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アルツハイマー病・痴呆症と炭水化物-海外の研究結果より-

どんな物を食べるべきか、またどんな物は食べてはいけないと云う様な話が巷に溢れています。

食べ物に関する病気としては、もっともよく知られているのが“糖尿病”や“肥満症”ですが、その他に今では「アルツハイマー病」が食べ物に関係して起きる病気である事が解ってきました。

近年の海外での調査・研究結果をもとに解説します。

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アルツハイマー病は「3型糖尿病」である

アルツハイマーが食べ物に関係して起きる病気であることを端的に表して、アルツハイマー病を“Ⅲ型糖尿病(3型糖尿病)”と呼ぶ研究者がいるくらいです。

この病気をこの論争に関して、新しくて興味深い視点(考え)、即ち「炭水化物は脳の働きに対しては、危険な食べ物である」と云う調査・研究結果が見られる様になっています。

著名な脳科学者であるDavid Perlmutter 医学博士の著書「The Grain Brain」の中で、我々が長い間“健康な食べ物”と思っていた食べ物に対する考えが誤りであったと述べています。

博士によれば、脳の働きに異常を来すのは「間違ったダイエット」の為だと言っておられます。

特に“小麦全粒粉”は私達の身体にとって、真っ白な“パン”と同じ位悪い物であると云っておられます。

よく知られている様に“高炭水化物”の食べ物は、血糖値の急激な上昇を起こし、その結果身体の色々な組織に炎症反応を及ぼし、色々な病気の原因となります。

”低炭水化物・中等度タンパク・高脂肪”ダイエットを呼び掛けた最初の著名な専門家であるRon Rosedale博士によると、研究者たちさえ”低炭水化物・高タンパク”ダイエットと博士が推奨する高脂肪ダイエットを混同していると述べておられます。

 

タンパク質はどれくらい食べればよいのか?

確かに筋肉・骨など身体の全ては”タンパク”で出来ているので、”タンパク”なしでは生きて行けてゆけません。

ではどれ位の”タンパク”を食べれば良いのでしょう。

Rosedale博士によると、普通の成人に勧められる平均的な”タンパク”量は脂肪を除いた体重1キログラム当たり1グラムだそうです。

たとえば、体脂肪率が20%の場合だと、筋肉量は体重の80%と考えてよいでしょう。

従って、体重が70kgの人で体脂肪率が20%だとすると、筋肉量は56kgとなるので、食べる”タンパク”量は56gmとなります。

 

炭水化物を摂り過ぎると痴呆症のリスクが89%も増える

アメリカMayo Clinic の研究者達が医学誌“The Journal of Alzheimer’s Disease” に発表している一例に、炭水化物中心の食事では痴呆症のリスクが89%も

増えるが、高脂肪・中タンパク食ではその危険性が44%も減る事を示しています。

アルツハイマー病の決定的な治療法は現在のところありませんが、DeborahBarnes 博士は有名な医学誌Lancet Neurologyに、病気の約半分54%以上は予防可能であると書いておられます。

年を取っていても諦めない事です。

脳の記憶センターは、神経細胞再生と云う働きで再生することが出来ます。

Perlmutter博士によれば、炭水化物中心の食事によって血液中に増えた糖は、脳の記憶中枢(海馬)に直接働きかけ、センターの萎縮が起きる事が証明されています。

この様な現象は、アルツハイマー病の前触れであるとPerlmutter博士は述べておられます。

アルツハイマー病は予防可能な病気であり、さらに治す事さえ出来る可能性のある病気であるということです。

 

コレステロール・飽和脂肪を減らす危険性~ある調査結果~

またPerlmutter博士は、長年にわたり「飽和脂肪」が有用であると主張しておられます。

博士とは逆に、半世紀以上の間、メディアや医療関連の人達は、飽和脂肪は健康に良くない脂で、高コレステロール血症や肥満・心臓疾患などの結果を引き起こすと主張してきました。

