障を来してしまうでしょう。
それらの腫れは、どうして起こるのでしょうか。
耳が腫れてしこりのようなものがあり、さらに耳の後方が痛む場合があります。
耳の中に異常でもあるのではないか?などと不安になることもあるでしょう。
ですが、耳の腫れには原因となる病気があり、治療をしっかりと行えば腫れは収まります。
リンパ節は、リンパ液の中にある異物に対する免疫機能を持っていて、リンパ液からウイルスや細菌などを濾過し、それを食べたり除去したりしてリンパ液を綺麗にしているのです。
そのリンパ節が炎症を起こすと、耳の後ろが痛くなります。
耳の下のリンパ節が腫れている場合は、一般におたふく風邪と呼ばれる「流行性耳下腺炎」、「リンパ節炎」、「風疹」の3つの病気が考えられます。
流行性耳下腺炎は、「ムンプウイルス」の感染で耳下腺が腫れる病気です。
2~3週間の潜伏期間があり、耳の痛みや腫れの他に発熱、食欲不振といった症状があります。
通常は両側の耳下腺が腫れるのですが、片側だけが腫れてしまう場合もありますから、自分で判断せずに早めに専門医の診察を受けましょう。
耳のリンパ節炎は三種類があり、それぞれ原因が違うので耳の下が痛いというだけでは判別できません。
おたふく風邪と症状が似ていますが、触診で判別可能ですから、専門医の診察を受けましょう。
風疹ウイルスが気道から感染することで発症するのが風疹で、「三日はしか」とも言われます。
冬から春にかけて子どもに発症することが多く、2~3週間の潜伏期間があります。
全身の倦怠感や頭痛、発熱、鼻水や咳が出て喉が痛む、といった症状が起こります。
また、顔に麻疹に似た発疹ができ、全身に広がっていきます。
感染力が非常に強いので、そのような症状があったら早めに医療機関を受診し、外出を控え、家族との接触も減らすようにしましょう。
虫歯や口内炎が首のリンパに影響して腫れてしまうこともあります。
その中で乳幼児に多いのが、「ヘルペス性口内炎」です。
リンパの腫れの他、発熱が続き、小さな水膨れが複数でき、赤く腫れて痛みを感じます。
水ぶくれが破れると腫瘍が出来てしまいます。
口内炎も舌や唇、歯茎の他、唇の外側やのどに近い粘膜などに出ることもあります。
ヘルペスウイルスが原因で、感染力が強く、手を繋いだりその子どもにキスをしたりといった直接的な触れ合いの他、その人が使ったタオルや食器からも感染することがあります。
治った後もヘルペスウイルスが体内に潜伏し、大人になってからも疲れたり、体調を崩したりすると再発しやすいといわれています。
また、虫歯や歯周病によって口の中に炎症があると顎の下のリンパ節が腫れてくることもあります。
この場合はかなり虫歯の浸食が進んで、神経まで達していることが考えられます。
そこまで虫歯が進んでしまうと、神経を抜く必要が出てきます。
病気が原因のケース
リンパ節の腫れには、病気が原因のケースもあります。
中でも、風邪をひいたときにはリンパ節が腫れやすくなります。
風邪によってのどの粘膜が腫れているため、首筋のリンパ節が腫れてくるのです。
この場合は、風邪が治癒すれば腫れも引いていきます。
ただ、この他にも重篤な病気が原因でリンパ節の腫れが起こる場合があります。
痛みや発赤を伴わない場合、「リンパ腫」や「結核」、「ホジキンリンパ腫」などの重症疾患の症状である場合もあるのです。
リンパ腫とは血液がんのひとつで、白血球内のリンパ球ががんになったものです。
リンパ腫の原因ははっきりとは分かっていませんが、染色体異常によってリンパ系細胞ががん化して起こるといわれています。
また、ウイルス感染症との関連や、免疫不全者に多く現れることが分かっています。
リンパ腫の症状はさまざまなものがありますが、痛みを伴わないリンパ節の腫れの他、発熱、寝汗、体重の減少などが起こったらリンパ腫を疑ってみる必要があります。
さらに重篤になると腫瘤によって気道や血管、せき髄などが圧迫されて呼吸困難、血流障害、麻痺などの症状が現れることもあります。
ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の一種で、その1割程度を占めています。
首や鎖骨のリンパ節が腫れることが多く、リンパ腫と同じように発熱や寝汗、体重減少が起こります。
20歳代と50~60歳代の年代で増加傾向にあり、HRS細胞やLP細胞という腫瘍細胞が増えることが特徴です。
急性リンパ性白血病でもリンパ節の腫れが現れます。
急性リンパ性白血病は白血病細胞が臓器に浸潤することで起こります。
特に脳やせき髄といった中枢神経系に浸潤することが多く、頭痛や吐き気、嘔吐などの症状が起こります。
急性リンパ性白血病は病状の進行が速いため、早期診断と速やかな治療の開始が大切になります。
腫れが起こったときは、その腫れがリンパ節なのか、甲状腺なのか、耳下腺なのかなどを判別し、その原因を突き止めて治療方法を判断しましょう。
