癌の原因になりうるストレス!癌とストレスの関係性とは?
癌の原因は様々ですが、「ストレス」が癌の原因になるという因果関係に多くの医師や専門家が注目しています。
なぜストレスが癌の原因になるといわれているのか、その理由やメカニズムを解説するとともに、どのような対策を行えばよいのか、運動や食事、睡眠などについて具体的に紹介します。
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Contents
身体へのストレスで活性酸素が増えると発癌物質が生まれるかも
生き物が受けるストレスは「肉体的ストレス」と「精神的ストレス」の2種類がありますが、どちらも癌の発生原因に深く関わっているとされています。
実は、このストレスが癌の原因になるという因果関係に多くの医師や専門家が注目しており、喫煙や睡眠不足などから起こる肉体的ストレスは、癌の原因にもなりうる「活性酸素を増加」させることになってしまいます。
活性酸素はどの生物の体内にもあるもので、空気中から体内に入った酸素の一部が活性酸素に変化し、人間の場合は体内に取り込んだ酸素の約2%が活性酸素に変化することが知られています。
活性酸素は体内に侵入した微生物などに対しては高い殺菌能力を持っているので、身体を守ってくれる、あるいは酵素反応の促進といった重要な働きも持っているのです。
その反面、活性酸素は過剰に発生してしまうことで核酸や脂質・タンパク質といった組織を攻撃してしまい、生きるために必要な機能に害を与え障害を発生させることがあります。
過剰に活性酸素が作られることにより臓器の細胞が劣化し、遺伝子を傷つけられてしまうことで癌の原因になる「発癌物質(はつがんぶっしつ)」が発生するのです。
活性酸素の過剰発生が原因で起こる病気には癌以外にも、動脈硬化、心筋梗塞、胃潰瘍、糖尿病、痴ほうなどさまざまな病気があります。
癌細胞が発生しやすい人の傾向として、仕事が忙しくリラックスする時間がない、精神的につらい思いをしている、長時間のPCの使用や寝不足が続くというようなものがあり、サラリーマンなど働き盛りの人に該当する人が多いようです。
人間誰しも多少なりともストレスを感じているものですが、連日過度なストレスを感じ続けていると自律神経の中にある交感神経が優位になっていきます。
交感神経が優位になっている状態が続くと、身体は常に緊張している状態になってしまうのです。
この状態が続くと肉体がストレスを強く感じるようになり、活性酸素は活発化して細胞を攻撃・破壊していくので臓器がダメージを受け、最悪の場合発癌物質が作られてしまいます。
また活性酸素が遺伝子と反応することで遺伝子が分裂したり突然変異を起こしてしまい、癌のほかにも老化が早まったり動脈硬化などの病気が引きこされる原因になってしまうのです。
癌の原因になる可能性が高い活性酸素の過剰生産を防ぐには、生活習慣などを見直して肉体的なストレスを減らし、交感神経が必要以上に発達しないことが大切です。
また交感神経と共に自律神経の中にある副交換神経の働きを高めることも必要になってきます。
精神へのストレスで免疫力が下がると癌細胞を止められないかも
ストレス症状がひどくなると、肉体的にもさまざまな不調を感じるようになり病気になってしまうことが知られています。
肉体的ストレスだけでなく精神的なストレスを長期間受けることにより交感神経に影響を与えるため、筋肉の緊張や心拍数の乱れといった症状のほかに自律神経の働きにも強い影響が出てきます。
自律神経は血液にも大きな影響をあたえ、血液中に含まれている白血球や赤血球のバランスが崩れてしまうことがあるのです。
人間の体はストレスを感じると交感神経が優位に働き体が緊張状態になります。
そして、白血球の中の「顆粒球(かりゅうきゅう)」が増え、リンパ球が減少するのです。
副交感神経が優位なときにはリラックス状態になるので、「リンパ球」が増え顆粒球が減少するという現象が起きています。
顆粒球は主に体内に入ったバクテリアの対処を行っており、顆粒球の中の好中球が血管や臓器といった部位の表面の粘膜再生を促したり、細菌感染を防いだりといった役割を持っています。
リンパ球はウィルスや癌細胞に対しての処理を行っており、リンパ球のひとつ「ナチュラルキラー細胞」は癌細胞を殺すだけの力を持っているのです。
顆粒球とリンパ球のバランスが取れている状態ではナチュラルキラー細胞ががん細胞を攻撃することができますが、強いストレスで顆粒球が増えている状態が続いてしまうとリンパ球が減ってしまうので免疫力が低下してしまいます。
