魚を食べることが高血圧の症状を緩和する!?魚の栄養素と健康
「魚を食べると高血圧の症状が緩和する」と聞くと「なぜ高血圧がよくなるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
確かに昔から日本人はよく魚を食べており、それが健康維持につながっていると言われていますが、それがなぜ血圧に関係するのかという点をうまく説明するのは難しいですよね。
実は、魚に含まれるある成分に高血圧や糖尿病のリスクを軽減させるはたらきがあるのです。
今回は高血圧や糖尿病のリスクを軽減する魚の栄養素と、私たちの健康との関係について解説します。
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Contents
魚の脂肪に含まれる「n-3系不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)」が身体にいい!
人の健康に良いとされる魚の成分として「n-3系不飽和脂肪酸」が挙げられます。
この成分は「オメガ3系脂肪酸」とも言われており、私たちがよく耳にする「EPA」や「DHA」などもオメガ3系脂肪酸に分類されます。
まずオメガ3系脂肪酸の概要と効果についてご紹介しましょう。
●オメガ3系脂肪酸とは
そもそも脂肪酸とは脂肪を構成している要素です。
脂肪酸は植物や魚の脂に多く含まれており、動物性の脂肪に多く含まれる脂肪酸は「飽和脂肪酸」、植物や魚の脂に多く含まれる脂肪酸は「不飽和脂肪酸」に分類されます。
この不飽和脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」あるいは「多価不飽和脂肪酸」にわかれます。
一価不飽和脂肪酸には、オリーブオイルに多く含まれている「オレイン酸」などがあります。
多価不飽和脂肪酸は魚や植物に含まれるオメガ3系脂肪酸の「n-3系」と、植物油などに含まれるリノール酸「n-6系」などです。
では、オメガ3系脂肪酸を詳しく見てみましょう。
n-3系不飽和脂肪酸には以下の3つがあります。
・α-リノレン酸
・EPA(エイコサペンタエン酸)
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
このうちα-リノレン酸は人の体内の中で上述のEPAからDHAへと変化していきます。
α-リノレン酸は人の体内で自ら作り出すことができません。
そのため食事などでの摂取が必要です。
このことからα-リノレン酸は「必須脂肪酸」とも言われています。
α-リノレン酸はEPAやDHAはサンマ、サバ、イワシなど脂肪分の多い青魚によく含まれています。
●オメガ3系脂肪酸の効果とは
オメガ3系脂肪酸は体にとってさまざまなよい効果をもたらすことがわかっています。
その効果について解説していきましょう。
・血液中の悪玉コレステロールを上げずに中性脂肪を下げる効果がある
不飽和脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸には悪玉コレステロールを上げずに中性脂肪を減らす効果があります。
悪玉コレステロールを減らすことで善玉コレステロールが増えやすくなり、動脈硬化の予防にもつながります。
さらにEPAやDHAには氷点下になっても固まりにくい、流動性が高いという性質があります。
このことからEPAやDHAには血液をサラサラにして固まりにくくする効果があり、やはり動脈硬化や心筋梗塞の予防になります。
・食後高脂血症を改善する
「食後高脂血症」とは、食事のあとに血液中の中性脂肪が急に増えてしまう病気です。
食事で体内に取り込まれた中性脂肪は通常少しずつ脂肪酸に分解されていきます。
しかし食後高脂血症を発症すると中性脂肪の分解のプロセスがうまく進まず、中性脂肪の固まりが血液の中に長い時間とどまってしまうのです。
その結果、動脈硬化を引き起こす要因にもなります。
オメガ3系脂肪酸には中性脂肪を減らす働きがあるため、この食後高脂血症の症状を和らげる効果が期待できるのです。
