糖尿病の診断基準「血糖値」と「ヘモグロビンA1c」の基準値とは
糖尿病は、重症化すると命にかかわるさまざまな合併症を引き起こします。
その重症化を防ぐためには早い段階で治療を開始することが大切です。
しかしながら、糖尿病初期の段階ではこれといった症状が現れないことも多く、気づいたら病気が進行してしまっていたというケースも少なくありません。
そんな糖尿病の早期発見において近年重要視されているのが「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」という成分です。
今回はこのヘモグロビンA1cの詳細と従来の血糖値の測定方法について解説します。
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Contents
慢性的な高血糖状態を診断する指標「ヘモグロビンA1c」とは
糖尿病とは慢性的な高血糖状態が続き、さまざまな合併症を引き起こす病気です。
この糖尿病を早期発見する上で重要なヘモグロビンA1cの数値は健康診断で調べることができ、糖尿病の疑いがある人や糖尿病改善を図る人はその詳細を知っておく必要があります。
ここでは最初にこのヘモグロビンA1cの基本的な特徴を見ていきましょう。
そもそもヘモグロビンA1cとは?
人の体内を流れる血液中にはさまざまな成分が含まれており、そのひとつとして「ヘモグロビン」をご存知の方は多いことでしょう。
ヘモグロビンとは血液中の赤血球に含まれるタンパク質の一種で、血液の赤い色はこのヘモグロビンの色でもあります。
一方、血液中には食事から摂取したブドウ糖も含まれており、この濃度のことを血糖値といいます。
そして、上述したヘモグロビンには血液に含まれるブドウ糖と結合する働きがあり、このようなブドウ糖と結合したヘモグロビンの一部を「ヘモグロビンA1c」と呼びます。
通常、ヘモグロビンは一度ブドウ糖と結合すると離れることがありません。
また、ヘモグロビンには赤血球と同じ4か月程度の寿命があり、この寿命が尽きるまでヘモグロビンは体中を巡りながらブドウ糖と結合し続けるという性質を持っています。
このことから、血糖値が高い状態が続いている人はヘモグロビンとブドウ糖が結合したヘモグロビンA1cの量が多くなり、検査時に高い数値が現れるのです。
ヘモグロビンA1cで糖尿病を早期発見できる
人の血糖値は健康な人でも食後は上昇するようになっており、糖尿病であると診断するためにはそれが「慢性的であること」を確認しなければなりません。
そのために、従来の糖尿病検査では血糖値の測定を複数回、場合によっては日を空けて複数の検査を行うことも珍しくありませんでした。
しかし、このような検査方法には時間がかかるというデメリットがあり、早期発見が求められる糖尿病治療では逆に重症化を招く一因となるケースもありました。
そして、このような従来の検査方法のデメリットを改善したのがヘモグロビンA1cを測定するという検査方法です。
この検査方法ではヘモグロビンの「寿命が尽きるまでブドウ糖と結合し続ける」という性質を活かし、高血糖状態が慢性的であるかどうかを一度の検査で判断することができるため、早期発見・早期治療にもつなげられるようになったのです。
ヘモグロビンA1cの計算方法
ヘモグロビンA1cの数値はパーセンテージ(%)で表示され、その計算式は「(ブドウ糖と結合したヘモグロビンの量)÷(ヘモグロビンの総量)」となります。
この計算によりヘモグロビン全体に占めるヘモグロビンA1cの過去1~2か月の平均値を算出することができます。
そして、このヘモグロビンA1cの数値が6.0%未満は「正常」、6.0~6.4%であれば「糖尿病の疑いあり」、6.5%以上であれば「糖尿病が強く疑われる」とそれぞれ診断され、6.0%以上であれば医師の判断に従って再検査や治療を受けることとなります。
「空腹時血糖値」の検査と血糖値の基準値
一般的な糖尿病検査は種類の異なる複数の検査が行われます。
このうち最初に行われる検査のことを「空腹時血糖値検査」と呼びます。
ここでは空腹時血糖値検査の詳細や、検査を受ける際の注意点を見ていきましょう。
■空腹時血糖値検査とは
健康診断を受ける際に前日の夜以降は食事をしないよう指示されたことがある方も多いことでしょう。
