癌によって転移しやすい場所が違う!癌の転移と種類の関係
癌は手術で取り除くことができたとしても、再発や転移のリスクを考えておかなければなりません。
再発や転移があるために癌は恐ろしい病気だと言われています。
もっとも、癌によって転移しやすい部位というのはある程度わかっており、転移がしやすい場所を知っておくとリスクに備えて定期的な検査でチェックすることができるでしょう。
自覚症状やちょっと気になることでも転移によるものかどうかというのを考え行動に移すことが可能です。
ここでは、癌の転移のパターンや転移先として多い臓器や器官、癌の転移のタイミングを見ていきましょう。
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癌の転移の流れ
人間の体を作っている細胞は自分のあるべき場所にとどまり離れることはありません。
ところが癌細胞はさまざまなルートによって遠く離れた場所へと移動し、そこで細胞分裂をし続けていく性質を持っているのです。
ここでは、癌細胞が転移するパターンを4つご紹介しましょう。
●血行性転移
人間の体内に張り巡らされている血管を流れる血液を介し、癌細胞は運ばれて行きます。
つまり原発癌が存在した部位だけでなく、体の至る所に癌が発生するリスクがあるということです。
血管壁が薄い静脈や毛細血管に侵入しやすく、血管壁の厚い動脈へ侵入することは稀になります。
とくに静脈に乗って移動し、肝臓や肺など静脈が豊富な場所に転移しやすのが特徴です。
●リンパ行性転移
リンパという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
全身の臓器にはリンパ液という液体が流れており、液体内部にはリンパ球など人の免疫機能をつかさどる細胞が存在しているのです。
リンパ管の途中に存在するのがリンパ節であり、リンパ液のなかに異物が侵入していないかどうかをチェックしています。
リンパ液にのってやってきた癌細胞はリンパ節に溜まっていき、次々と全身にあるリンパ節へと移動していくのです。
血行性転移では突然遠い場所でも癌細胞が転移してしまいます。
リンパ節性転移では近い場所から順々に移動していくため、原発癌から遠く離れた場所でリンパ節転移が見られた場合にはかなり癌が進行してしまっていることが予測されるでしょう。
●播種性転移
播種(はしゅ)性転移とは「体腔」や「胸腔」「腹腔」など、体内にある空間に癌細胞がこぼれ落ち、まるで種をまいたかのように広がっていくことを言います。
胃癌における腹膜播種性転移では癌が胃の最も外側にある膜を突き破って、お腹の中に癌細胞がバラバラと広がっていくのです。
肺癌では胸膜播種が起こります。
●浸潤
通常の細胞は別の組織の細胞とぶつかる際に細胞分裂を停止させるということが特徴です。
しかし癌細胞はほかの組織の細胞とぶつかろうがお構いなしに浸み込んでいく性質を持っています。
このような性質を浸潤(しんじゅん)と言うのです。
水が紙にジワジワと浸みていくのをイメージすると分かりやすいでしょう。
浸潤はこのようにジワジワと浸みこんで広がっていきます。
そのため、癌とそうでない部分の境界が分かりにくく、手術ですべてを完全に取り除くことは困難です。
血行性転移やリンパ行性転移の際にも、初めにこの浸潤という過程を通過します。
たとえば膵臓癌で「十二指腸」や「胆のう」「肝臓」へ浸潤する場合、ほぼ治療は難しいと言わざるを得ません。
このように癌の転移の仕方はさまざまであり、それぞれの転移の仕方によって治療法が異なります。
転移の場合には抗がん剤の使用を検討していきますが、リンパ行性転移や播種性転移では免疫療法や遺伝子医療などがよいケースもあるでしょう。
転移の仕方や特徴をよく理解したうえで治療に臨むことが大切です。
主要な5大癌が転移しがちな部位
さまざまな癌が存在しますが、癌によって転移しやすい部位というのがある程度わかっています。
ここでは、主要な5つの癌の転移先として代表的な部位を見ていきましょう。
●肺癌
酸素を吸い二酸化炭素を排出し呼吸をおこなう器官である肺は、全身の血液が循環する場所でもあります。
肺癌の転移で多くみられるのは「リンパ節」や「肝臓」「骨」や「脳」「副腎」などです。
