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血圧を下げるのも上げるのも注意!妊婦の血圧コントロール

50代を過ぎると自分の娘や孫が妊娠したという報告を受ける方も多いのではないでしょうか。

孫やひ孫の誕生は本当に嬉しいものです。

しかし、元気な子どもを安全に産むためには妊婦さんの体調に特に気をつけなければなりません。

中でも気を付けておきたい点は妊娠中の血圧の変化です。

今回はこうした妊婦の血圧変動で気をつけたい点や血圧コントロールに必要なポイントなどを解説します。

妊婦である娘さんやお孫さんへのサポートの参考にしてください。

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妊婦の血圧は変動していく

妊娠中の平均的な血圧は最高血圧(収縮期血圧)が110〜120mmHg、最低血圧(拡張期血圧)は60〜68mmHgと言われています。

しかし、妊娠中の血圧はこの平均血圧にとどまるとは限らず妊娠週数によって特徴的な変動を示すのです。

まずは妊娠時期によって血圧にどのような変動があるのか、妊娠周期の順を追ってみてみましょう。

1.妊娠成立後:血圧は緩やかに下がる

妊娠すると「生理的血圧降下」という血圧が緩やかに下がる現象が見られます。

この現象が起きる要因として、妊娠中に分泌が増える女性ホルモンには血管を広げる作用があるため血圧が低下することが影響しています。

2.妊娠20週付近:血圧はもっとも低くなる

妊娠成立後の血圧の生理的低下が進み妊娠20週付近になると、血圧は妊娠中においてもっとも低くなります。

つわり(妊娠悪阻)による嘔吐などが血圧の低下につながるケースもあるのです。

3.妊娠20週〜妊娠40週:血圧は高くなっていく

妊娠20週付近で血圧がもっとも低い値になりますが、その後出産にいたる妊娠40週までにかけて血圧は徐々に高くなっていきます。

妊娠初期にみられる生理的血圧の降下はごく初期から見られる現象です。

そのため妊娠がわかってから血圧を測定すると非妊娠時に比べて低く出るため、妊娠成立から20週程度を経過した後も自分の血圧を低く見積もってしまうことがあるので注意しましょう。

4.妊娠高血圧症候群

妊娠中、血圧は生理的に低くなったり高くなったりと周期によって変動を示しますが、とくに注意をすべきなのは「妊娠高血圧症候群」と言われる病態です。

これは妊娠20週から分娩後の12週までにかけて新たに高血圧症状が出る、あるいは妊娠していないときにみられた高血圧が悪化したときに診断されるものです。

妊娠高血圧症候群の詳しいメカニズムはまだわかっていません。

しかし妊娠高血圧症候群が重症化してしまうと、けいれん発作などの高血圧特有の症状を起こす可能性があり、症状によってはお母さんと赤ちゃんの命が危険にさらされる状況も起こりかねません。

妊娠高血圧症候群になりやすいタイプの人は以下のとおりです。

・妊娠前から肥満ぎみである
・妊娠してから体重が急に増えた
・もともと高血圧や糖尿病などの既往歴がある
・両親や祖父母などに高血圧の人がいる
・35歳以上の高齢妊娠
・前回妊娠時に、同じく妊娠高血圧症候群になったことがある

これらに当てはまる人は妊娠高血圧症候群にかかりやすいタイプと認識しておきましょう。

妊娠中の血圧は妊娠していないときと比べてより注意を払うべきものだという認識が何より大切なのです。

 

妊娠中に血圧を上げすぎるとどうなるのか

前述したとおり、妊娠中は生理的な血圧の変動がみられるものの妊婦さんの中には非妊娠時における正常血圧の値を把握していない方も少なくありません。

そのため妊娠が成立してから見られる生理的血圧の低下がみられると低血圧を心配して「血圧を上げないといけない」と思う妊婦さんも多いようです。

しかし、妊娠していないときの通常の血圧を把握しないまま無理に血圧を上げようとすると高血圧に伴う様々な症状が現れることがあります。

特に高齢妊娠やもともと高血圧症がある妊婦さんの場合や糖尿病などを患っている場合には、妊娠高血圧症候群になり同じような症状が起こりやすくなります。

血圧が上がるというのは収縮期血圧が140mmHg以上(重症では160mmHg以上)、拡張期血圧が90mmHg以上(重症では110mmHg以上)になった状態をいいます。

