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食生活の欧米化で急増している「大腸がん」

 2017/04/19 生活習慣病
この記事は約 10 分で読めます。 2,267 Views

日本人の死因で一番多いとされているのは、「がん」です。

症状が出てから発見されることも多く、未だに死に直結してしまうことも珍しくありません。

医療の進歩と共に発見されやすくなったこと、治療法があることで昔に比べると致死率は低くなりましたが、がんの罹患者は増える一方なのです。

その中でも、「大腸がん」は臓器別の死亡者数でも上位に入ると言われています。

今回は大腸がんの症状や治療法などについて詳しく説明していきましょう。

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大腸がんとは

大腸がんは、早期の段階で症状を自覚することが少ない病気の一つです。

大腸がんは男性で4番目、女性で2番目に多いがんであり、臓器別でみても上位に入るがんです。

発症しやすい年齢は40歳以降に増加する傾向にあります。

大腸がんは早期の段階で治療を行うことで、完治が望めるがんですので、定期的な検診がとても重要と言えるでしょう。

進行状態は比較的ゆっくりではありますが、進行するにつれてリンパ節や肝臓など別の臓器に転移してしまうことがあり、早めの発見が大切であると言われています。

大腸の役割には水分の吸収を行い、便を作ることにありますが、がん細胞ができてしまうと排便がスムーズに行われなくなってしまったり、血便が出てしまうなどの症状が現れるのです。

何らかの影響によってがん細胞ができてしまうと言いましたが、「食の欧米化」、「タバコ」、「過度な飲酒」、「運動不足」などが大腸がんの罹患者を増加させている原因ではないかと言われます。

 

大腸がんの初期症状

早期の場合、自覚症状がないことが多いのが大腸がんの特徴でもあり、発生の仕方についても2種類あると考えられています。

1つは、大腸の壁よりももっと内側にある粘膜にポリープ(良性腫瘍)ができ、この「ポリープががんへと変化」する場合です。

また、もう1つの発生の仕方は「粘膜から直接がんが発生」してしまう場合です。

粘膜よりも深いところにまでがんが広がっていない場合には「早期」であり、自覚症状はほとんどないと言われていますが、大腸の壁の外側に向かって広がっていくと症状が出てくる傾向があります。

また、大腸のどこにがん細胞ができるかによって現れる症状は異なるので注意が必要です。

大腸がんの初期症状として一番わかりやすいのが、排便に関してです。

下記に詳しくリストアップしましたので、チェックしてみましょう。

・血便(血液が混じった便)が出る
・下血(肛門から出血)がある
・排便した便が細い(筋がついている場合もあります)
・下痢と便秘を交互に繰り返す
・残便感が強い

排便に関しては腸の調子が現れやすいものですので、毎日チェックすることが大切です。

下血に関しては痔の症状と酷似している為、痔だと決めつけてしまう人もいますが、「排便時に痛みがない場合には大腸がんの可能性」がありますので注意してください。

また、排便だけではなく腹部の調子も変化してきます。

・腹部が張っている
・腹痛がある
・腹部を触るとしこりのようなものがある

また、その他の症状に、貧血症状がある・嘔吐する・体重が減少するという人もいるようです。

腹部に痛みがあったり、張っているような状態が長く続く場合や、排便に異常が見られる場合には一刻も早く病院で検査をしてもらいましょう。

また上記の症状が複数ある場合には大腸がんの可能性が高くなりますので、早めに受診することが大切です。

 

大腸がんのステージと生存率

がんと診断された場合、「ステージ」という言葉を耳にしたことがある人が多いでしょうが、この「ステージ」とはどのような意味があるかご存知でしょうか。

このステージとは、がんがどれぐらい進行しているかの進行度を示している指針のようなものなのです。

がん治療を行う際に、どれぐらい進行しているかをしっかりわかった上で治療を行っていく必要がある為、最初の段階で精密検査を行う場合が多いです。

大腸がんの治療方針を決める際も同様であり、がんがどれぐらい進行しているのかをチェックします。

この進行度をチェックする時には3つのポイントを見極めていく必要があるのです。

1.大腸の壁にどれだけ深く入り込んでいる状態か

大腸がんは、大腸の壁のもっとも内側にある粘膜から発生するのですが、粘膜の中に留まっていたがん細胞が大腸の外側に向かってどのぐらいまで入り込んでいるかを調べます。

この基準を「深達度」と言い、この状態によってステージを見極めています。

2.リンパ節への転移の有無

リンパ液が通る管をリンパ管と呼び、このリンパ管同士が繋がっている節をリンパ節と呼びます。

大腸がんの癌細胞がリンパ液によって運ばれ、リンパ節へと転移してしまいます。

3.他の臓器への転移

大腸がんの場合、肺や肝臓、腹膜などに転移することが多いと言われています。

上記3つの要素を踏まえて、ステージを決めているのです。

ステージは0~Ⅳ段階の5段階に分類されており、ステージ0に近ければまだ進行していない初期の大腸がんであることがわかります。

逆に、ステージⅣに近づくほど進行している状態であることがわかるでしょう。

大腸がんに限った話ではありませんが、5年生存率がステージ1の状態なら80~90%を超えると言われていますが、ステージが進むにつれて5年生存率は大きく下がってしまいますので、早期発見・早期治療がいかに大切かがわかります。

 

