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高齢者の足のむくみは病気のサインかも!?

「むくみ」は年齢に関係なく起こる症状であり、多くの人が抱えている足の悩みの一つです。

むくみは、生活習慣などによる「生理的なむくみ」と「病気の症状としてのむくみ」があります。

ここでは、高齢者の足のむくみについて、その原因や症状、そして足のむくみ対策について解説します。

「ただのむくみ」と思って放置せず、普段からしっかりむくみ対策・むくみケアを行いましょう。

高齢者の足のむくみ

立ち仕事や座り仕事などのように、長時間同じ体勢のままでいると血液のめぐりが悪くなり、そこに水分が溜まってしまいます。
これが、むくみの原因です。

むくみは、年齢に関係なく起こる症状であり、20代のOLさん達の多くが抱えている足の悩みの一つです。

しかし、足にむくみが起こった場合には、むくみ解消法などを行うことで改善されることが多いです。

そのため、足のむくみが起こってもそれほど重要視していない方も多いでしょう。

幅広い発症年齢層の中で、特に高齢者に起こる足のむくみは、若い世代のむくみとは原因が違う場合があるため注意が必要です。

高齢者の足のむくみの原因はいくつかあり、その中でも特に多いのが「血液の循環が悪くなる」ことです。

足のむくみと血液の流れは大きく関係しています。

人間の体内では、血液を通して全身にくまなく水分を供給しています。

また、水分を供給すると同時に不要となった水分も回収して、常に新鮮な水分を全身にめぐらせることで体の健康を保っています。

しかし、何らかの原因で血液循環が悪くなると、新鮮な水分を供給できないほか不要となった水分も回収することができなくなってしまいます。

不要となった水分が回収されないと、血管の中に入ることができず外側に溜まってしまいます。

この状態が続くことで、足のむくみが発生するのです。

特に高齢者の場合には、加齢による血管の衰えも加わるため、若い世代よりも足のむくみが強く出てしまうのです。

足の筋肉の筋肉や皮膚のハリが失われると血液の循環が悪くなるため、足のむくみが慢性化しやすくなります。

足の筋肉では特にふくらはぎの筋肉が重要で、「第2の心臓」とも呼ばれるほど、血液の循環と関係が深いです。

足をめぐった血液は、酸素を供給した後、不要となった水分や老廃物など回収して心臓へと戻っていきますが、足から心臓まで戻るためには足の筋肉がしっかりしていないといけません。

特にふくらはぎにある筋肉の運動が、血液を心臓まで戻す大きな役割を持っているのです。

高齢者になると足腰が弱くなってくるため、だんだんと足を使うことが少なくなってきます。

これではふくらはぎを動かさなくなってしまい、足のむくみを起こしやすくなるのです。

足のむくみの原因は他にもあり、高齢者の場合には病気から起こることも少なくありません。

特に腎臓病、心不全・心臓弁膜症、肝硬変など、様々な病気と足のむくみは関係しているのです。

 

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腎臓病の初期症状としてのむくみ

高齢者の足のむくみの原因に「腎臓病」があります。

病気から起こるむくみ原因の中では、腎臓病が最も多いと言われています。

腎臓は、血液中の老廃物を除去して尿を作り出したり、水分を調節して尿の濃度を適正にしたりして、体内の水分を一定に保つなどの働きを持っています。

こうした働きを行っているのは、腎臓にある糸球体と呼ばれる組織で、この糸球体や尿細管に異常が起こることで、腎臓の働きが悪くなり血液のめぐりに影響し、むくみが起こるのです。

