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「痛みのある病気」と言えば痛風

 2016/03/09 疾病・症状
この記事は約 12 分で読めます。 959 Views

「痛みのある病気」と聞いて、皆さんはどんな病気を連想するでしょうか?

おそらく多くの方が連想するであろう病気の一つが「痛風」です。

また「群発頭痛」「心筋梗塞」とともに「三大激痛」ともいわれる「尿路結石」を連想する人もいるでしょう。実はこの「尿路結石」は、痛風が原因となって起こる痛風の合併症です。

このように痛風は、「痛みのある病気」を代表する病気といえそうです。

痛風とは

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痛風とは、血液中の尿酸が増え、それが結晶化して関節に溜まることで足の指などに激しい関節炎が起こる病気です。

痛風の語源は「風が吹いたくらいでも痛いから」といわれています。

実際に「あまりの激痛で夜中に飛び起きて救急車を呼んだ」とか「膝や足の裏に激痛が走り歩くこともできない」とか「車の運転もヤバいくらいでブレーキが踏めない」というほどの激痛です。

痛風の患者数は?性別や年齢、どんな人が痛風になりやすい?

日本での痛風患者数は、厚生労働省の国民生活基礎調査によると2013年には100万人を突破し、約25万人だった1986年と比べると4倍にも増えています。

また、痛風予備軍ともいえる高尿酸血症の患者数は1000万人とも推定されており、今後も痛風患者数は増えていく可能性があります。痛風は英語では「gout」とよばれ、世界での痛風患者は1500万人にも達するとの調査結果もあります。

痛風患者の男女での割合をみてみると圧倒的に男性が多く、90%以上が男性です。

また、かつては「中高年の病気」というのが定説でしたが、1990年以降は30代で発症する人が増えており、20代で発症する人も珍しくありません。

痛風と高尿酸血症の違いは?

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痛風と高尿酸血症は同じ言葉のように扱われますが正確には違います。

高尿酸血症は、痛風の一歩手前である「痛風の予備軍」。たとえば痛風を恐ろしい「火山噴火」だとすると、高尿酸血症は「いつ噴火してもおかしくない状態」と言えるでしょう。

高尿酸血症とは、血液中の「尿酸値が 7.0mg/dl」を超えた状態をいいます。この状態、つまり尿酸値が基準値を超えただけでは自覚症状はほとんどありません。

この高尿酸血症(尿酸値が高い)の状態が放置されていると、ある日突然、足の親指の付け根などに激痛の発作を起こします。これが「痛風(痛風発作)」という症状であり病気です。

つまり、健康診断で「尿酸(UA)」の数値が 7.0mg/dl を超えていると、高尿酸血症と診断されますが、痛風とは診断されません。そして、高尿酸血症の人はその状態を放置すればするほど、激痛をともなう痛風(痛風発作)が起こるリスクが高まります。

さらにその先には、三大激痛といわれる尿路結石や、心筋梗塞・脳梗塞など命にかかわる重い合併症のリスクも高まります。

痛風と高尿酸血症の違い、痛風と高尿酸血症の関係性は、他の病気に置き換えて考えてみると分かりやすいかもしれません。

例えば「糖尿病と高血糖症」です。血糖値が基準値を超えると高血糖症という状態ですが、その時点では自覚症状がない場合もあります。

また、血糖値が基準値を超えただけで即「糖尿病」と診断されない場合もあります。そして、高血糖症の状態が改善されず放置されると、糖尿病や糖尿病性合併症のリスクが高くなります。

尿酸とは?尿酸値は低いほど健康?

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尿酸とはどういうものでしょうか?

尿酸は、はじめから血液中に存在するものではありません。尿酸の元となるものは「プリン体」です。スイーツのような名前ですが、もちろんあの「プリン」とは関係ありません。

尿酸は、新陳代謝によって古い細胞が死ぬ時に生じるプリン体の残骸です。簡単にいえば尿酸は老廃物です。

細胞の新陳代謝は毎日どこかで行われていますから、尿酸も次々に生産されています。そして、余分な尿酸は体の外に排泄されています。

「残骸」「老廃物」と聞くと、「そんなものが血液中にたくさんあるのは良くない」「だから痛風や尿路結石といった病気になるんだ」と思うかもしれません。

たしかに、尿酸値が高すぎる状態(7.0mg/dl を超える状態)は決して良くありません。ただ、尿酸値が低すぎるのも良くありません。尿酸値が「2.0mg/dl 以下」だと「低尿酸血症」という病気になります。

つまり、尿酸は一定量で保たれているのが正常な状態です。

このように尿酸を一定量を保っている理由として、尿酸には体内の余分な活性酸素を抑える抗酸化作用があることが分かっています。

ちなみに、「一定量で保たれているのが正常な状態」というのは尿酸だけではありません。例えば血糖や血圧などにも同じことがいえます。

血糖値が基準値より高ければ「高血糖症(≒糖尿病)」ですが、逆に血糖値が基準値より低ければ「低血糖症」という病気になります。また、血圧が基準値より高ければ「高血圧症」ですが、血圧が基準値より低ければ「低血圧症」という病気になります。

実は「20対80」、プリン体の多い食べ物は控えるべき?