癌が脳へ転移するのは10人に1人の割合であり、最も多いのが肺癌からの転移で脳転移の患者さんの25%ほどと言われています。
四肢の麻痺や言語障害などが脳へ転移してしまったときにみられる症状です。
骨へ転移した場合には癌細胞が脊椎を圧迫し、下肢が麻痺してしまい歩行にも影響を及ぼします。
●乳癌
乳房内にあるリンパ管から脇下のリンパ節へ流入するのが乳癌です。
そのためリンパ節への転移が代表的であり、乳房に存在していた癌細胞が血行性転移やリンパ行性転移によって「骨」や「脳」「肺」「肝臓」「皮膚」などへと移動します。
●胃癌
胃癌の3大転移とされているのが、リンパ節転移や肝転移、腹膜播種です。
解剖学的にみると胃は門脈によって肝臓とつながっているため、胃に発生した癌細胞が門脈を通り肝臓へと移動することで肝転移が起こります。
また胃の漿膜を突き破り癌細胞が浸潤すると、その先にある腹腔内に種をバラまいたようにこぼれおち、骨盤や腹壁、腸管などで癌細胞が増殖していくのです。
これを腹膜播種といいます。
●肝臓癌
「肝臓内」や「リンパ節」「副腎」「肺」「骨」へ転移しやすいのが特徴です。
時間が経つに連れて生存率は下がっていく傾向にあります。
●大腸癌
大腸癌は近くにある肝臓や肺へ転移しやすいのが特徴です。
癌細胞が腸壁を突き破り、腸を覆う腹膜に散らばり広がっていきます。
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他の部位から癌をもらいがちな部位
癌の種類によって転移しやすい場所というのはある程度データとして算出されています。
さらに、どこに転移しやすいのかを知っておくと普段の症状から異常の早期発見にもつながるでしょう。
もともとの臓器などに発症する原発癌と転移性の癌とでは根本的に性質が異なります。
たとえば大腸癌が肺に転移した場合、癌細胞は大腸癌の性質を持ったままです。
そのため治療においても大腸癌の治療に準じた内容で実施されます。
ここでは、あらゆる癌で転移先として多い部位について解剖学的観点も踏まえながら整理していきましょう。
●肝臓
「タンパク質の合成」や「栄養分の貯蓄」「有害物質の解毒」「消化に必要な胆汁の分泌」など重要な役割を担う肝臓は、さまざまな癌の転移先としてみられる臓器です。
肝臓は各消化器官からの血液が集まる場所でフィルター機能を担っており、流れてきた血液は肝臓を通過し、ろ過されていきます。
この過程で血液に癌細胞が入り込んでいた場合には、ろ過されずに肝臓内にとどまり増殖していき転移性の肝臓癌となってしまうのです。
胃癌などの消化器系の癌はもちろん、乳癌や泌尿器の癌の転移が起こりやすい場所としても知られています。
最も多いのは大腸癌からの転移です。
また転移性の肝臓癌が見つかったことで、原発癌が発見されるというケースもあります。
肝臓癌と転移性の肝臓癌とは区別され、もともと肝硬変などで進行前の段階から肝機能の低下がみられるのが肝臓癌です。
転移性の肝臓癌は対照的であり、さまざまな部位から運ばれてきた癌細胞が転移し増殖しています。
肝硬変などとは関係なく癌細胞が肝細胞の大部分を占めない限りは、自覚症状として出てきにくいというのが特徴です。
そのため、ほかの癌の診断の際におこなう検査や健診などで偶然に見つかるケースがあります。
また完全に治すということは困難であり、症状を和らげるために化学療法や放射線療法が検討されることもあるでしょう。
●肺
肺は全身の血液が循環しています。
心臓から送り出された血液が全身を巡り、やがて肺へと戻ってくるわけです。
しかし、この戻ってくる血液のなかに癌細胞が入り込んでいた場合は肺がフィルターとなり、そこに着床し増殖していきます。
一般的に原発癌が初期の段階で肺転移というのは起こりにくく、血液中に入り込んでしまうくらい癌が進行していると考えるのがほとんどです。
つまり肺への転移が見られた場合には、ある程度原発癌が進行していると考えて良いでしょう。
肺は大腸癌や乳癌、子宮がんや肝癌などさまざまな癌で転移しやすい部位となっています。
転移性の肺癌は初期の段階で自覚症状が現れないため、発見が遅れてしまうケースもあり検査での発見が重要です。
進行すると咳や血痰、息切れ、息苦しさなどといった症状が出現することが特徴になります。
