50代から急増!前立腺がん
男性だけにある臓器といえば「前立腺」ですが、そこに発症するがんが「前立腺がん」です。
前立腺がんは、人種や地域によって発症する割合が異なっており、欧米では男性の20%が1度は前立腺がんになるともいわれます。
日本での割合は5パーセント前後とそれほど多くはないのですが、近年増加の傾向にあります。
そんな前立腺がんについて詳しく解説していきます。
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治りやすいといわれる前立腺がんとは
前立腺は男性だけにある臓器で、精液の一部を作る役割を担っています。
骨盤を形成している恥骨のちょうど裏側に位置しており、丸い形をしています。
栗の実のような形で、大きさはクルミをイメージするとわかりやすいです。
前立腺がんとは、文字通りこの前立腺に発生するがんを言います。
前立腺の細胞が正常な機能を失い、無秩序な増殖を繰り返すことで発生します。
がん細胞は血液やリンパ液の流れに乗り、他の場所へも移動します。
移動した先で増殖してしまうことを転移と言いますが、前立腺がんは、近くの骨やリンパ節に転移することがあります。
時に離れた場所にある臓器、例えば肺や肝臓に転移することもあります。
欧米では、男性のがん死亡例の中でも多い部類に入り、全体の約20パーセントを前立腺がんが占めます。
日本での割合は5パーセント前後とそれほど多くはありません。
診断例で言うと、人口10万人あたりで30人前後とがん全体の12パーセントを占めます。
これは、胃がん、肺がん、結腸がんに次いで4番目に多い数字です。
年齢別で言うと、45歳あたりまではその発生頻度は少なく、50歳前後から多くなります。
70代だと10万人あたりで約200人、80歳を超えると10万人あたり約300人と徐々に増え、前立腺がんは高齢者に多いがんであると言うことができます。
前立腺がんは今後日本でさらに増えると予想されます。
その要因として挙げられるのが、超高齢社会への移行に伴う高齢人口の増加、食生活の乱れ、腫瘍マーカーである前立腺特異抗原検査、いわゆるPSA検査のさらなる普及などです。
前立腺がんは、加齢や男性ホルモン等が影響しているとみられています。
前立腺がんの特徴として、治りやすいがんであるということがあります。
早期の発見であれば、手術や放射線治療で治療することが可能です。
また、前立腺がんは比較的進行が遅いがんであるということも、治りやすいがんの一種であると言われる要因です。
他の病気で亡くなった後、解剖することで初めて前立腺がんの存在に気づくといった例もあるほどです。
かなり進行してしまっても、適切な処置や治療を行えば、その後も長く通常の生活を続けることが可能である場合が多いです。
ともあれ、早期発見に越したことは無いので、きちんとした検査を受ければ安心です。
特に年齢を重ねた高齢者の人には注意が必要です。
前立腺がんと遺伝の関係
前立腺がんは高齢者になるにつれてその数が増えるという特徴があります。
45歳以下だと少ない発症率なのに、50歳を超えると急に罹患率が上がります。
50代前半での罹患率は他のがんと比べても少なく、全体の7番目から8番目位の位置づけです。
しかし60代前半ともなると2番目の罹患率を示し、60代後半では前立腺がんは1番多いがんとなります。
80代以降になっても新たに前立腺がんを発症することがあります。
前立腺がんの患者全体のうち、その80パーセント以上が65歳以上であることからも、このがんがいかに高齢者に多いかがわかります。
なぜ高齢層にこんなにも多いのかというはっきりとした原因はわかっていませんが、ホルモンバランスの乱れがその一因と考えられています。
男性でも女性ホルモンは微量に分泌されています。
この微妙なバランスが崩れ、男性ホルモンに偏ることが前立腺がんの原因につながっているという説が有力です。
高齢者に多い前立腺がんですが、驚くほど若い世代に発症することもあります。
ここに関係しているのが遺伝です。
一般的には、40代で前立腺がんを発症した場合は、遺伝性が疑われます。
40代から50代の世代で前立腺がんを発症するのは、40人に1人と言われます。
さらにその範囲を37歳未満での発症に限定すると、この割合は、8,000人に1人と言う極めて少ない確率を示します。