妊娠中に血圧を上げすぎてしまうとどのような症状がみられるのかみてみましょう。

・めまい

血圧が上がり目がチカチカする、めまいがするなどの症状が見られる場合があります。

これは血圧が不安定で変動差が大きい場合や「椎骨脳底動脈系」の循環が悪くなっていることが関連します。

めまいを感じる時間は短く、めまい以外にも肩こりや耳鳴りなどの症状を感じやすくなります。

・疲労感

妊娠中に血圧の高い状態が続くと疲労感を伴うことがあります。

これは血圧が高くなる要因の一つである自律神経の乱れが影響していると考えられます。

・尿蛋白

血圧が高いと腎臓内部の細い血管が傷つけられ腎臓機能の低下を引き起こします。

もともと腎臓は身体に流れる血液の量を一定にするためのホルモンを分泌して血圧を上げようとしますが、血圧が高いと腎臓機能がより低下しさらに高血圧を起こすことになります。

それらの悪循環と同時に腎臓の機能が悪化した結果、尿の中に過剰な蛋白質が排出されます。

蛋白質が1日0.3g以上排出されると尿蛋白と呼ばれます。

特に妊娠中は妊娠していないときに比べて腎臓への負担が増えるため、より尿蛋白になりやすいといえるでしょう。

・けいれん

血圧を急に上げすぎてしまうと、けいれん・意識障害・頭痛・嘔吐などの脳障害をきたすことがあります。

とくに重いけいれん発作では後遺症を残すこともあり、妊娠中に発生するもっとも危険な病気のひとつとして注意が必要です。

・胎盤早期剥離

母体と赤ちゃんのつなぐ胎盤が出産を前にはがれてしまうことがあります。

これも高血圧が原因で起こり、症状として子宮が異常に硬くなる、赤ちゃんの動きが少なくなる、強い下腹部痛、出血などが起こります。

胎盤早期剥離の治療は週数によって異なるものの、多くが妊娠を終了するという選択を迫られます。

・脳出血

血圧が高くなりすぎるほど脳卒中の危険性が高まります。

血圧が上がると血管壁が弱い細部の血管に高い圧力がかかりやすくなり、脳にある細い血管が破れて脳出血が起こるのです。

・胎児の発育不全、機能不全

血圧を上げすぎると胎盤がうまく作られず子宮や赤ちゃんに送られる血液の量にも限界が訪れます。

本来は子宮や胎盤の血管を経てやりとりされる栄養や酸素が減ってしまい赤ちゃんの正常な発育に必要な量が送られない状態となり、酸素・栄養不足が起こるのです。

そうすると赤ちゃんの発育が悪くなる、あるいは胎盤がうまく機能しないことで胎児機能不全が起こることがあります。

以上のように、妊娠中に血圧が高くなりすぎると様々な弊害が生じ、母体と赤ちゃんを守るために治療が必要になることもあります。

自宅安静や入院が必要になりますが、けいれんなどの発生を避けるため、または重症の高血圧の妊婦さんには内服治療が行われることがあります。

 

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妊娠中に血圧を下げすぎるとどうなるのか

妊娠中に血圧を上げすぎるのも弊害がありますが、逆に過度に血圧を下げることで起こることにも注意をしなければなりません。

妊娠中に血圧を下げすぎると起こることを挙げていきましょう。

・めまい

血圧を下げすぎると脳への血流量も減ってしまい脳へ行き渡る酸素が不足します。

すると平衡感覚を司る平行中枢の機能も乱れ、フラフラするなどのめまいが生じることがあります。

・冷や汗

冷や汗も血圧を下げすぎたときに起こる症状です。

脳の血流が低下し、自律神経症状の一つとしてみられることがあります。

・嘔吐

嘔吐も自律神経に一時的な乱れが生じて、血圧が急に下がることにより起こります。

嘔吐と同時に腹部の不快感や腹痛など血圧低下の前触れの症状がみられることがあります。

・頻脈、多呼吸

血圧が低くなると身体を流れる血液の循環量が減り、そのため心臓自体に流れる血液が不足してポンプ機能が弱まります。

すると頻脈や多呼吸、動悸や息切れなどの症状が起こります。

これも心臓や血管をコントロールする自律神経の乱れが原因といわれています。

・母体の意識が弱まったことに伴う胎児の低酸素状態

低血圧になると妊婦の意識が遠のき、失神してしまうこともあります。

そうなると胎児への酸素の供給もとどこおり、心拍数も低くなり、低酸素状態になることもあります。

高血圧をコントロールする以外にも妊娠していることで生じる低血圧もあります。

とくに妊娠後期になると、子宮が下腹部にある「下大静脈」を圧迫することで血液の循環が悪くなり血圧が低下する「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつ)」が起こることがあります。