腎臓病は初期症状を自覚しにくい病気であるため、気付いたときは慢性腎臓病に発展していたというケースも少なくありません。

そうしたことから、サイレントキラーとも呼ばれています。

しかし、全く初期症状が無いわけではありません。

腎臓病の典型的な初期症状としては「むくみや尿の異変」がみられます。

腎臓病を発症すると、特に起床時にむくみが起こりやすくなります。

起床時に顔がむくむことはよくあり、例えば前夜にお酒を飲み過ぎてしまったり、睡眠不足が続いたりしても顔がむくむことがあります。

しかし、こうした症状は毎日続くことはありません。

腎臓病の場合、顔全体ではなく目の周り、または足にむくみが生じ、「この状態が毎日続く」という特徴があります。

腎臓病と言っても様々な種類がありますが、特にこれらの症状が現れた場合には、「急性腎炎(急性糸球体腎炎)」もしくは「ネフローゼ症候群」などの可能性があります。

急性腎炎は、溶連菌連鎖球菌に感染することで体内で抗体が作られ、その抗体と溶連菌が結合したものが腎臓に付着することで炎症を起こすものです。

特に子供に多い病気です。

ネフローゼ症候群は、尿や血液中のタンパク値が異常に上昇することでむくみが起こります。
高齢者の場合には、ネフローゼ症候群の可能性が高いです。

腎臓病には、急性腎不全と慢性腎不全の2つに大きく分類できます。

急性腎不全は、適切な治療を行うことで腎臓の機能を回復させることは可能です。

しかし、慢性腎不全は、腎不全が起こることで腎臓の機能が徐々に低下していくため、腎臓の機能を回復させることはほとんど見込めないのが現状です。

足のむくみに関しては、最初にふくらはぎがむくんでくることが多いため、靴下やストッキングの跡が付いたり、ブーツが履きにくくなります。

ふくらはぎがむくむと足全体に気怠さを感じるため、動かなくなってしまいます。

運動量が減るとふくらはぎの筋肉が衰えてしまうため、さらにむくみを悪化させてしまうのです。

 

心不全、心臓弁膜症の症状としてのむくみ

高齢者の足のむくみは「心臓病」でも起こります。

心臓は新鮮な血液を体全体に送り、老廃物を含んだ汚れた血液を回収するため、ポンプの役割を果たす重要な臓器です。

その心臓に何らかの異常が現れることでむくみが起こります。

心臓病にもいくつかの種類がありますが、むくみが起こりやすい症状が「心不全」や「心臓弁膜症」です。

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下することで全身に必要な量の血液を送ることができなくなった状態を言います。

心不全は虚血性心疾患・心筋症・心臓弁膜症などの疾患に至る可能性がある症候群のことです。

心臓のポンプ機能が低下すると、動悸や息切れ、呼吸困難、むくみなどの症状が起こります。

初期では、ちょっとした坂道や階段を上っただけで動悸や息切れが起こり、進行すると平坦なところを歩くだけでも呼吸困難を起こしたりします。

更に症状が進行すると、就寝時にせきが出たり、息苦しさで睡眠不足になることもあります。

また、足にむくみが起こることもあります。

心不全による足のむくみが起こるのは、静脈内の血液が心臓へと送られず、足の一部でうっ滞を起こすことで、静脈に溜まった血液から余分な水分がしみ出してくることで起こります。

特にひざから下の部分で起こりやすいです。

心臓弁膜症とは、心臓にある4つの弁(大動脈弁・僧帽弁・大静脈弁・三尖弁)に何らかの障害が生じ、心臓弁本来の機能が失われることで起こる症状です。

4つある心臓弁のうち、特に大動脈弁と僧帽弁で起こりやすいです。

心臓弁膜症には、弁の開きが悪くなることで血流が低下する「狭窄症」と、弁の閉じが不完全であることから血液が逆流してしまう「閉鎖不全」の2種類があります。

弁膜症の中で足のむくみが起こりやすいのは「三尖弁閉鎖不全症」です。

三尖弁閉鎖不全症は、右心室から肺動脈へ血液を送り出す際に、三尖弁の閉じが不完全なため右心房へ血液が逆流してしまう状態のことです。

右心房へ血液が逆流することで、上大静脈と下大静脈に血液のうっ滞が起こります。

これによって足や顔にむくみが起こるほか、肝臓が腫れあがったりお腹に張りを感じたりします。

三尖弁閉鎖不全症が起こる原因としては、他の3つの弁に異常が起こることで、三尖弁の働きが悪くなると考えられています。

心臓弁膜症の進行度合いは、X線検査や心電図検査、超音波検査などによって判断していきます。

心臓弁膜症と診断された場合には、早めの手術で心不全になるのを防ぐことが可能です。

 

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肝硬変の症状としてのむくみ

肝臓は自覚症状が起きにくいことから、「沈黙の臓器」などと呼ばれています。

肝臓の組織が硬化してしまい、本来の機能が失われる肝硬変になっても、自覚できる症状があまりありません。

肝硬変には2つの段階があり、ある程度肝臓の機能を保っている「代償期」と、肝臓の機能が低下した「非代償期」に分けられます。

このうち、代償期にはあまり初期症状を感じないことが多いです。

肝硬変の代償期、もしくは慢性的な肝臓の病気で起こりやすい初期症状に、「筋攣縮(きんれんしゅく)」があります。

筋攣縮とは、筋肉に起こる突発的な痙攣のことです。

筋肉の痙攣は安静時や就寝時にも起こり、これは肝臓病に起こる症状の一つでもあります。

その他に、手のひらの膨らんでいる部分だけ赤紫色の小さな斑点ができる「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」などがあります。