この様な間違った「脂肪嫌悪」の考えが、現在の急増するアルツハイマー病の元凶でしょう。

幸いにして、現在では徐々に良質の動物脂肪の重要性が認識される様になって来ています。

18か国600,000人の調査から、「心臓疾患のために飽和脂肪を減らす事を奨励している事が間違っている」と云う結果が出て来ています。

Perlmutter博士は、我々は長い間誤った道程を歩かされていたが、本来は飽和脂肪は絶対に必要な食べ物であるとしています。

例えば、高齢者の中でも血中コレステロール濃度が最も高いグループに属する人達では、コレステロール値の低いグループに人達に比べ、70%も痴呆になる割合が低いのです。

この調査結果が示すのは、コレステロールは低いよりもむしろ高い方が、心臓にも免疫力にも良いと云うことです。

コレステロールは、ビタミンDやプロゲステロン・エストロゲン・テストステロンなどの性ホルモンや副腎ホルモンの前駆体(材料)です。

コレステロール薬の害は、この様に重要なホルモンの材料に悪い影響があるからでしょう。

Perlmutter博士は医学誌the Archives of Internal Medicineの中で、コレステロール低下薬を処方されている女性では、Ⅱ型糖尿病を発症する確率が44%も多くなると云う研究成果を発表しています。

 

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糖尿病を防ぎアルツハイマー病を防ぐ食事とは?

糖尿病の人は正常の人に比べ、アルツハイマー病になる割合が2倍になる事はよく知られています。

人類の祖先が食べていた物には、飽和脂肪がタップリ含まれていましたが、炭水化物は極めて少量だったのです。

炭水化物をタップリ食べる様になった現在では、85歳以上の高齢者の約半数がアルツハイマー病を発症すると云われています。

2013年ハーバード大学発行の医学誌the New England Journal of Medicineの研究論文には、「血糖値の軽度上昇すなわち血糖値が105から110でも、そろそろアルツハイマー病の兆候が表れる数値である」と記載されています。

もし空腹時血糖値のわずかな上昇(95mg/dl)でも、血糖値を下げる様な食事を心掛けるべきです。

では理想的な「空腹時血糖値」はどれ位でしょうか。

Perlmutter博士によれば、空腹時で92~93mg/dlでも高く、普通は70~80mg/dlが理想とされています。

もし身体が脂肪燃焼に適応していれば、もっと血糖値は低くても構いません。

脂肪を糖の代わりにエネルギー源として使えるからです。

脳には糖が絶対に必要だと云うのは古い考え方です。

むしろ今では、脂肪から作られる“ケトン”は、脳のスーパーフードであると云われています。

 

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アルツハイマー病になりやすい食品とは?

炭水化物の中でもどの様な物がアルツハイマー病になり易いかを順に並べると、

・フルーツ、フルーツジュース
・全粒粉、精製小麦粉
・豆類
・濃縮コーンシロップ
・砂糖、果糖、蜂蜜
・野菜、種、オメガー6多価不飽和脂肪(植物油)
・マーガリン、加工油、ナッツ油
・ポテトやヤム等のデンプン
・牛乳、豆乳、ヨーグルト

の順になります。

 

まとめ

アルツハイマー病や痴ほう症だけでなく、糖尿病・心臓病の根本原因は同じ所にあります。

炭水化物中心の食事を見直し、良質のタンパク・脂肪(動物性食品)をしっかり摂ることに気を付けて、元気に過ごす事を心掛けましょう。

 

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ライター紹介 ライター一覧

荒木 裕

荒木 裕

崇高クリニック院長。
1962年 京都大学医学部卒
1967年 京都大学医学部大学院卒
1968年 大阪北野病院勤務
1971年 アメリカハーバード大学付属 小児病院脳神経外科研修医
1973年 アメリカハーバード大学医学部 臨床栄養学部助教授
1976年 アメリカ国立公衆衛生研究所(NIH)客員研究員
1977年 アメリカサウスカロライナ大学 医学部勤務
1983年 崇高クリニック開設

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