・糖尿病になるリスクを減らす
日本人を対象にした「JPHC研究」ではオメガ3系脂肪酸が糖尿病のリスクを下げることもわかっています。
オメガ3系脂肪酸を含む魚類を多く摂取している人とそうでない人を比べると、糖尿病にかかるリスクが約3割も低下したという結果もあるのです。
とくにその効果が期待できる魚として、アジやサンマなどの中型・大型の魚、脂の多い魚などが挙げられています。
・オメガ3系脂肪酸を摂取すると心筋梗塞や脳梗塞を予防できる
オメガ3系脂肪酸は血液を固まりにくくして動脈硬化や心筋梗塞の予防を助けます。
そのためオメガ3系脂肪酸の血液濃度が高い人ほど、心筋梗塞や脳卒中・脳梗塞などの心血管系の病気にかかるリスクが低いというわけです。
日本人を対象にした研究もされており血中にオメガ3系脂肪酸が多い人は、少ない人よりも死亡するリスクが約3割低下するという指摘もあります。
さらに別の研究ではグリーンランドの先住民であるイヌイットの人々は、魚とアザラシを主食として野菜をほとんど食べない食生活であるのに心筋梗塞の発症率が低いということも研究でわかっています。
その背景にはオメガ3系脂肪酸をたくさん含む魚をアザラシが食べ、そのアザラシをイヌイットが食べるといった食物連鎖が関係していると言われています。
n-3系不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)が含まれる魚の例
前項でもご紹介したように、オメガ3系脂肪酸は中性脂肪を下げる効果があり、脳卒中や心筋梗塞などの脳血管系の病気の予防につながります。
また悪玉コレステロール値を低くし、血液をサラサラにして動脈硬化を予防する効果も期待できるのです。
糖尿病患者の場合は体内のインスリンの働きも良くなります。
これらのことからオメガ3系脂肪酸を多く含む魚などを食べることが推奨されますが、どのような魚を選べばよいのでしょうか。
●n-3系不飽和脂肪酸が多く含まれる魚とは?
オメガ3系脂肪酸(EPAやDHA)が多く含まれている魚には以下のようなものがあります。
・マグロ
・タイ(天然)
・カツオ
・ウナギ
・ブリ
・サバ
・サンマ
・サケ
・アジ
・イワシ
とくに青魚にはEPAやDHAが多く含まれているとされ、糖尿病の人には摂取が推奨されています。
ただし魚が体にいいといっても、寿司や海鮮丼などは魚と同時に糖質の高い「ご飯」を摂取してしまうため避けてください。
●オメガ3系脂肪酸はどのくらい摂ればいいの?
では、オメガ3系脂肪酸はどのくらいの量を摂取すれば良いのでしょうか。
厚生労働省では平成28年国民健康・栄養調査をもとにオメガ3系脂肪酸の摂取量の目安を公表しています。
この調査に基づいた成人男女の摂取量の目安は、以下の通りです。
・30〜49歳 男性 2.03g/日 女性 1.59g/日
・50〜64歳 男性 2.16g/日 女性 1.85g/日
・65〜74歳 男性 2.23g/日 女性 1.9g/日
・75歳以上 男性 2.09g/日 女性 1.83g/日
これらを見ると成人男女とも、1日2g程度はオメガ3系脂肪酸をとると良いことがわかります。
なお、2gのオメガ3系脂肪酸をとるためにはマグロ(とろ)の刺身が4切れ程度、サンマ(約90g)は1尾などが目安です。
オメガ3系脂肪酸は人間の体の中では合成できない成分だからこそ、積極的に毎日の食事で摂取すべきです。
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魚は脂肪だけではなくタンパク質も良質!
青魚をはじめ魚類には、n-3系不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)が多く含まれていることがわかりました。
しかし、魚のうち白身魚が多く含んでいるタンパク質も体によい効果をもたらすことがわかっています。
どのような効果があるのか、研究結果と合わせてご紹介します。
●白身魚のタンパク質の効果とは?
