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リンパ癌(悪性リンパ腫)の主な症状とステージの進行度

 2018/09/22 生活習慣病
この記事は約 12 分で読めます。 2,363 Views

リンパという言葉を聞いたことがあっても、それが何なのかを正確に知っている人はそれほど多くないでしょう。

リンパとは、リンパ管やリンパ球など体の中にあるリンパの名のつくもののことです。

リンパ管は、全身に広がっている血管のような管のことです。

リンパ管の途中には豆のようなリンパ節がところどころにあり、リンパ管にはリンパ液が流れています。

リンパ球は、リンパ液や血液の中に存在する免疫細胞の一種です。

このように体の中にはリンパと名のつくものがいくつかありますが、リンパ癌とはどのような病気なのでしょうか。

主な症状やステージの進行度、治療法などを詳しくご紹介します。

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リンパ癌(悪性リンパ腫)は血液の癌

リンパ球とは?

リンパ球とは免疫細胞の一種で、血液やリンパ液の中を動き回って病原体が体の中に侵入するのに備えています。

リンパ管は血管と同様に身体中に張り巡らされていて、リンパ管のところどころにあるリンパ節が体に侵入した病原体の一部をせき止める役割を担っています。

リンパ球は血管を通ってリンパ節を見回りにいき、そののちリンパ管を通って血液中に戻っていきます。

リンパ節に病原体を見つけると、リンパ球による免疫反応が起こります。

風邪をひいたりケガをしたりしたときにリンパ節が腫れることがあるのは、そこでリンパ球が免疫反応を起こし病原体と戦って体外に排除しようとしていることを示しています。

リンパ球は造血幹細胞から作られる

上述したリンパ球は、骨の内部の骨髄にある「造血幹細胞(血液細胞のもととなる細胞)」から増殖しながら分化(未熟な細胞が成長して進化すること)して作られます。

リンパ球には働きの違いによってT細胞とB細胞、NK細胞に分けられます。

また、血液中には酸素を運ぶ赤血球と出血を止める血小板、病原体と戦う白血球などが主に含まれていますが、そのどれもが造血幹細胞から分化して作られます。

リンパ癌は血液の癌

造血幹細胞が分化してT細胞やB細胞、NK細胞などのリンパ球になるときに癌化することがあります。

癌化したリンパ球が主にリンパ節で増殖し、腫瘍を作ってしまうのがリンパ癌です。

リンパ管は全身に張り巡らされており、そのところどころにあるリンパ節も全身に広がっているため、全身のどこの場所でも腫瘍が発生する可能性があります。

その中でも胃や腸に発生することが多いようです。

白血病も血液の癌

血液のがんといったら「白血病」というイメージのある人も少なくないでしょう。

骨髄の中にある造血幹細胞はリンパ球に分化する前にまずリンパ系幹細胞と骨髄系幹細胞に分化します。

リンパ球はリンパ系幹細胞から分化していき白血球の一部になります。

一方で、骨髄幹細胞は赤血球と血小板と白血球の一部に分化します。

白血病は、この骨髄幹細胞が分化する過程で白血球が癌化して血液を正常に作れなくなる病気です。

癌化した白血球は血液中で増殖していきます。

リンパ癌と白血病は同じ血液の癌ですが癌化する過程に違いがあり、それぞれ癌化したリンパ球がリンパ節やリンパ管で増殖するリンパ癌と、癌化した白血球が血液中で増殖する白血病という違いがあります。

 

リンパ癌(悪性リンパ腫)の主な症状とステージの進行度

リンパ癌の種類

リンパ癌は造血幹細胞がリンパ球に分化する過程で癌化する病気ですが、どの段階で癌化したかによって70種類以上に細かく分類されます。

大別すると「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2つに分けられ、病理検査でホジキン細胞などの特徴的な細胞がみられるものはホジキンリンパ腫、それ以外が非ホジキンリンパ腫です。