このほとんどは家族性のもの、つまり遺伝が関係していると言われています。
父親もしくは男兄弟に前立腺がんになった人がいれば、リスクは高くなる傾向にあるので、当てはまる人は40歳を過ぎたら最低でも1年に1度の検査を受けた方がよいでしょう。
もちろん、家族であれば食生活を含めた生活習慣は似通ったものになり、前立腺がんに罹ることにそういった要素が含まれる可能性もありますが、遺伝性の可能性を持つ人は早期発見、早期治療の対策を講じておいて損はありません。
一方で、親も兄弟も前立腺がんを経験していながら、本人は発症することがないということも多いです。
あくまで可能性の問題ですが、前立腺がんと遺伝の関係という知識があるか無いかで、その後の安心や日々の過ごし方は違ったものになるはずです。
知識は荷物になりません。
知らないよりは知っていたほうが良いです。
前立腺がんの症状
前立腺がんは、前立腺の外腺の腺上皮から発生することが多いです。
上皮に発生したがんが少しずつ奥へと進行していくといったイメージです。
最も初期と言えるのが、上皮内にがんが止まっている状態です。
つまり前立腺そのものには広がっていない状態で、上皮内新生物と言い、一般的ながんとは区別されています。
この状態で発見されるのは非常に稀です。
例えば前立腺肥大症の手術を受けた際に、偶然に発見されたといったケースがそれにあたります。
上皮から前立腺にがんが広がっていった状態が、いわゆる初期の前立腺がんです。
初期にも目立った症状が現れる事は稀で、多くの人は自覚症状がなく気づきにくいです。
初期症状が少ないことにより、他の部位にがんが転移した後に気がつくと言うケースも少なくありません。
わずかな症状でも見過ごさず、検査をするなり、お医者さんに診てもらうなりすることが大切です。
がんが大きさを増して尿道を圧迫することで、排尿時のトラブルと言う形で自覚症状を伴う人は多いです。
尿が出にくい、尿の回数が多い、尿をし終えた後に残尿感があるなどの症状です。
夜間の尿の回数が増えるという症状もあります。
これらは、前立腺肥大症に現れる症状と似ています。
前立腺肥大症の症状を知っている人は、前立腺がんを勘違いすることもあるので注意が必要です。
前立腺肥大症の場合でも手術が必要になる場合もあるので、いずれにしても油断は禁物です。
がんが尿道や膀胱に広がりを見せると、尿をするときの痛みや、血尿が出ることもあります。
尿漏れもこのときの症状として挙げられます。
これがさらに大きくなると尿が出にくくなります。
精嚢腺までがんが広がると、精液が赤くなることがあります。
ここからさらにがんが広がると、リンパ節や骨への転移が起こることがあります。
リンパ節にがんが転移した場合は足がむくんできます。
脊椎や骨盤に転移すると下半身の痛みや下半身麻痺を起こすこともあります。
前立腺肥大症と症状が似ている前立腺がんですが、前立腺肥大症の場合は、下半身の痛みや麻痺、またむくみが発生するなどの症状は見られません。
また、直腸診でも前立腺がんは硬いしこりが触れますが、前立腺肥大症は柔らかく腫れて大きくなった、弾力性のある腫瘤として触れます。
このような違いがあるものの、違いがわかるようになるのは症状がかなり進行してからです。
早期の発見、治療につなげるためにはやはり、おかしいと感じたらすぐに検査を受けるなどの対策が肝要です。
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前立腺がんの検査と診断
早期の自覚症状が前立腺がんにはないので、PSA検査で早めに診断することが何より重要です。
PSAは、前立腺から分泌される物質のことで、がんがあると血液中のPSA濃度は高くなります。
この濃度を目安に前立腺がんの有無を判断することができるというわけです。
受診すると排尿に関する問診や診察を受けた後で、尿検査などとともに、PSA検査を受けます。
PSA検査は血液検査だけで簡単に行うことができるので、気になったらすぐに受けるのが賢明です。
PSA検査での発見率は、カットオフ値4.0ngmlで60歳未満で0.22パーセント以下、60歳から64歳までで0.42パーセント、65歳から70歳までだと0.83パーセント、70歳から74歳までで1.25パーセント、75歳から79歳までだと1.75パーセントを示します。
