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血糖値を抑えつつ美味しく食事をしたい!糖質制限レシピの考え方

 2019/01/26 生活習慣病
この記事は約 10 分で読めます。 2,137 Views

「糖質制限」という言葉を多くの方は聞いたことがあるでしょう。

ただ実際にそれがどういうものなのか、しっかりと理解している方はもしかしたらそれほど多くないかもしれません。

「糖質制限」といってもただ糖質を制限すればいいというわけではないのです。

ここでは正しい糖質制限について理解を深めるとともに、血糖値を抑えつつ美味しく食事をするための考え方について詳しく解説していきます。

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正しい糖質制限のスタイルとは

〇そもそも糖質とは?

糖質に似た言葉で「糖類」があり、さらに糖質と同様に扱われることのある炭水化物もあります。

正しい糖質制限について述べる前に、この3つの違いを解説しましょう。

・糖類

単糖類と二糖類

・糖質

糖類(単糖類と二糖類)+多糖類と糖アルコール

・炭水化物

糖質(単糖類と二糖類と多糖類と糖アルコール)+食物繊維

例えばスーパーなどで買い物をするときに「糖類ゼロ」などと表示してある食品を購入して糖質制限できていると思うのは勘違いで、糖類はゼロでも糖質は含まれている可能性があります。

また、炭水化物は糖質と食物繊維を足したものなので、必ずしもすべてが糖質とは限らず食物繊維が豊富な食品なら糖質は少ないといえます。

〇正しい糖質制限とは?

「糖質制限」とは、読んで字のごとく糖質を制限することです。

ただ、糖質を制限するだけでは「正しい糖質制限」とはいえません。

糖質を制限することはとても重要ですが、それだけでは健康的な糖質制限をおこなえないからです。

「正しい糖質制限」では糖質を摂取しないだけでなく糖質を制限した上で、その他の必要な栄養素をしっかりと摂取します。

つまり、正しい糖質制限とは、

・必要な栄養は全てしっかり摂る

・糖質を徹底的に避ける

という2つのことを同時に満たして血糖値を抑え、健康的な美味しい食事をとっていくことです。

〇必要な栄養とは?

人間が健康でいるために必要な栄養のことを必須栄養素といいますが、実はそれに糖質は入っていません。

人間が生きていく上で必要な栄養素には、主に以下のようなものがあげられます。

・水
・必須アミノ酸
・必須脂肪酸
・ビタミン
・ミネラル
・微量元素
・電解質

糖質そのものは身体に必要なもので不足すれば低血糖になります。

しかし、人間は体内で糖質を生成することができるので食事から摂取する必要がないのです。

一方で、上述した必須アミノ酸や必須脂肪酸は体内で作り出すことができないので食事から摂取する必要があります。

つまり、「正しい糖質制限」は糖質を避けて必要な栄養をお腹いっぱい食べることなのです。

〇特に糖類は健康に悪い

近年、世界保健機関(WHO)は糖類摂取量を総エネルギー量の5%以下にすべきとしています。

これは肥満や糖尿病、がんや虫歯などのさまざまな疾患の原因が糖類の摂取量が増えたことによると多くの研究により解明されてきたからです。

上述したように「糖類」とはブドウ糖(グルコース)や果糖などの単糖類とショ糖などの二糖類のことをいいますが、これらは食品に添加されるほか果物などにも多く含まれます。

 

意外な事実「肉や脂質は摂ってもいい」

〇糖質制限でも肉や脂質は積極的に摂取する

糖質制限というと「糖質制限ダイエット」という言葉がよく知られているので、糖質制限は血糖値を下げる目的のほかに痩せるためにもおこなわれることが多いといえるでしょう。

そうなると、肉や脂質も避けたほうがよいのではないかと考える方も少なくないかもしれません。

しかし、肉や脂質には糖質は含まれていないので糖質制限中でも肉や脂質はとってもよいのです。

むしろ積極的に摂取することが推奨されます。

〇牛肉に含まれる栄養

・オレイン酸

牛肉の脂肪に含まれ、悪玉コレステロールを減らし、コレステロール値を上げない働きがあります。

・ビタミンB2

エネルギー代謝に役立ちます。

・鉄分

ほうれん草に含まれる鉄分より吸収がよく、貧血を予防してくれます。

・亜鉛

味覚を保ってくれます。

・タンパク質

牛肉のタンパク質はカルシウムの吸収を助けてくれるので骨粗しょう症の予防に効果的です。

〇豚肉に含まれる栄養

・タンパク質

豚肉のタンパク質に含まれる必須アミノ酸は非常にバランスがよく、強い体を作り免疫力を高めて病気になりにくい体を作るために役立ちます。

・ビタミンB群

エネルギー代謝に必要な栄養です。

・ビタミンB1

ビタミンB群の中でも特に多く含まれ、あらゆる食品の中で最多の含有量で脳の活性化や運動神経、集中力を高めるのに役立ちます。

〇鶏肉に含まれる栄養

・タンパク質

鶏肉のタンパク質は必須アミノ酸のバランスがよく、消化吸収率が95%です。

・ビタミンA

皮膚や粘膜の健康維持、眼精疲労に効果的です。

・ビタミンB群

代謝を活発にしてくれます。

・ナイアシン

ビタミンB群のひとつで、疲労回復や粘膜・消化器系を保護する働きがあります。

・コラーゲン

美肌効果で有名な成分で、特に手羽部分の皮や骨、軟骨などに多く含まれています。

・オレイン酸やリノール酸

鶏肉の脂肪に含まれ、血中コレステロールを抑えて血栓の予防に役立ちます。

〇アメリカでは肉や脂質を減らす食事で肥満が増えた

従来、肥満の原因は肉や動物性脂肪のとり過ぎにあると考えられていました。

その考え方に沿って、アメリカでは1970年代から肉や脂質を減らす食事を推奨してきました。

しかし、その結果起こったのは肥満の増加だったのです。

これは肉や脂質の摂取量が減ったことで糖質の摂取量が増えたことが原因と考えられています。

〇肥満によってインスリンの働きが悪くなる

インスリンの働きにより体脂肪が増え、肥満になると今度はインスリンの働きが弱くなります。

このため血液中のインスリン濃度がさらに高くなってしまい、高インスリン血症やがん、動脈硬化やメタボリック症候群といった病気のリスクが高くなってしまうことが多くの研究で確認されています。

