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炭水化物と糖質の違いをご存知ですか?

近年、まるでブームや流行のように「炭水化物抜きダイエット」や「糖質制限ダイエット」が注目されています。

あるテレビ番組では「炭水化物抜きダイエット」といい、ある雑誌では「糖質制限ダイエット」と書かれています。

紹介されている内容はどちらもほぼ同じですし、一般的には「炭水化物」と「糖質」は同じものと思われています。

しかし、炭水化物と糖質はイコールではありません。

ここでは、炭水化物や糖質について、またそれらを食事から避けるダイエット法について解説します。

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炭水化物とは

一般的に「炭水化物」と「糖質」は同じものだと思われていますが、実は炭水化物と糖質はイコールではありません。

例えば、炭水化物が犬だとすると、糖質はトイプードルといった感じです。

トイプードルは犬ですが、犬=トイプードルではありません。

犬の中には、チワワもいれば柴犬もいる、ダックスフンドもいるというように色々な種類の犬がいます。

同じように例えば、炭水化物がスポーツだとすると、糖質はサッカーといった感じです。

サッカーはスポーツですが、スポーツ=サッカーではありません。

スポーツの中には、野球もあればバレーボールもある、卓球や柔道、アイススケートもあるというように色々な種類のスポーツがあります。

このように、糖質は炭水化物の1つですが、糖質=炭水化物ではありません。

炭水化物の一種が糖質です。

教科書的には、「炭水化物=糖質+食物繊維」ということになります。

このようにみると、「炭水化物抜きダイエット」と「糖質制限ダイエット」は厳密に言うと少し違ってきます。

ただ世間一般的には、呼び方や言い方が違うだけで同じものとして理解されているでしょう。

実際に、両者は内容的には同じものとして紹介されていることがほとんどです。

これらのダイエット法の根幹・本質は「糖質を避ける」ことにあります。

ですので、呼び方や言い方が違っても本質的には同じです。

なお、今やこれらのダイエット法はブームや流行のようですし、いろんな人がいろんな解釈で実践したり紹介したりしています。

ただ、「本来の」「正しい」ダイエットでは、糖質を避けるだけでなく、「必要な栄養を全て摂る」のです。

つまり、「糖質を避ける+必要な栄養を全て摂る」という2つを同時に満たすものが、正しいダイエット法・食事法です。

どちらか1つだけでは正しいダイエット法・食事法ではありません。

呼び方や言い方はどちらでも問題ありませんが、その根幹・本質を誤解しないようにすることが大切です。

今、世間で盛んに叫ばれている「●●制限」や「●●抜き」という呼び方や言い方は、インパクトを与え分かりやすい反面、非常に誤解を招きやすい名前です。

その名前をみると、「糖質や炭水化物を避ける」ことしかイメージできないからです。

実際に、これらのダイエット法が「必要な栄養を全て摂る」ものであることは、世間一般的にも、多くの医療関係者でも誤解されています。

 

糖質とは

炭水化物=糖質+食物繊維です。

では、糖質とはいったいどのようなものを言うのでしょうか?

糖質は、炭素、水素、酸素でできている有機化合物です。

糖質は、ブドウ糖などの単糖類、オリゴ糖やしょ糖の少糖類、デンプンやグリコーゲンなどの多糖類に分類されます。

「しょ糖」と言うのは、私たちが日ごろコーヒーや紅茶に入れている砂糖のことです。

ブドウ糖やオリゴ糖やしょ糖と違って、デンプンは甘さを感じませんが、デンプンも糖類に属します。

食事で糖質を摂ると、その糖質の多くは消化吸収されて、その後ブドウ糖に分解されます。

ブドウ糖は血液によって各細胞に運ばれてエネルギーとして利用されます。

糖質1gあたり4Kcalのエネルギーとなります。

脂肪もエネルギーとして利用されますが、脂肪と比べて糖質は分解吸収が早く、即効性があります。

しかし糖質を摂りすぎると、糖尿病になるとよく言われますが、過剰なブドウ糖は脂肪に合成されて脂肪組織に運ばれて蓄えられます。

したがって摂りすぎると当然、肥満になります。

果物に多く含まれる果糖も、摂りすぎると肝臓に蓄積されて、脂肪肝となったり、血液中の中性脂肪の値が基準値を超えて高くなるリスクがあります。

また、食物繊維は「健康に良い様々な働きをしている」と言われます。

しかし、食物繊維は人の消化酵素では消化することができません。

 