ここを境に再検査や治療を進めるための値が「カットオフ値」です。
この値はがんの進行とともに上昇し、診断から病気の進み具合、治療効果の判定、再発の有無、予後も予測することができます。
ただ、PSA値が上昇しないタイプの前立腺がんも存在します。
このタイプのがんの発生率は15パーセントから20パーセントとさほど多くはありませんが、注意は必要です。
直腸診では、前立腺がんは硬いしこりとして触れます。
また超音波診断においては、前立腺の変形や低エコー領域として認められます。
近年では、早期発見を目的とする検査として、MRI検査、PETCT検査も導入されています。
これらの検査の結果、前立腺がんが疑われる場合は、麻酔科で位置を確認しながら、概ね10カ所の針生検によって組織を採取します。
採取した組織を診断し、前立腺がんであるかどうかを判断します。
組織診断では、悪性度と進展度をどちらも調べます。
周囲へのがんの進行度においては、経直腸超音波検査や骨盤部のMRI検査で調べます。
全身のリンパ節への進行度は全身CT検査、PETCT検査で確認します。
全身への骨転移に関しては、骨シンチグラフィーが有用です。
あらゆる検査を受診しそれらを総合的に判断し、一般的には「ステージ」と呼ばれる病期を判断します。
がんがどこまで進行しているか、リンパ節への転移が見られるか、離れた臓器への転移がないかなどを慎重に見て判断します。
自分の体に何か異変が起きていることを自覚するのは、怖いことです。
何かが見つかったら嫌だからといって放置していると、さらに悪化する可能性があります。
少しでも思い当たることがあれば、検査を受けることが大切です。
早期に発見できれば良し、検査の結果何もなければなお良しです。
前立腺がんの治療と術後
前立腺がんの治療は、進展度や悪性度により異なります。
治療法を挙げてみます。
まず、「ホルモン療法」とも言われる内分泌療法です。
男性ホルモンを低下させることを目的として主に皮下注射を用いて行われます。
精巣摘出術、いわゆる去勢術では男性ホルモンの作用の低下が一生続きますが、内分泌療法であれば、中止すると男性ホルモンは元に戻ります。
内分泌療法を長く続けると、更年期障害が起こります。
更年期障害の症状である異常な発汗や、性欲の減退などが認められます。
内分泌療法には女性ホルモンも使用されますが、女性化乳房、性欲の減退、電解質の代謝異常、肝機能障害などの副作用が起こることもあります。
次は「前立腺全摘出術」と呼ばれる外科療法です。
がんが前立腺内に限られているときに、精嚢腺を含む前立腺全体を手術によって取り除く方法です。
下腹部または会陰部を切開して行う方法や、最近では体への負担が少ない腹腔鏡下で行う手術もあります。
約3週間の入院期間を要し、原則として輸血に備えて、自己血貯血を行います。
この手術の合併症としては、尿失禁や勃起不全などがあります。
続いて、「放射線療法」です。
エネルギーの強い放射線を使ってがん細胞を殺す療法です。
近年の放射線治療技術の発達により、陽子線や重粒子線を使用することもあります。
また、強度変調放射線治療や三次元原体照射を使用することで副作用を減らし、治療効果を高めることができるようになっています。
従来の、外からの照射以外にも、放射線を出す小さな線源を前立腺に埋め込み、中から治療をする小線源療法という療法もあります。
これには排尿痛や血尿といった副作用があります。
「抗がん剤」による化学療法も一般的です。
内分泌療法が効きにくい低分化がんや、再発した時などに行われます。
手足のしびれや骨髄機能の低下といった副作用が見られます。
まとめ
前立腺がんは、早期発見が増えたことと内分泌療法が有効であることから、比較的予後の良いがんと言えます。
限局がんでは5年生存率が90パーセント以上あります。
特に高分化がんや中分化がんでは100パーセントに近い割合です。
局所浸潤がんでも5年生存率は70パーセントから80パーセントです。
進行がんだと40パーセントから50パーセントとなっています。
前立腺がんは予後の良いがんとは言え、早期発見・早期治療に越したことはありません。
早く見つけた方が、治療の幅も広がります。
できるだけ進行する前に発見できるように努めましょう。
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