空腹時血糖値検査とは、その名称からも分かるとおり空腹時の血糖値を測定する検査です。
血液採取を行う健康診断ではこの空腹時血糖値検査も同時に行われています。
空腹時血糖値検査を行う場合は10時間以上なにも食べていない状態で検査に臨むことが規定されています。
食事による一時的な血糖値の上昇を加味しない状態の血糖値を測定するためです。
この空腹時血糖値検査は最もオーソドックスな糖尿病検査として知られており人間ドックでも受けることができます。
この検査を定期的に受け常に血糖値の変化に注意を払っていれば糖尿病の早期発見・早期治療が可能です。
■空腹時血糖値検査の基準値
空腹時血糖値検査では血糖値が基準値の範囲内に収まることが重要です。
現在の詳細な基準値は、2008年に改定された「100~110mg/dL」が基準となっています。
この範囲内に収まれば正常と判断することができます。
しかし一方で、将来的な糖尿病発症リスクを含めた場合、医師によってはこの基準値の範囲内にあっても正常と判断することができず「正常高値」といった判断を下すこともあります。
また、この基準値を超えてしまった方は126mg/dL未満であれば糖尿病発症の一歩手前であることを意味する「境界型」、126mg/dL以上であれば既に糖尿病を発症している「糖尿病型」との判断が下され、それぞれで重症度は異なります。
■空腹時血糖値検査を受ける際の注意点
空腹時血糖値検査を受ける際に注意しなければならないのが前日の夜以降は食事をしないという指示を必ず守るということです。
これは少量の食事であっても血糖値は上昇するためであり、正しい数値を調べるためにもこのことは順守しなければなりません。
また、誤って朝食などを食べてしまった場合には検査時に正直に申告するようにしましょう。
基準値と自身の検査結果を比較する際に注意しなければならないが必ず日本人の基準値と比較するということです。
これは基準値が日本人の体質を考慮して決められているためです。
アメリカでは日本とは異なる基準値が設定されていて、ネット上で基準値を調べようとすると日本のものではない基準値が出てきてしまうこともあるため、この点は必ず確認するようにしましょう。
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「ブドウ糖負荷試験」の検査(2時間値)と血糖値の基準値
検査ブドウ糖負荷試験もまた糖尿病検査のひとつとして挙げることができますが、あまり聞いたことのない検査だという方が多いのではないでしょうか。
この検査は「経口ブドウ糖負荷試験」や「OGTT」といった名称で呼ばれることもあります。
その詳細をご説明しましょう。
■ブドウ糖負荷試験とは?
糖尿病検査では基本的に上述した空腹時血糖値検査を最初に行います。
そして、その結果から糖尿病の疑いがあると診断された方はこのブドウ糖負荷試験を受けることとなります。
ブドウ糖負荷試験では最初に日本糖尿病学会が定める方法にのっとって行われます。
やはり検査当日の朝まで10時間以上絶食し、空腹のまま一度目の採血を行って血糖値を測ります。
次に、75gのブドウ糖水溶液を飲みます。
30分後と1時間後に採血を行い、それぞれ血糖値を測ります。
2時間後に最後の採血を行い、血糖値の「2時間値」を測定します。
健康な人がこの検査を受けると、ブドウ糖水溶液を飲んだ直後から徐々に血糖値は上昇していき大体1時間後を目途に最高値を記録します。
そして、その後は徐々に数値が低下していき2時間値は平常時に近い数値に戻ります。
しかしながら、糖尿病の人がこの検査を受けると血糖値は上昇をし続け、2時間値が最高値となります。
このように健康な人と糖尿病の人では血糖値の変化の仕方が大きく異なるため、この検査を行うことでその人が糖尿病かどうかをより厳密に判断できるのです。
■ブドウ糖負荷試験の基準値
ブドウ糖負荷試験において、血糖値の基準値は検査を受ける人の正常時の血糖値にもとづいて決められます。
正常時の血糖値が110mg/dL未満の人の場合、2時間値は140mg/dL未満が正常値となり、これを超えると糖尿病を患っている可能性はさらに高くなります。