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「プリン体オフ」「プリン体を○○%カット」といったテレビCMを目にしたことがありませんか?

プリン体は、痛風や尿路結石といった激痛を伴う病気の元になるものです。ですから、痛風の患者さんや健康診断で尿酸値が高かった人は特に、プリン体という言葉に敏感になるもの当然です。

では、私たちは毎日どれくらいのプリン体を食べ物から摂っているのでしょうか?

実は、食べ物から摂るプリン体の量は全体の約20%です。では残りの約80%のプリン体はというと、体内でつくられています。

つまり、食事によって体内に入ってくるプリン体の量よりも、体内でつくられるプリン体の量の方が圧倒的に多いのです。

そして、食べ物に含まれるプリン体はその多くが体内で分解されるため、プリン体の多い食品を毎日大量に摂らない限り尿酸値への影響は少ないと多くの医師が指摘するようになっています。

ですので「摂り過ぎ」は注意した方が良い、けれども神経質になることはないというのが実情のようです。

ちなみに、日本痛風・核酸代謝学会が医療機関向けに作成している『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』ではプリン体の摂取量の上限を「400mg/日」としているようです。

尿酸の作り過ぎ?捨てられない?高尿酸血症の3タイプ

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尿酸は新陳代謝によって毎日、産生と排泄を繰り返しながら一定量を保たれています。それが正常な状態であり、その状態であれば高尿酸血症にはなりませんし痛風にもなりません。

逆に、尿酸の産生量が多くなったり排泄量が少なくなったりして、産生量と排泄量のバランスが崩れ尿酸が増えてしまうと、高尿酸血症になります。

このバランスの崩れ方には3つのタイプがあります。

1 尿酸の排泄がうまく行われない(尿酸排泄低下型、約60%)
2 尿酸の産生が過剰になっている(尿酸酸性過剰型、約10%)
3 尿酸の産生が多く排泄量が少ない(混合型、約30%)

1 尿酸の排泄がうまく行われない(尿酸排泄低下型、約60%)

つくられる尿酸の量は正常ですが、排泄がうまく行われないため尿酸が過剰になってしまうタイプです。日本人の高尿酸血症の約60%がこのタイプだといわれます。

2 尿酸の産生が過剰になっている(尿酸酸性過剰型、約10%)

尿酸の排泄は正常に行われているのに、つくられる尿酸の量が多すぎて尿酸が過剰になってしまうタイプです。日本人の高尿酸血症の約10%がこのタイプだといわれます。

3 尿酸の産生が多く排泄量が少ない(混合型、約30%)

つくられる尿酸の量が多く、排泄もうまく行われないため尿酸が過剰になってしまうタイプです。日本人の高尿酸血症の約30%がこのタイプだといわれます。

このようにみると、排泄低下型と混合型を合わせると、高尿酸血症の約90%の人は「尿酸の排泄に障害がある」ことになります。

なお、3つのタイプを判定する方法には「蓄尿検査」などがあります。

放置しないで!痛風の自覚症状と進行過程

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「尿酸値が高いと痛風になりますよ」と警告された人もいるでしょう。

では、尿酸値が基準値(7.0mg/dl)を超えるとすぐに痛風になって足の指に激痛が走るのでしょうか?また、高尿酸血症と診断された人は全員が痛風を発症するのでしょうか?

実は、痛風にはいわば「執行猶予」の期間があります。また「タバコ」と同じように、タバコを吸った全員が病気になるわけでは
ありません。

痛風の進行には3つのステージがあります。

1 自覚症状がない時期
2 痛風発作が出たり出なかったりする時期
3 痛風発作が頻繁に起こる時期

1 自覚症状がない時期(無症候性高尿酸血症期)

尿酸値が 7.0mg/dl を超えたからといって、すぐに痛風などの症状が出るわけではありません。

自覚症状がない時期があります。「自覚症状がない」というのは実は厄介な状況です。

というのも高尿酸血症という病気は進行しているにもかかわらず、「体の警告サイン」がないため気付かなかったり、たとえ健康診断で気付いたとしても痛くもかゆくもないので放置してしまいがちです。

すぐに痛風発作が起こるわけではありませんが、「尿酸値が高いと痛風になりますよ」という警告は間違ってはいません。

2 痛風発作が出たり出なかったりする時期(痛風間欠期)

この時期は、痛風発作が出たり出なかったりと再発を繰り返します。

一般的に、痛風発作の痛みは7~10日で治まります。そして2週間もすれば、痛みや腫れは嘘のように消えてしまいます。ただ、痛みが治まったからといって痛風が治ったのではありません。

痛風発作が起こる間隔は、数ヶ月であったり数年であったり様々です。そして治療せずに放置していると、その間隔は短くなっていきます。

3 痛風発作が頻繁に起こる時期(慢性痛風期)

この時期になると、頻繁に激痛に襲われます。痛みが消えないうちに次の痛風発作が起こるようになります。

また、様々な合併症が進行しているケースが多くなっています。

意外な事実?痛風発作が起こる確率は?