リンパ球が減るということは癌細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞も減ってしまうため、体内で発生した癌細胞に対する処置が追い付かなくなってしまうのです。
さらに増えすぎた顆粒球が死ぬときに発生する活性酸素によって、体内の細胞が攻撃され関節炎や胃潰瘍などの症状となって体のあちこちに炎症を引き起こすようになっていきます。
このように、精神的ストレスによって免疫力が低下していくと活性酸素によって体内の細胞を傷つけられることが多くなっていき、リンパ液が減ってしまうことで細菌やがん細胞などに対する力が弱くなってしまうため、その結果体内で発生した発癌物質の成長を食い止めることもできなくなってしまい、癌が進行してしまうのです。
精神的ストレスにより免疫力が低下すると癌細胞の動きが活発化するだけでなく、さまざまな病原菌の働きも活発になるため病気になりやすくなってしまうので注意が必要です。
ストレスの減らし方①適度な運動
ストレス解消には適度な運動がよいと一般的にいわれていますが、これには科学的な根拠があります。
精神的・肉体的なストレスを感じると身体中の筋肉が緊張状態になってしまいますが、適度な運動をすることで筋肉の緊張状態が緩和されます。
不思議なことに、筋肉の緊張状態が解除されることで脳はストレスが和らいだと認識し、ストレスに対する反応を弱めていくのです。
そして運動をすることで、心臓からストレスの反応を鎮めることのできる「心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)」というホルモンが分泌されるため、ストレスを和らげることができるといわれています。
また、運動をすることで精神を落ち着かせる働きのある「γアミノ酪酸(GABA)」や「セロトニン」といった物質が分泌され、精神的ストレスを緩和させることができるのです。
医学的な癌研究においても運動不足は癌の要因になっているという結果が出ており、運動不足気味な女性は乳がんの発生率が高く、普段からよく体を動かしている人は結腸癌になる確率が低いという結果が出ています。
運動というと激しいものや筋トレを想像する人が多いですが、筋トレのような短時間で行う無酸素運動よりも、長時間行うことが可能で全身を使う有酸素運動の方かストレス解消の効果が高いです。
また有酸素運動でも激しい運動は呼吸量が増えるため、体内の活性酸素の発生を促してしまいます。
ストレス対策をしつつ活性酸素による体の酸化をおさえるには、ウォーキングや水中歩行、ヨガや軽いストレッチがおすすめです。
軽い運動は体内の抗酸化酵素の働きを高めることができるので身体が酸化し細胞が老化するのを防いでくれますが、運動は一回やったから大丈夫というものではなく、週に2~3回程度、適度な負荷を付けて30分~1時間程度行必要があります。
適度な有酸素運動を行うことでセロトニンなどの成分により不安がなくなり、エンドルフィンや成長ホルモンの分泌量が増加することで免疫力が上がり疲労回復もしやすくなります。
また心臓や肺などさまざまな器官の機能が向上しますし、血流がよくなることで体内にたまった二酸化炭素や乳酸といった物質の分解などが早くなるというメリットもあります。
毎日ほんの少しの有酸素運動を取り入れることで癌予防だけでなくストレスに強い体を作ることができ、交感神経・副交感神経のバランスを保つことができるようになるのです。
ストレスに効果がある物質の分泌量が多くなることで、精神的なストレスを感じにくくなるので、運動不足だという人は週に何日かでもよいので有酸素運動を生活に取り入れていきましょう。
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ストレスの減らし方②生活習慣の改善
肉体的ストレスを感じるのは生活習慣によるものが大きいです。
そのため今までの自分の生活習慣を見直し、対策を考えて今後の生活習慣を改善する必要があります。
精神的ストレスを解消するために運動を毎日の生活に取り入れる以外にも、睡眠や食生活などといった点を改善することで肉体的ストレスを減らすことができるのです。
現代人は夜更かしをしがちですが睡眠不足が続くと自律神経のバランスが崩れてしまいます。
自律神経の乱れを整えるには、毎日7~9時間の睡眠が必要といわれています。
睡眠に深く関わる「昼と夜の切り替え」というものもあります。
自立神経の中にある「交感神経」は主に昼間の活動を司っており、「副交感神経」は夜間の活動や休憩・回復といったものを司っています。