日本ではホジキンリンパ腫の割合は少なく、多くのリンパ癌は非ホジキンリンパ腫です。

非ホジキンリンパ腫は、癌化しているリンパ球の細胞の種類や各種検査の結果をもとにさらに細かく分類されます。

非ホジキンリンパ腫の3つの分類

非ホジキンリンパ腫の中でもその悪性度によって大きく3つに分類されます。

〇低悪性度リンパ腫

年単位でゆっくりと進行します。

主に濾胞性リンパ腫やMALTリンパ腫などがあげられ、腫瘍の量が少ないときにはすぐに治療に入るのではなく経過観察することもできます。

〇中悪性度リンパ腫

週単位から月単位で進行するので、リンパ癌と診断されたらすぐに治療をはじめます。

主にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫があげられます。

〇高悪性度リンパ腫

日単位から週単位で急激に進行していきます。

病気の進行によっては診断された時点で緊急入院が必要となることもあり、強力な化学療法をおこないます。

主にバーキットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫があげられます。

リンパ癌の主な症状

首やわきの下、足の付け根などにリンパ節が多く、リンパ癌の症状も最初はその辺りにしこりができることが多いです。

しこりの大きさは1~5cm程度で、大きいほどリンパ癌の可能性が高くなりますが痛みはないことがほとんどです。

腫瘍のできた部位によって症状は違ってきて、足のむくみや呼吸困難、腹痛や嘔吐、臓器障害が起きることもあります。

リンパ癌は全身に広がるので、進行すると発熱や体重減少、大量の寝汗などの全身的な症状もみられるようになります。

リンパ癌のステージ

リンパ癌と診断されて治療をおこなう場合はその進行の程度によってステージに分けられます。

Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の4つに分類され、それぞれ治療法や予後が違ってきます。

〇Ⅰ期

リンパ癌の腫瘍の部位が一か所に限られている状態。

リンパとは違う臓器にリンパ癌がある場合でも一か所の場合はⅠ期です。

〇Ⅱ期

リンパ癌の腫瘍の部位が二か所以上でも、横隔膜から上の上半身か、下の下半身かのどちらかに限られている状態。

〇Ⅲ期

リンパ癌による腫瘍が二か所以上にあり、上半身と下半身の両方に位置する状態。

〇Ⅳ期

リンパ癌による腫瘍がほかの臓器にも広がっている状態。

リンパ癌のステージは上述した4つのステージに分類されたのちに、発熱や大量の寝汗、体重減少の全身症状があるかないかで更に2つずつに分類されます。

全身症状がない場合はA症状と呼ばれ、ある場合はB症状とされます。

つまりリンパ癌の進行度は、Ⅰ期のA症状とB症状、Ⅱ期のA症状とB症状、Ⅲ期のA症状とB症状、Ⅳ期のA症状とB症状の8つに分けられ、その治療法や予後が違ってきます。

 

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リンパ癌(悪性リンパ腫)の検査方法

リンパ癌と診断し治療するためには様々な検査が必要となります。

検査の目的はリンパ癌であると診断するためやステージを調べるため、安全に治療できるかどうか全身の状態を確認するためなどがあります。

どのような検査をどのようにするか、以下にご紹介します。

病理検査

リンパ癌であるかどうかの診断をするための検査です。

麻酔をして、リンパ節や腫瘍の一部を切り取って観察する生検と呼ばれる検査で、リンパ節生検や腫瘍生検をおこないます。

詳しく観察され、70種類以上に分類されるリンパ癌のどれなのかを特定していきます。

ステージや全身状態を調べる検査

リンパ癌は病変が全身のどこの場所にあってもおかしくないので、治療をはじめる前に進行度合いを慎重に検査し評価する必要があります。

また治療は全身におこなうため、安全に治療をおこなっていける状態かどうかの全身状態の検査もおこないます。

〇血液検査

全身が治療に耐えられる状態かどうかを検査します。

主に肝臓や腎臓の機能を確認して、副作用のうちどのようなものに気をつけなければならないかを判断します。

〇尿検査

治療に耐えられるかどうか全身状態を確認する検査です。

〇画像検査

X線検査では通常のレントゲンによる検査をおこないます。

超音波検査では超音波の体の中での反響を利用して腫瘍の位置や大きさなどを確認していきます。

また超音波検査では心臓の検査もおこない、化学療法に耐えられる状態かどうかを確認します。

ほかにも、X線を利用したCT検査や磁気を利用したMRI検査をおこない、体の内部を断面図で確認することで腫瘍の大きさや広がり具合を調べます。

〇PET検査

癌細胞がブドウ糖を取り込みやすい性質を利用した検査です。

放射能性物質の含まれたFDGというブドウ糖の性質に似た薬剤を注射し、その薬剤が癌細胞に取り込まれた状態を特殊なカメラで撮影して映像化していき、癌細胞の分布や広がり方、大きさなどを詳しく調べます。

ほかの検査に比べると、まだ小さい早期の癌細胞も見つけることができるため、リンパ癌の治療結果の判断でも積極的におこなわれます。

〇骨髄検査

リンパ癌では骨髄まで癌細胞が広がることがあるので、それを調べるための検査で「マルク」と呼ばれることもあります。

局所麻酔をして腰の骨に針を刺し骨髄液を吸引する骨髄穿刺(せんし)をおこなったり、組織を少量切り取って調べる骨髄生検をおこなったりします。

〇消化器官内視鏡検査

リンパ癌では消化器官に腫瘍が広がっていることが多いので、必要に応じて内視鏡検査をおこない、直接内部を見て腫瘍があるかどうかを確認し組織の採取をしていきます。

胃の内視鏡検査をおこなうことが多く、MALTリンパ腫は特に胃がピロリ菌に感染していることが病気の原因になっていることが多いので、感染しているかどうかも確認します。