糖類とは

糖類とは「単糖類・二糖類」の総称です。

糖質にはさまざまな種類があります。

大きく分けると、単糖類、少糖類、多糖類の3つですが、その中にまたいくつかの種類があります。

単糖類は1個の糖からなる糖質です。

単糖類には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。

・ブドウ糖

「ブドウ糖」はグルコースとも言われていて、穀物や果物に多く含まれます。

血液中にも一定の濃度で含まれています。

約0.1%の濃度です。

これが血糖値で、検査では70~109mg/dLを基準値としている医療機関が多いです。

・果糖

「果糖」はフルクトースとも呼ばれている糖類です。

果汁に多く含まれるので、果糖と呼ばれています。

ハチミツの固形成分の約半分が果糖です。

・ガラクトース

「ガラクトース」は、乳汁に多く含まれています。

植物中には存在しない糖です。

少糖類には、しょ糖、麦芽糖、乳糖、オリゴ糖があります。

・しょ糖

「しょ糖」はブドウ糖と果糖が結合したものです。

砂糖の主成分で、サトウキビに多く含まれています。

・麦芽糖

「麦芽糖」は、ブドウ糖が2分子結合したものです。

水あめや麦芽に含まれています。

またデンプンが分解すると麦芽糖になります。

フラクトオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などの種類があります。

多糖類には、デンプン、グリコーゲン、セルロース、ペクチンなどがあります。

・デンプン

「デンプン」はブドウ糖がたくさん結合したものです。

植物性の貯蔵糖類です。

穀類やイモに含まれています。

片栗粉は、ばれいしょデンプンと書かれていますが、この片栗粉も多糖類の1つで糖類に属します。

「グリコーゲン」は、ブドウ糖がたくさん結合した動物性の貯蔵糖類です。

肝臓や筋肉にたくさん含まれています。

「セルロース」は植物の細胞壁の主成分、ペクチンは果物や野菜に多く、ジャムを作る時には欠かせない成分です。

セルロースやペクチンは難消化性多糖類とも呼ばれます。

また食物繊維の1種として扱われることもあります。

 

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実は「必須糖」はなかった!~必須栄養素とは~

「糖質は5大栄養素や3大栄養素である」

「ブドウ糖は脳の栄養ではないのですか?」と言う声が多くみられます。

確かに、それだけを見ると間違ってはいません。

また、体内の糖が不足し過ぎた場合は「低血糖症」という病気になります。

しかし、実は、糖質は5大栄養素や3大栄養素にはなっていますが、「必須糖」というものは存在しませんし、必須栄養素にもなっていません。

体内の糖が不足すると低血糖症という病気になるにも関わらず、「必須糖」はなく必須栄養素でもないのです。

学校の教科書にも載っていません。

この「昔からある事実」も、最近になって徐々に世間に知られ広まりつつあります。

ではなぜ、糖質は必須ではないのでしょうか?

なぜ、「必須糖」は存在しないのでしょうか?

「必須かどうか」は、「私たちの体内でそれを作り出せるかどうか」で分けられます。

つまり、

私たちの体内で作り出せるもの = 必須ではない

私たちの体内で作り出せないもの = 「必須」

ということです。

私たち人間の体内で作り出せないのですから、飲食物として摂取することが必要です。

つまり、「必須アミノ酸」とは、私たちの体内で作り出すことができないため、飲食物として摂ることが必要なアミノ酸です。

「必須脂肪酸」とは、私たちの体内で作り出すことができないため、飲食物として摂ることが必要な脂肪酸です。

そして、糖質は私たちの体内で作り出すことができるため、必須ではなく「必須糖」も存在しません。

脂肪やアミノ酸も「糖」に変わることができます。

一部のアミノ酸や乳酸、脂肪を分解した際にできるグリセオールは肝臓で「グリコーゲン」を作ることができます。

そして、私たちの体内で作り出せない「必須アミノ酸」や「必須脂肪酸」を豊富に含む食品は、肉や魚です。

 