朝日を浴びることでこの切り替えを行うことができ、体内のリズムをきちんと整えることができるようにすることで肉体的なストレスを減らすことができるのです。
生活習慣の中でも特に重要なのが「食生活」でしょう。
幸せ物質とも呼ばれる「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」は肉や魚といったタンパク質をとることのできるものに多く含まれています。
朝なかなか起きることができないため朝食を抜くという人がいますが、3食をある程度決まった時間に食べることで体内のリズムを整えることができ、食事のときの「噛む」行為は軽いリズム運動になるのでセロトニンの分泌を促す効果があるのです。
食事のときはストレス解消を期待できる栄養素を含んだ製品を選ぶことが大切です。
強いストレスを感じるとタンパク質の分解が活発になるため、肉や魚、大豆製品や卵などからタンパク質を摂取しなければなりません。
ストレスを感じると体内では「防御反応」が起きてしまい、その結果副腎で分泌するホルモン量が植えるためビタミンB1やB2、ビタミンCといったビタミン類の消費が激しくなります。
ビタミンB1は豚肉など、ビタミンB2はレバーや納豆、乳製品などに多く含まれており、ビタミンCはレバーなどから摂るとよいでしょう。
さらに、ストレスによってカルシウムやマグネシウムといった成分が尿に混じって体外に排出されやすくなるので、不足した分を食品から摂取する必要があります。
カルシウムや小魚や乳製品、マグネシウムは納豆やあさり、油揚げなどの製品から摂ることが可能です。
食材の中にはリラックスすることのできる成分を含んでいるものもあります。
みそなどの発酵食品や小魚類に多く含まれている成分「ギャバ」はリラックス効果を期待することができます。
ストレスを減らし、心身健康に過ごしましょう
国立がんセンターの研究結果で、強い精神的ストレスを感じている人ほど発癌リスクが高いというものがあります。
精神的ストレスは自律神経に作用するため、本人が意識していない肉体的ストレスをも引き起こして身体にさまざまな不調を起こしてしまいます。
その結果、自律神経やホルモンバランスの乱れいったことが起こり体内で活性酸素が増えてしまった結果、細胞が傷ついてしまい発癌性物質が作られてしまうためです。
そして自律神経のバランスが崩れ癌細胞の対処ができるナチュラルキラー細胞が減ってしまい、癌細胞の動きが活発になってしまうのです。
癌を引き起こす原因となってしまう活性酸素の発生を減らしたりストレスを緩和したりするためには、適度な有酸素運動のほかに十分な睡眠や食生活の改善といったことでストレスを軽減する必要があります。
一番よいのはストレッサー(ストレスの原因)から完全に遠ざかることですが、仕事や学校、家庭環境などどうしても関わりを絶つことのできないケースが多いです。
ストレッサーから逃げることができない場合には、自分自身で運動や食生活・睡眠などで少しでもストレスを減らす努力が必要になってきます。
とはいうものの、いきなり運動を行い睡眠時間や食生活の改善を完璧にこなすのは無理かもしれません。
いきなり完璧にこなそうとせずに毎日少しずつ自分のペースで毎日の生活に運動を取り入れたり、睡眠時間や食生活に気を付けたりしていくことが大切です。
「毎日やらなければならない」、「この食品を食べなければならない」と思い込んでしまうと、自分を追い詰めてかえってそれが自分自身に強いストレスを与えることになってしまいます。
ストレス発散は、自分のペースで楽しんで行うことが長期間続けることができるポイントです。
100%とは言えませんが、癌は生活習慣やストレス対策を取ることで多少なりとも予防することのできる病気です。
また、癌になってしまった場合でも、ストレス対策として有酸素運動などを生活に取り入れることで、病状の進行や身体機能を改善する効果を期待することができます。
癌を進行させないためにも、ストレスや生活習慣を見直して病気に強い体づくりをすることをおすすめします。
まとめ
ストレスを軽減すれば癌予防だけでなく生活習慣病や心筋梗塞などといった病気の予防にもつながり、ストレスに強い心身をつくることができるようになります。
毎日の生活から少しでもストレスを減らし、家庭ではリラックスできる環境を作るよう心がけて、心身共にストレスに強く健康な体作りをと並行して病気になりにくい体づくりを目指しましょう。
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