肺へ転移してしまった場合には原発癌の種類によって治療方針が決定されることとなり、原発癌の専門のドクターと連携しながら治療を進めていくことになるでしょう。
先ほどもお話ししましたが、転移性の肺癌では進行しているケースが多いです。
転移性肺癌の癌細胞は、原発癌の癌細胞と同じ性質を持っています。
そのため、薬なども原発癌の治療に準じたものを使用した化学療法が選択されることとなるのです。
血液にのせて薬を全身に巡らせることができるため有効とされています。
●骨
癌細胞は骨へも転移し、癌細胞が血液にのって骨へと運ばれ、そこで増殖していくことが特徴です。
骨髄は赤血球をはじめ多くの血球細胞を産生し続けている場所であり、常に多くの血液が供給されています。
そのため癌細胞が増殖するには格好の場所なのです。
また痛みを訴えるケースも多く、癌そのものに由来する痛みや癌細胞が神経を圧迫することによって起こる痛みなどがあります。
乳癌や肺癌、甲状腺癌などで骨転移はみられる傾向にあり、昔は骨転移で亡くなる人も多くいました。
しかし現在は検査技術の進歩によって早期の発見も可能となり手立てが打ちやすくなっています。
骨転移かどうかを判断するためには画像診断が用いられ、CT検査やMRI検査、骨シンチグラフィーなどが行われる検査です。
骨転移は直接命にかかわるような転移ではありません。
しかし骨折や麻痺は四肢の活動を制限し、日常生活へ大きく支障をきたします。
生活の質を保つためには早い段階で見つけて対処することが重要です。
起こっている痛みや麻痺など症状を緩和するためのケアを基本とした治療法になります。
必要であれば鎮痛剤を使用したり原発巣の治療をおこなったりしながら、放射線治療による疼痛コントロールをおこなうのです。
●腹膜転移
癌が進行し臓器の膜を突き破り、癌細胞が体腔内に種をまいたようにこぼれおちる播種性転移があります。
胃癌や大腸がんの場合に腹膜へ転移することもあり、手術は非常に難しくなるでしょう。
癌が転移してしまうタイミング
癌の転移はいつ起こるのか、疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。
そもそも癌というのは細胞の遺伝子異常によって起こることがわかっています。
また癌の転移とは癌細胞が原発巣から離脱することによって起こるものです。
一般的に、体内にある細胞はあるべき場所にとどまる性質があります。
しかし癌細胞は、なんとか離脱しようと細胞外の物質と接着・分解・移動を繰り返していくため、この過程で少しずつ細胞間にスペースが生まれるのです。
このことによって癌細胞は原発巣から離れ、血液やリンパ液の流れにのって転移してしまいます。
人間の免疫機能の働きによって離脱した癌細胞は死滅させられるのですが、癌の一部の細胞はこの免疫の攻防を潜り抜け生き残る、いわば生存者が存在します。
この生存した癌細胞が転移先で増殖していくのです。
つまり転移は、癌細胞が原発巣から離脱するタイミングで始まるということがいえます。
しかし、いつ原発巣から離脱するのかというのは細胞レベルの話であり目に見えてわかるわけではありません。
やっと検査で見つけられる状態になっていたとしても、すでに転移しはじめて時間が経過してしまっていると思ってよいでしょう。
一般的には30回の細胞分裂を繰り返し、やっと1gの重さ以上になった癌でないと検査で見つけることは不可能とされています。
癌が発生して転移だとわかるまでの時間は癌の種類はもちろん、どれだけの悪性度なのかも影響するため断定はできないというのが現状です。
癌の転移に関する研究は日々進められています。
まとめ
癌の種類によってある程度転移先の好発部位は決まってきます。
また原発癌と転移性の癌とでは性質が違うため治療方針も異なるのです。
原発癌の手術によって目に見える癌を取り除いただけでは完全に治療が終わったとは言えません。
目に見えない癌細胞が体内に残っていれば、再発・転移を起こしてしまう可能性があるからです。
手術が終わってからも転移する可能性のある部位に関しては検査を定期的に行っていくことが重要になります。
転移性の癌が進行してしまうと、さらに治療法が限られてしまうため手術後も定期的なフォローアップが大切です。
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