マントル細胞リンパ腫などでは大腸に病変が広がっていることが多いので、大腸内視鏡検査をおこないます。

〇脳せき髄液検査

リンパ癌が脳やせき髄に広がっている可能性が高いときは腰椎(ようつい)の間に針を刺して、脳せき髄液を採取する検査で腰椎穿刺(ようついせんし)と呼ばれることもあります。

リンパ癌の原因を調べる検査

リンパ癌の原因がウイルス感染によることがあるため、感染しているかどうかを検査します。

ウイルスに感染している場合は、治療に伴い合併症が起きる可能性が高くなるので大切な検査です。

リンパ癌の勢いや治療効果の見通しを立てる検査

血液検査をおこない、リンパ癌の勢いや治療効果の見通しを立てていきます。

ただ、この検査だけではリンパ癌の病状の進行を正確に判断することはできません。

 

リンパ癌(悪性リンパ腫)を引き起こす要因

リンパ癌の原因はまだ明確には解明されていません。

細胞の中の遺伝子の突然変異によりがん遺伝子が活性化すると考えられていたり、ウイルス感染が関係すると考えられていたりします。

免疫不全者にリンパ癌の患者さんが多いことも知られています。

また、無理なダイエットやバランスの偏った食事、飲酒や喫煙、肥満や運動不足などの生活習慣の積み重ねなどもリンパ癌の要因になるといわれています。

 

リンパ癌(悪性リンパ腫)の主な治療法

リンパ癌は70種類ものタイプに分類されるので、そのタイプによって治療法も違ってきます。

主に薬物治療を中心におこない、それに放射線治療や造血幹細胞移植などを組み合わせておこなっていきます。

薬物治療の副作用

薬物治療では癌細胞にダメージを与えることを目的としているのですが、正常な血液細胞にもダメージを与えてしまいます。

このため、吐き気や嘔吐、貧血や下痢、口内炎や脱毛、発熱などの副作用が起こります。

放射線治療の副作用

放射線を照射して癌細胞にダメージを与える治療なので、主に照射された部分に炎症が起こります。

だるさや吐き気、嘔吐や食欲低下などの副作用が起こることもあります。

症状の程度は個人差が大きいですが、通常は治療をおこなった後2~4週間たつと症状が改善します。

造血幹細胞移植

薬物治療や放射線治療をおこなったあと、再発する可能性が高い場合や再発したときにおこないます。

事前に採取した造血幹細胞を移植して骨髄機能を回復させることを目的といます。

経過観察

治療後は、リンパ癌の種類や病状、副作用などによって間隔は違うものの通院して経過観察をおこないます。

癌細胞が見られなくなり合併症や副作用もないか回復中である場合は、3~6カ月に一度の通院で再発の有無や全身の状態を診察します。

ただ体調に異変を感じた場合は、決められた通院日を待たずに担当医に相談するようにしましょう。

再発

治療後、検査しても癌細胞が見られなくなったにもかかわらず、しばらくしてから再び癌細胞が出現するのが再発です。

定期的に通院して経過観察しつつ、再発の可能性に備えていきます。

万が一再発したら、前回のリンパ癌とは違う分類のものである可能性もあるので再び生検をおこない治療法を判断していきます。

前回と同様の薬物治療をおこなったり、65歳以下であれば造血幹細胞移植をおこなったりなど病状により治療法を判断しますが、効果が得られないこともあります。

その場合は生活の質を高める緩和ケアをおこないながら病気と付き合っていくようにする治療をしていきます。

再発率はリンパ癌の種類や病状、患者さんの年齢や体質などにより違ってくるので一概にはいえません。

 

まとめ

リンパ癌は、血管とリンパ管を行き来するリンパ球が白血球の一部として作られていく過程で癌化してしまい、リンパ管にあるリンパ節を中心に増殖する病気で「血液の癌」といえるでしょう。

リンパ管は全身に張り巡らされリンパ節も全身に広がっているので、どの部位でも発生する可能性がありますが、胃や腸に起こることの多い病気です。

様々な検査をして、70種類以上に分類されるリンパ癌の種類のいずれかを判断し治療をおこなっていきます。

主に薬物治療をおこない、それに放射線治療や造血幹細胞移植などの治療を組み合わせていきます。

治療後は慎重に経過観察しながら、再発の可能性に備えることになります。

 

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ライター紹介 ライター一覧

木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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