白身魚にはタイやサケ、マスやタラなどが挙げられます。
これらの魚はカツオやマグロと違い、ずっと泳がず海底や岩場などでじっとしていることが多いという特徴があります。
しかし、餌をとるさいには瞬間的に素早い動きをします。
このような白身魚のタンパク質には「ミオシン」という成分が多く含まれています。
ミオシンはすばやく動かすための筋肉「速筋」を構成する要素です。
この速筋は筋肉トレーニングや100m走などの短距離走など「無酸素運動」をするときに主に使われ、瞬時に大きな力をもたらす筋肉のことです。
ミオシンが増加することで速筋の増加につながるのです。
●日本アミノ酸学会学術集会で発表された研究
2017年に日本アミノ酸学会学術集会でも白身魚のタンパク質の働きとして、筋肉細胞の「速筋」が増量する効果があることが研究結果として発表されています。
このときの研究のひとつに、白身魚であるスケソウダラのミンチが入ったスープを65歳以上の女性に毎日飲んでもらうというものがありました。
毎日スープを飲み、とくに運動はせずに生活を3ヶ月送ってもらったところ、全身の筋肉の量が増えるという結果が得られたのです。
60歳ごろから筋肉量は徐々に減っていき、運動しない場合は増えることは考えにくいのですが、スケソウダラのスープを飲んだ65歳以上の女性は筋肉が増加しました。
また他の研究では、実験用ラットにスケソウダラの魚肉を与えるという実験を行いました。
やはりそこでも、ラットの筋肉量が増えることが確認できたということです。
スケソウダラを与えられたラットは筋肉の合成作用がより活発になる一方で筋肉の分解も抑えられており、白身魚による筋肉の増量仕組みが判明したと言えます。
良質なタンパク質が含まれているスケソウダラなどの白身魚はなるべく積極的に食事に取り入れていきたい食品です。
白身魚で筋肉を増やしたい場合、体重60kgの体型の人であれば1日に約3.3g以上を目安にスケソウダラに含まれるタンパク質をとると筋肉量が増える傾向が見られます。
血圧を下げる目的で魚を食べるときは調味料にも注意
オメガ3系脂肪酸が含まれる青魚や良質なタンパク質を含む白身魚が健康に良いとわかっても、血圧を下げる目的で魚を食べるときは調味料や料理方法にも注意しなければいけません。
どのような点に注意をするべきかを解説します。
●調味料を選ぶ時のポイント
せっかく体によい効果のある魚を食べても、糖質の多い調味料を選んでしまうと糖質オーバーになってしまうので注意が必要です。
では魚を食べるとき、どのような調味料を使ったらよいのでしょうか。
調味料を選ぶときのポイントをご紹介します。
・糖質が多い調味料を避ける
魚料理に調味料を使うときは、糖質が多い調味料をなるべく避けたり控えめにしたりすることをおすすめします。
たとえば、以下のような調味料には糖質が多いので注意しましょう。
・砂糖
・みりん
・ソース
・ケチャップ
このように甘味を強く感じられるものや、原材料に小麦が使われているものなどが糖質の多い調味料として挙げられます。
●糖質が少ない調味料を上手に使う
一方で糖質が少ない調味料もあり、これらを上手に料理に使うとよいでしょう。
普段あまり糖質を気にしなかったという人もこれらの調味料をぜひ積極的に使ってみてください。
・醤油
・酢
・塩
・マヨネーズ
カロリーが高いと思われがちなマヨネーズやバターですが、糖質は少ないのでおすすめです。
ただし、砂糖が含まれているマヨネーズは避けましょう。
●なるべく旬のお魚を摂取しよう!
オメガ3系脂肪酸を多く含む魚を選ぶ際に良質な成分を効率よく体に取り入れるためには、できるかぎり季節の旬にとれる魚を食べることも大切です。
旬の魚は旬でない時期と比べて脂がのっています。
脂ののりが良いほど良質な成分も摂取できるのでおすすめなのです。
●調理方法にも注意!
魚の調理方法にもちょっとした工夫が必要です。
魚に含まれるオメガ3系脂肪酸をたくさん取り入れるためには、魚を生で食べるのが最も効率が良いと言われているのです。
魚を焼くと脂が落ちてしまいますし、油で揚げるときも脂が外に出てしまいますし、余計な油を摂取することになります。
煮魚であれば煮汁にオメガ3系脂肪酸が含まれますので、焼いた場合と比べて摂取量は増えるでしょう。
まとめ
魚に含まれるEPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸が中性脂肪を下げ、動脈硬化を予防して心筋梗塞や脳卒中などの病気予防につながります。
また、白身魚に含まれるタンパク質は筋肉量を増やす効果が期待できるのです。
このように魚を摂取することで体にとって良い効果が得られます。
血糖値を上げずにできるだけ効率よくオメガ3系脂肪酸を摂取するには、旬の魚を選び調理法や調味料を工夫することも大切です。
もちろん食事だけでなく運動や睡眠などの生活習慣も整えて、生活の質を維持していくのも忘れないようにしましょう。
魚でオメガ3系脂肪酸の摂取を意識し、健康な体づくりに役立ててみてはいかがでしょうか。
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