数年以内に痛風発作が起こる確率として以下のような報告があります。

尿酸値7台  約10%
尿酸値8台  約20~40%
尿酸値9以上 約50~90%

尿酸値が「7.0mg/dl」を超えると高尿酸血症と診断されますが、そこから数年以内に痛風発作が起こる確率は約10%。すぐに痛風発作が起こる確率は意外にも少ないかもしれません。

このような数値をみると、特に最初のうちは自覚症状がないこともあり病院にも行かず放置してしまうかもしれません。

しかし、尿酸値が「7.0mg/dl」を超えると「痛風予備軍」の仲間入りです。痛風という火山は「いつ噴火してもおかしくない状態」です。

そして数値が示すように、尿酸値8台、9台と尿酸値が上がるほどに痛風発作が起こる確率はどんどん上昇します。

「これくらいならまだ大丈夫」と安心するのか、「今のうちに何とかしないと」と対策を始めるのか、あなたならどうしますか?

痛風は自己免疫疾患?!激痛の正体とは?

痛風が発症する仕組みは次のようなものです。

尿酸値が 7.0mg/dl を超える

関節液の中で尿酸が結晶化し始める(自覚症状はない)

ある時、溜まった尿酸の結晶が剥がれ落ちる

それを白血球は異物とみなし攻撃する(自己免疫機能)
その際、白血球が放出する生理活性物質が毛細血管を広げる

尿酸値が 7.0mg/dl を超えてもすぐに痛風は発症しませんが、関節では尿酸が結晶化して溜まっていきます。

数年間、尿酸の結晶が溜まる中である時、何らかのきっかけで結晶が剥がれ落ちることがあります。

この「きっかけ」は、激しい運動や暴飲暴食、患部への直接的な刺激など様々です。またタイミングとしては、夜中や明け方が多いといわれます。

そして耐え難い腫れや激痛は「毛細血管が広がる」ことで引き起こされています。これが激痛の正体です。

白血球が異物を攻撃するのは体を守るためですが、それが正常な細胞や組織まで攻撃してしまっているのが実態です。このように痛風は自己免疫疾患でもあります。

痛風が起こりやすい場所とは?

尿酸の結晶が溜まりやすい場所には次のような条件があります。

・体温が低い場所
・血流が弱い場所
・よく動かす場所
・負担がかかりやすい場所

この条件に合うのが「関節」です。そして最初の痛風発作の70%は、足の親指の付け根で起こるといわれます。

その他の場所でも痛風は起こります。上半身では、肩、ひじ、手首、手指の関節など、下半身では、ひざ、くるぶし、かかと、足の甲などです。

このように足の親指の付け根でも痛風は起こりますが、全体的にみると90%は下半身で起こるといわれます。

痛風発作の応急処置について

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痛風発作が起こったら、すみやかに病院へ行くのが一番です。

とはいえ痛風発作は夜中や明け方に起こりやすいものです。また突然に起こりますのでパニック状態になるかもしれません。

ただちに病院へ行けない場合、以下のような応急処置があります。

・安静にして寝る
・患部を心臓より高い位置に上げる
・患部を氷や湿布で冷やす
・痛み止めの薬を飲む

痛風は患部で激しい炎症を起こしています。その炎症を悪化させないこと、炎症を抑えることが大切です。

炎症を悪化させないためには患部を刺激しないことです。無理に歩いたり、マッサージのように揉みほぐすなどはNGです。

また炎症で熱をもっていますので患部を冷やすことです。氷、保冷剤、湿布などで冷やします。

ただ「風が吹いたくらいでも痛い」のが痛風です。氷や保冷剤の重みですら患部への刺激となって痛いかもしれません。その場合は、できるだけ冷たい湿布を貼るのがよいでしょう。

まとめ

痛風は「プリン体オフ」のCMなどで「中高年の男性の病気」と思われがちですが、20代でも増加していますし、女性でも痛風は発症します。

尿酸値が基準値を超えても自覚症状はほとんどありませんし、すぐには痛風発作は起こりません。また痛風発作は1週間ほどで治まります。

しかし、痛風の激痛は大の大人でも我慢できないほど恐ろしいものです。さらに恐ろしいのは、尿路結石や心筋梗塞など痛風の合併症です。

痛風のことを正しく理解し、尿酸値が基準値を超えてしまったり、痛風になってしまった場合は、放置せず適切に対処しましょう。

そして、生活習慣に十分に気を付けて痛風の予防に努めましょう。

 

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