 

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糖を摂取しなくてもいい理由

〇糖質は必須栄養素ではない

上述したように、糖質は必須栄養素に入っていません。

人間が健康的に生きていく上で必要な栄養素は水や必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどです。

とはいえ、糖質が人間に体にとって役に立たないというわけではありません。

〇糖質の役割

糖質は人間の体の中に入ると小腸でグルコース(ブドウ糖)に変換され血液中を循環します。

グルコースは小腸から吸収され人間の体の主なエネルギー源となるのです。

特に脳では通常のエネルギー源として利用されています。

〇グルコースの血中濃度は高くなりすぎると有害になる

グルコースは体内でエネルギーとして重要な役割を担っているのですが、その反面、血中のグルコースの濃度が高くなりすぎると人間の体にとって有害となってしまいます。

そうならないためにグルコースの濃度(血糖値)を一定範囲に保っているのがインスリンです。

食事で大量のグルコースが体内に吸収されたときに、インスリンが正常に機能できなくなるのが糖尿病や高血糖症といった病気の症状なのです。

〇糖質を食事で摂取しないと困るのでは?

人間の体のエネルギー源としてグルコースが役に立っているのなら、糖質を制限するとその大切なグルコースが体内で不足してしまうのではないか、と考える方もいらっしゃるでしょう。

でも、グルコースは必ずしも食事から摂取する必要はありません。

〇体内に貯蔵するグルコースは微量でかまわない

人間を含めた動物は体内で余ったグルコースをグリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵しています。

しかし、牛肉や豚肉の炭水化物量が0~0.5%、レバー(肝臓)では2~3%ということからも分かるとおり、それは非常にわずかな量です。

〇肉食動物はほとんどの栄養をタンパク質と脂肪でまかなえている

ここでトラやライオンといった肉食動物を例にあげると、彼らが食事から摂取する栄養素はそのほとんどがタンパク質と脂肪です。

糖質はほとんど摂取しないのですが健康上の問題はなにも起こりません。

しかし、彼らが体内でグルコースを必要としていないわけではありません。

〇肝臓でグルコースを作れる

人間も含めた肉食動物は食事から摂取する糖質がほとんどゼロでも健康的に生きていけます。

グルコースの主な役割はエネルギー源ですが、それについては脂肪やアミノ酸を燃焼させてエネルギーとすることができます。

そして、糖質がなくてもグルコースを肝臓で作ることができます。

糖質以外では一部のアミノ酸や乳酸、脂肪を分解してできるグリセオールから肝臓でグルコースを作ることができます。

〇グルコースがないと脳の働きが悪くなるのでは?

上述したように、脳の通常のエネルギー源はグルコースです。

それなら糖質制限をしてグルコースが減少すると脳の働きが悪くなるのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、通常の脳のエネルギー源はグルコースですが、グルコースがない場合は他の物質が脳のエネルギー源となります。

例えば一定期間絶食しても、脳に障害が起こることはありません。

それは体内にグルコースがなくなったら脂肪酸が燃焼されて「ケトン体」という物質になり、それが脳のエネルギー源となるからです。

ケトン体はグルコースに代わるエネルギー源として体内で活躍し、特に脳の唯一のエネルギー源となります。

これにより、脳の働きは正常に維持されるのです。

 

糖質をセーブしたいときにオススメの食べ物

オススメの食べ物は鶏肉です。

鶏肉はスーパーで安価に手に入りますし、部位によって味や食感が大きく変わるので料理のバリエーションもさまざまです。

糖質制限中もさまざまな味を飽きることなく楽しめるでしょう。

鶏肉に加え、そのほか糖質制限中にオススメの食べ物をご紹介しましょう。

〇鶏胸肉

糖質制限中にもおいしく食べられる食べ物の代表といえば鶏胸肉です。

おいしいのはもちろんのこと価格が安いのも魅力でしょう。

レシピによってはパサついて美味しさが半減することもあるのですが、そこは塩麹に漬け込んだり塩水につけたりすると、ふっくらジューシーに食べることができます。

〇ササミ

ササミも鶏胸肉と並んで糖質制限中に使いたい食材です。

さっぱりしていて美味しいし、満足感もばっちりです。

鶏胸肉と同様にパサつきが気になることもあるのですが、塩水に漬けるなど工夫して調理すると美味しく食べることができるでしょう。

〇豚こま切れ

美味しくて安価な豚肉といえば、こま切れ肉でしょう。

料理によって脂身が多いものと赤身が多いものとで使い分けることもでき、さまざまな料理で美味しく食べることができます。

〇豆腐

豆腐は大豆からできているのでタンパク質として摂取できるほか、手軽に満腹感を得られるのも魅力です。

もちろん安価で手に入れることもできるので、お財布に優しい食材といえるでしょう。

 

まとめ

糖質は必須栄養素ではないので食事から摂取しなくても健康上の問題はなく、糖質制限で健康を損なうことはないといえるでしょう。

そして、正しい糖質制限はただ糖質を制限するだけでなく、必要な栄養をしっかりととることも同時におこないます。

正しい糖質制限で血糖値を抑えつつ、美味しく食事をしていきましょう。

 

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木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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