非代償期になると、肝硬変が進行して肝機能が低下した状態になるため、様々な自覚症状が現れます。

非代償期の症状としては、お腹に体液が溜まる「腹部膨満感」、毒素が肝臓でろ過されず脳に達して起こる「肝性脳症」、皮膚がむずかゆくなる「皮膚掻痒感」、皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」などがあります。

非代償期には初期症状があります。
それが「むくみ(浮腫)」です。

肝硬変の非代償期に起こるむくみは、最初に足から起こります。

足がむくむことで怠さを感じたり、重みを感じたりします。

むくみが悪化すると、痛みを感じ、睡眠中に目を覚ましてしまうこともあります。

更にひどくなると、「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という症状が出てきます。

下肢静脈瘤とは、心臓に送られるはずの血液が足に溜まることで血管(静脈)の中に血の塊ができる症状です。

足の静脈が瘤のように出っ張り、ボコボコした状態になります。

見た目にも分かるようになるほか、むくみや気怠さが生じ、足が薄黒く変色することもあり、痛みやかゆみを伴うようになります。

このような状態になると、日常生活にもかなりの支障をきたすことになるため、手術などの外科的治療を行っていく必要があります。

下肢静脈瘤自体は、命を脅かすような恐ろしい病気ではありませんが、肝硬変に伴う初期症状である場合には、非代償期に進行している可能性があるため、このような自覚症状が現れた場合には早めに病院で検査を受けることが大切です。

もし、肝硬変であった場合、肝機能を回復させ更なる低下を防ぐためにも、早期治療が大切になります。

 

高齢者の足のむくみ対策

高齢者の場合、体力や筋力の低下により運動不足になりがちです。

また、様々な病気によって血液の循環が悪くなり足のむくみを起こすことも多くなります。

そのため、むくみを起こさない対策を行っていくことが必要です。

高齢者の方でも足腰がしっかりしている方は、散歩など体に負担にならない程度の運動を取り入れることで、むくみをある程度予防することが可能です。

散歩をすることでふくらはぎの筋肉を使うため、足のポンプ機能が働いて血液を心臓へと送り届けることができます。

これにより、足のむくみを改善することができます。

足の不自由な方は、つま先を上げ下げするだけでもふくらはぎのポンプ機能が働くので効果があります。

立ちの姿勢では、足の静脈にかかる圧力を上昇させるため、血管を圧迫することになります。

そのため、立ち姿勢を長く続けたら横になることも必要です。

最も効果的なのは昼寝です。

むくみは午後から夕方にかけて起こってくることが多いため、むくみが出る前に横になることで、足に溜まりがちになった血液を心臓に戻すことができるようになります。

これにより足の静脈圧も正常に戻すことができ、むくみを予防することが可能となります。

その他の対策としては、たるんだ皮膚の緊張度を高める方法も効果的です。

比較的圧迫度の高いストッキングを穿くことで、たるんだ皮膚に張りを与えることができます。

ストッキングは専用の医療用ストッキングの他に、一般的なストッキングでも効果はあります。

また、伸縮性の包帯を巻いても良いでしょう。

自身でむくみ対策を行えない場合には、家族やヘルパーさんなどに足を上下に動かしてもらうことで、むくみは随分と解消されます。

これを定期的に行ってもらいましょう。

また今では、足の「血液の流れ」や「リンパの流れ」を良くする成分を含んだ「むくみ専用のクリーム」もあります。

適度に足のマッサージを取り入れて全体のむくみも取ってあげることで、体全体の怠さも軽減され楽になります。

高齢者の場合は、単なる足の血流悪化がむくみの原因とは限らず、内臓系の病気が絡んでいる場合があります。

そのため、病気の種類によっては足を動かすことで、症状を悪化させてしまう可能性もあります。

従って、何らかの病気が原因でむくみが生じている場合には、医師に相談して適正なむくみ改善方法を取り入れることが大切です。

血液の半分以上は下半身に集中しています。

そのため、下半身が血流が悪くなるとどうしても足にむくみが生じてしまいます。

自分に合った効果的なむくみ対策を取り入れて、体全体のめぐりを良くしていきましょう。

 

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まとめ

むくみは、生活習慣などによる「生理的なむくみ」と「病気の症状としてのむくみ」があります。

「ただのむくみ」と思って安易に放置していると病気が進行している可能性もありますので、普段のケアを心掛けるとともに、気になる場合は医師に相談しましょう。

また、生理的なむくみも放置していると症状が悪化し、快適な日常生活が送れなくなります。

適切なケアを行えば改善できることも多いので、足の「血液の流れ」や「リンパの流れ」を良くして、筋肉のケアも行いましょう。

 

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ライター紹介 ライター一覧

木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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