また、空腹時血糖値検査の結果にかかわらず2時間値が200mg/dL以上を記録すると、最も重い糖尿病型と判断され早急な治療と血糖値コントロールが必要となります。
以上のように、ブドウ糖負荷試験の結果は空腹時血糖値検査の結果と併せた上で総合的に判断する必要があります。
また、例えば2時間値は正常値であっても1時間値の数値が極端に高いと糖尿病型に悪化する恐れがあると診断されるケースもあるため、2時間値だけを見るのではなく全体の数値の変遷をよく見ることが大切なのです。
■ブドウ糖負荷試験を受ける際の注意点
ブドウ糖負荷試験を受ける際に注意しなければならないのが血糖値が正常な状態でブドウ糖溶液を飲むという点です。
そのため、この検査を受ける際にも前日の夕食以降は絶食を命じられ、このことは検査を受けるすべての人が順守しなければなりません。
また、上述したとおりブドウ糖負荷試験の結果は空腹時血糖値検査の結果と併せて総合的に判断する必要があるため、2つの検査は同じ病院か検査結果を共有できる病院で受ける必要があります。
特に職場の健康診断で受けた空腹時血糖値検査で異常が見つかりブドウ糖負荷試験を受けるよう指示された場合は、必ず健康診断を行った医師などに指定された病院へ行くようにしましょう。
「随時血糖値」の検査と血糖値の基準値
血糖値自体は食事以外の要素によっても変化します。
例えば有酸素運動をした直後はインスリンの分泌が活発になることから血糖値も下がる傾向があり、血糖値の異常を見つけるためには食事以外の要素も考慮する必要があります。
よって、血糖値から糖尿病であるかどうかを判断する際にもさまざまな要因による微妙な数値の変化を見極めることが大切です。
続いては、より確実な糖尿病診断のために行われる「随時血糖値」について見ていきましょう。
■随時血糖値とは
上述したとおり、絶食状態での血糖値のことは空腹時血糖値と呼びますが、それに対して採血するタイミングを特に定めず任意のタイミングで調べる血糖値のことを随時血糖値と呼びます。
随時血糖値は食事や運動などの影響を考慮しない自然な状態の数値であることから、空腹時血糖値や食後血糖値などとは異なる基準で糖尿病であるかどうかを判断します。
■随時血糖値の基準値
随時血糖値は検査を行うタイミングが決められていないため検査を行うたびに数値に大きな違いが生じても不思議ではありません。
そのため、基準値としては200mg/dL以上で糖尿病型という少し大雑把な数値が決められています。
また、随時血糖値では境界型の基準が定められておらず、随時血糖値を調べただけで境界型、あるいは正常であるといった判断を下すことはできません。
■随時血糖値検査のデメリット
随時血糖値の200mg/dLという基準値は非常に高い数値であり、任意のタイミングで行う随時血糖値検査でこの数値を超えることは多くありません。
そのため、随時血糖値検査だけで糖尿病型であると判断するのは難しいという点はこの検査のデメリットといえるでしょう。
また、このような随時血糖値検査の性質上、検査によって糖尿病の疑いがあると判断されたとしても他の検査を行わないと糖尿病であると断言するのが難しいという点もこの検査のデメリットといえます。
そのため、随時血糖値検査は他の検査と併せて行うことが多く検査に多くの時間がかかる、あるいは採血の回数が多くなるといったこともまたこの検査のデメリットとして挙げられます。
以上のような性質から随時血糖値検査はヘモグロビンA1c量の測定検査と一緒に行われることが多く、空腹時血糖値検査やブドウ糖負荷試験に比べると単独での信頼性が低い検査方法といえるでしょう。
まとめ
ここでは糖尿病であるかどうかを判断する上で重要な3種類の血糖値検査と、信頼度が高く早期発見・早期治療にもつなげやすいヘモグロビンA1c検査について解説しました。
これらそれぞれの検査には基準値が設けられており、血糖値とヘモグロビンA1cのどちらかが基準値を上回る場合は再検査を受けるようにしましょう。
また、糖尿病であるか否かは複数の検査の結果を比較し総合的に判断する必要があるケースも多く、健康診断で境界型などと診断された場合は信頼できる別の病院や医師に再検査を依頼することをおすすめします。
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