炭水化物抜きダイエットとは

「炭水化物抜きダイエット」や「糖質制限ダイエット」は、その名のとおり炭水化物や糖質を避けるダイエットです。

甘いものだけを制限するのではありません。

提唱する人によって違いはあるものの、ご飯やパン、うどん、ラーメン、スパゲティなどはもちろんのこと、イモ類やパン粉や小麦粉、片栗粉なども食べません。

これらを食べない代わりに、肉や魚はしっかりと食べてもOKというものです。

肉や魚が大好きだと言う人には、実行しやすいダイエットと言えます。

今注目のダイエット法ですが、しかし、注目されているとはいえ世間一般的にみれば少数派でしょう。

実際に実践したり共感している人は、糖尿病や肥満・ガンなど病気を真剣に治したい人、あるいは健康オタクや健康マニア、「意識高い系」の人達でしょう。

そして、これらのダイエット法・食事法に対して、推奨しない人や危惧する人もいます。

推奨しない人や危惧する人の意見としては次のようなものが挙げられています。

・炭水化物制限ダイエットを行うと筋肉からエネルギーを補給するので、筋肉が落ちる

・ダイエットで落ちた筋肉には皮下脂肪が付く

・コレステロールが高い数値になる

確かに、「誤った」ダイエット法・食事法を実践してしまった場合は、その可能性もあるでしょう。

「誤った」ダイエット法・食事法とは、「糖質や炭水化物を避ける」だけの食事です。

しかし、「必要な栄養を全て摂る」のが正しいダイエット法・食事法です。

このダイエット法では、肉や魚をしっかり摂ります。

つまり、タンパク質をしっかり摂ります。

タンパク質とは、人間の「血や肉の元になる」栄養素です。

筋肉の元となる大切な栄養素をしっかり摂るのですから、「正しい」ダイエット法を実践すれば「筋肉が落ちる」ことはありません。

また、「皮下脂肪」や「コレステロールが高い数値になる」のは、炭水化物(糖質)の摂り過ぎが原因です。

糖質は、今すぐエネルギーとして使う場合を除き、それ以上に摂った場合は脂肪として貯えられます。

「糖質を摂り過ぎると肥満になる」のは人間の体のメカニズムです。

糖質制限ダイエットを推奨しない人や危惧する人であっても、それに反論する人はいないでしょう。

また、コレステロールについては、あまり知られていませんが、血液コレステロールの約80%は常時「肝臓」で作られていて、そもそも「食事」中のコレステロールは影響が少ないとのが実態です。

また、体内でコレステロールが生成されるのは休息時(運動をしていない時)や大量に食べたり、エネルギー源である糖質を多く摂取している時です。

仮にコレステロールの多い食品を避けていたとしても、糖質を多く摂取したり、食べ過ぎたり、あまり運動をしない場合は、コレステロールが生成されやすくなります。

 

まとめ

炭水化物と糖質はイコールではありませんが、「炭水化物抜きダイエット」と「糖質制限ダイエット」は同じものとして紹介されています。

その「ギャップ」は、これらダイエット法の本質からすると大差はありません。

また、「●●制限」や「●●抜き」という呼び方や言い方はまるで「諸刃の剣」のように、インパクトを与え分かりやすい反面、非常に誤解を招きやすく、実際に医師ですら誤解している人が多いのが現状です。

いずれの呼び方であっても、「正しいダイエット法」と「誤ったダイエット法」では内容が全く違います。

名前に惑わされず、内容を理解することが大切です。

 

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薮内直純

薮内直純

株式会社イコールヒューマン。生活習慣病専門ライター。医療や医薬品に関する誤解を解き明かしながら、真実を追求した記事を提供中。

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