この場合は体の左側を下向きになるように体勢を変えるなどの対処が必要です。

 

妊婦が血圧コントロールのためにできること

妊婦が安心して出産が迎えられるように妊娠中に血圧コントロールのためにできることはあるのでしょうか。

とくに妊娠初期におこりやすい生理的低血圧を予防・対処するための方法を紹介します。

・適度な運動

妊娠中であっても体を動かして、過度な負担がかからない程度の適度な運動をすることは母体によい影響があります。

胎盤が完成する妊娠安定期に入ってから医師と相談して可能な運動をおこなうとよいでしょう。

運動の種類としておすすめなのがウォーキングなどの有酸素運動です。

ほかにも母体や胎児にリスクの少ないヨガなども効果的です。

・定期的に妊婦健診を受ける

血圧の変動など妊娠中の体の変化に早期に対処できるよう定期的に妊婦健診を受けましょう。

・十分な睡眠時間の確保

妊娠中はエストロゲンという女性ホルモンの分泌が多くなり夜間の睡眠が浅くなることがあります。

そのため非妊娠時より夜間によく眠れるような工夫を意識することが必要になります。

たとえば睡眠前に入浴をして体を温める、アロマや音楽などリラックスできる環境を作る、スマホのブルーライトを浴びる機会を減らすなどが効果的です。

・ストレスの軽減

ストレスの蓄積も血圧の変動に影響を及ぼします。

妊娠による心身の変化が起こるものですが、母親になることのプレッシャーや妊娠中のマイナートラブルへの対処などで自律神経のバランスを崩すと血圧の変動につながります。

ストレスをためすぎず、なるべく心身共に穏やかにいられるような対策を取りましょう。

家族や友人との交流や運動などを通してストレスを発散していくことが大切です。

・降圧コントロール

もともと血圧が高い女性は妊娠中の血圧コントロールは主治医に相談しながら治療法を選択します。

高血圧の場合、妊娠中でも使用できる降圧薬もありますが、血圧を下げすぎても弊害がありますので必ず医師の指示に従い治療を進めるようにしましょう。

血圧コントロールの薬を使うときも、その薬を使うメリットや副作用などのデメリットを十分に考慮し医師からよく説明してもらって納得のうえで薬を使うことが重要です。

一般的な高血圧の降圧目標は140/90mmHgですが、妊娠中は160/110mmHgと高く設定されています。

妊娠中の高血圧は胎盤への血液循環を増やすために身体が血圧を上げているという特徴があるため、一概に血圧を低くしようとするとお母さんの体が赤ちゃんに影響が出てしまいます。

このような理由から、妊娠中は一般的な降圧目標より高く見積もられていることを事前に把握しておくようにしてください。

・出産前後の血圧コントロールも大事

出産を終えると、妊娠中に血圧の異常がみられた場合も正常血圧に戻ると言われています。

しかし、出産前や産後、産褥期(さんじょくき)には血圧が高くなることもあり、とくに授乳がはじまる産褥期には降圧治療を薬で行うかどうかについて慎重に検討しなければなりません。

以上のように、妊娠中に血圧の変動があったときにはなるべく大きな血圧の変動がないようにコントロールし、正常な妊娠・出産まで続けることが大切です。

 

まとめ

妊婦さんの体調はそのまま赤ちゃんの命に関わることもあります。

とくに血圧管理は妊婦さんと赤ちゃんの状態を左右する大事な要素の一つです。

妊娠中の血圧を適切にコントロールできるよう、まずは妊娠前から妊婦さん自身が自身の血圧の平均を知っておくことが大切です。

普段から自宅でリラックスした状態で血圧を測定する習慣を身につけましょう。

そのときに大いに役立つのが母子手帳です。

妊娠前・中・後期の記録だけでなく産褥期も含めてきちんと記録をしていくと体調管理がしやすくなります。

安心・安全に出産を向かえるために、身近にいる妊婦さんに妊娠中の血圧管理には十分気をつけるように伝えサポートしてあげてください。

 

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木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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