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大腸がんの治療法

大腸がんの治療には内視鏡治療や外科手術、化学療法や放射線治療があり、患者のステージによってこれらを組み合わせ治療していくのが一般的です。

ステージ別に治療法が異なりますので、ステージごとに紹介していきます。

<ステージ0・ステージⅠ>

がん細胞が大腸の壁の最も内側の粘膜で留まっている状態のステージです。

粘膜下層にまで入り込んでいる状態であったとしても、浅いところに留まっている状態の場合には「内視鏡治療」が選択されます。

内視鏡治療とは、細長い管状の医療器具を直接肛門から入れ、大腸の内側をカメラで見ながらがん細胞を切り取る治療法です。

体にメスを入れずに行うことができるので、患者の負担が少ないと言われています。

<ステージⅠ(深部浸潤)・ステージⅡ・ステージⅢ>

ステージⅠでもすでに粘膜下層に深く入り込んでいる状態には、手術治療が選択されることが多いようです。

この段階になると大腸周囲のリンパ節に転移している可能性が高く、がん細胞のある大腸と共にリンパ節を切り取る手術を同時に行うことがあります。

また、手術後に再発を防ぐ為に抗がん剤を使用する「術後補助化学療法」を行ったり、放射線による治療も取り入れられています。

<ステージⅣ>

かなり進行が進んでいるステージですので、手術が可能な限りがん細胞を切除しますが、手術が行えない状態の場合は抗がん剤を投与する化学療法や放射線治療を行います。

またそれらの治療も難しい場合には、痛みを取り除く対処療法を取り入れたり、気分の落ち込みなどを改善する治療を取り入れます。

治療が難しい状態になっている場合は、患者が最後まで生活の質を落とさずに生きられるよう「緩和ケア」を主とすることも多いようです。

大腸がんは早いステージで発見することができれば、手術で治療ができる可能性が高くなります。

 

人工肛門について

大腸がんの中でも、「直腸がん」は人工肛門になるリスクが高いようです。

特に肛門近くにできた下部直腸がんは治療法によっては今後の人生を左右することになる為、慎重さが必要となってくるでしょう。

下部直腸がんは周囲に重要な神経が集まっている為、がんの状態や治療状況によっては治療後に排尿や排便の障害、または性機能の障害などの後遺症のリスクがあります。

また、がん細胞が肛門括約筋にまで及んでいる場合、永久的に人工肛門が必要となることも珍しくありません。

「永久的に人工肛門になるのが怖い」という人も多いでしょうが、現在のところ全体の10%程度であると言われています。

直腸がんと診断されていても、90%の人は自分の肛門を残すことができているのです。

ただし、肛門括約筋を切除しなくてはならない状態の場合には永久人工肛門になってしまいますが、現在では肛門温存手術が常識となっている傾向があります。

もし、人工肛門以外の選択肢がないと診断された場合にはセカンドオピニオンも考えてみましょう。

また、人によっては人工肛門にした方が楽だと感じることもあるようです。

人工肛門自体は、3日に1度ストーマ(人工肛門)の台を張り替えるだけで日常生活に不自由さはありません。

また、肛門を温存したものの排便回数が増えたり、排便が漏れてしまうなどの排便障害を患ってしまうこともありますし、局所再発の可能性は人工肛門の人に比べると上がってしまいます。

どちらが良いのかは人それぞれであると考えることができるでしょう。

まずはメリットとデメリットをしっかり理解し、自分の生活において何が大切かを考えることが大切です。

 

検診の大切さ

大腸がんは早期発見・早期治療を行うことで治療が見込めるがんの一つです。

初期の段階では気づくことができない為、がん検診の重要性が他のがんに比べると高いと言えるでしょう。

大腸がんの検診を受けることで、死亡する確率をかなり減らすことができるとわかっています。

ただし、検診を受ける人の割合は、男性において4割、女性は3割と言われており、検診を受けていない人の数が多いのも事実です。

大腸がんの場合、検診を受けていることで早期に発見できるだけではなく、手術を簡単に行えるというメリットもあるのです。

内視鏡検査を行う際に、お腹を切ることなくがん細胞を切除することができますので、体の負担が少なく済みます。

また、治療にかかる時間や費用などの負担も少なくなるでしょう。

そして、内視鏡での治療の場合には日常生活に速やかに戻ることができるというメリットもあるのです。

大腸がんの検診には市区町村や企業によって行われている集団検診と、個人が希望して行う個人検診があります。

市区町村で行っている場合の自己負担額は一般的に1000円以下ですので、これらを利用すると負担が少なく検診を受けることができるでしょう。

受診を希望している方は、各健診受付窓口に問い合わせてみましょう。

大腸がんの検診の流れとしては、まず便潜血検査を行い、陽性であるか陰性であるかをチェックします。

陽性と判断された場合には精密検査を行う必要がありますが、陰性の場合は次回の検診まで何もする必要はないのです。

すぐに内視鏡をしなくてはいけないと勘違いしている方がいらっしゃいますが、実際にはこの過程を踏むことが一般的ですので体の負担も少ない検診です。

ぜひ怖がらずに受けてみましょう。

 

まとめ

大腸がんは臓器別の死亡者数でも上位に入るがんです。

しかし一方で、早期の段階で治療を行うことで完治が望めるがんでもあります。

また、仮に内視鏡検査を行う必要がある場合、検査と同時に、お腹を切ることなくがん細胞を切除することができます。

炭水化物を多く食べる「食の欧米化」、喫煙や過度な飲酒に気を付けたり、適度に運動するなど、がんを遠ざける生活を心掛けるとともに、万が一に備え検診を受けることが大切です。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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