悪性リンパ腫が疑われる場合は、大きな病院の血液内科や血液腫瘍内科を受診する必要があります。
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対策としては免疫系を強くしておくしかない
リンパは、体の免疫を司る働きを担っています。
その働きが鈍ると、リンパ節が腫れてしまうのです。
重篤な病気が原因の場合もありますが、多くはリンパの働きが弱っていることが原因で腫れが起こります。
これを防ぐには、日ごろから免疫系を強くしておくのが最も効果的な予防法で、「食事」、「睡眠」、「運動」に注意する必要があります。
まずは食事です。
体内の免疫細胞は、その6~7割が腸管に存在していると考えられています。
ですから、腸内環境が悪化すると、その影響を受けて免疫機能が低下すると言われているのです。
免疫機能を高めるためには、栄養を十分に摂取し、腸内環境を整えることが大切なのです。
また、免疫を高める物質は、睡眠中に作られているといわれていますから、寝不足は控えるようにしましょう。
さらに、運動も免疫力を高めるのに役立ちます。
ですが、スポーツ選手になるほど激しい運動をしていると、かえって免疫力が下がってしまうといわれています。
例をあげると、フルマラソンを完走すると、それから2週間以内に選手の5~7割に風邪の症状が出るという報告があるのです。
過酷な運動は、かえって免疫力を下げてしまいます。
体力には、競技でのパフォーマンスを高めるような行動体力と、病原体や疲労、ストレスなどから身を守る防衛体力があるとされています。
過酷な運動で行動体力を高めると、防衛体力が落ちてしまうのです。
ですが、適度な運動なら防衛体力を高めることが出来ます。
20~60分のウォーキングをすると、ナチュラルキラー細胞が活性化し、免疫力が高まるのです。
免疫力をアップさせるために生活の中で意識すべきポイント
リンパ節の腫れを防ぐには、免疫力を高めることが大切であり、そのためのポイントは、正しい食生活、十分な睡眠、適度な運動が重要です。
食事面では、十分な栄養が摂取できる食事を心がけましょう。
栄養が不足すると、免疫細胞の働きが弱まってしまいます。
そのうえで、免疫力を高める食べ物を食事に取り入れるようにしましょう。
免疫力を高めるには、腸内環境を整えることが効果的です。
また、体を温めたり、抗酸化作用を高めたりする食べ物を摂取することも効果的です。
健康な体を保つために、鉄分やセレン、亜鉛といったミネラルを摂取することも健康な体を保つために役立ちます。
そのためには、肉類や豆、サーモンなどを摂取するといいでしょう。
次に睡眠ですが、免疫物質は副交感神経が優位のときに生成されます。
副交感神経が最も優位に働くのは睡眠中ですから、睡眠時間を十分に取ることで改善できます。
個人差もありますが、7~8時間の睡眠をとることが理想的だといわれています。
また、睡眠の質にも注意しましょう。
睡眠時間が多くても、ぐっすり眠ることが出来ずに交感神経の働きが衰えないような場合は、免疫物質が思うように生成されません。
良質な睡眠のために、食事は睡眠の2時間前までには終えておくようにしましょう。
また、テレビやパソコン、スマートフォンなどに眠る直前まで接していると、交感神経が活発になってしまいますから、こちらも寝る前には控えるようにしてください。
疲れているときには、20分間昼寝をするだけで免疫力を高めることが出来ます。
昼寝をすることで活性酸素を減少させる「メラトニン」というホルモンが増加し、免疫力を高めるのを助けてくれるのです。
さらに、免疫力を高めるために適度な運動を心がけましょう。
週に3日以上、出来れば毎日ウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動をすると、身体の免疫力が高まります。
とはいえ、くれぐれも激しい運動をやり過ぎないように気を付けてください。
消耗の激しい運動は、かえって低下させることが分かっています。
その他にも、免疫力を高める生活習慣があります。
起きたときに朝日を浴びることや、お風呂に入るときはシャワーだけで終わらせずに湯船につかること、水分補給をこまめに行うこと、煙草は控えること、抗生物質やサプリメントに頼り過ぎないこと、などが免疫力を高めることにつながります。
これらを意識して免疫力を高め、リンパ節の腫れを予防しましょう。
まとめ
リンパは、体の免疫を司る働きを担っています。
その働きが鈍ると、リンパ節が腫れてしまうのです。
リンパ節の腫れを防ぐには、免疫力を高めることが大切であり、そのためのポイントは、正しい食生活、十分な睡眠、適度な運動が重要です。
これらを意識して免疫力を高め、リンパ節の腫れを予防しましょう。
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